本記事では、UGC百科事典サイト (ニコニコ大百科やピクシブ百科事典、各種ファンwiki等) における一般的な書き方についてのフローを書いていく。
むろん本記事が唯一無二の正解というわけでもなく、なんなら「この記事に全く反しているのに秀逸な記事」がいくらでも存在していることには留意されたい。
まずこの記事で指すところのUGC百科事典サイトというのはなにかを定義しておく。この記事では、このニコニコ大百科やピクシブ百科事典、あるいは遊戯王wikiやポケモンwikiなどのジャンル別の有志ファンwikiなどのように、「不特定多数が編集できる」百科事典形式を取ったウェブサイト、ということにしておく。
こうしたファンサイトは誰でも編集できる都合から、気軽に記事が建てられ、かつ不特定多数による集合知によってどんどん記事がよりよいものになっていくという強みがある (無論、デマも度々書かれてしまうが、集合知によって修正も期待できる) 。――ただし、記事が存在すれば、というエクスキューズがあるが。ブラッシュアップが得意な人、修正が得意な人、マニアックな知識を持つ人、記事の装飾が得意な人はインターネットに多数いるのだが、そもそもの記事が立っていなければブラッシュアップもへちまもなかろう。
かといって、なんでもいいから雑に立てればいいというものではない。最初から他人任せの3行記事など誰も追記したくないのだ。ということで、今回は最初の一里塚をとにかく作ることを目指してやっていこう。
基本的にUGC百科事典サイトのページの流れは以下の通りとなる。
これがキャラクターとかになってくると概要と補足の間に「作中の活躍」とかがさし挟まれるが、今回は抽象論であるためそれも「補足」という扱いとする。
まずは序文である。今回は架空の料理、「ずんだフライ」が実際に存在するというていで、これを解説するという前提とする。するとこうなる。
このように、記事タイトルについてそれはなにかを簡単に書けば序文となる。基本的にはこの形式で書くことが望ましい。より丁寧に書くならこうか。
ずんだフライ (英:Fried Zunda)は、ニコニコ共和国の料理の一種である。
枝豆をつぶしたペースト「ずんだ」を丸めて衣をつけて食べる大衆料理であり、同国をはじめ東ニコニコ王国などでもよく食べられている。
だが、たまにネタに走る編集者もいる。たとえば以下の様な場合。
上記は「イギリス料理」の序文である。これはイギリス料理というものは基本的に不味く、なんなら英国人自身がこれをネタにするほどであるというというコンセンサスがあるため、序文でネタに走っても読者が困惑しないというのが前提にある。似たような事例に、遊戯王OCGから「月の女神 エルザェム」の序文も挙げておこう。
月の女神 エルザェムとは、「発音してみろ」である。
ただし、これができるのは主題が著名であり、かつ大多数が同様の感想を抱く場合に限られる。イギリス料理でいうなら、そもそも英国人自身が不味いことを自らネタにしてしまうからこそ上述の序文が許されている。月の女神 エルザェムは著名なモンスターカードではないが、見たまんま「どう発音すれば良いのかわからないカード名である」という理解はできよう。――そのため例えば、こういう序文は非常に不味い。
おそらく、これを書くような編集者は納豆が大好きなのだろうと思われる。しかし、納豆は好き嫌いが非常に分かれやすい食材である。このような序文を書くと「ふざけないで真面目に書け」と指摘されてしまうだろう。一般的には、奇を衒うことなくありのままに書くべきである。
いよいよ概要である。一里塚としての記事はここがとにかくメインとなる。概要とはあるが、「おおむねのかなめ」だけしか書いていけないわけではない。UGC百科事典サイトで概要がやたら詳述されているのは割と許される。むしろ概要だからと本当に数行しか書かないと、容赦なく「薄い」と言われかねない。
とはいえど、概要というものはジャンルごとに何を書くべきかはガラッと変わる。はっきりいってジャンルごとに概要の書き方を書けば、それだけで数ページは記事が書けよう。ではどうすればいいのか。
ここで考えるべきは、「自分の立てたい記事のジャンル」である。今回はずんだフライの記事なのだから、他の料理項目に何を書いているのかを見て、その中央値をとればいい。そこで適当にいくつかの記事を見ていこうではないか。
