デフレーション単語

デフレーション
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デフレーションdeflation)とは、通貨価値の上昇と物価の下落が継続的に発生していることを示す経済学の用である。デフレと略される。対義インフレーションインフレ)。

もともとの意味は空気抜く、しぼませる、という意味。
 

概要

デフレーションとは、通貨価値の上昇が継続的に発生していることを示す言葉である。通貨価値の上昇により「同一量商品の価格の下落」かまたは「同一価格商品の内容量の増加」が発生する。

デフレーションの度合いを示すものとして採用される標は消費者物価指数である。

デフレの原因についての考え方にはに2種類あり、「デフレは需給のバランスが崩れて需要過少・供給過多になったときに発生する」という考え方と、「デフレは内に出回る通貨の量が過少になったときに発生する」という考え方がある。

前者の考え方を支持する人はに財政政策でデフレ脱却をすようになり、後者の考え方を支持する人は融政策でデフレ脱却をすようになる。

後者貨幣数量説exitと呼ばれ、その支持者をマネタリストexitという。貨幣数量説を簡単に言うと「インフレ・デフレは内の貨幣の量によって決まる」となり、もう少し詳しく言うと「現在から見て将来の通貨量が増加すると考えられればインフレに、減少すると考えられればデフレになる」「将来の予想される通貨量から将来における予想インフレ率が決まるが、人は将来に対する自分の予想に従って行動するため、予想インフレ率の上下が現在の物価変動を決定することになる」となる。

ネタリストが好む言い方は「インフレやデフレは貨幣である」というものである。

通貨量を決定できるのは中央銀行だけであることから、物価の安定については各中央銀行責任を持つ」と考えるのがマネタリストの傾向である。
  

デフレーションの影響

通貨価値が上がり、同一量商品の価格の下落が起こる

デフレーションは、通貨価値の上昇をもたらし、同一量商品の価格の下落をもたらす。

「年間インフレ率○が10年続いたときに、通貨価値がどれだけ下がり、物価がどれだけ上がるか」というのを示す表を掲載しておく。

インフレ 通貨価値 物価 備考
3 0.74倍 1.34倍 クリーピングインフレ
2% 0.82倍 1.22倍 クリーピングインフレ
1 0.91倍 1.10倍
0 1.00倍 1.00倍
-1 1.11倍 0.90倍 デフレ
2% 1.22倍 0.82倍 デフレ
-3 1.36倍 0.74倍 デフレ



デフレになると物価が下がるので「不動産(土地・建物)や宝飾品(塊、宝石)や美術品(絵画)といったモノは放っておくと値段が下がるので、買わないでおこう。じっと通貨を貯蓄すれば必ず得をする」という考えが広まる。

デフレに強いのは現銀行である。「通貨があれば何でも買える」という気分になる。
 

通貨価値が上がり、同一価格商品の内容量の増加が起こる

デフレになると、同じ価格の商品の内容量が増えることがある。

デフレになると客離れが起きるので、同一量商品の価格を下げたり、同一価格商品の内容量を増やしたりして、客の誘致をすようになる。
 

通貨価値が上がり、金銭債務者の負担が増加し、金銭債権者の利益が増える

利子お金を借りた後にデフレになると、借りたときより借を返すときの方が通貨の実質的な価値が高くなっているため、返済額が同じであっても実質的には返済額が上がったのと同じことになる。そのためデフレは、利子の借のある者にとってはマイナスになり、利子債権を持つ者にとってはプラスになる。

A社が利子100万円を借り、そのあとにデフレが起こったとする。機械が1台100万円の時に100万円を借りると、その100万円で機械を1つ買える。借100万円を返すときにデフレになって機械が1台50万円まで値下がりしていたとすれば、額は同じ100万円でも、実質的な返済負担は2倍にも上昇したことになる。機械1台の借に対して機械2台の返済をしたことになり、借したA社にとっては損である。

利子お金を借りた後にデフレになると、「借りたときに決めた返済額」の実質的な価値が高くなっているため、「借りたときに決めた返済額」の通りに返済したとしても実質的には返済額が上がったのと同じことになる。そのためインフレは、有利子の借のある者にとってマイナスになり、有利子債権を持つ者にとってはプラスになる。

A社が有利子100万円を借り、そのあとにデフレが起こったとする。機械が1台100万円の時に100万円を借りると、その100万円で機械を1つ買える。利子を付けて借120万円を返すときにデフレになって機械が1台50万円まで値下がりしていたとすれば、実質的な返済負担は上昇したことになる。A社はを借りる前に「機械1台の借に対して機械1.2台の返済をするのか・・・」と思っていたが、実際は機械1台の借に対して機械2.4台の返済がのしかかった。

インフレになると債務者に損が生まれつつ債権者に利益がもたらされ、債務者から債権者へ所得が移転する格好になる。このことは「まったく恣意的な富の搾取」といったふうに表現することができる[1]
  

インフレ率を予測しなくても利益を得られるので、金銭債権者の負担が少ない

お金を貸す融業者にとってデフレになるとインフレ率を何も考えずに融資しても利益が得られるので非常に楽である。

先程の例でいうと、A社にお金を貸すとき「100万円を貸すので100万円を返せ」というインフレ率を何も考慮しない適当契約でもデフレで利益が得られる。

インフレ率を正確に予測するのは難しいので、お金を貸す業者にとってインフレ予測の作業をしなくても済むデフレ期は心理的な負担が少ない。

「将来的に融業者の予想よりも強いデフレになる」と借り手が予感した場合、上記理由により返済価値の実質的な増加が見込まれるため、お金を借りてまで投資や消費をしたくなくなり、「理に借をしてまで買わなくても待っていれば値下がりするさ」という心理が働き、計の消費や企業の投資を鈍化させる。
  

通貨価値が上がり、労働者の実質賃金が上昇し、失業率が上昇する

デフレーションでは物価の下落に伴い賃も下落するが、物価よりも賃のほうが高い価格硬直性を持っているので、物価の下落にべると賃の下落は時期が遅れて下落幅が少ないものとなる。そのため、労働者の実質賃は上昇する。

デフレーションになると「前年の名500万円で今年の名は475万円であり0.95倍になって少し減ったが、前年の自動車Aの価格は500万円で今年の自動車Aの価格は450万円であり0.90倍になって大きく減った。前年の名自動車Aを1.00台買える量で、今年の名自動車Aを1.05台買える量になった。額面に注する名は5下落したが、モノの購買に注する実質賃は5も上昇した」といったような変化になる。

労働者の実質賃が上昇するため、雇用側としては新たに人を雇いにくくなり、失業率が上昇する。

そのため、デフレーションは失業中の者にとってはマイナスとなり、すでに就職している者にとってはプラスとなる。

デフレーションになると、労働者の実質賃が上昇するが、名が下落する。一般には人々は名で判断することが多く、名に騙されることが多い。例え実質賃が上昇している状況にあっても見た上の名が下落しているなら、労働者は見た上の名にあわせて気分が慎重になって消費を縮小する傾向にある。

