レイヴィニア=バードウェイとは、ライトノベル『とある魔術の禁書目録』の登場人物である。
概要
初登場は電撃文庫MAGAZINEに掲載された『とある魔術の禁書目録 SS』第1話。
旧禁書でも18巻と22巻に登場しているが、本格的に本編に合流したのは『新約』第1巻から。
『黄金』系でも有数の魔術結社『明け色の陽射し』を束ねる魔術師。魔法名は『Regunm771』。
実年齢12歳前後の金髪碧眼美少女であるが、魔術師としてはかなりハイレベル。魔術集団を適当な魔術で殲滅したり、魔術結社を単独で壊滅に追い込んだり、『聖人』の域に届く程の実力を持つ。この歳で魔術結社を率いているのも納得の強さである。
タロット・杖といった「象徴武器(シンボリックウエポン)」を使い、『神の如き者(ミカエル)』の力の一部も使用可能。
タロットを使用した大アルカナをフルセットコンボすれば一時的に音速で行動できるらしい。それどころかちょっとした思い違いで「世界」を消滅させかけた。末恐ろしい幼女である。
性格としてはドS。上条の股間を蹴ったり浜面にビンタをお見舞いしたこともある。
胸はフレメアよりも無い。あまりにも小さすぎてブラが不要な事を気にする程。年齢を考えれば気にするほどでもないと思うのだが。
妹のパトリシア=バードウェイを大事にしており、密かに護衛を配したり命の危機には部下を向かわせるなどしているが、その妹からは「わがまま」だの「心配性」だのと言われている。
科学に対しては特に否定的ではなく、科学雑誌も普通に講読している。『明け色の陽射し』自体、魔術結社でありながら最新科学を取り入れており、アレイスター=クロウリーは「ある種、私の欠片を最も色濃く継承している」という認識を持っていた。
活躍
SS~旧約
上条とはSSにて出会い、霊装『ドナーティのホロスコープ』の回収を依頼。
その際に裸を見られたりする等ラッキースケベが発動しているが、「仲間にしたい」と思う程に気に入ったらしい。
旧18巻では『連合の意義(ユニオンジャック)』のもと戦闘に参戦しようとする国民を傍目で見て呆れていた。しかし妹のパトリシアまで参戦しようとした事が部下(マーク?)の口から明かされた際、慌てて連れ戻そうとしている。
旧22巻ではドーバー海峡付近で象徴武器を振り回し、フィアンマが発生させた100m前後の『黄金の腕』を斬り落としている。周囲は唖然としていたが、これでも出力は80パーセントに至ってないらしい。何この幼女こわい。
新約
『新約』にて重要キャラクターの一人として登場。
上条、浜面、一方通行に『魔術』についての知識を与えるが、その後のハワイ編では上条をはじめ科学サイドの人間を介入させる事により学園都市の孤立を謀る。その結果、上条を『裏切る』ことになった。
新約6巻では、フロイライン=クロイトゥーネを巡る戦いにて上条と対峙。その際の上条の最初の言葉は『よおバードウェイ。ちょいと仲直り(ケンカ)しようぜ』であった。
戦闘中には上条に『自分を巻き込んでくれれば良かった』といった言葉をかけられて動揺。そして『常に同じ動作で同じ術式を使用する』ことが魔術的記号として彼女の強さと見抜かれる。つまり彼女は『新しいもの』を求めつつも、自身に苦労を惜しまない「とてつもない努力家」であったのだ。
最終的に男女平等パンチを受けて敗北したが、その後シルビアに腫れた頬と不機嫌な様を見られた時には「お兄ちゃん属性」があるとからかわれている。
彼女自身は認めずとも『お願いを聞いてくれて頼りになるお気に入りのお兄ちゃんに叱られて拗ねている妹』なわけである。可愛い。
新約8巻では対グレムリンの切り札としてお兄ちゃん上条をキープしておく為に、上条家に堂々とダイナミック侵入。
ムスペル戦ではレッサーや雲川妹と活躍。しかし上条やレッサー、美琴、インデックスと共に船の墓場に到達した直後、オティヌスが「世界」を消滅させてしまう。
新約9巻では再生された世界でオティヌスを攻撃している。
続刊の新約10巻では上条がオティヌスを守る為に(彼女達の体感時間的には)いきなり態度を豹変させた事を当然快く思っておらず、レッサーに「愛しのお兄ちゃんを横からかっさらわれてほっぺたが膨らんでいるんですかね?」とからかわれた。
その後オティヌス(と理由も言わずに去った当麻お兄ちゃん)を倒すために、インデックスと「模倣神技」を完成させて「主神の槍(グングニル)」をある程度再現し、上条達の前に立ち塞がった。
当初は上条に対しては多少お灸を据えるだけの予定だったが、上条があまりにも空気読めない発言をした為に全力で対応する事になる。
レイヴィニアもインデックスも槍が世界を吹っ飛ばせる事を知らず、上条の忠告を無視して使おうとしたが、上条のラッキースケベ機転によってインデックスの羞恥を犠牲に世界は崩壊せずに済んだ。
新約14巻ではサンプル=ショゴスに寄生されたパトリシアを救うために「カニバリゼーション」を構築する。詳細は後述するが、レイヴィニアはカニバリゼーションを纏った「赤」と呼ばれる存在になって妹と激突。両者は戦闘の末に倒れ、レイヴィニアは上条に、パトリシアは上里翔流に保護された。
