カビールカーンとは (カビールカーンとは) [単語記事]

カビールカーン(Kabirkhan)とは、2020年生まれの米国産・UAE 調教の競走馬である。栗毛の牡馬。

主な勝ち鞍
 2024年:アルマクトゥームチャレンジ(首・GⅠ)

概要

父*カリフォルニアクローム、母 Little Emily、母父 Cast ledaleという血統のアメリカ産馬。父は馬産としては僻地のカリフォルニア州から米クラシック二冠を制し、2度の年度代表馬に輝いた名馬。2020年から日本に輸入されており、本馬はアメリカ繋養時代最後の世代となる。母も米国馬で22戦4勝。
母父はアイルランド産馬で、地元でデビュー後アメリカに移籍しGⅠ2勝を挙げた馬。種牡馬としてはほとんど活躍馬が出なかった。

血統的にはさほど見所はなく、2021年のセールで1万2000 ドルの安値で取引された。オーナー曰く「カリフォルニアクロームが好きだったから」とのことである。

デビューは早く2歳6月。アルマトゥイ競馬場のダート 1200m戦で初出走を迎え、不良馬場をものともせず後方から差し切って初勝利を挙げる。その後も同競馬場で2戦を走り連勝、3戦3勝の成績で2歳を終える。

…アルマトゥイ競馬場？聞いたことないぞ？アメリカのローカル競馬場か？

いいえ、カザフスタンの競馬場です。

国際セリ名簿基準書ではパート3国にも記載されていない、競馬としては辺境の地。デビュー戦の映像が残っているが、不良馬場云々以前にまともにコース整備されている様子がなく、直線はゲートがなければそのへんの広い林道にしか見えないような競馬場。スタート早々にコースの9割ほどを覆う水たまりが放置されており水しぶきを上げながら走る有様であった。ちなみにアルマトゥイ競馬場、10年ほど前にJRAの全面協力で大規模開発が行われる予定だったのだが、折悪く政情不安に陥り計画中止になってしまったようである。
なお一見すると森の中にしか見えないがアルマトゥイは人口140万人以上を誇る同国最大の都市で、競馬場も意外と街中にある。ドイツを拠点に大活躍し、短期免許で日本でもよく騎乗しているバウルジャン・ムルザバエフ騎手の故郷でもある。

前述の通り2歳を3戦全勝で終えたカビールカーンは3歳になるとロシアへ移籍。ロシアもカザフスタン同様国際セリ名簿基準書に記載されてない国ではあるが競馬は割と盛んで、旧ソ連時代には凱旋門賞にも出走した名馬 Anilinが生まれた地であり、2009年には同国産のダノンシェルが日本でデビューし中央1勝を挙げている。馬産も行われているが、輸入種牡馬がさほど多くないこともあって前述のAnilinを始め同国内で長く繋がってきた系統がだいぶ生き残っているらしく、欧米や日本ではメインストリームから外れてしまったようなサイアーラインも多数みられる。

カビールカーンはロシアに移籍しても連戦連勝。ローカル GⅠも持ったまま圧勝するなど無敵状態だったが、屈指の大競走ロシアダービーでは同じ米国産のHero Moに逃げ切りを許し2着。デビューから続いた連勝は8でストップする。

このレースで3歳を終えると、UAEのダグ・ワトソン厩舎へ移籍。一気にパート1国へ栄転する。

初戦のハンデキャップ戦は2番人気だったのだが、このレースで4馬身差の圧勝を収める。ちなみにこの時の2着は同じくダグ・ワトソン厩舎へ移籍していたHero Moだった。

そして次走で一気に国際GⅠ アルマクトゥームチャレンジにステップアップ。しかも1番人気に支持される。レースはやや出負けしたがすぐに立て直して先団に加わり、徐々にポジションを上げ先頭と並びかけながら2番手で4角を通過。直線で追い出されるや否や一気に後続を置き去りにし、そのまま4馬身3/4差をつける圧勝。購入価格1万2000 ドル、草競馬同然の場所でデビューした馬が国際GⅠを制するというビッグドリームを手にした。

さらにGⅠ ドバイワールドカップにも出走、3番人気に支持されたがさすがにメンバー構成が厳しかったか、中団追走から直線半ばで力尽き8着に敗れている。

この後は米国はチャーチルダウンズ競馬場のコックス厩舎へ移籍。4か国目の新天地で更なるビッグタイトルを狙う事になるようだ。