この反対に、「デフレーションになると、労働者の名が下がるが労働者の実質賃が上昇するので労働者の消費が増える」という考え方がある。これをピグー効果exitといい、「人は名に騙されず実質賃を意識して消費を決める賢い生物である」という思想に基づく考え方である。しかし、2000年頃のデフレっ最中の日本において、労働者の名が下がって労働者の実質賃が上がったのにもかかわらず消費が拡大しなかったので(記事exit)、ピグー効果は疑わしいところがある。
 

負け組が苦しみ、格差社会になっていく

デフレーションにおいては、現を保有する者が得をする。

を保有する者が現銀行や個人や企業に貸し付けて債権者になったとする。契約を結んだときに予想したインフレ率を下回るデフレーションになったら、債権者が得をして債務者が損をする。

デフレーションにおいては、すでに就職している者が得をして失業者が損をする。

内が勝ち組と負け組に二分化され、内の経済格差がじわじわと拡大していき、格差社会になっていく傾向がある。
 

デフレーションを要因で分類

表にして大別

インフレーションを要因で分類すると、デマンド・プル・インフレーションコスト・プッシュ・インフレーションに大別される。そしてさらにコスト・プッシュ・インフレーションを分類できる。

デフレーションも同じように分類できる。表にすると次のようになる。
 

デフレ 需要が減少して発生するデフレ
供給が増加して発生するデフレ 人件費が減少して発生するデフレ
原材料費が減少して発生するデフレ 産でまかなう率が高い原材料原材料費が減少して発生するデフレ
産でまかなう率が高い原材料原材料費が減少して発生するデフレ

 
な例を列記して表にすると次のようになる。
 

需要が減少して発生するデフレ 政府緊縮財政で官需を減らし増税で民需を減らす
人件費が減少して発生するデフレ 賃下げの気運を内に広める
産でまかなう率が高い原材料原材料費が減少して発生するデフレ 野菜牛乳を増産してそれらの価格を下げる
産でまかなう率が高い原材料原材料費が減少して発生するデフレ 産油が増産するなどの要因で原油価格が下落する

 

不景気をもたらすデフレと、好景気をもたらすデフレ

人々の収入が減少して消費や投資を沈静化させることを不気という[2]

「需要が減少して発生するデフレ」と「人件費が減少して発生するデフレ」が連動する状態を不気ということができる。

産でまかなう率が高い原材料原材料費が減少して発生するデフレ」は、その原材料を生産する人々の収入を減少させるので、その人たちが消費や投資を沈静化させる可性があり、そこから内の不気が波及する可性がある。

「外産でまかなう率が高い原材料原材料費が減少して発生するデフレ」は、その原材料を生産する人々の収入を減少させるが、その人たちは海外に住んでいるので、そこから内の不気が発生する可性が少ない。むしろ人々の購買を押し上げて好気をもたらす要因になる。
 

デフレーションの例

アメリカ合衆国の事例

1929年に世界恐慌が発生し、1929年から1932年にかけて物価準が25%下落した。

2008年リーマンショックでもデフレとなり、2009年-0.32%にまで年間インフレ率が落ち込んでいる(資料exit)。このときはベン・バーナンキexitFRB議長(日本日銀総裁に相当)が中の米国債などを買って買って買いまくり、大規模な融緩和を行い、そのかいあって2010年には年間インフレ率が1.64になっている。アメリカ合衆国世界最大の軍隊を抱えており、世界最大の軍事国家であり、官需のなかの軍需を拡大させることが政治的に容易なである。このため、融緩和を大規模に行うと同時に財政拡大をすることができ、あっさりデフレを収束させることができた。
  

日本の事例

1929年にアメリカ合衆国世界恐慌が発生し、それが日本にも押し寄せ、1930年昭和5年)からの昭和恐慌となった。1930年の年間インフレ率は-9.71931年の年間インフレ率は-11.0である(資料exit)。当時の大蔵大臣(現代の財務大臣に相当)は高橋是清だった。高橋是清大臣は「日銀による自通貨建て国債の直接引き受け(中央銀行の国債直接引き受け」による通貨発行を大規模に行うことで、世界で最も期に日本をデフレから脱却させた。このときの日本世界有数の軍事であり、官需のなかの軍需を拡大させることが政治的に容易なだった。このため、融緩和を大規模に行うと同時に財政拡大をすることができ、あっさりデフレを収束させることができた。

昭和末のバブル景気が終了し、1990年代から15年近くデフレが続き、2008年ごろに資価格高騰による物価高が収まった後は再びデフレとなった。この記事exitではインフレ率の推移が示されており、デフレの期間が多いことが分かる。
 

需要・供給の分類

インフレやデフレが発生するのは需要と供給が原因である」という考え方がある。この考え方を理解するための前段階として、需要や供給を分類しておくのは大事な作業と言える。
 

需要・供給の発生する場所で分類

需要が発生している場所で需要を大きく分けると、外政府民間からの需要(外需 )と、内の政府民間からの需要(内需 )になる。

政府民間からの供給は「外供給」「海外供給」などと呼ぶ。「外供」「外給」というに略する例は、ほとんど見られない。

内の政府民間からの供給は「内供給」などと呼ぶ。「内供」「内給」というに略する例は、ほとんど見られない。
 

需要・供給を発生させている人で分類

需要を持っている人で需要を大きく分けると、中央政府地方公共団体 と、民間企業・個人の民需 に分けることができる。

中央政府の需要を官需、地方公共団体の需要を需といい、この2つを合わせたものを官需という。地方公共団体の財政は中央政府によって支援されていることがほとんどなので、中央政府地方公共団体同一視して官需と呼ぶことが多い。

需の中で軍隊が作り出す需要を軍需 という。軍隊というのは政府の一部門である。

需の中で軍隊以外の部門が作り出す需要の代表例は、学校図書館病院道路ダム鉄道などの公共事業の需要である。これについて「~需」と表現する例はあまり見られない。

公共事業の需要をさらに2分割すると、生活関連インフラ公共事業需要と産業基盤インフラ公共事業需要になる。前者は学校図書館病院が典であり、後者道路ダム鉄道の建設が典である。

「官需の中で軍隊以外の部門が作り出す需要」は、他に警察消防の需要がある。

以上をまとめると次のようになる。
 

名称 民需
細かい分類 軍需 生活関連インフラ公共事業需要 産業基盤インフラ公共事業需要 その他
学校図書館病院 道路ダム鉄道 警察消防

 

「産業基盤インフラ公共事業需要を気対策として急拡大するのはあまり望ましくない」といわれる。産業基盤インフラ公共事業を受注できる建設企業の数は限られており、産業基盤インフラ公共事業需要を気対策として急拡大すると産業基盤インフラを粗製濫造することになる。粗製濫造された産業基盤インフラ民の生命と財産に対して深刻な脅威となってしまう。粗製濫造されたトンネルが崩壊して人命を奪うという悲劇が起こりかねない。このため「不気の時も産業基盤インフラ公共事業需要をあまり急拡大せず、緩やかな拡大にとどめるのがよい」といわれる。
 

