死のデッキ破壊ウイルスとは、漫画「遊☆戯☆王」に登場するカードである。
このカードを召喚条件に指定する「デス・ウイルス・ドラゴン」についても本項で取り扱う。
概要
海馬瀬人が使用するウイルスカードで、原作での名称は「死のデッキ破壊」。「デス・ウイルス」とも呼ばれている。
(ウイルスカード)
闇属性で攻撃力1000以下の生贄を媒体にウイルスカードは発動する。
相手の手札・及びデッキ内の攻撃力1500以上のしもべはすべて死滅する。
テキストには手札・デッキとしか書かれていないが、作中の描写を見るにフィールドにも影響を及ぼしている。また、生け贄となったモンスターが攻撃を受けることが発動条件。
「決闘者の王国編」での遊戯とのデュエルが初登場。
「闇・道化師のサギー」に仕込んでおき、サギーが「暗黒騎士ガイア」の攻撃を受けた際に発動、「暗黒騎士ガイア」や「ブラック・マジシャン」、その他遊戯の主力カードをことごとく死滅させた。
このときは、「デーモンの召喚」がドローした瞬間に消滅しており、デッキのカードを直接破壊する効果ではなかったようである。
ペガサスとのデュエルでも使用したが、ペガサスは「闇・エナジー」で媒体のサギーの攻撃力を1200にしてしまったため、ウイルスが消滅した。さらに、「コピーキャット」でペガサスにウイルスカードをコピーされ、「壺魔人」を媒体に発動されてしまう。これによりデッキを破壊された海馬は、ゲーム続行不可能に。最後の手札である「死者蘇生」でサギーを壁モンスターにしたがそれも破壊され、海馬の敗北となった。
ここからは、発動直後にデッキを破壊する効果になった様子。また、「死者蘇生」を使用した際に、「青眼の白龍」などの強力モンスターではなく、サギーを蘇生させていることから、ウイルスによって死滅したカードは再利用も不可能だったと考えられる。
バトルシティ編のイシズとのデュエルでも登場。
「収縮」で攻撃力が半減した「ブラッド・ヴォルス」を生け贄に発動し、イシズのデッキを破壊したが、このデッキ破壊戦術があだとなり、「現世と冥界の逆転」で海馬は窮地に立たされることに。
また、海馬が「ラーの翼神竜」の解析をしていた際、ウイルスコンボを発動させたときのシミュレーションをしていたが、その場合のラーデッキに対する勝率は13%だった。
アニメ「乃亜編」の大門(ビッグ5)とのデュエルでも登場。
「ジャイアントウィルス」を媒体に発動したが、「人造人間-サイコ・ショッカー」のデッキマスター能力で無効にされた。
乃亜とのデュエルでも登場したが、「賢者ケイローン」の効果で発動前に破壊された。
バトルシティ編のアニメオリジナル、VS城之内でも登場。
「収縮」で攻撃力が半減した「ガーゴイル・パワード」を媒体に発動し、城之内のフィールドの「鉄の騎士 ギア・フリード」を破壊し、デッキも破壊した。
アニメ「ドーマ編」のアメルダとのデュエルでは、セットされたが「王宮のお触れ」に発動を封じられてしまった。しかし、「クリティウスの牙」と融合して「デス・ウイルス・ドラゴン」となった。
漫画RではVSウィラー・メットで登場。
「収縮」とともにセットしてコンボを狙っていたが、「カード・ヘキサチーフ」で発動を封じられてしまった。
海馬は計8回このカードを使用しているが、成功したのは3回(遊戯、イシズ、城之内)。しかもその内1回(イシズ)は相手に利用されている。ペガサス戦に至っては失敗した上に相手に奪われた。効果があまりにも強力すぎるゆえか、作中での成功率は低い。
原作では「死のデッキ破壊」というカード名であり、魔法・罠カードとは別の「ウイルスカード」という分類を持っていた。同じ「ウイルスカード」に分類されるカードとしては、「魔法除去細菌兵器」、「α波の拡散」(R)が登場しており、どちらも海馬が使用している。
アニメではOCGに合わせて罠カードに修正されている(効果は異なる)。
アニメGXではOCG仕様(旧テキスト)に修正されて登場。カイバーマンのデッキに投入されたカードとして登場した。
また、サイコ流の使い手、猪爪が丸藤翔とのデュエルで使用。「人造人間-サイコ・リターナー」を生け贄にして発動し、攻撃力が上がった「鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン」を破壊した。しかし、このときはなぜか「サイバー・フェニックス」の効果でドローしたカードを確認していなかった。
OCG版
「遊☆戯☆王デュエルモンスターズⅡ 闇界決闘記」(1999年7月8日発売)の同梱カードでOCGに登場。
2015年1月1日以降(現行テキスト)
テキストは以下の通り。
通常罠
※「決闘者の栄光-記憶の断片- side:闇遊戯」収録のカード(15AX-JPY52)による
(1):自分フィールドの攻撃力1000以下の闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。
相手フィールドのモンスター及び相手の手札を全て確認し、
その内の攻撃力1500以上のモンスターを全て破壊する。
