Wikipediaの当該項は真面目な議論をした結果、削除されました。お察しください
学歴ロンダリング(がくれきロンダリング)とは、日本で大学院進学の際に自身の出身大学よりも偏差値の高い大学の大学院に進学することを指すインターネットスラングである。別名は大学院ロンダリングであり、自虐・やっかみを含めた言葉となる。略称は学歴ロンダ、院ロンダ。また派生語として下記の四つがある。
学歴ロンダリングとは逆に下位の大学院に進学すること。 → 逆ロンダリング
主に短大卒・高専卒が四年制大学へ三年次編入すること。 → 編入ロンダリング
通信制や社会人枠を使って難関大学に入学すること。→ 通信ロンダリング
特に理系において大学と大学院で専門分野を変更すること。 → 専攻ロンダリング
概要
背景
学歴ロンダリングという言葉の出所は不明。いつからか大学院の合格者などから「大学院入試は簡単」といわれるようになってきた。主観的な発言であり、客観的な根拠もないので間違いなくデマになる。しかし、それをうのみにしたネットを中心に広がり、大学院進学で最終学歴をよいものに見せかけるための”ズルをしている”と非難の対象になっていった。
マネーロンダリングをもじって学歴をよいものに"ごまかす"ことができるという意味で作られた。しかしマネーロンダリングは、犯罪で手に入れたお金を表社会で使えるように正当な方法で手に入れたように見せかける犯罪行為である。それに対し学歴ロンダリングは正規の方法である大学院入試を勝ち抜き、入学している。履歴書に嘘を記載することが学歴詐称に当たり、出身大学を隠すことはできないのでロンダリングという言葉は明らかな誤用である。
文系と理系では大学院入試の内容、進学率などの差異もあった。また大学院進学率の高い理系においても大学院に偏差値やそれに相当するものがないし、入試科目も少ないことが指摘された。しかし、模試がなく偏差値が算出できないことは、合格判定ができないことであり入試の難易度が高くなることを意味し、科目数だけでは難易度の判定できない。科目数だけでは公務員試験の方が多いのだから。他にも倍率が低いことを指摘されるが大学院進学者の絶対数は少ないし、またどのレベル層が受験してるかわからないので難易度の判断に使うことはできない。
根拠の一つに1990年代以降に大学院重点化政策を行い一部の国立大学は大学院の定員数を増加させたことが挙げられる。その結果、大学院の定員数が学部より多くなるところも出てきた。ただ定員というものがある以上、これが難易度が低い根拠とはいえない。またハーバード大学のように大学院の方が定員数が多いことは海外でもあり、学歴ロンダリングみたいなことは言われることはない。
このように大学一般入試と大学院入試の難易度がよく比較[1]されるようになった。しかし、大学一般入試は学習指導要領に基づいた高校教育での到達度評価という側面を持つのに対し、大学院入試は研究するための基礎能力や目的意識を重視する。知識重視の大学一般入試と思考力・学習意欲を重視する大学院入試では本質的に異なるのである。また大学院進学後も勉強が大変なのも忘れてはいけない。
大学院選びは学生の自由である。自大学の大学院に進学するのも選択肢であり、6年一貫教育という恩恵もある。だが努力してより上で勉強しようとするのも否定されるべきでない。そうではないと高学歴の否定になりうる。また普遍的な学問とされる自然科学ですら、大学・教授ごとに考え方に差異があることが知られている。従って海外では異なる大学文化に触れ、多角的視点を持つために学部と院で別々のところに行くことが定石である。その際よりレベル高い大学院に進むことは努力した証として好評価となる。
現実
大学院に進学する人は概して言えば優秀である。学力に自信がない人達は大学院進学を諦めるからである。また他大学の院に行く場合、私立だと内部推薦を蹴る必要もあり、相当勉強する必要がある。最悪どこの大学院にも進学できず、遅い時期に就職活動を始めるか大学院浪人(院浪)しなければならないからである。
他大学を目指す理系の場合、行き先に学部と同じ地域のより上位とされる大学院を選ぶ傾向がある。また上位の大学であるほど大学院への進学率が高いとされる。上位の大学じゃなくても、その中で上位の成績を持つものがより深く学ぶために上位の大学院を目指すことは自然のことだろう。その方が研究費が多く研究設備が整っていることが多いからである。ちなみに大学院入試で入学志願者数における他大学の出身者の割合は2017年の理工農系で2割から3割程度となっている。