需要者から供給者への情報提供

需要とはお金を払ってモノを購入することであり、供給とはモノを売却してお金を稼ぐことである。

経済を論ずる人々の中で「需要は経済発展にとって重要である」と考える人たちと、「需要は経済発展にとって重要ではなく、供給する人の決意や創意工夫こそが重要である」と考える人たちがある。前者にはケインズ経済学の支持者が多く含まれ、後者にはサプライサイド経済学の支持者が多く含まれている。

「需要は経済発展にとって重要である」という考えにも色々な種類があるが、そのうちの1つは「需要は供給者に対する情報提供である」という考えである。

需要とは「この商品が優れているから、お金を払ってこの商品を買い取りたい」という意欲を見せつける行為であり、「この商品は優れている」という情報を供給者に対して提供する行為である。

供給者は、自分たちが生産したり保有したりしている商品が優れているか劣っているかについて、全に知り抜いているわけではない。このため需要者から「この商品は優れている」という情報提供されると大いに助かる

また需要者は、購入した商品を使用した後に「この商品のここが優れていて、ここが劣っている」と供給者にクレームをすることがある。こうしたクレームも、需要者から供給者に情報提供する行為である。供給者は生産したり保有したりするのに忙しく、自分たちが生産したり保有したりしている商品の全てについて全に知り抜いているわけではないので、需要者から情報提供されると大いに助かる

需要というのは供給者に対して情報提供する行為であり、供給者を教育する行為である。需要者の情報提供によって、供給者の部に位置する生産企業の知と技術を高めることができ、国家の生産を高めることができる。
  

インフレ率の下落をもたらす財政政策

本項では、インフレ率の下落をもたらす財政政策を列挙していく。

財政政策は、国会(立法府)と内閣行政府)が共同で行う。国会法律議決権と予算議決権と国債の発行を承認する権限がある。内閣法律執行権と予算編成権・予算執行権と国債を発行して市場に売却し資を調達する権限がある。

インフレ率の下落をもたらす財政政策は、需要を減らす政策と供給を増やす政策に大別される。本項では見やすくするため、需要を減らす政策は青色の題名にして、供給を増やす政策はピンク色の題名にした。
  

官公需を減らす

需を減らすことで需要が減る。

国家予算の公共事業費を減らし、官需の中の公共事業需要を減らし、政府地方公共団体公共事業関連の購入を減らす。こうした政策を緊縮財政と呼ぶ。

国家予算の軍事費を減らし、官需の中の軍需を減らし、政府の軍隊関連の購入を減らす。つまり、軍備を縮小する軍縮を行う[3]。こうした政策も緊縮財政と呼ぶ。
 

消費課税を増やして民需を減らす

消費課税を増税すると消費が沈静化し、民需が減る。消費課税とは財・サービスの消費に対して科される租税で、消費税酒税ガソリン税などである。なかでも消費税は消費活動に対する総合的な罰であり、消費を冷え込ませて民需を削減する強を持っている。消費税を引き上げることで民需が減る。
 

政府・地方公共団体からの給付金を減らして民需を減らす

消費を活発に行う若年層・新婚世帯・子育て世帯に対して政府地方公共団体給付金を支払わず、消費を沈静化させて民需を減らす。幼児教育有償化、高校教育有償化、大学教育有償化、学費の引き上げ、奨学金利引き上げ、奨学金の返済義務の維持、結婚した世帯への支援結婚新生活支援事業費補助金exit)の減額、児童手当(子ども手当)の減額、など。

「人が学校で学んでから卒業すると、その人自身のみが利益を享受することになる。ゆえに受益者負担の原則により、学生に学費を負担させる」と述べて、学費を補助するために政府が支払う給付金を減らす。受益者を個人に限定して政府に拡大しない。

「ある世帯が出産して子育てすると、その世帯自身のみならず政府も利益を享受することになる。ゆえに受益者負担の原則により、子育て世帯だけに学費を負担させるのではなく、政府にも学費を負担させる」と述べて、養育費を補助するために政府が支払う給付金を増やす。受益者を世帯に限定して政府に拡大しない。

老人に給付する年金を減らして消費の沈静化を図る。ただし、老人は若年層にべてさほど消費を活発に行わないので、効果が限定的である。
 

賃金を減らして民需を減らす

労働者の賃を引き下げて、労働者の消費を減らして民需を減らす。

公務員の雇用を減らす。特に「団結権と団体交渉権を認められる種類の公務員」の雇用を減らすことが効果的である。そうした公務員労働組合を結成して労働運動を行って世の中全体の労働運動を牽引する可性が高く、世の中の賃上げの動きを作り出しやすい[4]

公務員の給与を引き下げる。公務員の給与を引き下げることで、世の中の大企業の給与を引き下げる効果がある。中央政府地方公共団体は、就職市場において大企業と競合しており、優秀な高学歴学生を奪い合っている。中央政府地方公共団体公務員給与を引き下げることで、大企業は「々も給与を引き下げよう。そうしても、優秀な学生がすべて的職場に引き抜かれてしまうことがない」と安心するようになり、大企業の賃下げが進んでいく。

労働に対して賃を与えずタダ働きを強要することを政府が率先して行い、世の中の企業に範を示す。災害の後片付け業務に参加した人や、際的スポーツイベントの観戦に訪れる外国人観光客に対して案内を行う業務に参加した人や、際的スポーツイベントの観戦に訪れる外国人観光客に対して医療サービス提供した医師看護師に対して、政府が謝礼を支払わず、タダ働きさせる[5]。そうすることで世の中の企業に「労働者にタダ働きをさせてよい、やりがい搾取exitをしてもよい」という気が生まれ、企業が労働者にサービス残業を強要する潮が生まれ、賃下げの流れが生まれることが期待できる。

間接金融弱体化させて直接金融への転換を図る。直接金融企業株式や社債で市場から資調達するシステムで、間接金融企業銀行からの借り入れで資調達するシステムである。直接金融になると多数の投資企業に対して「人件費を減らして財務体質を善せよ」と要するようになって企業が人件費を圧縮することに傾きやすくなり、間接金融になると銀行の融資担当者だけが企業に対して「人件費を減らして財務体質を善せよ」と要することになり、企業が人件費を圧縮することに傾きにくくなる。直接金融の導入で人件費が削られやすくなり、内の消費が沈静化しやすくなる。

法人税弱体化して、民間企業法人所得に対して少ない罰を課すようにする。そうすることで民間企業が人件費を削って法人所得を増やすことを奨励し、民間企業が人件費を減らすように誘導して、個人消費を沈静化させる。

関税を低くして自由貿易にする。そうなると企業経営者たちは従業員に向かって「君たちは較的に高賃を得ているが、発展途上国の低賃労働者と同じような働きをしている。君たちを雇用することをやめて、工場を低賃発展途上国へ移転して、発展途上国の低賃労働者を雇用して、海外で作った製品を内に輸入しようと思う」と宣告して、実際にそういう行動を起こすようになる。