その後、相手はデッキから攻撃力1500以上のモンスターを3体まで選んで破壊できる。
このカードの発動後、次のターンの終了時まで相手が受ける全てのダメージは0になる。
原作とは異なり、デッキの破壊は任意の上に3体までに限定された。その場で破壊という点だけを見れば、旧テキストよりも原作のペガサス戦以降の仕様に近いと言える。また、相手の攻撃対象になる必要はなく、いつでも発動できるようになっている。
相手のフィールド・手札の攻撃力1500以上のモンスターをまとめて破壊できる。デッキ次第ではあるが、うまくいけば2枚の損失を取り返して余りあるだけの数が破壊できる。さらに相手の手札も確認できるのもメリット。コストにするモンスターも範囲が広く、適当な下級モンスターでもよいので、闇属性を使用するデッキならば困らないだろう。
しかし、肝心のデッキ破壊部分は、相手が選べるうえに3枚までであるため、デメリットになる可能性が高いことに注意が必要。墓地へ送ることで効果を発揮するカードは多いため、それらのサポートをしてしまうことになる。これも「破壊」扱いであるため、相手が「ネフティスの鳳凰神」などを投入している場合は効果を利用される。
手札・フィールドの破壊についても、高攻撃力のモンスターが少ないデッキ相手ではあまり成果が挙げられない。
さらに、ダメージを0にするデメリットがあるため、このカードでモンスターを一掃して攻め込むのは難しい。自分ターンのバトルフェイズ終了後に使用すればデメリットを軽減できるが、相手のシンクロ・エクシーズ召喚や攻撃の妨害などを目的に相手ターンに使う場合はこのデメリットを受けることになる。
はまれば十分な働きをしてくれるだろうが、相手のデッキタイプ次第ではかえってピンチになることもあり得るので、相手のデッキがわからない序盤から使用するのは避けたい。
「破壊」であるため、暗黒界などの効果発動を封じることができる。一方で、墓地へ送られさえすればよいシャドール相手に使ってしまった日には目も当てられない。
あまり見かけるカードではないが、相手のデッキ・手札・フィールドに合計3体の「The big SATURN」が存在する場合、その3枚を破壊されると自分だけが合計8400のダメージを受けて敗北する。
本来はお互いに受けるはずのダメージが、このカードのデメリットによって自分(SATURNの使用者から見て相手)しか受けなくなるためである。
イラストには初出のゲームのものと、「PREMIUM PACK 5」収録時のものの2種類がある。背景の色などが違う。
禁止指定を受けたのが2009年9月と遅かったためか、割合再録回数は多く、2009年の「GOLD SERIES」などにも再録されている。エラッタ後テキストのものは「決闘者の栄光-記憶の断片- side:闇遊戯」に収録されているが、エラッタ前テキストのものも相当出回っていると思われるので、プレイの際は注意が必要。当然、エラッタ前のカードもエラッタ後と同じものとして扱う。
2014年12月31日まで(旧テキスト)
かつては以下のようなテキストであった。
通常罠
「THE GOLD BOX」収録のカード(GDB1-JP020)による
自分フィールド上の攻撃力1000以下の闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。
相手フィールド上のモンスター、相手の手札、
相手のターンで数えて3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、
攻撃力1500以上のモンスターを破壊する。
現行テキストと違い、相手がその場で3枚選ぶのではなく、3ターンの間のドローカードを破壊するという、原作初登場時に近い仕様であった。また、ダメージを0にするデメリットもなかった。
ドローカードまでつぶすことができるため、今よりも影響力が強かった。ドローチェックの意味合いも持つため、3ターンに渡って相手の手の内を把握できることになる。「手札抹殺」などの強制ドローとも相性が良い。
容易に発動できるこのカードの存在は大きく、攻撃力1500以上であることが欠点とみなされることすらあり、低めの攻撃力で優秀な効果を持つモンスターやサポートカードを重視する風潮が生まれた。
コストにするモンスターには、墓地へ送ることで効果を発揮できる「クリッター」、罠回収効果を持ち、このカードを使い回せる「闇の仮面」、デッキ・墓地からモンスターを手札に加えられ、コストを確保し続けることができるため、特に無制限時代に猛威をふるった「黒蠍-棘のミーネ」などがあった。
弱点としては、フィールド・手札を破壊するのは発動した時だけなので、後から「死者蘇生」などで復活させたり、シンクロ召喚などで手札以外から呼び出されたりしたモンスターには対抗できないことや、攻撃力1500未満の壁モンスターなどには対抗できないこと、ドロー以外の方法で手札に加わったモンスターは破壊できないこと、破壊をトリガーとする効果を発動させてしまう恐れがあること、墓地利用につなげられる恐れがあることなど。
