原価厨とは、厨房の一種である。
ニコニコ動画内で使用されることの多いカテゴリとしては料理カテゴリが一番多いと考えられる。
無論以下に示すような原価厨と言われかねない言動と、相手を原価厨と侮蔑する行為はどちらも書き込む前に一考すべきで、大抵は慎むべき行動である場合が多い。
同様にタグとして使用することも投稿者を貶めることになるため、控えられるべきであろう。
概要
原価厨とは商材・サービスを金銭と引き換えに取引する経済活動において、「その商材・サービスの提示価格に対し原価が幾らであるのか」という部分に強く拘り、あまつさえ彼らの言う原価なるものが提示価格とかけ離れたものであった場合は事業者への非難すら行う者達を揶揄した言葉である。
原価厨の特徴
原価厨とは商材の小売値やサービス業の料金など主として三次産業の商品価格に対し、原価なる価格を比較に持ち出して商品価格が高い安いを一方的に、かつ自身の想像を交えて決め付けを行う者達である。
この際の基準は様々であり、例として「飲食業界の原価率は35%が基本」故に「それ以上だと薄利多売ではあるが利用者の財布に優しく、それ以下だとぼったくりである」など。 また、この原価率は商品ごとに異なることが多く「飲み屋だとサワーが元手が一番かからずビールは儲からない。故にビールの方が得」などという結論を導いたりする。 この際同程度の量でビールが400円でサワーが300円であっても関係が無く、店側が大きく儲けることは自分がそれだけ損していると考える。
また35%であれそれ以上であれ、商品価値に対し事業者の利益分を払いたくないと思えば全て損であると考える種類の原価厨もいる。 これは自炊厨(料理)、自作厨(PC,家具などあまり使われない言葉)を兼ねていると考えられ、その経験から原価云々を述べている者もいる。
節約術を逸脱したこのような他者の経済活動における利益の否定のみに原価を使用する者は、嫌儲思想の発現の一端として原価厨行動が現れている可能性がある。
またこれまで用いてきた“原価なる”という言い回しだが、これには二つの理由がある。
一つはその者の言う原価がその業界での従業時の経験に基づく信憑性のある数値なのか、単なる憶測なのか、あるいはスーパーなどで自身が買ってきて自炊するときにかかる費用を述べているのか分からないこと
もう一つは、そもそも原価という言葉と原材料費あるいは仕入原価を混同した発言である場合があり、何を言っているのか分からないこと
これらのことから、“原価厨は正しくない原価で話をしている” ことや “原価厨は原価の意味を間違えている” こともあると念頭に入れておいて欲しいためこのような表現を用いた
原価の意味についてはその項で簡単に説明する。
以上原価厨と呼ばれる者の特徴を一部示したが、本来商品の満足度は個々人によって異なり特にサービス業においてはそれは顕著であると言える。
外食産業、弁当販売など飲食サービス業における商品に対して原価がどうであれ、それを利用している人の多くは質の満足と時間的余裕、労力の節約などを求めている場合が多い。 翻って自炊にて同等の物以上を望む場合、道具と環境を整える設備投資、食材を買い込む仕入原価、そしてそれらの調達と調理に掛かる時間と労力というものを代わりに支払わねばならない。 また、質を求めるならば経験の蓄積や調理法の研究などにも時間と労力が必要となり、その上で飲食店以上の質が得られるかは別の話である。 それら一連の行動そのものを趣味として楽しむことが出来るのであれば言うことは無いが、仕事で十分な収入があり別の趣味に時間を使いたい場合の自炊の放棄は専業主婦でも無い限り誰に責められるものでもない。
自作PC等も出来る人は良いが、技能が無い自身が無い、困ったときの対処が分からない人に薦めるのは酷である。メモリに静電気が!!!