「自分たちの仕事海外に流出する」と従業員が考えるようになり、従業員は自信を喪失するようになり、賃上げを要する意気を持てなくなる。内の各企業で賃上げの傾向が弱まり、内の個人消費が沈静化する。

関税を低くして自由貿易を促進すると、民間企業において従業員の給料を下げる方向に物事が進んでいきやすい。このため、自由貿易は賃下げ貿易 と表現することができる。


(以下のことは財政政策ではなく単なる依頼・説得だが、とりあえず本項に記述しておく)

経団連のような大企業の集まりが「賃下げをすることで企業際競争が高まる」「労働者は滅私奉の精を持ち、際競争を高めるための賃下げを受け入れるべきだ」と言いだしても政府がそれに反論せず[6]企業が賃下げをすることを容認する。

成果主義を導入した企業経営者が従業員に対して「成果が伴わない労働には賃を支払わなくてよい」という態度を示すようになっても政府がそれに反論せず、企業が賃下げするのを容認する。

企業の所有物であり、の利益になるような行動をとるべきである。従業員の賃を減らしての配当に回すべきである」という思想を株主至上主義株主資本主義というが、そういう思想が広がっても政府がそれに反論せず、企業が賃下げするのを容認する。

企業は営利追求団体であり慈善団体ではない」と企業経営者が言いだしても政府がそれに反論せず、黙認する。
 

余暇を減らして民需を減らす

内の長時間労働を増やして労働者の余暇を減らすことで、「長時間労働に縛られ、お金を使うヒマがない」という状況になり、労働者の消費を減らして民需を減らすことができる。

企業の長時間労働が増えると企業の生産量が増えることになり、内の供給が増えることになる。

企業の長時間労働を増やすことは、労働者の消費を減らして民需を減らす効果と、企業の生産を増やして内供給を増やす効果の2つがあり、両方ともインフレ率下落の原因となる。

公務員の雇用を減らし、的職場を人手不足にさせて、的職場の長時間労働を増やし、公務員の余暇を減らし、消費を沈静化させる。

中央政府地方公共団体は、就職市場において大企業と競合しており、優秀な高学歴学生を奪い合っている。中央政府地方公共団体公務員の余暇を減らすことで、大企業は「々も従業員の余暇を減らそう。そうしても、優秀な学生がすべて的職場に引き抜かれてしまうことがない」と安心するようになり、大企業の長時間労働が増加していく。

労働基準監督署の人員を減らして世の中の企業への監視が行き届かないようにして、企業の長時間労働を増やし、労働者の余暇を減らし、消費を沈静化させる。

所得税累進課税を弱めて、労働意欲を刺し、「仕事すればするほどを稼げる」という状況にして、仕事中毒ワーカホリック)の人を増やして、長時間労働を好む社会潮を作り上げ、労働者の余暇を減らし、消費を沈静化させる。

株式や債券といった券の売買や、先物取引や、外通貨の売買(外国為替証拠金取引)や、暗号資産の売買に、個人が参加しやすい体制を作り上げる。キャピタルゲイン税(株式等譲渡益課税)やインカムゲイン税(株式等配当課税)について、累進課税を弱めたり、一課税にしたりして、「やればやるほど稼げる」と考えさせる[7]。また、NISA制度[8]株式投資へ勧誘したりする。そうすると、「寝ても覚めてもお金を増やすことばかり考えていて、消費をしようとしない人」の割合が増えて、余暇と消費を軽視する気が強くなり、内の消費が沈静化していく。
 

労働者の待遇の確実性を減らして民需を減らす

が低くて余暇が少ない労働者であっても、「この賃と余暇の状態は、いつまでも続くと保障されている」とか「自分は確実性に恵まれている」とか「将来が安泰である」と考えるようになると消費を増やして貯蓄しなくなる[9]。このため、労働者が消費をせずに民需を縮小させるように仕向けるには、労働者に対して労働待遇の継続性を保障せず労働者に確実性を与えないことが必要になる。

労働待遇の継続性を保障されず不確実性に直面するようになって消費をする勇気を持てない労働者は、消費の必要が増える結婚に対して消極的になるので非婚率が増加する。また消費をする勇気を持てない労働者は、結婚したあと、消費の必要が増える出産に対して消極的になるので出生率が減少する。非婚率の増加や出生率の減少によって少子化が進み、しい消費を行う若年層の人数が減り、消費が縮小する。

労働待遇の継続性を保障されず不確実性に直面するようになった労働者は、銀行からお金を借りることが非常に難しくなり、大量のお金を借り入れて自動車や住宅を購入するような大きい消費・投資をすることが難しくなり、民需を増やす要因にならなくなる。銀行は、所属する組織から長期にわたって安定した給料を確実に受け取る者に対して融資する傾向があり、収入が途絶える危険性がある者に対して融資しない傾向がある。

民間企業に対する解雇規制を緩和し、民間企業が正社員を簡単に解雇できるようにする。また民間企業に対して派遣社員の使用を許可する。解雇規制緩和や派遣社員規制緩和によって労働の流動化を進め、労働待遇の継続性を保障されない労働者を増やし、不確実性に直面する労働者を増やし、労働者が将来不安に備えて貯蓄する必要性を増やし、労働者が安心して消費できないようにする。

政府地方公共団体終身雇用する公務員を減らす。先述のように中央政府地方公共団体は、就職市場において大企業と競合しており、優秀な高学歴学生を奪い合っている。的職場における終身雇用が減少すると、大企業は「終身雇用を従業員に約束せず、企業の業績が悪くなったら期退職を強いることを宣言しても、優秀な就職希望者が的職場に流れてしまうことがない。終身雇用を従業員に約束しなくてもよい」と考えるようになり、大企業の終身雇用が減っていく。

政府地方公共団体公務員の給与体系から年功序列を排除して成果主義能力主義を導入したり、従業員の給与体系から年功序列を排除して成果主義能力主義を導入した民間企業に対して政府地方公共団体が「そのほうがいい」と賞賛したりして、世の中に成果主義能力主義を広める。年功序列に保護されず成果主義能力主義に直面した労働者が増加すると、労働者の不確実性が増え、労働者が「将来に成果が減ったりが落ちたりすると給与を大きく減らされる」と考えるようになり、労働者が不確実性に備えるための貯蓄に励む必要が増え、労働者が消費をする勇気を持てなくなる。

老人に対する年金の支給額を減らす。あるいは政府高官が率先して「将来は年金制度を維持できなくなる可性がある」と発言する。もしくは政府高官が率先して「老人は病気になりやすい存在であり、生産が低い存在である。ゆえに老人をできるかぎり生存させることは策としてあまり大事ではない」などと発言する。そうすると労働者の不確実性が増え、労働者が「定年を迎えたら収入が大きく減る可性がある」と考えるようになり、労働者が不確実性に備えるための貯蓄に励む必要が増え、労働者が消費をする勇気を持てなくなる。

犯罪を増やし、治安を悪化させる。そうすることで人々が「将来に自分や身内が犯罪に巻きこまれるかもしれない」と考えるようになり、人々が不確実性・不安定性に直面することになり、人々が予備的貯蓄を積み立てる義務に縛られるようになり、人々が消費をする勇気を持てなくなる。