しかし、それを差し引いても強力なカードであることに変わりはなかった。
1枚で多数のカードを破壊できるだけでなく、後のドローカードにまで影響し、さらにピーピングもできる便利なカードであった。コストとするカードも時を経るにつれ増えていった。
2004年9月1日に制限カードとなり、以降長らくそのままだったが、「ゾンビキャリア」の登場など、コストにちょうど良いカードがさらに増加したためか、2009年9月1日にとうとう禁止カードとなった。登場から禁止までの期間は当時としては最も長い(後に「大嵐」がその記録を抜き、「ハリケーン」を経て現在は「血の代償」が最長記録を保持)。
以降、2015年1月1日にエラッタとともに制限復帰するまでそのままであった。
デッキ破壊なのにルール上はデッキのカードを破壊していないというのはよく言われることだった。
遊戯王における「デッキ」は各プレイヤーが構築する40枚以上のカードの集まり、プレイ中のまだ引いてないカード(山札)の両方の意味を持つため、前者の意味での「デッキ」ととらえれば、フィールド・手札に影響する点も含めて意味は通る。あるいは、デッキのカードに感染し、引いた瞬間に発症するというイメージか(原作初登場時はこれに近い)。
エラッタによって直接デッキのカードを破壊するようになったため、この点は名前通りになった。
類似カードとして「魔のデッキ破壊ウイルス」、「闇のデッキ破壊ウイルス」が存在する。
いずれも、エラッタ前のこのカードからリリースするモンスターの攻撃力の条件と破壊する対象を変えたもの。このカードだけが長期間の禁止指定の末にエラッタされてしまったため、少々浮いてしまった。
その他の作品において
ゲームDMシリーズでは、「ウイルスカード」という魔法カードが登場。
「相手フィールド上の攻撃力1500以上のモンスターを全て破壊する」という効果を持っており、このカードが元になっていると思われるが、なぜか原作でカード分類の名前だった「ウイルスカード」のほうがカード名になった。
デス・ウイルス・ドラゴン
アニメ「ドーマ編」で登場した、「クリティウスの牙」が「死のデッキ破壊ウイルス」と合体した姿。
攻撃力1900のモンスターであり、相手フィールドの攻撃力1500以上のモンスターを破壊するという、生ける「死のデッキ破壊ウイルス」と言える効果を持つ。
海馬VSアメルダ(1戦目)で海馬が使用。
「王宮のお触れ」で発動を封じられてしまった「死のデッキ破壊ウイルス」を融合素材にして特殊召喚し、効果でアメルダのモンスターを全滅させ、直接攻撃で勝利しようとしたが、「狂気の伝染」で海馬もダメージを受けてしまい、引き分けになった。
OCG版
「コレクターズパック-運命の決闘者編-」(2015年5月16日発売)でOCGに登場。
融合・効果モンスター
星4/闇属性/ドラゴン族/ATK 1900/DEF 1500
このカードは「クリティウスの牙」の効果で自分の手札・フィールドの
「死のデッキ破壊ウイルス」を墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。
相手フィールドのモンスター、相手の手札、相手ターンで数えて
3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、
その内の攻撃力1500以上のモンスターを全て破壊する。
破壊範囲がアニメより広がっており、エラッタ前の「死のデッキ破壊ウイルス」を内蔵している。
エラッタ前の「死のデッキ破壊ウイルス」は禁止指定を受けるほどのカードだっただけに、効果自体は強力。「手札抹殺」や「マインドクラッシュ」との相性が良いのも同様。墓地利用が気になるのも同様。
ただし、「クリティウスの牙」は通常魔法なので、セットしてから待つ手間はなくなった反面、相手ターンに発動することはできなくなっている。また、「死のデッキ破壊ウイルス」は2015年10月時点で準制限カードなので、少々召喚条件を満たしにくい。(2016年4月に無制限となったが、それでもサーチ手段に乏しいため、依然として厳しい)
また、罠カードを1枚発動するだけでよかったエラッタ前の「死のデッキ破壊ウイルス」に比べ、こちらは「クリティウスの牙」の発動、モンスターの特殊召喚、モンスター効果の発動と、実際に効果を得るまでの手順が増えているため、それぞれのタイミングで妨害を受ける可能性があり、効果を通しにくくなっている。
効果の発動と処理までこぎつければ、除去されても3ターンの間のドローチェックと破壊は適用されるので、その点ではある程度除去に強くはある。
融合素材の指定がない融合モンスター。罠カードを融合素材として表記するとルール上の問題があるためか。
このカードを含むドーマ編出身の名も無き竜関連のカードや、ネオスペーシアンの進化体、M・HEROには融合素材の指定がなく、それぞれ独自の召喚条件を持っている。
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