「タンドリーチキン」「ひるぜん焼そば」「チーズタッカルビ」「にんじんしりしり」「ビャンビャン麺」「ハンバーガー」――こうして読んでいくと大概の記事は以下の要素が含まれていることに気付けるだろう。
これをふまえれば、似たようなことを書いておけばとりあえずの初稿として成立しうる (少なくとも、立て逃げとは見なされない) ことがわかる。
『ずんだはなぜニコニコで食べられているのか』によると、ニコニコ共和国ではハラジュク地方からギンザ地方、およびキュー地方北部でよく食べられている、大衆料理。特に夕食において饗される。東ニコニコ王国ではク地方やイーアール地方西部でも食べられている。
ずんだあんを丸めた後、小麦粉、溶き卵、パン粉の順にまぶし、ごま油で揚げる。東ニコニコ王国ではオリーブオイルで揚げることもあり、味付けの際に追いオリーブオイルをかけることもある。特徴的な点として、ニコニコ共和国ではずんだといえばこの食べ方が主流であるという点である。『ずんだフライ――その驚くべきルーツ』によれば、ニコニコ共和国には17世紀頃、日本の東北地方からずんだ餡の製法が伝えられたが、同地ではすぐに腐ってしまうというずんだ餡の特性から、あまりあんこ餅の要領で食べられることはなかった。現在でも当地ではずんだ餡をそのまま何かにつけて食べることはなく、日本でずんだ餅をみてギョッとするニコニコ人は多いのだとか。
なお、この際に参考とする記事はできるだけ多ければ多い方がいい。というのも、参考にした記事がイレギュラーな書き方をしている場合、それをそのまま参考にしてもへんてこな記事になってしまうからだ。料理記事で言うならばこのような記事があがる。
より多くの記事を参考にすることでこのようなイレギュラーな記事を参考に書いてしまうことを防げよう。
補足は概要の流れに書きづらいことを書いていけば良い。例えば「日本におけるずんだフライの受容」とか「ずんだフライの発展料理、ずんだチーズチリソースについて」とかが補足では一般的か。
補足はあくまで補足である――が、UGC百科時点サイトというのはしばしば筆が乗ってしまうもの。例えば、「ずんだフライの歴史を書いたらそれだけで3-4パラグラフになっちゃった」というケース。この場合は「概要」と「補足」の間に「歴史」という項目を作ってそこに転記してしまえばいい。
参考文献は基本的には書名と著者、出版社、出版年を記載する。引用元にしていないならばページは省略可能である。人によっては版を書くこともある (版によって内容が訂正されている場合があるため)。
関連リンクはもっとストレートに書いてしまっても良い。例えば、「<a href="URL">ページ名<a>、YYYY年MM月DD日閲覧」。
UGC百科事典サイトは学術論文ではないので、参考文献に関して特にこれといった流儀はない。元の参考文献がしっかり追えるならばいかように書いてもいいだろう。ただし、「見たものは可能な限り」書くことを推奨する。ソースそのものがデマにまみれているというケースも0ではないので、「これを見て書きました」とかいて置いたほうが何か言われたときの保険としても役立とう。あなたの書いた文章が偏向しているのか、元のソースがそもそも間違っているのかがわかれば指摘もしやすい。
なんのこっちゃと思うだろうが、記事を書く上でなるたけ感情を込めずに書け、とはよくWikipediaなどでは言われるのである。しかし、ニコニコ大百科やピクシブ百科事典といったゆるめのUGC百科事典サイトにおいて、感情を込めずに書いてもあんまり面白みはない。
ここで重要な点として、肯定意見はある程度主観的であっても荒れにくい。「ずんだフライは手軽に作れて安く、甘さがちょうどよく美味しいので是非一度作ってみてはどうだろう」とか書いても、あんまり怒られない。しかし「ずんだチーズチリソースは甘さと辛さが衝突しており、口の中で大事故になる。何故このような料理が産まれてしまったのか」なんて書いたもんならまず間違いなく炎上である。それが好きな人もいるかもしれないし、今回は架空の料理だが、そもそも料理が実際に存在するのであればそれが美味しいと思って作っている民族がいるわけだから人種差別にもなりうる。
だが例えば否定的な見方が強かったり、好き嫌いが分かれやすい場合もあるだろう。それを言及したい場合は、自分の意見ではなく、「ずんだチーズチリソースは当地でも好き嫌いが分かれやすい料理である」とか「『ずんだフライの過去と現在』を書いた同地の国民的な人気を誇る食通にして調理人のズンダ=モーンをして、「これ (=ずんだチーズチリソース) は人の食べる料理ではない」と言わしめるなど、あまり正統とは見なされていない」と他人の意見を借りてくることを推奨する。
