オジマンディアスとは、古代エジプトのファラオの一人、ラムセス2世のギリシャ語での名前である。ラムセス2世に関しては該当記事参照。
曖昧さ回避
- オジマンディアス(詩) - イギリスの詩人シェリーによるオジマンディアスの栄枯盛衰を描いた詩
- オジマンディアス(アメリカンコミック) - DCコミックスが発行したコミック『ウォッチメン』に登場するキャラクター。この記事で記述。
- オジマンディアス(ブレイキング・バッド) - 海外ドラマ『ブレイキング・バッド』第5シーズンエピソード14のタイトル。1の詩に発想を得ている。
- オジマンディアス(Fate) - TYPE-MOONによる『Fate』シリーズに登場するキャラクター。ラムセス2世本人。ライダー(蒼銀のフラグメンツ)の記事参照。
「オジマンディアス」とは、DCコミックスのアメコミ作品及び映画「ウォッチメン」に登場する元ヒーローの実業家であり、人類史上最大のジョークを遂行・達成した男である。
”その計画とは、史上最大の詐欺だ。世界を武力で平定することができないなら、全人類を残らず騙して統一に追い込もうとしたのだ”
概要
能力
「Dr.マンハッタン」以外は、異能な能力を誰ももっていないと言うウォッチメンユニバースにおいて、
を武器に活躍していた文武両道のヒーローである。簡単に言うと超頭の良い北斗神拳の達人。
コードネームの「オジマンディアス」は、傾倒する「ラムセス2世」のギリシャ語名。
ウォッチメンに登場する他のメインキャラクター同様、チャールトンコミックスのヒーローが元ネタとなっており、ヒマラヤの僧院で鍛えてポテンシャルをフルに使う事ができるようになったピーター・キャノンこと「サンダーボルト」がオジマンディアスの元ネタである。
ヒーローと言う名の自警活動を引退後は、高い身体能力を活かしたアスリートとしてTVに出演しつつ、自らの知名度を活かしてアニメや玩具にアパレルなど様々な事業で利益をあげて巨万の富を築き上げ、ボランティア活動にも積極的に協力した事で、知力・体力・財力・人格の全てにおいて人類最高の位置に立っている。
※2008年には「フォーブス」が選ぶ架空の大富豪で第10位にランクインした。
来歴
本名は「エイドリアン・ヴェイト(Ardian Veidt)」。映画版では「マシュー・グード」が演じている。
1939年生まれ。幼少時から常人を超えた頭脳により高い成績を収めるも逆効果になった事から、学生時代は平凡な成績をとるように自らに強いていた。
17歳の頃に一生暮らしていけるだけの財産を残して両親が他界し天涯孤独の身になるも、自身の力を試すために遺産を全て寄付した後に、アレクサンダー大王の足跡を辿る旅に出た。
しかし、アレクサンダー大王が遠征した土地をめぐる旅の果てに大王もまた失敗者であると悟ったエイドリアンは、旅の途中に麻薬をキメた際に見た幻覚からエジプトのファラオの叡智の影に過ぎない事を知り帰国した。
帰国後、旅の中で精神と肉体を鍛えて100%のポテンシャルを発揮する能力を得ていたエイドリアンは、偉大なるファラオ「ラムセス2世」のギリシャ語名である「オジマンディアス」を名のって自警活動を行うようになった。なおコメディアンとの最初出会った際にケンカ沙汰になっているが、人類最高の肉体を持ちながらもコメディアンのアッパーをくらって敗れている。
※エイドリアンのラムセス2世への傾倒ぶりは、ヒーロー活動時に着ていたスーツのデザインの他、遺伝子操作で作り上げた巨大な牙の生えた猫にバステト神の英語読みであるブバティスと名づけたり、南極に築いた研究所がピラミッドのかたちをしていて、建物の名前がラムセス2世が着工したアメン大神殿を含む神殿複合体と同じ「カルナック」だったりする。この傾倒ぶりはパソコンのパスワードにまでおよび、重要な機密が漏れる原因になったりしている(思いついたナイトオウルが偉いのかもしれないが)。
1966年に自警活動をしているヒーロー達(ロールシャッハや初対面で敗れたコメディアンも含む)を集めて「クライムバスターズ」と言うヒーローチームを結成して犯罪者と戦い続けていたが、核戦争を止める事はできない現実をコメディアンによりつきつけられ、このままではヒーローが必要とされなくなる時代が来る事を見抜いたオジマンディアスは、1975年にヒーロー活動の際につけていたマスクを外して正体を公表して自警活動を行うヒーロー引退を宣言した。
※オジマンディアス引退の2年後の1977年に、自警活動を制限するキーン条例が可決され、チームは解散し、ナイトオウルやシルクスペクターは引退し、コメディアンはアメリカ政府のエージェントとなり、Dr.マンハッタンは特別扱いとなり、ロールシャッハは警察に追われる事となった。
ヒーロー引退後は、前述の通りの財産と名声を築き上げ、ロールシャッハと真逆な状態となっているが、ロールシャッハ自身はオジマンディアスの能力を認めており、その知恵を借りようとした事がある。
人類史上最大のジョーク
ウォッチメンにおいてオジマンディアスは正義のヒーローであり、作中最大の悪でもある。
コメディアンにより、犯罪者を捕まえる事はできても米ソが対立していつ核戦争が起きるかわからない状況の世界を変えることができないと思いしらされたオジマンディアスは、ジョン・F・ケネディ暗殺やウォーターゲート事件の裏などを知るに至って世界平和には手段を選んでいてはいけない事を悟り、ひとつの計画を立案・遂行する為にヒーローを引退した。
