ザナックとはコンパイルが1986年に開発し、ポニカが発売した縦スクロールシューティングゲーム(STG)である。
概要
ザナックは、当初はMSXでシューティングゲームとして発売された。
発売当初は話題にならなかったものの、8面の豪華さ、0面の存在などが明らかになり、次第に人気を博していき、その後にはディスクシステム(FDS)でもザナックが発売された。(このディスクシステム版が一般的に知られているザナックである)
ディスクシステム版はMSX版をベースに、「サブウェポンのパワーアップ」「ワープ」「AI式自動難易度調整」などの要素が追加されている。またOPの高速サウンドに代表される、ノリのいいBGMがウリとして取り上げられ、爽快なシューティングゲームとなった。実際、このFDS版はMSX2で「ZANAC EX」として発売されたあたり、その人気は推して知るべしである。
2001年、コンパイル最後のソフト「ZANAC×ZANAC」が発売。ザナックをベースに完全新作である「ZANAC NEO」とザナックの移植版も収録された豪華な作品だったが、その後コンパイルが倒産したことで入手困難となっている。
2007年7月、Wiiのバーチャルコンソールでファミコン版が配信され、オッサンホイホイとしても活躍している。
ゲームとしての評価
ノリノリで爽快なBGMやSEに加え、「プレイ内容によって自動的にゲーム難易度が変化する」という非常に画期的なシステムにより、今でも高い評価を受けている縦STGである。
それと共に、ステージの演出も当時としてはかなり凝っており、特にストロボ効果が発生するほどの超高速で背景が流れる2・5・7・12面は人気が高い。
かといって超高速スクロール一辺倒というわけでもなく、高速セクションと低速セクションの緩急のバランスがついていることも、独特のスピード感の演出に一役買っている。
これらの演出は昨今のゲームでは特段珍しい物ではないとも言えるが、性能面の制約が多いファミコン、それもディスク片面512キロビットという容量の中で実現してしまったところに、ザナックの凄さが凝縮されている。
STGとしての特徴
ザナックのゲームスタイルは、昨今流行の弾幕タイプとも、80年代末~90年代に一世を風靡した「覚えゲー」とも異なる、一種独特のものである。
ザナックにおける敵の攻撃は非常に激しく、また「初期装備でその場復活」というゲームシステムとも相まって、高次面での1ミスは時に10機以上の残機がまとめて吹き飛ぶ事態に繋がるが、対抗措置だとでも言わんばかりに、ザナックのエクステンドは「初回20,000点、以降80,000点エブリ」という滅茶苦茶な頻度で発生する。すなわち「大量の残機を削りながらも、強引にスクロールを稼いでクリアする」というヤケクソじみたプレイスタイルが成立するのである。[1]
その一方、通しクリアは当たり前であり、ハイスコアを競うような腕前のプレイヤーにとっても、この頻繁なエクステンドは決してぬるま湯とはならない。なぜなら、最終面クリア時に残機1機当たり100,000点のボーナスが還元されるからだ。
結果として、「攻撃的なプレイでスコアを稼いで大量の残機を溜め込み、それを如何に減らさずにクリアするか」という緊張感を持続できる楽しみ方が、上級者にも開かれている。
クリアするのもそう難しくなく、また1回クリアした後にも楽しみがある。そうした、無理なく上達とスコアアタックを楽しめるシステムが、語り継がれる作品としてのザナックが歴史に名を残す理由となっているのだろう。
難易度について
「ザナックは高難易度ゲームだ」と言われる一因として、敵の攻撃の激しさが挙げられる。これは自機の攻撃は大火力を誇るが、それは「主に前方に向けたものである」という特性があるためである。
このゲームは「正面からは耐久力のある敵をぶつけ、その隙に側面や後方からトリッキーな攻撃を仕掛ける」というパターンが多い。[2]
また、逆説的ながら「敵弾の大半が相殺可能」というザナックのシステムも、難易度上昇の一因である。通常のSTGであれば、自機のショットは「敵弾に対する当たり判定を持たない」ため、敵味方の攻撃が干渉するケースは少ないが、ザナックの場合は大半の敵弾をプレイヤーの射撃で破壊して食い止めることができる。
このため、ザナックでは「敵の猛攻を捌き切れずに死亡」というケースは発生しにくい。ザナックにおけるミスの比率で圧倒的に多いのは、側方や後方からの出会い頭の攻撃による被弾である。[3]
以上の要素により「至近距離からの攻撃に対する気合避け」という反射神経に依存したテクニックを要求される上、「全12ステージという長丁場」「毎回敵出現テーブルが変化する」というパターン化の難しい仕様とも相まって、上級者にとっても「事故」の可能性は比較的高い。
すなわち、プレイヤーの技量の上昇が被弾率の低下にあまり寄与せず、到達面数以外の点においてプレイヤーが自らの上達を実感しにくいのである。[4]
バックストーリー
遠い昔、とある有機知性体が機械化防衛システムを作りあげた。遙かな時を経て自己成長を続けるこのシステムには、一つの役割があった。宇宙に点在するイコン(聖像)を正しく開放した者には知識を、破壊した者には破滅を与えるという役割が。
人類はこのことを知らず、イコンを破壊し、その後で別のイコンを正しく開くことに成功した。だが、システムは攻撃を止めず、人類は危機に陥った。人類は、正しく開放したイコンがもたらしてくれた知識を元に反撃を試みたが、システムの戦力は余りに強大であり、戦場において人類は全く歯が立たず、敗退を重ね続けた。
「システムの本質は戦略マシンであり、大部隊同士の戦闘を想定している。超高性能の機動兵器を建造し、敢えて単機で戦いを挑めば、システムは効果的に対応できないのではないか」
危険な賭けではあったが、可能性を信じて計画は決行され、成功をおさめた。だが、宇宙を覆うほどの規模に増殖し、今なお膨張を続けるシステムの全体を、一度の戦闘で無力化することはできなかった。
かくして、数十年にも及ぶ人類の長い戦いが幕を開けた。
ピコカキコ
タイトルBGM | |
BGM2 | |
1面のテーマ | |
ステージクリア | |
未使用曲1 | |
未使用曲2 | |
ラストステージ | |
エンディング |
関連動画
関連項目
脚注
- *この当時のコンパイルのスタッフの一部が後にライジングの設立に関わっている。同ブランドの代表作である「バトルガレッガ」などには残機を用いた特徴的な難易度調整システムが採用されており、ザナックと無関係ではないと思われる
- *実際は大量のキャラクターを同時に扱えない8ビット機の制約ゆえでもあるが
- *敵弾を破壊可能ということは、「1フレーム内の当たり判定処理回数が飛躍的に増大する」ということになる。このため、ハードへの負担が凄まじいことになるのだが、これを苦もなくやってのけているのは開発陣の技術力が非凡な証明である
- *ただし上級者は序盤で効率よく残機を稼ぐうえに、復活時の立て直しテクニックにも長けている。よって被弾率に関係なく、技量の高いプレイヤーほどクリアは容易である。念のため
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