一眼レフとは、カメラの構造の一種である。ファインダーから見た光景をほぼそのままの状態で写真に撮影することができるのが最大の特徴。
概要
一眼レフカメラとは、光学ファインダーを備え、1つのレンズで撮影と構図決めの両方が可能なカメラの総称である。
一眼とはレンズが一つしか無いという意味。レフとはレフレックスの略で、カメラの内部にミラーを用い、像を反射させることでファインダーに像を送っていることを意味する。レンズを通した光景は普段はミラーを経由してファインダーへ送られているが、シャッターボタンを押した瞬間だけミラーが上がる事でフィルムまたは撮像素子に感光する。
旧来の銀塩フィルムを使用したタイプとデジタル一眼レフカメラに大別される。しかし現在では銀塩フィルムタイプで生産が続けられている機種は極一部のみである。大半はデジタル一眼レフであり、銀塩カメラは最早趣味の世界となっている。
一般的に一眼レフカメラと言うとレンズ交換式の印象が強く、実際にもそうした製品が大多数を占めるが、飽く迄も本体構造による分類なのでレンズ交換の可否は一眼レフの定義に関係無い。ニコン最初期のズームレンズを搭載したニコレックス35ズームや興和のコーワフレックス、オリンパスがレンズ交換式から撤退後に出したLシリーズなど、少数ながらレンズ固定式の一眼レフカメラも存在した。オリンパスLシリーズのコンセプトには追随した会社もあり、コンパクトカメラとレンズ交換式一眼レフの橋渡しと言う意味でブリッジカメラと呼ばれた。
歴史(フィルム一眼レフ)
一眼レフが一般に普及する以前の「正確にピントを合わせられる」カメラは、レンジファインダーカメラが主流であった。しかしながらレンジファインダーは今よく知られている「使い捨てカメラ」のように(ピント機構や距離計連動機構がありはるかに複雑ではあるが)、撮影用レンズとファインダー用のレンズが別々に用意されておりファインダーから見える像と撮影される像のズレ(視差)が起きることが最大の問題だった。またファインダーの画角は固定で、フレーミングを確認するにはレンズに合わせたファインダーを装着する必要があった。これらの問題を一気に解決したのが一眼レフである。他に一眼レフに先んじて人気の出たレフレックスカメラとしては二眼レフのローライフレックスが挙げられる。
ライカM3の衝撃
ただ、歴史的には「一眼レフ以前」のカメラが正統で、ライカが出したライカM3が持つあまりの完成度に日本のカメラメーカーが真っ青になり、一眼レフに注力しまくった結果、ライカをいつの間にか追い越していたというのが事実だったりする。結果として今日に到るまで、カメラ産業で日本は世界トップとなった。
M3は今でも最高の名機と賞賛されるが、それだけライカはレンジファインダーカメラで確固たる地位を築いていた為に一眼レフへの参入が遅れてしまう事となる。
アサヒペンタックスの登場と一眼レフの標準化
日本の一眼レフカメラが主役に立つ契機となったのは旭光学工業(現・ペンタックスリコーイメージング)のアサヒペンタックスである。それまで一眼レフのファインダーはお腹の辺りに構えたカメラを上から覗き込むウエストレベルファインダーだったが、アサヒペンタックスはペンタプリズムを内蔵し目線の高さで覗くアイレベルファインダーとなった。但しアサヒペンタックスはペンタプリズム搭載第一号ではない。最初のペンタプリズム式一眼レフはツァイス・イコンのコンタックスSである。
その後は時代と共に技術が向上し自動露出機能やオートフォーカスと言った電子化が進んでいく。徐々に撮影者が高い技術や知識を持ち合わせなくとも使える様に簡便になっていった。電子化でカメラ開発、製造にはそれまでと異なる技術が用いられる事になり、それを持ち得なかった旧来のカメラメーカーは撤退を余儀無くされている。
αショック
現在では当たり前となったオートフォーカスだが初期は精度や速度に難があり、また機構をレンズに内蔵しているので専用の大型レンズでしか使えなかった。その為に当初の主流はまだまだマニュアルフォーカスだった。