”その時、世界が抱える問題の根深さを思い知ったよ”
”私の戦いは対症療法だった。病根を断つことはできない”
その計画とは、米ソ以外の第三勢力となる異次元からの脅威を作り上げ、その恐怖により未知の敵へ対抗する為に東西対立を終わらせて地球に平和をもたらすと言うものだった。
※オジマンディアスの計画を知ったコメディアンは、その悪質なジョークっぷりに動揺し、計画が漏れないようにとオジマンディアスの手により殺害されたところからウォッチメンは始まる。
計画の為に巨万の富と名声を確保したオジマンディアスは、Dr.マンハッタンに協力するふりをしてそのワープ能力を解析したが、Dr.マンハッタンが協力していない時のワープ実験では、ワープさせた生物はワープ直後に死んでしまい、生きたままワープさせる事ができなかった。
その為、若くして亡くなった超能力者ロバート・デスチェインズの脳細胞を手に入れて培養し、ワープ直後に死亡すると同時に激烈な精神波を発生させて多くの人々を殺すイカの様な外見の兵器を作り上げ、イカのワープ先をニューヨークに定めた。
※イカの精神波で死ぬまでのダメージをうけなかった者も、同時に用意していた芸術家達に作り上げさせた異次元世界の幻覚を見せて精神のバランスを崩させて、離れた場所にいた者にも悪夢をみせ、異次元からの侵略者のイメージを植え付けると言うものだった。
すでに引退している上に計画に影響力の無いナイトオウルやシルクスペクターは放置されたが、イカの脅威を無効化しかねないDr.マンハッタンは、彼とともに研究に従事していた者達に放射能をあびせてガンを患わせて殺し、その事でマスコミから突き上げをうけて人類に絶望したDr.マンハッタンを地球の外へと逃亡させ、自身の正義の為になにをするかわからないロールシャッハは、自らの暗殺騒動を自演して刑務所に叩き込むと言う「犯人はオジマンディアス」な事がバレないようする計画を次々と実行。南極の研究施設で自分の計画に協力していた者達を毒殺して南極の雪の中に閉じ込めた。
そして自らのラムセス2世への傾倒ぶりからパソコンのパスワードがばれてしまった事で計画の一部を知ったロールシャッハとナイトオウルが、南極の研究施設でやってきたところで、これらの計画の内容を二人に語って聞かせた。そして計画を阻止しようとする二人に対して、すでに計画を実施した事も告げた。
「私は昔の活劇映画の悪役ではないんだ。君たちに妨害される危険が少しでもあるなら、こんな重大なことを得々と説明したかと思うかね?」
「35分前に実行したよ」
オジマンディアスの目論見通り、イカが爆発した事によるニューヨークの殺戮により米ソは協調して冷戦は終結し、地球に平和が訪れようといしていた。
しかし、自身の正義から見過ごすわけにはいかなかったロールシャッハは「犯人はオジマンディアス」である事を公表しようとするが、オジマンディアスの考えを理解はするが賛同はしないDr.マンハッタンにより殺されてしまう。
「私は、人類救済のために罪なき人々の屍の山を築き、踏みにじった。その罪業は間違いなく認識しているんだ・・・しかし誰かが、この大罪を犯さねばならなかった」
こうして地球に平和が訪れた・・・しかし、オジマンディアスの計画の一部を知ったロールシャッハは、その事を記した日記を信頼する新聞社(右翼系)へと送っていた。受け取られた当初はネタにならないと放置されていた日記だったが、冷戦が終わってソ連を悪く書くことができなくなった新聞社は、紙面を埋める為ネタは無いかとロールシャッハの日記を手にとるところで終わる。
果たして平和は守られたかは語られない。
ドゥームズデイ・クロック
2017年11月、直接的な続編『ドゥームズデイ・クロック』が連載開始。
2016年に始まったDCユニバースの大規模クロスオーバー『DCリバース』の一つであり、スーパーマンやバットマン、ジョーカーなども登場している。
『ウォッチメン』から7年後が舞台で、オジマンディアスの所業がロールシャッハが遺した手記から暴露された所から物語は始まる。「世界を騙した男」は一転して逃亡者となり、再び核戦争の危機が迫る。
オジマンディアスは末期の癌を患っており、何故か生きていたロールシャッハに対し、この事態を打破できる唯一の存在であるDr.マンハッタンを探すよう依頼する。
物語は並行世界であるDCユニバースにも及び、アメリカ政府が超人(メタヒューマン)を生み出しているという陰謀論「超人理論」を巡り、世界各国では超人による軍拡競争が起きる。
ウォッチメン(TVドラマ)
2019年、「ドゥームズデイ・クロック」とは異なる続編「ウォッチメン」がTVドラマ化。全9話。
原作から34年後、2019年の世界が舞台。ニクソンの後にロバート・レッドフォードが大統領に当選し、アメリカはリベラルに傾いた結果様々な制約が課されたディストピアと化している。
そんな中、郊外の豪邸で優雅な生活を送る老人が一人。使用人にかしずかれ、悠々自適の日々を送る彼こそが、かつてオジマンディアスと呼ばれたエイドリアン・ヴェイトであった。しかし「世界平和」への執着は消えておらず……
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関連項目
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