番狂わせ甲府単語

5件
バンクルワセコウフ
4.1千文字の記事
  • 3
  • 0pt
掲示板へ
これは武田信玄も成し得なかった全制覇を消滅しかけたチームが達成した奇跡物語である。

番狂わせ甲府とは、2022年天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会天皇杯)で優勝したヴァンフォーレ甲府のことである。

概要

前年2021年J2リーグで3位に入り、この年からJ1参入戦が復活することからヴァンフォーレ甲府2022年J1昇格補の1チームとされていた。しかしシーズンオフ監督伊藤彰コーチをごっそり引き連れてJ1へ昇格したジュビロ磐田へ行ってしまい、代わりの監督人事が難航。そんな中2017年から2018年途中まで監督をしており、シンガポール代表監督になっていた吉田達磨を監督に再招集。選手のの流出も最低限に食い止めるなどし、2022年はこの容で戦うことになった。

リーグ戦の状況

しかし甲府J2へ降格させたばかりかJ2でも低迷させた吉田達磨の再招集はサポーターの間で疑念を生み、開幕戦のファジアーノ岡山戦で1-4とフルボッコにされたことでそれが現実となり阿鼻叫喚4月に一度は立て直すも5月に再び低迷し、さらに6月にはチームキャプテン週刊誌をお騒がせすることをやってしまい退団するなど(これはとんだとばっちりとはいえ)チーム状況は最悪ともいえる状況になってしまった。

そんな中リーグ戦に並行して5月から天皇杯が開幕。甲府は初戦(2回戦)の環太平洋大学に5-1と大勝するもサポーター天皇杯捨ててでもリーグ戦の惨状をどうにかしろという状況であった…が、ここから甲府奇跡カーニバルが開幕するとはこの時も知る由はなかった。

天皇杯での相次ぐJ1勢の撃破

6月に入り3回戦の相手はJ1北海道コンサドーレ札幌2019年ルヴァンカップ優勝相手にオウンゴールで相手に先制を与え「やっぱりダメだ」となるもその後逆転し、さらにPKを与えるもGKセーブしそのまま勝利した。但しこの時は他所でもJ1勢がJ2勢に負けた試合が多く(後述)、甲府札幌に勝った試合は特に注されることはなかった。

次の相手はJ1に10年以上定着しているサガン鳥栖。この試合でも甲府は終始有利に試合を進め、3-1と勝利しこれまでのチーム最高成績に並ぶベスト8に進出した。このあたりからサポーターは低迷しているリーグ戦より天皇杯に注し始め、そっちを応援するようになる。

7月に行われた準々決勝の相手はやはりJ1アビスパ福岡。試合は1-1のまま延長に入り、延長前半で重な勝ち越し点を得た甲府がそのまま逃げ切り2-1で勝利クラブ初の準決勝進出を成し遂げた。ちなみに準決勝に進出した時点で賞2000万(J2優勝と同額)ゲットとなり、サポーターは「重な収入が手に入った」と大喜びであった。

準決勝まで3ヶ以上くことになり、天皇杯ベスト4に入った勢いをJ2リーグ戦でも…と思ったが、現実は残酷な状況に陥ってしまう。8月FC琉球戦の勝利を最後にまったく勝てなくなり、9戦未勝利かつ6連敗を喫してしまう。当然サポーターの心がゲシュタルト崩壊したのは言うまでもなく、J1昇格どころかJ3降格すら見える状況にSNSだけでなく試合終了後の挨拶でも「吉田達磨辞めろ」監督に辞めてもらいたい人手を挙げて(実話。但し2018年の話)」大合唱火の粉監督社長だけでなく筆頭山梨日日新聞新スタジアム計画を白紙にした山梨県知事にまで飛び、ここでは書けない罵が飛び交うことになった。

そんな状況で10月5日の準決勝の相手は天皇杯だけでも過去5回優勝AFCチャンピオンズリーグ優勝FIFAクラブワールドカップレアル・マドリード相手に延長まで死闘をしたことがある鹿島アントラーズである。今の甲府の状況から「ドラゴンクエストⅢで例えるならレベル15で(適正レベル35の)バラモスを相手にするようなもの」と評されるほど実差があると思われたが前半先制したのは甲府のほうで、その後鹿島は「メラゾーマイオナズン」をガンガン発動するかのごとく猛攻を仕掛けるも点が取れずにそのまま試合終了。なんと下評を覆し甲府が決勝へ進出したのである。