犯罪を増加させるには、内において人口空白地域を発生させればよい。人口空白地域を作ると、犯罪拠を隠滅しやすい土地が増えることになり、犯罪をしやすい状態になり、治安が急に悪化する。つまり、地方への支援を打ち切って、地方お金を投入することをやめて、地方政策を中止して、地方に人をり付かせないようにする。1972年から1974年まで首相を務めて1980年代中盤まで日本政治の実権を握った田中角栄底的に批判し、田中角栄の政策から全に脱却する。1990年代後半に小泉純一郎が「経世会支配からの脱却」を唱えて、田中角栄の流れを経世会自民党を支配する状況を打破しようとしたが、それと同じことをする。

地方政策は多くの場合において公共事業を伴う。地方政策をとりやめると、官需が縮小することになる。人口が少ない地域において官需を縮小することによって人口空白地域が増え、犯罪拠を隠滅しやすくなり、犯罪の発生が抑制されなくなり、人々の不確実性が増え、人々が安心して消費を行うことができなくなり、民需が縮小する。

犯罪を増やして治安を維持すると消費が拡大する。知犯罪の典例はカルト宗教団体の霊感商法である。警察カルト宗教団体の霊感商法を摘発しようとしたときに、政治家警察政治的な圧を掛けて、刑事を中止させて、カルト宗教団体が思う存分に霊感商法に打ち込めるようにする。内閣総理大臣を務めた政治家カルト宗教団体のイベントに出席し、カルト宗教団体の教祖を褒め讃え、カルト宗教団体の広告になって、カルト宗教団体の霊感商法支援する。以上のことを繰り返してカルト宗教団体を躍動させて霊感商法がはびこるにすれば、人々が知犯罪の脅威に直面し、人々の消費意欲が減退し、デフレ圧が掛かる。
 

自由貿易にして海外からの供給を増やす

関税を低くして自由貿易にして、海外からの供給を増やす。

関税を低くして自由貿易を促進すると、安価海外製品が大量に入ってくるようになり、供給が需要よりも大きくなってデフレになる。こうした考え方を輸入デフレ論exitという。

関税を低くして自由貿易を促進すると、企業経営者が従業員に「君たちは較的に高賃を得ているが、発展途上国の低賃労働者と同じような働きをしている。君たちを雇用することをやめて、工場を低賃発展途上国へ移転して、発展途上国の低賃労働者を雇用して、海外で作った製品を内に輸入しようと思う」と言うようになり、それを簡単に実行するようになる。従業員は自信を喪失するようになり、賃上げを要する意気を持つことができなくなる。内の各企業で賃下げの傾向が強まり、内の個人消費が沈静化する。

関税を低くして自由貿易を促進すると、海外供給の増加と、内従業員の賃下げによる民需縮小という2つの効果がある。どちらもインフレ率の下落の原因となるものである。
 

自由経済にして国内の供給を増やす

政府経済に介入しない自由経済を採用し、内業者に対する様々な規制を緩和し、内の供給を増やす。

恵まれて農産物が豊作になったとき、農産物をそのまま大量に出荷すると市場で値崩れを起こして物価が下がる。そうなると農家の売上が減り、豊作貧乏という状況になる。豊作貧乏になることを防ぐため、農林水産省農協導して緊急需給調整施策を行って農家の手によって農産物を地中に棄することがあるが、そうしたことをとりやめる。

農業な産業とする地方は数多い。農林水産省農協導する緊急需給調整施策を止して供給の過大化を進め、農家貧困化を放置し、農家業することを放置し、人口空白地域の発生を許し、犯罪拠を隠滅しやすい土地が発生することを許し、治安が急に悪化するようにする。治安が急に悪化したら、人々の不確実性が増え、人々が安心して消費を行えなくなり、民需が縮小する。

つまり、「農林水産省農協導して行われる緊急需給調整施策を止すること」は、供給の増加と需要の減少という2つの効果がある。どちらもインフレ率の下落の原因となるものである。

大規模小売店舗法(大店法)exit止し、大規模な商業施設が登場することを許し、商品の供給の過大化を許す。
 

インフレ率の下落をもたらす金融政策

本項では、インフレ率の下落をもたらす融政策を列挙していく。

融政策は、中央銀行日本なら日銀アメリカ合衆国ならFRBが導するFRS)が単独で行う。中央銀行くて機動的な行動をとることができる。
  

利上げする

中央銀行資金吸収オペレーションをして、短期金融市場に出回る余剰通貨の量を減らし、短期金利を上げて利上げし、融引き締めする。

日銀短期金利を上げて利上げすると、銀行企業計に貸し出す際に掛けられる「中の利」も上がる。銀行短期金融市場インターバンク市場銀行間取引市場)で借り入れる利よりも高い利で企業計に貸し出して利(利ざや)を稼いでいるからである。このため企業計は借り入れが難しくなり、消費が抑制されることが期待できる。

インフレというのは借り手(企業計)にとって過剰に優しく、貸し手(銀行)にとって過剰に厳しい状態である。その状態を是正するため、中央銀行が利上げして銀行の貸出利を高め、借り手(企業計)に懲罰を与えつつ貸し手(銀行)の経営を助ける。
   

利上げして自国へのキャリートレードを増やして自国通貨高に誘導する

中央銀行資金吸収オペレーションをして、短期金融市場に出回る余剰通貨の量を減らし、短期金利を上げて利上げし、アメリカ合衆国短期金利よりも自短期金利を高くすると、際的に活動する機関投資が「アメリカ合衆国アメリカ合衆国ドルを借りて入手し、アメリカ合衆国ドル日本円に交換して日本円を入手し、日本円を持って日本の短期国債市場へ行き、日本の短期国債を購入しよう」と考えるようになり、つまりドルキャリートレードを狙うようになり、外為替市場で円買いドル売りが進んで円高ドルになる。

円高ドル安になると、輸出企業は輸出が難しくなるので内への出荷をすようになり、輸入企業は輸入しやすくなる。内のモノの供給が増え、内において需要よりも供給が優勢になり、デフレ圧がかかり、インフレが抑制される。
 

インフレ率の下落をもたらす為替政策

本項では政府示を受けた中央銀行が実行する政策を解説する[10]
 

為替介入して自国通貨高に誘導する

ある固定相場制中間的為替相場制を採用している場合、政府が自通貨切り上げをするとデフレ圧が働く。

通貨の切り上げというのは自通貨高・基準通貨安のことであり、アメリカ合衆国ドルが基準通貨であることを踏まえると自通貨高・ドル安のことになる。日本でいうと円高ドルである。

日本なら、政府示を受けた中央銀行が外為替市場為替介入し、外貨準備高を減らしながら円買いドル売りをして、円高ドル安に導いていく。

円高ドル安になると、輸出企業は輸出が難しくなるので内への出荷をすようになり、輸入企業は輸入しやすくなる。内のモノの供給が増え、内において需要よりも供給が優勢になり、デフレ圧がかかり、インフレが抑制される。
 

