東方求聞史紀 ~ Perfect Memento in Strict Sense.(とうほうぐもんしき ぱーふぇくと めめんと いん すとりくと せんす)とは、東方Projectの公式資料集である。
著者:ZUN
イラスト:唖采弦二(表紙・壁紙・挿絵)、つくりものじ(挿絵)、秋★枝(挿絵)、TOKIAME(挿絵・挿絵文字)、神馬耶樹(挿絵)、病(挿絵)
概要
ZUN直接の著・監修によるもので、2006年に商業出版として一迅社から刊行された書籍である。付録として楽曲等を収めたCDが付く。
その内容は、幻想郷の里の人間である「稗田阿求」が執筆した『幻想郷縁起』と言う書物の形をとっている。
幻想郷縁起
「幻想郷縁起」は元々、妖怪に対抗する手段に乏しい人間が妖怪の弱点や対策法などの知識を広めるために、1000年以上前に稗田阿一が編纂を開始した書物である。稗田阿一以降も転生をするたびに新しく編纂しなおしており阿求で9回目となる。今回は幻想郷が外界から隔離され安定してから初めての編纂であるため、これまでの「幻想郷縁起」とは少々趣が異なっている。
妖怪の弱点・対策法まとめと言うスタンスは維持しつつも、妖怪の私生活に踏み込んでみたり、逆に妖怪の自己アピールを取材するといった事も行われているため、事実と異なった大げさになった内容になっている。実際に妖怪紹介欄では妖怪達より強そうに書いてくれなどリクエストもあり強さが誇張されて書かれている。また、永夜異変に関連する人物(輝夜、永琳、優曇華や妹紅)などは、その資料の少なさもあって阿求の想像が多分に含まれている。
こうしたモデルチェンジは「人間と妖怪の新しい関係を築くため」と独白にあるが、一方で各種妖怪の危険度は高めに・人間との友好度は低めに水増しして書かれているともある。
実際のところ、現在では妖怪が私利のために人間を襲うことは滅多にないのだが、それを正直に書いてしまうと、ただでさえ稀にしか行われてない人攫い・妖怪退治が余計に行われなくなり、双方が平和ボケしてしまう。そうなると、もし外の世界から何か強力な妖怪が幻想郷に入って来た時に、現状の妖怪では歯が立たずに幻想郷を支配されてしまう恐れがある。(実際、吸血鬼異変においてそれに近い危機が一度起こっている)
それを防ぐため、形式的なものに過ぎなくても、「妖怪は人を襲うもので人は妖怪を退治するもの」と言う建前が必要であり、「幻想郷縁起」もそれを汲んで妖怪の危険度を水増ししているのである。
また、編纂者である阿求本人も、多少色眼鏡を通してこれらの物事を観察している節があるため、このことによるズレも生じている。
以上のことから、「幻想郷縁起」の内容は編纂意図によるものと阿求の視点と主観によって公式設定と乖離している部分が少なくないため、その点を踏まえて注意する必要がある。
これは逆に言えば、読者がゲーム本編や公式設定で既に知っている事実や出来事が、本人や(異変などの)関係者以外にはどのように思われているのか、という楽しみ方ができるということでもある。
このように「東方求聞史紀」は資料集としては一風変っているが、読み物としても面白く、幅広い情報が載っているため、東方ファンなら一読の価値がある。
書籍の内容
『東方求聞史紀 ~ Perfect Memento in Strict Sense.』の内容
『幻想郷縁起』の内容
- あとがき
「東方求聞史紀」のZUNのあとがき
*1 チラシに付けられた覚え書きには、阿求が幺樂団の曲を聴いていることを示唆する内容とその感想が記されている。
これは、東方Project旧作のFM音源のサウンドトラックである「幺樂団の歴史 Akyu's Untouched Score」シリーズが、
ストーリーは付いていないものの名前が示す通り全てのカバー絵に阿求が描かれており以下の設定よる繋がりと思われる。
その昔幻想郷には、この幺樂を好んで演奏した幺樂団(ようがくだん)という演奏団がいた。
――幺樂団演奏の記録を、一人の少女が歴史に残す。
付録CDの収録曲
※ 以上の曲の他に壁紙。
入手・関連商品
同人雑誌ではなく商業作品なので、原作ゲームや同人本と違って普通の本屋でも取り扱われているが、比較的大型の書店か、品揃えの偏った(アニメ・ゲーム関連に強い)店でないと売っていない事が多い。そのため、それらの書店へ行っても売っていない時は、店頭で注文するか、amazon辺りのネット通販で購入するのが手っ取り早い。 |
漫画版
本書籍の発売に合わせて同じ一迅社の月刊Comic Rex 2006年12月号に漫画「東方求聞史紀 Perfect Memento in Strict Sense. 記憶する幻想郷」が読み切りの形で掲載された。原作:ZUN、漫画:秋★枝。後に連載される「東方儚月抄 〜 Silent Sinner in Blue.」に先がけて同誌に掲載された初めての東方Projectの作品となっている。阿求が会話してる漫画としては初。回想での初登場は小説『東方香霖堂』が初。
現在書籍や単行本に未収録。理由はカラーページ有り・ほぼ漫画1話分ある事、時系列が儚月抄より前であるためか書籍に収録するタイミングが難しいと思われる。
内容は、九作目幻想郷縁起の完成を間近に控えた稗田阿求の元にお祝いと称してその内容を完成前にチェックするため八雲紫が訪れ、また公開を待ちきれず霧雨魔理沙が博麗霊夢を連れて訪れるというもので、阿求の人物紹介と幻想郷縁起の説明的なものとなっている。
この時の八雲紫は「幻想郷の真実は私とともにある。記憶も真実に沿わなければならない。今回の幻想郷縁起も内容を改めさせていただくわ。」と語り、体の周囲には終始どす黒い霧状のもの漂わせた妖怪の訪問とあって稗田家のメイドさん達にどん引きされている。一方で阿求は怯える様子なく屋敷に上がらせようとしてる様子が描かれた。阿求の心境の変化も描かれており、「次の生までの期間を考えると寿命の永い者と知り合いになった方が都合がよい、とすると(知り合いになるのは)人間より妖怪を選ぶべきではなかろうか・・・」と思案する様子が描かれた。書籍「東方求聞史紀」の独白に書かれた阿求本人の話に繋がる形の話となっている。
また、この時が阿求にとって八雲紫、博麗霊夢、霧雨魔理沙との初対面であると描写されているが(八雲紫は当代の御阿礼の子である阿求とは初対面)、稗田阿一が纏めた幻想郷縁起の時代から存在する八雲紫は別として人間である当代の博麗の巫女博麗霊夢と霧雨魔理沙についても既に幻想郷縁起中に記述があることが示されている。(魔理沙が「私の記事をもっと増やしてくれよ。虚実交えても良いから。」と話してる。)
関連動画
関連項目
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