そんな折に世に衝撃を与えたのがミノルタ(現・コニカミノルタホールディングス)のα-7000である。本機はボディ内にモーターを内蔵し、レンズを選ばずにAFが使える様になった。またAF性能も飛躍的に向上しており大ヒットを博した。それまでカメラメーカーとして下位に位置していたミノルタだがα-7000によりニコン、キヤノンに追い着き追い越せとなるほどの勢いを得たのである。他社もAFに舵を取り、この事はαショックと呼ばれている。
他方でそれまでのレンズ式AFに拘ったメーカーもある。キヤノンのEOSシリーズがそれである。オリンパスはAF化の波に乗るのを失敗し、一眼レフに於いて急速に存在感を失う事となった。
APS一眼レフカメラ
やがてフィルム交換がより簡易になったアドバンストフォトシステム(APS)が登場し、先んじてコンパクトカメラでは一定の存在感を発していた。それに遅れて一眼レフでもAPSを採用した機種が発売されたが普及には到っていない。APSフィルムそのものも2012年には全社で生産が終了している。
歴史(デジタル一眼レフ)
一方、90年代半ばにはすでにパソコンが普及しており、パソコンで表示や編集が行えるデジタルカメラの需要も高まってきた。が、開発は難航する。その理由は、「フィルムと同じサイズの撮像素子が作れない」こと。フィルムのサイズは24mm×36mmと、一見そう大きくは見えないが、シリコン的にはめちゃくちゃでかいものであった。当然、でかい撮像素子を作るためにはでかいシリコンが必要で、でかいシリコンにはお金がかかるものである。
というわけで、各社小さめの撮像素子(APS-Cサイズというもののほか、それより小さいもの・大きいものも含め色々)を採用しつつ、じわじわ開発を進めることで、21世紀に入るとフィルムと同じサイズの撮像素子を実現することが出来た。めでたしめでたし。
……ただし、今でもフィルムと同じサイズの撮像素子(フルサイズセンサー)を搭載した一眼レフカメラは高価である。
デジタルカメラの登場によって、撮像素子が受けた光景をそのまま画面に投影して、画面を見ながら撮影する(これをライブビューという)ことが可能となり、一眼のカメラは一眼レフだけではなくなった。しかしライブビューでは撮像素子が見た光景を電気回路で変換し画面に表示されるまでに遅延が生じ、また性質上露光時間が稼げないため高感度状態となり像が粗くなってしまう問題もあった。そのためスポーツ写真など素早く動く被写体を追いかける必要がある場面では長く一眼レフが使用され続けてきた。
2010年代後半には性能の向上によりライブビューの欠点が克服され、ミラーを納めるための空間が小型化・レンズ設計の足かせとなる一眼レフの欠点が目立つ様になってきた。特に2020年ごろから各社で急速にミラーレスへの移行が進み、現在一眼レフを主力としているブランドはペンタックスのみとなっている。しかしながら当初電子制御を用いない機械として生まれた方式が基本構造を変えずに生き残っている事は驚嘆に値する。
デジタル一眼レフカメラ
デジイチと略して呼ばれる事もあるが、特にフィルムとの違いを前置きせずに一眼レフと呼ばれる事も多い。
銀塩では一眼レフと同サイズのフィルムを用いるため設計の制約が大きく、コンパクトカメラに現在ほどの性能を持たせる事ができなかった。特に望遠撮影を求めると一眼レフしか選択肢が無く、全国のお父さんにとって子供の運動会では必需品であり、一家に一台一眼レフの時代であった。
しかしデジタルカメラの進歩は著しく、依然として画質には大きな差があるもののコンパクトデジタルカメラでも望遠撮影が簡単に出来る様になった。人によってはコンデジでも充分に満足の出来る域に達しており、写真を趣味とする人間を別にすれば嘗てほどの存在感は無い。また一度は一眼レフを手に取りながらも、リサイクルショップに殆ど使用されていない綺麗な状態の品が並んでいる光景も多い。