まさかの結果に甲府サポーターは「賞2000万円から5000万円に増えた」「リーグ戦のことなんて忘れて決勝会場でお祭りだ!」と狂喜乱舞し、震えた手で決勝戦のチケットを購入し始めた。一方甲府に勝つことを前提に決勝戦のことしか頭になかった鹿島サポーターは購入済みの決勝戦チケットを片手に頭を抱え、SNS上で「甲府サポさん3割引、いや半額でいいからチケット買って」と泣きすがる光景が見られた。

名(迷)言の誕生、そして伝説へ…

甲府が決勝戦に進出した翌々日(10月7日)の朝日新聞で元横浜F・マリノス柏レイソルなどで監督を務めていた早野宏史甲府を評価する中で「まさに(ヴァンフォーレに絡んで)番狂わせ(ヴァンクルワセ)甲府だね」ダジャレを披露。これにハヤリストが反応し「早野ダジャレが炸裂した!」と歓喜に沸いたとかどうとか。

そしてリーグ戦では7連敗となって迎えた10月16日の決勝戦、横浜日産スタジアムに迎えた相手はJ1リーグ3度優勝を誇るサンフレッチェ広島ドラゴンクエストⅢで例えるならまさにラスボスであるゾーマそのものであるが、前半に甲府攻撃が「ひかりのたま」を発動したかのごとく広島鉄壁バリアを破り、最後は三平和が押し込んで先制。しかし広島も後半残り8分に川村が「ここえるふぶき」で相手を凍らせるかのごとく強シュート叩き込み同点に追いつく。そのまま延長に入りその後半、途中から入った甲府生きる伝説こと山本英臣が自ゴール前でハンドをとられPKを献上。HP残1状態となり万事休すと思われたがここでGK河田兵が「けんじゃのいし」を使って回復…ではなく好判断でセーブPK戦まで持ち込むことに成功する。

PK戦でもGK河田兵が4人阻止したのに対し甲府は4人全員が決め、5人ハンドを取られた山本英臣。甲府サポが祈る中、山本の蹴ったボールゴール左側に吸い込まれ、試合終了。

ヴァンフォーレ甲府伝説になった間であった。

この優勝で賞1億5000万円、2023年AFCチャンピオンズリーグ出場権、決勝2週間後にずれ込んだ信玄まつり武田軍団と一緒にパレード催行などとしか思えないご褒美を手に入れた。

ちなみにその後リーグの連敗も止まってJ2残留も決まり、めでたしめでたし

余談

この天皇杯の決勝戦では甲府ゴール裏で自前の大旗を必死に振っているおじいちゃんが大きく映し出され、注を浴びる事になった。このおじいちゃんは20年来のヴァンフォーレ甲府サポーターであるが、奥さん病気になったため一時サポーター活動をやめていた。しかし奥さんの体調が快方に向かい、さらに応援するチームが一世一代の大舞台に立つことから復帰し、横浜まで駆け付け応援している。

この所謂「老兵が全で旗を振って応援する姿」は戦国時代末期エピソードを連想させるものであった。

大坂の陣の時、井伊直孝率いる備え部隊は他の部隊駕する注の的であったが、総大将徳川家康だけは「あんな(ピカピカの)備えがあるか。ろくに戦ったことがないことがわかってしまうではないか。」と嘆いた。しばらくすると古びたい甲冑をまとった老兵の集団が通り、他の武将は「あんなのが戦えるのか」と失笑していたが、徳川家康は「あれは甲斐(=武田信玄の遺臣)の者どもだな」と確認し、「いかにも精錬されている、あれがまことえなるぞ」と評した。

まさにヴァンフォーレの基となった武田軍団徴するエピソードであり、その伝統が受け継がれているともいえる。

その他

関連動画

関連項目

関連記事

親記事

子記事

  • なし

兄弟記事

  • なし

【スポンサーリンク】

  • 3
  • 0pt
記事編集 編集履歴を閲覧

ニコニ広告で宣伝された記事

テイルズオブアライズ (単) 記事と一緒に動画もおすすめ!
提供: 五月雨
もっと見る

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ピコカキコがありません

番狂わせ甲府

1 ななしのよっしん
2023/12/12(火) 21:25:51 ID: qqumtzc+6B
ACLグループリーグも突破した
👍
高評価
0
👎
低評価
0
2 ななしのよっしん
2023/12/28(木) 17:45:05 ID: vYylcIJRvp
ACL1回戦の相手は蔚山現代
Kリーグ2連覇中の韓国最強クラブっすね
これはいきなり凄いマッチ
👍
高評価
0
👎
低評価
0