スラング、俗語表現 (「マジ」とか「ヤバい」)とかは、「マジで使うとヤバいほどウケる」場合にのみ使用を留めるべきである。もちろん本流の百科事典ではないので、ある程度やわらかい文章にしてもよいし、時には打ち消し線でツッコミを入れたりするのもいいだろう。ずっと真面目だと読む方も疲れるからね。 しかし、ずっとスラングや俗語表現を使うと却って記事内容が入ってこなくなりがちである。基本的に1パラグラフに5-6個もあれば読みづらくてブラウザバックされてしまうと思った方がいい。
とりわけ使用を控えてほしいのは差別的な意味合いを持つ、あるいはそう受け取られやすい表現である。「引用元にそういった記載がある」「解説主題自体にその要素が含まれてしまう (例:キチガイレコード、クルパーでんぱ) 」場合を除いてはわざわざあえて使うものではない。「バカでも知っていることだが」などと書いたりせず、「一般に知られるように」などと書くこと。地の文で「ガイジ」など論外である。
慣れていないのに文の装飾をやろうとして失敗するケースは多々ある。基本的に、太字、下線、打ち消し線、色は赤と青に絞ったほうが見やすい。なお、「斜体」については日本語環境では反映しないことも多く (例えばWindowsにおける日本語環境でよく使われる「メイリオ」には斜体はない) 、あえて使う意味合いがない (むしろ中途半端に英字だけ斜体になって見づらい) 。そもそも記事にインパクトを与えるならば記事そのもののデザインに手を入れたほうが効果的だと思う。
立て逃げと言われることを恐れ、とにかく細かいことでもいいから第一版からなんでも書こうとする人がたまに見受けられるが、結果として立てることへのハードルばかり高くなっていき、立てられずに終わってしまうことになる。こういったことを一人で判断するのは難しいはずだ。形がないまま薄い記事を書くのも問題だが、無駄にハードルばかり上げて記事を投稿しないのもまた意味がない。
それに、あなたが見つけられなかった内容を、他の人はもっと手軽に見つけてきて書き足してくれるかもしれない。書き足してくれなくても、掲示板などで「こんなこともあるよ」とか「ここ間違ってるよ。そもそもソースが信頼性無いよ」とか教えてくれることもあろう。もともとUGC百科事典サイトは集合知によって発展することが求められているのだから、ある程度概形ができているのならば、さっさと投稿するほうがいい。
最後になるが、とにかくあとは書いては投稿、指摘が入ったら修正、とやっていけばだんだん型破りの仕方もわかってくる。とにかく書いて、まずひとつ投稿してみよう。UGC百科事典サイト群は新たな編集者を待っている。
掲示板
8 ななしのよっしん
2022/12/05(月) 23:26:14 ID: ph2bpjh5Xk
>>6
あそこは雑談用掲示板と一緒になってる特殊な形態のwikiって感じで、「そういうルール」として見るべきだと思う
あと普通に編集しても文句言われた事ないよ
9 ななしのよっしん
2022/12/11(日) 16:05:42 ID: 7DaOfYg7Ds
>>2
今週のクソ記事受賞のコツの方は 記事作成における上手な型の破り方の研究 がまとめられてて
対して此方の記事は 型を守りつつ叩き台にし易い初版作りの指南 が解説されてる感じで
どっちも読んでて凄く面白かった
10 ななしのよっしん
2022/12/23(金) 19:03:34 ID: SOqyaxCPit
ニコ百は書ける人限られるから記事がとっちらかることはあんまりないんだけど、これがPixiv百科やアニヲタwikiみたいな編集の敷居低いwikiだと途端に撮っ散らかりきってただの雑多なメモに成り下がる印象ある。
そういう観点だとPixiv大百科のニチアサ関連(特にプリキュア)あたりは反面教師としては本当優秀、放送進むに従って雑多な内容が一切整えられることなく延々と増えていくからまあ読みづらいこと……。
急上昇ワード改
最終更新:2024/03/19(火) 17:00
最終更新:2024/03/19(火) 17:00
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