一方、あくまで原価厨が厨房呼ばわりされる最大の理由が「原価を気にしていない人」や「仲間内や恋人同士などで楽しく外食をしている時」に原価についてしつこく言及することである。 また上記の様に技能が無いことを自覚している人や別のことに時間を使いたい人に自炊や自作を薦めることなど、“ウザイ”と思われる行動をとることもまた原価厨呼ばわりされても致し方無い。
翻ってこれらの行動を慎み、自身の信じる損得の感覚を自分の趣味と実益を兼ねた方法で満足させる生き方をする分には全く問題は無い。
なお原価厨という言葉が存在しているように、このようなインターネット上での発言を非常に不快に思う人が多く、それ故に慎むべきと記述してきた。 しかしまた、原価厨を執拗に攻撃することもその場を荒らす行為となることが多く、ましてやニコニコ動画で料理動画などを挙げている人が費用を公表したり動画内で自炊を推奨した程度でこの言葉を用いて攻撃するのは筋違いである。
原価の意味
原価と一口で言っても
- 売上原価:物品販売業では販売した商品の仕入高を計上する。 製造業では、販売まで至った製品を製造するために要した材料費や製造ラインの人員の賃金、そして製造機器や工場運営にかかった経費などを計上する。 サービス業ではサービスを行う人員の人件費が主な売上原価として計上される。-Wikipediaより
- 製造原価:製造業において売上原価とほぼ同義。 だが経理上の処理によって少し異なる。
- 仕入原価:売上原価の一つで物品販売業ではほぼ同義。 期末時の在庫分は差し引かれて計算される。 100円で100個仕入れた品が150円で80個売れた場合、仕入原価10000円粗利益2000円ではなく、仕入原価8000円粗利益4000円、在庫20個となる。 実際のお金のある無しにかかわらず利益が計上されるため、在庫が悪であるという風潮が生まれたのかもしれない(算出方法を否定するわけではないが)。
- 原材料費:製造原価のうち製品を製造するために消費された費用。 主に二つに分けられ、原料を直接材料費、清貧には含まれ無いが製造中消費されるモノ(工場の消耗品、工具や備品の消耗に当てた費用)を間接材料費という
などがあり、原価厨も原価厨を批判する人もこれらを混同させていることが多い。
ただ原価厨の特徴でも述べたが、原価厨の多くはこのうちの直接材料費のみを原価と呼称する事が多く、それに間接材料費を加えていれば良いほうである。
原材料費はその業務においての仕入値であることが多く、そこに卸した会社がどれだけの利益を上げて人件費を計上しているのかには触れることはない。 そもそも鉱業農業漁業等一次産業は突き詰めると全て人件費と企業の利益である(使用した道具は製造の人件費と材料費に別れ材料費は調達する人の人件費と利益である)。 故にあらゆる商品価格の大元は人件費と企業利益に収束するのが経済というものだったりする。 だから魚を素手で捕まえたら材料費は0円
もっとも彼らの論理に人件費や設備投資費を払うくらいなら自分がそこを負担し安く済ますという考えがある場合、材料費にのみ言及するのは彼らの中では間違ってはいないこととなる。 したがって原価厨に対する反撃に人件費や設備費をぶつけるだけだと平行線となることも多い。
高層階のレストランは景色を、ジャズバーは演奏家による音楽を、大手メーカーの製品はアフターサービスなどに掛かる費用を原価に計上しており、利益は想像以上に小さい場合もある。 それが不要であるならば気が済むまで原材料費と商品価格を存分に比較して結構だが、彼らの経済活動がそれで成立しているのであれば、それを阻害することはやめよう。 800円のパスタを食べる人を300円の牛丼を食べる人が費用対効果を盾に馬鹿にしてはいけないのである。 腹に入れば何でも良いという人もいれば、より良い食事で幸福を感じている人もいるのだ。
全ての人が原価厨となった未来・・・
世の中全ての人が原価厨となってしまった場合、多くの三次産業が壊滅しデフレーション不況が吹き荒れることとなるが、現状その心配はなさそうである。(節約した分アニメBDを買うオタクなどは経済的にはトントンで別の産業に貢献しているかもしれない)
最後に
また原価を気にしすぎないことも問題ではあるが、疑似科学商法や催眠商法、東京電力電力料金値上げ問題などは別個の問題であり、原価厨の迷惑な行動を擁護するような事柄では無いことにも留意して欲しい。
重ねて言うが安く良いものを選んで買う買い物自体を、料理や制作それ自体を楽しみで行う分には立派な技能であり趣味であるといえる。 友人恋人を招いて振る舞い、その席で原価が幾らだった~ と話のネタとして振り賞賛を得ることもあるだろう。 それはそれで貴方の価値を高めることだと思う。
問題となるのは心や懐が狭いと思わせること。 貴方の価値を貶めるタイミングでの発言である。
我々人間の原材料費は只のようなものだが、製造原価は今までの人生で決まる。 それ以上の価値ある人間でありたいものだ。
関連項目
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