連続テレビ小説とは、NHKで放送されている長期テレビドラマシリーズの呼称である。通称「朝ドラ」。
2025年度下半期放送の作品は113作目となる『ばけばけ』。
概要
1961年から50年以上にわたって日曜日を除くほぼ毎朝放送されており、大河ドラマと共にNHKの二大看板とも言うべき、長寿作品である。ちなみに、大河ドラマ第1作『花の生涯』は1963年放送のため、連続テレビ小説の方が2年歴史が古い。
また、1回の放送は15分と短いが、半年にわたって放送すると大河ドラマと同じく4クール分に相当する(1961年度の『娘と私』から1974年度の『鳩子の海』まで全作、1983年度の『おしん』、1991年度の『君の名は』、1994年度の『春よ、来い』は1年放送のため、8クール)。しかも大河ドラマは1年掛けて放送するため、その二倍の内容を撮影することからハードスケジュールとなる。
かつては月曜日から土曜日の週6回放送だったが、2020年度の『エール』以降は第1作目『娘と私』以来の週5回となり、土曜日にダイジェストを放送する形式になっている。
初期の作品はタイトルの通り、ドラマよりナレーションが中心となった昭和時代の文豪が執筆した小説の映像化といった意味合いが強く、1963年度の『あかつき』や1965年度の『たまゆら』では、それぞれ原作者の武者小路実篤・川端康成がモブ役で特別出演している。
現在の朝ドラの事実上の原点となったのは、1966年度の『おはなはん』であり、これ以降は戦前戦後を生き抜いた女性の一代記、平成以降では現在を舞台にした若きヒロインとその家族や仲間を描くホームドラマが定番となっている。初期の作品以外でも、ごく稀に男性が主人公の朝ドラもある(1984年度の『ロマンス』『心はいつもラムネ色』、2014年度の『マッサン』など)。
連続テレビ小説のヒロイン(主人公)役はオーディションで選ばれた若手女優が演じるケースがほとんどである(最近では、『純情きらり』の宮崎あおい、『ゲゲゲの女房』の松下奈緒など、オーディション無しで初めから主役に指名された場合もある上に、『まんぷく』以降の作品は指名によって選出されている)。
朝ドラの主演がきっかけとなって現在でも芸能界で活躍する人は多数にわたり、同じNHK作品でも大河ドラマの女性キャラクターを演じたり、十数年経つと今度はヒロインの母親役や教師や上司などヒロインを助ける役柄で朝ドラに戻ってくるパターンも多い。また、ヒロインの兄弟姉妹や友人・ライバル、さらには恋人・夫役の若手俳優の出世作となる場合も多く、場合によってはヒロイン役よりも有名になった俳優もいる(『走らんか!』の菅野美穂、『天うらら』の仲間由紀恵、『わかば』の崎本大海など)。
また長期撮影を経験しているテレビ朝日系『スーパーヒーロータイム』枠で出演した俳優の起用も多く、ここから更なる飛躍を遂げる面々も多い。
かつては大河ドラマと同じく、演奏のみのオープニングテーマが多かった。朝放送されるために明るく爽やかな曲調が多いが、『おしん』のようなシリアスなドラマでは暗めの曲になる場合もあった。1992年度後半期の『ひらり』では初めてJ-POP歌手とのタイアップが行われ、現在はむしろ主題歌のある朝ドラが主流となっている。こちらも担当した歌手が、その年の紅白歌合戦で朝ドラの主題歌を歌うケースが非常に多い。
直後の朝の情報番組『あさイチ』とも連動しており、司会者らが当日分の回を視聴して番組冒頭で感想を述べるのが定番となっている。
1983年度放送の『おしん』第186回で記録した62.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は放送から30年近く経った現在でも破られていない日本のテレビドラマ最高視聴率記録である。後にスリランカ、インドネシア、フィリピン、台湾、香港、ベトナム、アフガニスタン、シンガポール、エジプト、イランなど世界66か国と地域で放送され「世界で最もヒットした日本のテレビドラマ」とまで呼ばれている。
1990年代前半までは全話の平均視聴率が30%を超える定番ドラマであったが、2000年代からは平均視聴率が20%を下回るようになった。これはNHK総合の放送以外にも、BS・ハイビジョンによって1日に何度も再放送されることや、本来の放送時間帯に見られない視聴者層による録画での視聴、さらにNHKプラスでの配信やDVDのソフト化など視聴方法が多岐にわたるため、朝ドラ離れが進んだとは一概には言えない。
しかし、1962年から長年に渡って固定されていた総合テレビでの放送時間(8:15~8:30)が見直され、2010年春より放送時間が15分繰り上がり現在の放送時間となった(これに伴い、直前に放送されている「おはよう日本」は15分短縮)。放送時間移動後第1作となった『ゲゲゲの女房』はこの影響もあり初回の視聴率が低かったが、徐々に人気が上昇して高視聴率を記録する人気作となった。
2012年度放送の『梅ちゃん先生』が再び平均20%台を回復、2013年度の『あまちゃん』から連続して20%台の平均視聴率を達成した。
姉妹番組として1969年~1972年に『銀河ドラマ』、1972年~1989年に『銀河テレビ小説』という『夜の連続テレビ小説』と言うべき連続テレビドラマ枠が存在した。
第15作目『水色の時』以降は一部を除いてNHK放送センター(NHK東京)が上半期(4月~9月)の作品の制作担当、NHK大阪放送局が下半期(10月~翌年3月)の作品の制作担当を分担して受け持っており、東京制作では東京を中心に中部以東を舞台にした作品、逆に大阪制作では大阪を中心に関西以西を舞台にした作品を制作する傾向がある(無論例外もある)。
新型コロナウイルス感染拡大の影響による撮影中断を受けて『エール』の放送終了及び次作『おちょやん』の放送開始が2ヶ月ずれることになった。以降の作品では放送期間を従来より短縮する事でスケジュールを少しずつ修正していく方策がとられていた。
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