海がきこえるとは、氷室冴子の小説。及びそれを原作としたアニメとドラマである。
概要
原作小説は月刊アニメージュに1990年から1991年まで連載された。1995年に続編である『海がきこえるⅡ〜アイがあるから〜』が書き下ろされた。『魔女の宅急便』の作画監督が挿絵を担当している。
アニメは日本テレビ40周年記念としてスタジオジブリにより1993年に制作。育成の一環でもあり若手メンバー中心で作られた。
海がきこえるの導入
ぼくにはわりに楽しかったり、驚いたりしもしたいくつかのことも、里伽子には、なんの意味もなかったんだな。それはなんだか、すこしばかり淋しいことだった。
ぼくはそのとき初めて、里伽子をすごく好きだったことに気がついて、とりかえしのつかないような哀しい気持ちになった。
高知市にある中高6年一貫教育の名門私立に東京からの転校生、武藤里伽子が転校してくることで杜崎拓の物語が大きく動き出す。
登場人物
杜崎拓
中学までは学業面では神童と言っても過言ではないほどだったが高校に入ってからはごく平凡な成績に成り下がっている不器用な男。高校を卒業したのち東京の大学に進学する。アパートは石神井。
武藤里伽子
家庭の事情で東京から母親の実家がある高地にやってきた周囲にとけこもうとしない転校生。スポーツ万能かつ頭もいい。お嬢様らしくプライドが高く高知自体を見下している。コークハイ派。
松野豊
拓の友人。中学生の時のとある出来事から、拓はそれまでありふれた秀才というイメージしかなかった彼を強く信用することとなる。6年間で一回も同じクラスになったことが無いにも関わらず二人は親友の間柄。拓以上に不器用な男。所謂<マン>。
小浜裕実
目立つ里伽子に比べると大人しめな、どこか侍女っぽい印象を受ける少女。女子大進学後、高校時代は里伽子に利用されていた気がするというということを打ち明けている。
山尾忠志
その体格から朝潮太郎にちなみアサシオというあだ名をつけられている大柄な同級生。実家は医者。上京してホームシックに陥っている。
岡田
東京にいる里伽子の元恋人。プレイボーイであり里伽子と別れた後は里伽子の女友達と付き合っている。
海がきこえるⅡ〜アイがあるから〜の導入
ちょうど6時を過ぎたころで、街のあちこちで燦めく明かりは、眩しいくらいに綺麗だった。
この光の洪水のなかでは、わが故郷のクリスマスを思いだそうとしても、まるで思い浮かばない。
大学一年の夏、杜崎拓は高知に帰省した。松野や里伽子とも交友を深め気分よく東京のアパートに戻るが部屋では年上の女子大生、津村知沙が勝手に入り込み泥酔していた。
登場人物
杜崎拓
前作に増して女難。
津村知沙
前作から出番が増えた。妻がいるサラリーマンと不倫関係にあっためか里伽子とは折り合いが悪い。
田坂さん
拓がよく通う書店でバイトをしている同じ大学の男の先輩。傷ついた津村知沙の“リハビリ”相手。親友にバリバリのスポーツ選手がいる。
美香さん
32歳のいわゆる“働いている人”。里伽子の父親を寝取ったことで里伽子から恨まれている。有名な料理研究家の友人がおりその人のおかげで新しい職につけた。
大沢さん
津村知沙と一時浮気していたサラリーマンの男性。顔が取り立てていいわけでは無いが反感を持たれにくい独特の体質。
松野豊
京都でモテ期が到来したらしく前作の硬派なイメージから一転して楽しくやっているらしい。
水沼健太
妹系美少女に弱い拓の大学での同級生。ホームビデオが趣味。
染谷涼子
里伽子へのプレゼント選びに付き添ってくれる親切心溢れた丸顔の女の子。人はなぜ争うのかという疑問を持っている。
アニメ版
日本テレビ開局40周年記念として制作され1993年5月5日に放送された。夕方4時からの放送にもかかわらず視聴率は17.4%を記録した。尺の都合上大学での話は基本的にはしょられており津村知沙など一部キャラクターも登場しない。展開も一部異なっている。キャストは以下の通り。
杜崎拓 (CV:飛田展男)、武藤里伽子 (CV:坂本洋子)、松野豊 (CV:関俊彦)
ジブリ作品は定期的に金曜ロードショーで流れるのが基本だが『海がきこえる』はめったに放送されない。今まで放送されたのは何と一回のみ。2011年に『コクリコ坂から』の放映記念として『ゲド戦記』とセットで放送されたのが最初で最後となっている。これは上映時間が72分と基本二時間構成の金曜ロードショーでは尺が余ってしまうことと未成年の飲酒・喫煙シーンが原因らしい。
余談
- ジブリ作品で男性の専業声優が主役を務める唯一の作品。専業声優の割合自体が他作品に比べ多い。
- 宮台真司が『耳をすませば』の完成直後に宮崎駿と対談した際、「『海がきこえる』のほうが『耳をすませば』よりリアルな青春を描いていてずっと面白い」と発言し本作に不満の多い宮崎駿をブチ切れさせた。『海がきこえる』の出来栄えに納得がいかないがために『耳をすませば』の製作に取り掛かったという噂もあるが果たして・・・
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関連項目
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