ライブビューや処理性能の向上、記録媒体の大容量化により動画撮影も熟せる様になり、今ではほぼ全ての機種に備わっている。スムーズなズームやフォーカスの追従性能などは専門の機器に劣るものの、一眼レフ用の優れた交換レンズにより大きなボケが表現出来る動画はビデオカメラには出せない味がある。日常の記録と言うよりも趣味のジャンルとして確立しており、スタビライザーを利用した撮影を愛好する者は少なくない(『ステディカム』で検索するとその一端が垣間見える)。キヤノンやソニーからは自社の一眼レフ用の交換レンズが使えるビデオカメラが発売されている。
フィルムからデジタルに移行し家電メーカーが参入したが、コンデジと違い一眼レフで大きな地位を得ているのは従来のカメラメーカーである。
デジタル一眼レフの種類
中判
フルサイズよりも更に大きなイメージセンサーを搭載した機種が、銀塩時代に倣って中判デジタルカメラと呼ばれている。44×33や36×48と言ったセンサーサイズが多く嘗ての中判カメラに使われていたフィルムの大きさにはまだ及んでいない。
センサーの大きさに比例した高画質が得られるがフルサイズのカメラよりも更に高価であり、どちらかと言えばプロを対象とした世界である。
35mmフルサイズ
イメージセンサーが35mmフィルムに近いサイズの通称で一般にフルサイズと呼ばれる。
センサーサイズが大きい事で画質の面で有利な事や、画角や焦点距離が銀塩カメラと近い感覚で使える事から、銀塩カメラに馴染み深い人間から高く評価される。銀塩カメラのレンズをそのままの画角で使用する事が可能である。
センサーサイズに起因してボディも大きく重くなってしまう事や、デジタル一眼レフの中でもアイアマチュア以上の高級品に分類されるので手を出すのにハードルが高い。
APS-Cサイズ
センサーサイズがAPSフィルムのAPS-Cタイプに近い事からこう呼ばれる。この呼び名は飽く迄通称であり、統一された規格ではない為に各社でセンサーサイズは異なる。デジタル一眼レフでは最も早くから普及している主流サイズであり、エントリークラスからハイアマチュア用まで選択肢が多い。
APS-Cサイズ専用のレンズが各社から用意されており、従来の銀塩カメラでは原則として使う事が出来ない。レンズが小型化できるためフルサイズにはない高倍率ズームが多く存在し、一台であらゆる場面に対応する様な用途に強い。
統一された基準が必要でそれまで銀塩カメラに親しんでいる人が多い事から、レンズの焦点距離では35mm換算表記で語られる事が多い(コンデジに於いても35mm換算~mm相当と言った表現が使われている)。APS-Cサイズに於いてはレンズに表記された数字を1.5~1.6倍する事で35mm換算距離が出せる(前述の様にメーカーによってセンサーサイズが異なる為、計算に使う数字も違ってくる)。
APS-Hサイズ
フルサイズよりも小さく、APS-Cサイズよりも大きいセンサーを持つ。主に報道向けで使われており、一般用途では殆ど普及しておらず製品も少ない。
フォーサーズ規格
オリンパスとコダックによって提唱された規格であり、センサーサイズはAPS-Cより更に小さい。その為にボディやレンズをより小型に出来る。
オリンパスの他に松下電器産業からもフォーサーズ規格のボディが発売されていた。他にも規格賛同を表明したメーカーは数社あるが専用ボディを発売したのは上記の二社のみである。
フォーサーズサイズは規格ごとミラーレス専用に移行し、一眼レフとしては終息している。
国内主要メーカーの動向
ニコン
デジタル一眼レフ市場ではキヤノンに次ぐ2位のシェアを誇っており、プロフェッショナル向けからエントリークラスまで満遍無く展開している。銀塩フィルム一眼レフも生産し続けていたがついに生産が終了した。
50年以上続くFマウントを採用しておりその間マウント変更をしておらず、過去のレンズが全て使えると言うのを売りにしているが厳密にはボディごとに細かく対応状況が異なり、旧来のレンズでは装着が可能と言うだけで固有の機能が使えない事も少なくなく完全な互換性を有しているとは言い難い。