国の体制によってインフレ抑制方法が変わる

あるで年間5インフレになったとする。この状態が続くのは望ましくないので、年間3インフレに誘導しようということになった。この場合、によって対応が変わってくる。
 

貿易をしない国なら、国内の需要を削減するしかない

一切の対外貿易をせず一のみの閉鎖経済ですべてをまかなっているなら、輸入でインフレ率を変化させることができない。そのまま年間5インフレが続いてしまうのもまずいので、政府が消費課税を増税したり中央銀行が利上げしたりして内の需要を減らして年間3インフレに押さえ込む。
 

貿易をする国なら、ある程度、輸出を減らして輸入を増やすことで対応する

対外貿易を行って経済に参加する開放経済なら、年間5インフレを解消するため、輸出を減らし、輸入を増やす。それが続くと内のモノの供給が増えていくので年間3インフレに落ち着かせることができる。需要そのものを傷つけず、供給だけを増やすことが可となる。

輸出を減らして輸入を増やすことの継続は、によって異なる。

対外貿易を行って経済に参加する開放経済は、国際金融のトリレンマに従う場合、3種類に分類できる。そして外貨準備高が多いか少ないかの基準を加えると5種類に分類できる。
 

  1. 資本移動を制限して固定相場制中間的為替相場制を採用して自経済事情に合わせて融政策を行っていて外貨準備高が多い
  2. 資本移動を制限して固定相場制中間的為替相場制を採用して自経済事情に合わせて融政策を行っていて外貨準備高が少ない
  3. 資本移動を自由化して変動相場制を採用して自経済事情に合わせて融政策を行う
  4. 資本移動を自由化して固定相場制中間的為替相場制を採用して基軸通貨発行融政策に合わせて融政策を行っていて外貨準備高が多い
  5. 資本移動を自由化して固定相場制中間的為替相場制を採用して基軸通貨発行融政策に合わせて融政策を行っていて外貨準備高が少ない

 

1.の国なら、外貨準備高を減らしていく

1.のは、資本移動を制限して固定相場制中間的為替相場制を採用して自経済事情に合わせて融政策を行っていて外貨準備高が多い である。

1.のなら、政府が外貨準備高を減らしつつ自通貨買い・ドル売りの為替介入を行い、通貨切り上げを行って、自通貨高・ドル安にする。そうすると輸出が減って輸入が増える。

輸出が減ることで「ドルを稼いだので自通貨に交換しよう」と考える業者が減り、外為替市場で自通貨買いドル売りの勢いが弱まる。輸入が増えることで「自通貨ドルに替えてそのドル海外の物資を購入しよう」と考える業者が増えて、外為替市場での自通貨売りドル買いの勢いが増える。こうして自通貨売りドル買いが流となり、自通貨ドル高の圧がかかり、通貨が切り下がっていく。

通貨が切り下がると輸入が減ってしまうので、再び政府が外貨準備高を減らしつつ自通貨買い・ドル売りの為替介入を行い、通貨切り上げをする。

これがどんどん続くと、政府が所有する外貨準備高が減っていく。

1.のにおいて需要を拡大して輸入を活用すると、需要の大きさに例して外貨準備高の減少速度が決まる。

需要をほどほどに拡大して輸入を活用すると、外貨準備高が減るペースが遅くなる。「政府が消費課税を増税したり中央銀行が利上げしたりして需要を減らそう」という人もいるし、「需要をこのまま維持すれば、需要によって企業を育成できる。消費というのは生産者に対する情報提供であり、生産者を教育して鍛え上げる行為である。消費者が生産者を教育することにより、生産企業の技術が上がり、生産企業世界で通用するような技術を持つようになり、外貨準備高を増やす輸出が将来に増える」と論ずる人も出てきて、議論が拮抗する。

需要を極度に拡大して輸入を活用すると、外貨準備高が減るペースが速くなるので「需要の拡大をやめよう、政府が消費課税を増税したり中央銀行が利上げしたりして需要を減らそう」という意見が大勢になる。
 

2.の国なら、外貨準備高が底を付く

2.のは、資本移動を制限して固定相場制中間的為替相場制を採用して自経済事情に合わせて融政策を行っていて外貨準備高が少ない である。

2.のは、通貨切り上げのため自通貨買いドル売りの為替介入をすると、すぐに外貨準備高が底を付いてしまう。

外貨準備高を回復させるため、アメリカ合衆国ドル建て国債を発行して、それを市場に売るようになる。

アメリカ合衆国以外の全てのにとって、アメリカ合衆国ドル建て国債債務不履行デフォルト)の危険があるものである。アメリカ合衆国ドル建て国債を返済できなくなったら、アメリカ合衆国政府やIMF通貨)に土下座して支援を頼むことになる。IMF通貨)に土下座して支援を受けるとその代償として底的に内政干渉され、自的な経済政策を実行できないに成り果ててしまう。

2.ののなかでアメリカ合衆国ドル建て国債を発行することを絶対に避けるは、輸入に頼れないので、政府が消費課税を増税したり中央銀行が利上げしたりして内の需要を減らして年間3インフレに押さえ込む。1950年代後半から1960年代前半の日本は好気になって輸入が増えるとすぐに外貨準備高が底を付いたので、好気を長続きさせることができず、日銀の利上げによって好気を理矢理終わらせて輸入を減らし、外貨準備高を確保していた。これを際収支の天井という(記事exit)。
  

3.の国なら、輸出を減らして輸入を増やす継続力が小さく、国内の需要を削減することになる

3.のは、資本移動を自由化して変動相場制を採用して自経済事情に合わせて融政策を行うである。

3.ので輸出が減って輸入が増えると、「ドルを稼いだので自通貨に交換しよう」と考える業者が減り、外為替市場で自通貨買いドル売りの勢いが弱まる。輸入が増えることで「自通貨ドルに替えてそのドル海外の物資を購入しよう」と考える業者が増えて、外為替市場での自通貨売りドル買いの勢いが増える。

こうして自通貨売りドル買いが流となり、自通貨安・ドル高が進み、輸入が難しくなる。簡単に言うと、3.のは輸入すれば輸入するほど輸入が難しくなるである。

しかも輸入を拡大して自通貨売りドル買いが流となって自通貨安・ドル高が進むと、内の生産業者は「内に出荷して自通貨を稼ぐよりも、海外に輸出してドルを稼いだ方が得をする」という誘惑に負けて輸出をするようになり、さらにインフレ率が上昇することになる。

3.のは年間5インフレを輸入で解消することが難しいので、結局、政府が消費課税を増税したり中央銀行が利上げしたりして需要を減らして年間3インフレに押さえ込むことになる。
 

