バルテリ・ボッタス(Valtteri Viktor Bottas, 1989年8月28日 - )とは、フィンランド・パイヤト=ハメ県ナストラ出身のレーシングドライバーである。
概要
F1デビュー以前
2008年、フォーミュラー・ルノー2.0のユーロ・北欧カップ双方にエントリーし両シリーズ制覇。
2009・2010年マスターズF3を連覇。2011年にGP3に参戦しデビューイヤーながらチャンピオンに輝く。また、2010年からウィリアムズF1のテストドライバー契約を結び、F3やGP3と並行して活動していた。
ウィリアムズ(2012年~2016年)
F3やGP3、テストドライバーの活動が評価され、2012年からウィリアムズF1のリザーブドライバーに昇格。フリー走行などで腕を磨きシーズン終了後、ブルーノ・セナに変わりレギュラードライバーに昇格。
F1デビューイヤーとなった2013年。しかしウィリアムズはマシンの開発に失敗、シーズン通して低調なパフォーマンスを強いられることとなった。しかしそれでもカナダGPの予選で3位獲得(決勝は14位)、第18戦アメリカGPで8位入賞で初のポイント獲得と速さを見せた。この年のドライバーズランキングは17位(4P)に終わった。
2014年はマシンの戦闘力が復活。第8戦のオーストリアGPで3位に入賞し初の表彰台に立つと、続くイギリスGPでは2位表彰台、更に続くドイツGPでも2位入賞と実力を発揮し、その後も高いレベルで安定したパフォーマンスを見せた。シーズン成績はドライバーズランキング4位(186P)と躍進した。
2015年はカナダGPとメキシコGPの3位表彰台2回と前年より成績を落としたものの、チームメイトのフェリペ・マッサをポイントでわずかに上回った。ドライバーズランキング5位(136P)。
2016年、前年度と同様安定した走りを見せ、カナダGPで3位表彰台を獲得。だが、シーズンが進むに連れウィリアムズの戦闘力が低下(他チームほど性能向上できず)、中盤戦以降はポイント獲得するのがやっとという形となり失速していった。ドライバーズランキング8位(85P)と大きく成績を落とした。
翌年もウィリアムズで参戦する予定だったが、王者ニコ・ロズベルグの電撃引退によりメルセデスのシートが空いたため、後任としてボッタスが参戦することが発表され移籍することとなった。
メルセデス(2017年~2021年)
迎えた2017年、開幕戦オーストラリアGPで移籍後初の表彰台(3位)に立つと、第3戦のバーレーンGPでは初のポールポジションを獲得、続く第4戦ロシアGPでは自身初優勝を飾った。第9戦オーストリアGPではポール・トゥ・ウィンを果たし、最終戦のアブダビGPではポールポジション、決勝ファステストラップ、優勝のハットトリックを達成。ドライバーズランキング3位(305P)と活躍し、チームのコンストラクターズタイトル獲得に大きく貢献した。
2018年はレース中のパンクやセーフティカー導入のタイミングによりパスされる、クラッシュに巻き込まれるなど不運な面が多く、中盤戦の時点でドライバーズランキング争いから脱落。終盤戦では優勝できそうな展開でチームオーダーを命じられ2位になるなど悔しいシーズンとなった。この年はメルセデス・フェラーリ・レッドブルのいわゆる3強のドライバーの中で唯一の0勝に終わってしまい、ボッタス自身も「今の所今季はワーストシーズン」と語るほどであった。ドライバーズランキング5位(249P)。
2019年、開幕戦オーストラリアGPで2年ぶりの優勝、第4戦アゼルバイジャンGPでポール・トゥ・ウィンを達成。中盤戦まで不調な時期があり、チームプレイに徹することを強いられたものの、第17戦日本GPで優勝、第19戦アメリカGPでポール・トゥ・ウィンを挙げて年間で4勝を挙げた。ドライバーズランキング2位(326P)。
2020年、開幕戦オーストラリアGPでポール・トゥ・ウィン、第10戦ロシアGPで優勝と2勝をあげるも、精彩を欠く場面も多く、チームメイトのルイス・ハミルトンだけでなく、レッドブルのマックス・フェルスタッペンに敗れる場面も目立った。ドライバーズランキング2位(223P)。
2021年、オランダGP終了後に同年限りでのメルセデス離脱、ならびに翌年以降のアルファロメオ所属を発表した。優勝はトルコGPでの1勝のみ。エミリア・ロマーニャGPではジョージ・ラッセルを巻き込んで大クラッシュを演じ、レースの赤旗中断を招く。また、ハンガリーGPではランド・ノリスに追突してレッドブルの2台をも巻き込む多重クラッシュを引き起こし、同レースが大荒れの結果となる原因を作ってしまった。こうしてドライバーズランキングは3位で終了(226P)。同僚のルイス・ハミルトンは最後の最後でタイトルを逃し、8年連続のチームダブルタイトルはならなかった。だが、コンストラクターズタイトル8連覇はなんとか達成した。
とは言え、決してチームはボッタスの存在と貢献を軽く見ていたわけではなく、シーズン終了後はお別れセレモニーが開かれて盛大に彼の新たな門出を祝ったのである。
エピソード
- 好不調はあるものの、リタイアの少ない安定した走りが持ち味。不運に巻き込まれることもしばしば。
- 寡黙で真面目なタイプであり、F1ドライバーとしてはトラブルが少なく、メディアを通じての口論や女性問題と言ったものが殆どない。
- カーナンバー「77」は自身の名前に「tt」が2つ入っていることに由来している。
- キャリアの歩みがウィリアムズ4年→メルセデス移籍、初年度の成績など、ニコ・ロズベルグの経歴に似ているとよく言われている。本人はロズベルグと比較されるのをあまり好ましく思っていないようである。
- 2019年頃から髭を生やすようになった。
- 趣味はローラースケート。
またロードバイクをトレーニングに採り入れており、自身のInstagramアカウントでは度々サイクリングの様子がアップロードされている。 - 自他共に認めるコーヒーオタクで、フィンランドではコーヒー豆を焙煎するロースター(焙煎所)を共同所有している。
2022年のシーズン開幕直前にF1のTwitter公式アカウントで今季参戦するドライバーが紹介された際には「コーヒー中毒」とまで言われている。
また2020年サクヒールGPでは、COVID-19の影響で欠場を余儀なくされたハミルトンの代役として出場し、記者にウィリアムズとメルセデスの違いを問われ「食事が美味しい」と答えたジョージ・ラッセルの回答に割り込み「ちょっといいかな、メルセデスもコーヒーはイマイチだと思うよ。だってネスプレッソじゃん、ウチのは」と物申している。
なお、ネスレはメルセデスのスポンサーである。 - 2022年1月にオーストラリアに旅行した際、海岸で全裸になり逆立ちしている様子をInstagramに投稿し世界中のF1ファンの度肝を抜いた(現在は削除済)。
- 日本のSNS上では「大将」「麺屋ぼったす」といったラーメンネタがあるが、メルセデス在籍時にF1公式のオープニング映像で腕組みするボッタスの姿が妙に様になっており、「ラーメン屋の大将みたい」「ねじり鉢巻が似合いそう」という偏見がいつしか定着してしまったものである。
特に本人がラーメン好きを公言しているわけではない。 - マスコミの取材を避ける目的で偽名を使って長距離走(10km)の大会に出場したことがある。
関連動画
関連商品
関連リンク
関連項目
- 0
- 0pt