ここでは日本プロ野球(NPB)におけるフリーエージェント(FA)について解説する。
概要
日本国内ではNPB所属の球団の選手によるFA及びFAとなる権利を指して使われることが一般的。フリーエージェントとなった選手はいずれの球団とも契約を結ぶことが可能になる。フリーエージェントとなる権利のことを通称「FA権」と呼び、FA権を行使することを「FA宣言」と呼ぶ。
FA権を取得する条件はたびたび変更されているが、基本的には出場選手登録日数が一定期間経過した選手に権利が与えられる。すなわちFA権を取得した選手は長年一軍に在籍している→選手として一定の実力を誇る選手→獲得することで戦力増強が見込める選手ということになり、FA宣言を行った選手には各球団が獲得のための交渉に動くことからドラフト会議と並ぶシーズンオフの話題の一つとして野球ファンの注目を集めている。
10年選手制度
かつてNPBに存在したFAの前身とも言える制度。ざっくり言うとプロ入りから10シーズン以上現役選手として同一球団に在籍した者がA級10年選手となり、自由に球団を移籍できる権利(もしくはボーナス受給)が与えられる(2球団以上に跨った場合はB級10年選手となり、自由移籍の権利はない)。大阪タイガースから大毎オリオンズに移籍した田宮謙次郎のような大物選手も居るが、自由移籍の権利を行使した選手はあまり多くない。
この権利は行使後も3年後に再取得可能であり(自由移籍の権利は1度のみ)、この場合はB級10年選手となる(自由移籍の権利を行使しなかったA級10年選手には自由移籍の権利も残る)。ただ、移籍交渉の順番はシーズン順位のウェーバー方式で移籍拒否は2回までというやや特殊なもので、必ずしも希望の球団に移籍出来る保証のないものであった(国鉄スワローズの金田正一は、拒否権を2回行使して読売ジャイアンツに移籍した)。
現行のFA制度
2018年現在、NPBにおけるFAに関する制度は以下のようになっている。
- 国内球団のみに移籍できる権利がある「国内FA権」と海外の球団も含めて移籍できる権利がある「海外FA権」がある。
- 国内FA権は以下の出場選手登録の条件を満たした選手に与えられる。
- 海外FA権は全ての選手が出場選手登録累計9年(通算1305日)経過で与えられる。
- 故障者選手特例措置制度により、日数が短縮される場合もある。
- 外国人登録の選手はFA権を取得すると翌年度より日本人登録扱いとなる。
- 権利を行使する場合は、日本シリーズ終了の翌日から、土・日・祝日を除く7日以内にコミッショナー宛に文書で申請する。その後コミッショナーより「FA宣言選手」として公示され、公示日の翌日より国内外全ての球団と契約交渉を行うことが可能となる。
- FA権を行使した選手と契約を結んだ球団は、選手の前所属の球団に対して金銭的な補償もしくは人的補償をしなければならない。人的補償については該当記事を参照。
- 各球団には日本人選手の前球団の旧年俸順に上位3位までをランクA、4位から10位までをランクB、11位以下をランクCとランク付けされ、ランクAとBの選手と契約した場合に補償の対象となる。
FA権を行使して球団を移籍した選手一覧
※球団名は当時。
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
FAにまつわる話
選手がなぜFA宣言するのか、理由はそれぞれであり直接話をしない限り真実が出てくることはないが、大概は「優勝を狙える球団に移籍したい」「現状の起用法に不満があり自分を必要としてくれる球団に移籍したい」「地元の球団でプレーしたい」「憧れていた球団でプレーしたい」「お金がたくさんもらえる球団に移籍したい」「辛いけど元球団が好きだから移籍する」などが考えられる。
FA宣言を行った場合、その時点で他球団へ移籍する可能性が出てくるため、選手の評価によっては「金目当てで移籍するのか」「裏切り者」などという批判が選手に向けられることがある。
またFA選手を獲得する球団側にも批判の声が及ぶこともある。特に読売ジャイアンツはFA制度が開始して以降12球団で最も多くのFA選手を獲得しており、「金に物を言わせた汚い補強」「自球団の若手育成に力を入れてない」などと批判されることがある。またFA権を取得した選手は30代の年齢に差し掛かっていることが大半で、野球選手としての能力の衰え、あるいは怪我をしやすいなどの理由により戦力にならない可能性もある。そのため活躍が出来なかったFA選手を獲得してしまうことでファンから批判されることもある。
一方FA宣言する選手も場合によってはどことも契約がまとまらず、最悪の場合元球団に復帰することもできず事実上の解雇・引退状態になる可能性も十分考えられる。
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- パシフィック・リーグ
- セントラル・リーグ
- クライマックスシリーズ
- 日本シリーズ
- プロ野球ドラフト会議
- 日本プロ野球名球会
- イースタン・リーグ
- ウエスタン・リーグ
- プロ野球オールスターゲーム
- プロ野球2024
▶もっと見る
- 3
- 0pt