ニコン固有の名称としてAPS-CをDXフォーマット、フルサイズをFXフォーマットと呼称しており、当初はデジタル一眼レフではAPS-Cサイズが最適であるとDXフォーマットのみの展開であった。2007年発売のD3で初めてFXフォーマットが導入された。
DXフォーマットでは従来のレンズも使えるが専用のレンズが発売されている(名前にDXと入っているのが該当)。銀塩一眼レフではDX用レンズの装着は可能だが周辺にケラレが発生する為に事実上使用は不可能である。FXフォーマットのデジタル一眼レフでは、DXフォーマットへのクロップ機能が搭載されており、言わばDXフォーマットボディとして使う事で使用が可能である(そのままだと銀塩一眼レフと同様の状況になる)。
キヤノン
デジタル一眼レフの販売台数シェアは1位である。キヤノンと2位のニコンだけで市場の9割を占めておりこの2社の寡占状態と言える。EOSブランドでプロフェッショナル向けからエントリークラスまで多くの製品を出している。ニコンと同じく銀塩一眼レフの最後の砦であった。
フィルム時代からの流れで依然としてファミリーユースを対象としたEOS Kissシリーズの人気は高く、ニコンを上回る要因となっている。他社も含め一眼レフで最も売れているのは廉価なエントリークラスの製品である。
従来のEOSシリーズから続くEFマウントを採用しているがAPS-C専用にEF-Sレンズを展開している。銀塩一眼レフやフルサイズのボディではEF-Sレンズは物理的に装着が不可能なので使えない。
オリンパス
フォーサーズ規格で複数の製品を出しており、小型軽量なボディも多かった。しかし現在はマイクロフォーサーズ規格のミラーレス一眼に注力しており、2010年発売のE-5を最後に新製品は出ていない。
ミラーレス一眼のOM-D E-M1の発表時にE-5後継機であるE-7の開発中止、フォーサーズとマイクロフォーサーズの統合が公式に発表された。これによりオリンパスは史上稀な一眼レフから二度撤退したメーカーとなる。
ペンタックス
日本の一眼レフに於ける老舗ではあるがデジタル一眼レフの製品はニコンやキヤノンに比べてずっと少ない。エントリークラスの製品であっても防塵防滴、ペンタプリズム採用の見易いファインダー(他社の廉価な製品はペンタミラー)や複数のダイアルを備えるなど価格以上のしっかりした作りのボディである。
嘗てマウント交換に失敗した苦い経験からKマウントを大切にしている。レンズラインナップの関係から初心者はニコンかキヤノンが無難と言われるが、超望遠を除けばペンタックスも必要最低限は揃っており、魅力的な単焦点レンズも多い。
富士フイルム
過去にニコンのOEMボディでFinePix Sシリーズを発売し、当時としては広いダイナミックレンジと高感度耐性を持つセンサーで存在感を示した。早期にネオ一眼やミラーレス一眼に主軸を移し、一眼レフからは撤退している。
ソニー
コニカミノルタのカメラ事業撤退により、αブランドを譲渡され展開している。
但し現行のα99、α77、α65、α57はトランスルーセントミラー・
早くからフルサイズミラーレス開発に注力し、早々に移行を遂げた。
パナソニック
以前はフォーサーズ規格のボディを2機種発売したものの現在は生産を終了し、一眼レフからは撤退しミラーレス一眼に力を入れている。
長所と短所
一眼レフのメリット
- コンパクトカメラより画質が圧倒的に良い。単に画素数の問題ではなく、受光部の大きさやレンズの違いから。
- 交換レンズが豊富にあり、すごーく広角なものからすごーく望遠なものなどいろいろな撮り方ができる。ちなみに、すごーく安いものからすごーく高いものまである。通称レンズ沼。
- シャッターを押してから実際写真が撮られるまでのラグ(シャッタータイムラグ)が少ない。