ここまでのまとめ

以上のことをまとめると次のようになる。「貿易をしない」と「変動相場制」が似ているところが興味深い。
 

貿易をしない 資本移動を制限しつつ固定相場制中間的為替相場制を採用していて外貨準備高が多い 資本移動を制限しつつ固定相場制中間的為替相場制を採用していて外貨準備高が少ない 資本移動を自由化して変動相場制を採用して自経済事情に合わせて融政策を行う
内の需要が増えてインフレしくなったときどういう対応ができるか 内の需要を減らす。輸入に頼れない 外貨準備高を減らしつつ自通貨切り上げをして、またはその為替準を維持して、輸入を増やしてインフレを抑える アメリカ合衆国ドル建て国債を売却しつつ自通貨切り上げをして、またはその為替準を維持して、輸入を増やしてインフレを抑える。あるいは内の需要を減らし、輸入に頼るのをやめる 内の需要を減らす。輸入に頼れない
その長所 外貨準備高について悩まなくてよい 内の需要と活気を維持できる アメリカ合衆国ドル建て国債を発行した場合は、内の需要と活気を維持できる 外貨準備高について悩まなくてよい
その短所 内の需要を減らすことで内の活気を潰す せっかく貯め込んだ外貨準備高を減らしてしまう アメリカ合衆国ドル建て国債を発行した場合は、危険なものを抱えたことになる。内の需要を減らした場合は、内の活気を潰す 内の需要を減らすことで内の活気を潰す

 

4.の国なら、外貨準備高を減らしていく

4.のは、資本移動を自由化して固定相場制中間的為替相場制を採用して基軸通貨発行融政策に合わせて融政策を行っていて外貨準備高が多い である。

こうしたは、キャリートレードを抑制するため、基軸通貨を発行するに対し融政策でぴったり追従することになる。このため、自経済インフレ率5で利上げすべきところであっても、基軸通貨発行利を維持しているのなら、利上げすることができない。つまり、融政策で内の需要を減らすことができない。

このため、為替介入でインフレを抑制することになる。外貨準備高を減らして自通貨切り上げをして、輸入を増やして輸出を減らして、そうやってインフレ対策する。
 

5.の国なら、外貨準備高が底を付く

5.のは、資本移動を自由化して固定相場制中間的為替相場制を採用して基軸通貨発行融政策に合わせて融政策を行っていて外貨準備高が少ない である。

こうしたは、やはりキャリートレードを抑制するため基軸通貨を発行するに対し融政策でぴったり追従することになる。融政策で内の需要を減らすことができない。

また、外貨準備高が少ないので、為替介入でインフレを抑制するとすぐに外貨が底を付く。アメリカ合衆国ドル建て国債を発行して為替介入の資を得るか、政府が消費課税を増税して自の需要を減らすかのどちらかになる。
  

4.の国と5.の国のまとめ

 

資本移動を自由化して固定相場制中間的為替相場制を採用して基軸通貨発行融政策に合わせて融政策を行っていて外貨準備高が多い 資本移動を自由化して固定相場制中間的為替相場制を採用して基軸通貨発行融政策に合わせて融政策を行っていて外貨準備高が少ない
内の需要が増えてインフレしくなったときどういう対応ができるか 外貨準備高を減らしつつ自通貨切り上げをして、またはその為替準を維持して、輸入を増やしてインフレを抑える アメリカ合衆国ドル建て国債を売却しつつ自通貨切り上げをして、またはその為替準を維持して、輸入を増やしてインフレを抑える。あるいは消費課税の増税で内の需要を減らし、輸入に頼るのをやめる
その長所 内の需要と活気を維持できる アメリカ合衆国ドル建て国債を発行した場合は、内の需要と活気を維持できる
その短所 せっかく貯め込んだ外貨準備高を減らしてしまう アメリカ合衆国ドル建て国債を発行した場合は、危険なものを抱えたことになる。消費課税の増税で内の需要を減らした場合は、内の活気を潰す

 

日本はどういう体制なのか

2021年現在日本変動相場制である。

とはいえ、いつでも「資本移動を制限して固定相場制中間的為替相場制を採用して自経済事情に合わせて融政策を行っていて外貨準備高が多い」に変身できる。2020年日本の外貨準備高は1兆ドルえていて世界2位である(資料1exit資料2exit)。長年にわたって政府が円売りドル買いの為替介入を繰り返してきたこともあって[11]、ずっと右肩上がりに推移してきた(資料exit)。

ただし、2021年現在日本は投資立となっているので、過度に資本移動を制限することはあまり望ましくない。

外貨準備高を生み出す基礎となる経常収支は1981年から2020年まで40年連続の黒字である(資料exit)。貿易収支は小さな黒字になったり小さな赤字になったりしているが、第一次所得収支は巨額の黒字叩き出している(資料1exit資料2exit資料3exit)。第一次所得収支とは、日本企業海外において子会社を設立するなどの投資をして得られる利子・配当の積み重ねをす。多くの日本企業海外工場を持ち、堅調に利益を上げていることになる。第一次所得収支は、為替の変動にあまりされない安定的な稼ぎであり、それが順調に増えている(資料exit)。日本はすでに貿易で稼ぐではなく、投資で稼ぐになっている。
 

1973年2月13日以前と1973年2月14日以後の比較

1973年2月13日以前の日本は「資本移動を制限して固定相場制中間的為替相場制を採用して自経済事情に合わせて融政策を行う」だった。

1973年2月14日以後の日本は「資本移動を自由化して変動相場制を採用して自経済事情に合わせて融政策を行う」になっている。

この2つの体制の違いはどこにあるというと、「資本移動を制限して固定相場制中間的為替相場制を採用して自経済事情に合わせて融政策を行う」はインフレ制御を正確に実行できるが外貨準備高の変動がしい、「資本移動を自由化して変動相場制を採用して自経済事情に合わせて融政策を行う」はインフレ制御をあまり正確に実行できないが外貨準備高のことを考えずに済む、という違いがある。

 

「資本移動を制限して固定相場制や中間的為替相場制を採用して自国の経済事情に合わせて金融政策を行う国」は外貨準備高が変動する

1973年2月13日以前の日本が、短期金利2%から2.25に利上げするときのことを考えてみる。アメリカ合衆国短期金利によって外貨準備高の増減にが出る。
  

日本短期金利
2%から2.25に利上げし
内需要を削減して
デフレ圧を掛ける
米国短期金利
2%から2.5に利上げ
資本移動を制限しているので日利差による円売りドル買いが起こりにくい。それでも日利差でけようと円売りドル買いをするものが現れたら、円買いドル売りの為替介入で相殺する デフレ圧が狙いどおりに掛かるが外貨準備高が減っていく
日本短期金利
2%から2.25に利上げし
内需要を削減して
デフレ圧を掛ける
米国短期金利
2%から2.25に利上げ
為替の変動が起こらない デフレ圧が狙いどおりに掛かる。外貨準備高は変わらない
日本短期金利
2%から2.25に利上げし
内需要を削減して
デフレ圧を掛ける
米国短期金利
2%のまま維持
資本移動を制限しているので日利差による円買いドル売りが起こりにくい。それでも日利差でけようと円買いドル売りをするものが現れたら、円売りドル買いの為替介入で相殺する デフレ圧が狙いどおりに掛かる。外貨準備高が増えていく

