ディー・ディー・ブランチャード殺害事件単語

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ディー・ディー・ブランチャード殺害事件（英：Murder of Dee Dee Blanchard）とは、2015年 6月14日にアメリカ合衆国ミズーリ州で起こった殺人事件である。加害者が被害者の実の娘という点以上に、その特殊すぎる背景から大きな注目を浴びた。

概要

ルイジアナ州南部チャックベイ。

母子家庭で育つジプシー・ローズ・ブランチャードは早産のため脳の一部を欠損し知能レベルが7歳で止まるという知的障害を始め喘息や白血病、筋ジストロフィーなどの難病を患いながらも、母親であるディー・ディー・ブランチャード（本名:クローディン・ピトレ）の懸命な介護により車椅子での生活を続けていた。

2005年 8月、仲睦まじく暮らすこの親子のアパートをハリケーン・カトリーナが無慈悲に破壊。このときジプシーの出生証明書などの記録物を紛失してしまった。運よく救助された二人は、特別支援を受けるため近隣の施設へ命からがら移ると、難病を持つ髪が抜け落ちた車椅子の娘を献身的に支えるシングルマザーという姿がメディアの注目を集め多くの報道がなされる。

医師からの提案でミズーリ州への移住を決意した二人の元には、哀れに思った人々から多額の寄付金が届くようになり生活が一変する。不幸続きだった親子は幸せになり、アメリカ中の人々の心を温めさせた。

しかし十年後、事態は一変する。
ジプシーとその彼氏がディー・ディーを殺害した容疑で逮捕されたのだ。しかも連行されるジプシーは自らの足で歩いていた。

事の真相

実はジプシーは病気など患っておらず、車椅子の助けなど初めから不要だったのである。

本当のところ病気だったのは母親の方で、彼女は「代理ミュンヒハウゼン症候群」という身の回りの誰かを病気だと思い込ませたがるという精神疾患を抱えていたのだ。脳の欠損を始め難病の話は全て嘘。

ジプシーがこのことに気づいたのは2010年ごろ、自身の国民保険健康カードを発見した時。そのカードには母親から知らされていた1995年生まれではなく1991年生まれと記されていた。これにより母に強い疑念を抱くようになり、自分が母の言われるがまま障碍者を演じてきた健常者であることを突き止める。

2013年、ジプシーは出会い系サイトで知り合ったニコラス・ゴドジョンという青年と付き合うようになり、彼に母の殺害を依頼。ニコラスは眠りについたディー・ディーをナイフでメッタ刺しにして殺害した。

その後、ジプシーは金髪のカツラを着用しニコラスの家に身を寄せるも、オンライン上の関係を洗われ二人してアッサリ逮捕された。

事件によりディー・ディーのついていた嘘が明るみに出ると、町の住民や彼女たちを手助けしていたコミュニティはその事実に打ちのめされた。ディー・ディーの嘘に半ば気づいていた彼女の家族はその死を悲しむことは無く、遺灰をトイレに水葬した。別居していたジプシーの父親は取材に対し「ディー・ディーがついた蜘蛛の巣のように張り巡らされた嘘は、最終的に彼女自身を絡めとってしまった。これぞ逃げ道の無い本当のハリケーンだったんだ」と応え、ジプシーが独歩する姿に笑みを零した。

罪を認め、10年の禁固刑が言い渡されたジプシーは、投獄された後のインタビューで「刑務所内の方が今まで生きてきた人生より遥かに自由を感じる」と話している。

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