ネットにおいてよく用いられる例として、MARCHの学部出身者が東京大学大学院に進学する場合がある。まずMARCHは、某掲示板を除いて十分に高学歴という扱いである。また公開されている情報の範囲内[2]では東大院に最も多く行く大学は早稲田大学であり、それでも約70名である。9位になって明治大学の約30人が出てくる。全合格者が約3,200名であることを考えるとそんなに大きな数字とは言えない。海外からの留学生も多いのだろう。
叩かれやすい出身校に東京理科大学と横浜国立大学があるがこれらは難関と認識される大学である。東京理科大学は平均在学年数が約5.7年と一年以上は留年するのが当たり前というくらいに進級・卒業するのが厳しい学校である。また関東地方における国立理系の場合は横浜国立大学は東大・東工大に次ぎ、千葉大学や筑波大学と並ぶ三番手の大学である。
大学院の難易度はその専攻が就職に有利かどうかで大体決まる。工学系は難易度が高く、人文系は難易度は相対的に下がる。それでも入学者数が定員数を下回っても最低水準を満たしていない学生は入学できない。就職に不利なところに行く場合は基本的に学者を目指すもの達であろう。しかし、「高学歴ワーキングプア」になるリスクがある。大学院進学は目的意識が非常に重要である。大学院入試でも志望動機は問われる。
世間一般で難関と認識されている大学ならいざ知らず、それ以外の大学においては定員割れも多く大学院そのものの在り方が問われている。教育面から大学間の移動こそ大学院の活性化につながるとして、移動しやすい仕組みづくりしようという流れがある。「学歴ロンダリング」という考え方が若者のやる気を阻害しているという指摘もある。
就職
理系の場合は特に専門性が要求される研究職においては、大学院進学は有効に働くという見方が強い。但し職種にもよるが企業のニーズによって対応は異なり出身学部で評価するところもある。むしろ企業での教育の方が大事だからと学部卒を優先してとることを宣言しているところもある。研究開発職が就職先の中心になるため就職先は狭まると考えていい。
文系に関して日本企業は専門性を重視しないので大学院生は就職が難しくなる。但し、法や経済の知識が必要な公務員や実力主義の外資企業では文系でも大学院生を採用する。例えば高度な政策立案能力が求められる国家総合職(旧国家Ⅰ種)では大学院卒が条件の「院卒者試験」がある。大学院進学は学芸員や大学教師、法科大学院で弁護士などを目指すくらいの人だけがするべきであろう。もちろん勉強は大変である。
文系・理系を通して言えることだが、採用担当次第である。中には出身高校を見れば学生の思考能力がわかると豪語する採用担当者もいるという。また大学院生の場合は研究を熱心に行っているかを企業は見てくる。就職面接でも、大学と大学院を変えた理由は問われる。社会の出た後は、本人の実力がものを言うことを忘れてはいけない。高学歴であろうが無かろうが結果は求められる。
最後に
日本は「追いつき、追い越せ」と欧米の模倣することで急激な発展をしてきた。トップランナーになり、既存の知識より新しい発想が求められる時代となった。学問においては異分野の知識の活用の重要性が言われ、異分野間での協力が積極的に推進されている。研究室は教授のコピーを生産しているという批判を受け、複数の教授による教育が受けられる体制を作る大学も出始めた。
偏差値上位大学において入学がゴールとなる燃え尽き症候群になる学生が現れ、2016年度から東京大学と京都大学も推薦入試を導入することとなった。そしてセンター試験も現在のような一発勝負型から、2020年度に学生中に複数回受けられる新しい形式への移行が決まっている。大学入学はスタート地点であり、「偏差値があってるから」ではなく目的・学習意欲を重視した入学試験への模索が始まっている。
日本の教育制度は岐路に立たされている。文部科学省が国立大学に文系学部をより社会的要請の高い分野に再編するよう通知、波紋を呼んだ。この通知そのものは国立大学だけだが、間接的に私立大学に再編を促すことも狙いとしていた。本当の学びとはなんだろうか、社会にとって必要なものとはなんだろうか、それが改めて問われている。
関連項目
関連データ
- 一流大学大学院 他大学からの進学者数ランキング 大学院入試で見る学歴ロンダリングの実際(アーカイブ)
- 大学院教育の現状を示す基本的なデータ
- 東京大学大学院・入学状況
- 大学院入学者選抜の改善について(アーカイブ)
脚注
- *大学院入試と大学の推薦入試や総合型選抜(旧AO入試)は比較されることはない。
- *慶應義塾大学や上智大学、京都大学、大阪大学などは他大学の大学院への進学数は非公開。従って、早稲田大学や明治大学なども順位が低くなる可能性は十分にある。
親記事
子記事
兄弟記事
- 20
- 0pt

