『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』とは、2002年1月6日から12月15日に放送された第41作目のNHK大河ドラマで、あるか。
織田信長、豊臣秀吉に仕えた前田利家とその妻・まつを主人公とした作品大河であり、1996年に大ヒットした大河『秀吉』を手掛けた竹山洋が、放送前年に執筆した同タイトルの小説をテレビドラマ化した。方針としては『秀吉』の
ように出世物語を協調し、主人公とされる利家の成長を中心とし、その妻まつらを始め人間模様を描いた。
トレンディドラマの人気俳優を多数起用し、まつ役の松嶋菜々子の実の夫である反町隆史が織田信長を演じたことなどが話題となった。大河ドラマでは初めて、プロデューサーを女性の浅野加寿子が務めたこともあって、主婦や若い女性からの高い支持を集めて高視聴率を記録した。
が、その一方で当時のネットでの評判は、高視聴率とは対照的に最悪だったと言える。問題点は、あまりにも登場人物が戦国時代にそぐわない現代的な思考である、女性の登場人物はまつを筆頭に「戦は嫌だ」などと極端な反戦平和主義である、フェミニストに強く偏り女性に比べて男性の登場人物の扱いがぞんざいであることなどが批判された。
その中でも、松嶋菜々子演じるまつは、ことある事に決めゼリフの「私にお任せ下さりませ」をいってはしゃしゃり出て、信長や秀吉が起こした歴史上の出来事にことある事に介入した挙げ句、ほとんどの登場人物から「さすがまつ殿じゃ」などと賞賛を集めるという、メアリー・スーのような存在として描かれた(例外的に高嶋政宏演じる徳川家康だけが、まつを批判する役回りだったが、まつからは毛嫌いされた上に「疫病神」呼ばわりされていた)。そのため、夫でキャストクレジットでは一番手の利家が割を食ってやや影が薄く、一部では「まつと利家」と揶揄された。
こうした女性主人公が不自然なまでに活躍する大河ドラマはその後も多く作られ、その多くがリアルタイムで大河を見る主婦層を狙って視聴率を集めたことから、硬派厨をはじめとするネット層では大河の質を低下させた元凶と批判する声もある。また、この2年前に非常に堅実な内容ながら視聴率に恵まれなかった「葵徳川三代」とありとあらゆる意味で対照的だったというのも大きい。なお、こうした傾向は2011年の「江〜姫たちの戦国〜」が大失敗するまで続くこととなる。
一方で、前田利家を始めとする戦国武将の掛け合いはある程度の高評価を得ている。また秀吉役の香川照之を
はじめ、大河ドラマの常連となる役者もあらわれた。信長の「で、あるか」はその後のメディア作品にも大きな影響を与え、これ以降信長がこのセリフを使う作品が増えている。また前田利家のライバルとして佐々成政にスポットライトを当てたため、成政の出番が非常に多く、また役者の山口祐一郎の名演(葵徳川三代の島津豊久以来)もあり、ファンを多く増やした、というかこの作品で佐々成政を知った人も多いのではなかろうか。ファン垂涎のさらさら越えも描かれており、やや脚色があるものの、本作では存在感をアピールしている。
NHKとしては、まつを前面に出しており、まつの「私にお任せ下さりませ」を流行らせたかったらしく、NHK関係の本や番組でもこの台詞が流行語になったと強調しているが、実際にはまつの鬱陶しさを思い出させるためか、実際には大して普及しなかった。それに代わり、実際に流行語となったのが信長の「で、あるか」である。元々この言葉は、信長が亡くなって間もなく制作された織田信長の伝記「信長公記」で、信長が斎藤道三と対面した時に発したものとして記録に残っているが、このドラマで信長が度々口にしたことから、今では信長の代名詞のひとつとなっている(本能寺の変の時に言った「是非に及ばず」など、信長の言葉は簡潔なものが多い)。
なお、唐沢寿明は2006年放送の大河ドラマ『功名が辻』でも、1話のみのゲスト出演ではあるが、利家役を再び演じている。
近年、大河ドラマにおける経済効果、いわゆる「大河バブル」が話題になるが、
利家とまつにおける経済効果は日銀試算によると786億円とされている。
ちなみに他の作品と比べると新撰組!は203億、篤姫は296億、龍馬伝は619億(長崎+高知合算)、
天地人は204億、花燃ゆは138億、真田丸が200億(2016年6月時点)である。
内容の是非はともかく、地元は大いに潤ったであろう。
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最終更新:2025/12/05(金) 21:00
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