- 重いので安定して手ぶれが起きにくい(人による)。
etc,,,
一眼レフのデメリット
- 高機能、多機能であるため高額になりやすい。(入門機でもレンズ本体合わせて数万円ぐらい)
- ミラーを納める必要があるため大きくて重く、持ち運びに不便。
- シャッター音が大きい。これはミラーを跳ね上げる構造上仕方がないのだが、音を出せない撮影に不向き。
- シャッターが落ちている間はファインダーから像の確認が出来ない。一眼のカメラ共通の欠点である。
- 機能を最大限に使うには、ある程度撮影の知識が要求される。(AUTOモードでもかなり綺麗には写るけどね)
etc,,,
レンズとマウント
レンズは資産であるとよく言われる。これは、ボディを買い換えてもマウントが共通であればそれまで持っていた交換レンズがそのまま使えるからである。逆に他社へ変更するとまたレンズを1から揃えなければならず、お金をかけ多くのレンズを揃えている人間ほどマウント乗り換えは大きな決断を迫られる。
他方でメーカーにとってもマウント変更は既存のユーザーを失いかねない大きなリスクがある。
ペンタックスは日本の一眼レフに於けるパイオニア的存在でありながら、Kマウント導入の際に魅力的な製品を提示出来ず失敗しており、一気に失墜してしまった。以来、Kマウントを大切に守り続けている。
他にもキヤノンはEOSで新たにEFマウントを開発し従来のFDマウントを切り捨てた為に信頼性を失い、またいつ切り捨てるか分からないと言った印象を与えてしまっている。しかしその優れた完成度からユーザー離れと同時に多くのユーザーを確保しているのは、現在の市場に於けるポジションを見れば一目瞭然であろう。
ミノルタは前述の様にαショックで触れた様に、素晴らしい製品を出した事でマウントを乗り越えるのに見合う充分な価値を示せた事でマウント変更を乗り越えている。
このマウントの問題はある意味では足枷になっており、デジタル全盛になり本来はもっと大口径のマウントが求められる状況ながらニコンやキヤノンは従来のFマウント、EFマウントを継続している為に、フルサイズデジタル一眼レフでは周辺光量が落ち込むと言う欠点も起こしている。
京セラはこの来るべきデジタル一眼レフの時代を見据えて35mm判としては最大口径となるNマウントを生み出したが、当時のデジタルカメラは実用には程遠くデジタル一眼レフに到っては一般人の手の届く物ではなかった。デジタル一眼レフが普及するとは誰も思わなかったそんな時代にあっては、まさかそんな未来まで見据えているとは伝わらず、単に無駄に大きいマウントとしか映らず受け入れられなかった。待望のNマウント対応のデジタル一眼レフはコンタックスNデジタル1機種に留まり、その後間も無く京セラはカメラ事業から撤退した。
一眼レフを始める人に
まずはヨドバシカメラなどの専門店に行って相談してみよう。少なくとも、「ぼけ」「F値」「絞り」「シャッタースピード」などの知識を仕入れておくことをオススメする。
安くてきれいに写る一眼レフもあるが、基本的にはでかくて重くて高価なほど高画質なのは否めない。とはいえ、知識あってこそのものなので、あまり高いカメラから入るのもよくないだろう。ひとまず「Kiss」や「D3200」のような入門機を買うのがいいだろう。もちろんメーカーは好みで良いから、オリンパスやペンタックスも検討の価値がある。
実は一眼レフよりも普及価格帯のコンデジの方が便利である事が多い。特に一眼レフのレンズキットを買った初心者は、近付いて撮れない(マクロ撮影ができない)事、思ったより望遠ズームが出来ない事に不満を覚えるそうだ。
だが、それは単に一眼レフの特性を理解していないと言うだけの話である。一眼レフは安くて何でもできる器用貧乏な(汎用)コンデジとは正反対の、つまりお金をかけそれぞれの場面や対象に特化させて綺麗な絵を撮る事が出来るカメラなのである……腕が伴えば、だが。