 
※実際は、この程度の小さい利差なら、日利差による資本移動によるけよりも為替変動リスクの方が大きいので、日利差による資本移動が起こりにくい。
 

「資本移動を自由化して変動相場制を採用して自国の経済事情に合わせて金融政策を行う国」ではインフレ制御をあまり正確に実行できない

日本変動相場制で、短期金利2%から2.25に利上げするときのことを考えてみる。それだけ見れば貸出利利上げによる内需要の削減でデフレ圧を掛けることができそうだが、アメリカ合衆国短期金利によって為替相場が変わって輸出入の変動が起こり想定よりも異なるデフレ圧になる。
 

日本短期金利
2%から2.25に利上げし
内需要を削減して
デフレ圧を掛ける
米国短期金利
2%から2.5に利上げ
利差のため
円売りドル買いが続き

円安ドル高になり
輸出増輸入減で
インフレ
デフレ圧インフレ相殺される
日本短期金利
2%から2.25に利上げし
内需要を削減して
デフレ圧を掛ける
米国短期金利
2%から2.25に利上げ
為替の変動が起こらない デフレ圧が狙いどおりに掛かる
日本短期金利
2%から2.25に利上げし
内需要を削減して
デフレ圧を掛ける
米国短期金利
2%のまま維持
利差のため
円買いドル売りが続き

円高ドル安になり
輸出減輸入増で
デフレ圧
デフレ圧が思ったよりも強く掛かる

 

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関連項目

脚注

  1. *マンキュー マクロ経済学 第3版 Ⅰ 入門編(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキューexit_nicoichiba』の141ページにおいて、N・グレゴリーマンキューは「インフレになって借り手が得をして貸し手が損をするのは、まったく恣意的な富の再分配である」と表現している。その表現を真似ると「デフレになって借り手が損をして貸し手が得をするのは、まったく恣意的な富の搾取である」となるだろう。
  2. *野村證券・券用解説集の『金利と景気』exit『景気循環』exitを参考にした。
  3. *もちろん日本なら、軍事費が防衛費、軍隊が自衛隊、軍備が装備、軍縮が防衛縮小に、それぞれ言い直される。「自衛隊は軍隊ではない」という建前が尊重される。
  4. *「自衛官・上保安官・刑務官・警察官・消防士以外の公務員」は、団体行動権(争議権ストライキ権、スト権)を法律によって否定されているが団結権と団体交渉権を認められていて、労働組合を結成できる。ちなみに、公務員の中でも自衛官・上保安官・刑務官・警察官・消防士は法律によって労働三権の全てを否定されており、労働組合を結成して労働運動を行うことができず、世の中の賃上げの動きを作り出すことが難しい。
  5. *2020年東京オリンピックでは観光客向け案内人や医師看護師ボランティアで募集した。
  6. *2003年12月16日経団連表した2004年版経営労働政策委員会報告exitにおいて「適正な人件費準の管理」「賃準の適正化」「高止まりの賃準を、際競争を保てるような適正な賃準へ」という文章がある。この当時の経団連が、賃下げして企業際競争を高めようとしていたことがわかる。
  7. *2021年現在日本においてキャピタルゲイン税(株式等譲渡益課税)やインカムゲイン税(株式等配当課税)は一で20.315所得税復興特別所得税15.315%、住民税5%)となっており、累進課税が導入されていない。そして高額所得者ほど株式譲渡や株式配当で得られる収入の割合が多い。このため申告納税者の所得税負担率を見てみると、所得額が1億円までは所得税負担率が右肩上がりの累進課税となっているが、所得額が1億円をえると所得税負担額が右肩下がりになっている(資料exit)。
  8. *NISAとは、2014年1月から始まった個人投資のための税制優遇制度である。毎年120万円の非課税投資が設定され、株式・投資信託等の配当・譲渡益等が非課税対となる(資料exit)。
  9. *経済学ではこういう貯蓄を予備的貯蓄という。
  10. *日銀法第40条第2項exit外為法第7条第3項exitは「外通貨を売買して為替介入するときは、政府体となり、日銀はその事務を取り扱うだけである」と解釈されてきた。外為替解説する書籍でもそう説明することが多い。『図解入門ビジネス 最新 為替の基本とカラクリがよ~くわかる本(秀和システム)脇田栄一exit_nicoichiba』の105ページなど。また、政府為替介入の手順については為替の記事を参照のこと。
  11. *日本変動相場制の管理変動相場制を採用していて、たまに為替介入をする。日本為替介入は円売りドル買いで円安ドル高を導く円切り下げ介入がほとんどだった。最新為替の基本とカラクリがよ~くわかる本(秀和システム脇田栄一 107ページ

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184 ななしのよっしん
2023/03/20(月) 19:13:59 ID: Y6s/3j1kQ2
>>182
品質が良くなってるわけでもないのに、従業員の給料だけ上げるのは、消費者に負担を押し付けてるだけだぞ
そんな会社の商品なんて、も買いたくないだろ
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185 ななしのよっしん
2023/03/20(月) 20:10:48 ID: z/4/7R5dVx
>「日本人は文句しか言わない」「不当に低評価されるから海外会社は日本を後回しにする」
> デジタル(特にゲーム)はとっくにこの認識

コロナ前から海外旅行なんかでも既にそういう認識だったよ
日本人払いが悪いくせに文句しか言わない迷惑な客」って

もはや経済を失って日本人は上客じゃなくなったって現実と、「たち日本人は上客」って古い自己認識の乖離を解決できてない人たちがまだいる
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186 ななしのよっしん
2023/04/21(金) 17:15:20 ID: OpG9DX4M5l
それ言われたとて「はいそうですか」以外の感想が浮かばん
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187 ななしのよっしん
2023/06/11(日) 15:36:15 ID: Y6s/3j1kQ2
日本ゲーム市場任天堂SONYみたいな化け物企業の根になってるから、海外ゲーム企業が進出する余地がないだけだろ
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188 ななしのよっしん
2023/06/11(日) 15:37:18 ID: Y6s/3j1kQ2
ていうかソシャゲに限った話なら日本でも中華ゲーや韓国ゲーがガンガン進出してるし、ただの負け惜しみじゃないの?
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189 ななしのよっしん
2023/06/21(水) 05:58:10 ID: yDOEpeITtc
日本は貧しくなってるいうがソシャゲなんかに大量につぎ込んでるんだからまだまだ豊かだよ
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190 ななしのよっしん
2023/07/19(水) 23:04:22 ID: htL21vcZ0E
>>185
訴えたいのはいいけどいちいち主語がデカいんだよなぁ
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191 ななしのよっしん
2023/07/22(土) 12:28:03 ID: OpG9DX4M5l
>>189
そもそも貧困化の基準ががばがば過ぎてなあ
円安だから貧困だ!ていう理屈かもしれんが
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192 ななしのよっしん
2023/09/26(火) 21:10:22 ID: 48IkvPVWv8
デフレ脱却に一歩といいたいところだが、現状況だと先行き不安はぬぐえない
まあ後は上のとおりの今のステータスを乗り越えられるかどうか
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