最終的にサンプル=ショゴスは上条と上里勢力の手で除去され、さらにネフテュスの介入もあった事でバードウェイ姉妹は命を救われている。
召喚爆撃
火の象徴武器を行使し、ドーム状の光(属性化以前の力の塊)を最速最短で叩きつける魔術。
面倒な儀式を必要とせず、あらゆる行程を簡略化する代わりに威力を落としているが、その劣った威力を回数(速度)で補っている。
ただしあらゆる行程を無視した魔術の為、並の魔術師が手を出せば自爆しかねない。綿密な計算を目分量だけで済ませてしまう天才肌のレイヴィニアならではの術である。
…しかし、これは彼女の偽装であった。
なにもレイヴィニアは才能で召喚爆撃を行使している訳ではなく、いつも同じ…すなわち「パターン化された行動」によって召喚爆撃を成立させていた。
大した事がないように思えるが、彼女の場合は一時間前、一日前、一週間前、一年前の自分を完全に再現できる程に洗練されている。それは才能というよりは「積み重ねた努力」がもたらした成果だった。
逆に言えば「決まった動作で決まった魔術しか扱えない」という弱点がある。彼女自身新しい術式を開発出来るが、その場合はまた努力の積み重ねが必要となる。
彼女は弱点を隠す為にアドリブや片手間、即興といったトリックスター的言動をとるが、実はそうした言動も全て努力によってパターン化されていた。
既定のコースを完璧に辿る事で、常に「自分という枠」へと収まる。この究極のパターン化が魔術的な記号となり、使用すればするほど威力の向上に繋がる。
つまり、積み重ねた努力こそが彼女という魔術師の本質、そして彼女自身なのである。
レイヴィニアはこの術式を使って他の魔術結社を単独で潰したこともある。
模倣神技
簡単に言えば、魔神オティヌスの持つ「主神の槍(グングニル)」を限定的に再現し、上条やオティヌスの頭のなかにある破壊のイメージを「現象」として反映させる術式。
正しく使えば魔神に届き得るという、インデックスの10万3000冊もの魔道書が成立させている。
レイヴィニアは北欧の魔神でない為、本来ならグングニルを扱えない。
しかしインデックスの協力を得ることで絶大な魔神の力のほんの一部分を切り取り、たった1度だけでも高純度で保たれた「槍」と紡ぎ出される「現象」を再現する事は出来た。
問題点として、人の身でわずかな神の力を扱うだけでも、膨大な原典(オリジン)の知識を必要とする点が挙がる。作中ではインデックスの歌でレイヴィニアに槍を扱えるだけの知識が授けられたが、歌から流れてくる原典の毒を防ぐ術はなく、徐々に頭の中が蝕まれていた。
加えて、元のグングニルが「世界の創造・破壊」すら可能という問題もある。
これによって槍の破壊力を抽出しただけでも世界自体を余裕で吹っ飛ばせる、人の身に余る凶悪な性能に至っている。扱う彼女達に世界を滅ぼせる自覚がない点も併せて非常に厄介である。
幸いにも上条がラッキースケベを発動させ、誤ってインデックスの胸を触った事で「模倣神技」を成立させている詠唱が途切れ、槍は爆発四散した。
そのまま使っていれば確実に「真のグレムリン」のお世話になっていた事だろう。
カニバリゼーション
サンプル=ショゴスに寄生されたパトリシアを救う為に構築した、暗黒大陸(アフリカ)由来のハイブリッド魔術。カニバリゼーションは自社製品の共食いを意味するマーケティング用語である。
根幹にあるのは、アフリカ版シンデレラこと「ニャニャブレムブ」という民話。これは醜い毛皮を被せられ誰からも気味悪がられた姫が、不思議な力で美しく育った話である。
レイヴィニアはこの民話を多少アレンジして(具体的には毛皮の色が赤になっている)、毛皮に「防衛、隠蔽、成長を一挙に促す培養器」という意味を持たせ、新たな臓器を体内で育てていた。
レイヴィニアはこの臓器を「果実」と呼ぶ(赤い毛皮も林檎に見立てている為)。この「果実」はトウモロコシで作られているらしく、パトリシアに食べさせてショゴスを摘出した後の不足した脂肪分を補う。
しかし、成分がトウモロコシと同じだろうが臓器を妹に食べさせることに変わりはない。上級者向けというかかなりサイケデリックかつグロテスクな話である…。
なおレイヴィニアも体内を圧迫され体に不調が起きており、いずれ確実に内側から破裂してしまう。
新約14巻の騒動の根幹・原因を纏めると以下のようになる。
- パトリシア=バードウェイの全身の脂肪を溶かして空いたスペースに寄生するサンプル=ショゴスを摘出しても、パトリシアは衰弱死する
- 新たな臓器(果実)を食べさせればショゴスを取り除いても助かるが、今度はレイヴィニア=バードウェイが最悪の可能性として死ぬリスクを負う
この二者択一が姉妹間のすれ違いを生み、姉は妹を、妹は姉を助けるために命がけで行動していた。
「赤」
先述した通りニャニャブレムブの毛皮は「防衛機能」を持つ。作中で「赤」と呼ばれていた不定形の存在は、ニャニャブレムを全身に被ったレイヴィニアであった。
かろうじて人型は保っているが、傍目から見ればサンプル=ショゴスと大差ない存在と化している。
関連項目
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