さて、コンデジに顕著であるが銀塩時代に比べてデジタルカメラは新製品の登場ペースが早く、製品の移り変わりが激しい。特にエントリークラスにその傾向が強く、ほぼ毎年の様に新製品が発売される。今は性能がある程度の行き着くところまで到達しているので、多少は古いモデルであったとしても性能は不足していない。その為に予算が限られておりなるべく抑えたいのであれば、後継機が発売され値下がりしている機種を選ぶとお買い得である。事、写りに関してはレンズにお金をかけた方が違いが大きい。
買ってきて何枚か撮影した後、コンパクトデジカメとの写りの違いに驚くだろう。が、しかし、「さらに高画質に」「さらに望遠に」などと思ったが最期、検索し始める……レンズ……ボディ……
そして多くの人がIYHへ身を投じ、帰ってこなかったのであった。
その他
35mm換算について
※一眼レフそのものの話題ではないのでどのように記事を作るかは議論の余地があるため、暫定的にここへ載せる事にする。
初心者がレンズの話に参加する上で引っ掛かるのが35mm(フルサイズ)換算であるが、現在のデジタル一眼レフを語る上で外せないため、専門的になり過ぎない程度の説明を記す。
これは何を換算しているのかと言うと、画角、つまり画の写る範囲の事である。紛らわしいが、焦点距離そのものが変わるわけではない。
例えば、APS-C機に焦点距離50mmのレンズを装着して撮影した写真と、フルサイズ機に焦点距離75mmのレンズを装着して撮影した写真では、(ほぼ)同じ範囲が写っている。
言い換えれば、同じ焦点距離のレンズを使った場合、より大きいセンサーの機種と、より小さいセンサーの機種では、後者の方がより狭い範囲が写る(=大きく写る)のである。
ボケについて
ボケの大きさ(または量)は、主に対象までの距離とレンズの焦点距離が大きな要素を占める。同じレンズなら近い程、同じ距離なら焦点距離が長い程、大きくボケる。
また、フルサイズは大きくボケて、センサーサイズが小さくなるほどボケが小さくなるとよく言われている。間違いではないが、正確に言えばボケの大きさを決めるのはセンサーのサイズではなくレンズそのものであるという事は覚えておいた方が良い。つまり、同じレンズを使えばどのカメラを使ってもボケの大きさは変わらない。
要は、センサーサイズが小さい機種でフルサイズ機で撮った写真と同じ範囲を映す場合、焦点距離が短い(=ボケが小さい)レンズを使わなくてはならないというだけの話である。逆に、フルサイズ機はAPS-C以下の小さい機種に比べ、同じ範囲を写す場合はどうしてもボケが大きくなってしまう焦点距離の長いレンズを使わなくてはならないとも言える(センサーが大きくなるほど、全体にピントが合う絵は苦手になる)。
ズームの倍率について
ズームの倍率は望遠側(最大)の焦点距離÷広角側(最小)の焦点距離である。一眼レフ用のレンズは名前についている18-105などという数字が最小と最大の焦点距離を表す。例えば18-105は5.8倍、70-200は2.8倍となる。これを見てわかる通り、ズームの倍率は大きく写せるかどうかに直接関係が無い。この例だと5.8倍の18-105よりも2.8倍の70-200の方が、最大焦点距離が長いため大きく写せる事になる。
コンデジで30倍ズーム!などと宣伝しているのは、コンデジのレンズはどのメーカーどの機種も広角側が大体同じなので、ズーム倍率の高い方が大きく写せると言っても「事実上」間違いではないからである。
また、技術あるいは設計のレベルが同世代であれば、基本的にズームの倍率が低い方の画質が良くなる傾向であると考えて差し支えない。画質の良い低倍率ズーム(または単焦点)か、画質は甘いが便利な高倍率ズームか、と言った風で、これは色んな種類のレンズがある理由のひとつである。但し、あくまで傾向であるので、実際に購入する時はしっかりと下調べを行う事をお勧めする。
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