金田一少年の事件簿 殺人レストランとは、漫画『金田一少年の事件簿』のエピソードの一つである。全三話であり、単行本では短編集(3)に収録されている。テレビアニメは1999年9月13日に第104話として放送された。アニメ化の際のタイトルは「殺意のレストラン」。
概要
殺人が起こったレストランをたまたま訪れた金田一一行が、食事を楽しむ傍らに事件を解決していくお話。
犯人側の視点で進行するため、読者には犯人はおろか殺害方法も分かっていて、金田一がどうやってそれらに気付き推理していくのかを描いた、所謂「倒叙形式」の作品。
アニメも作画が良く、ギャグ描写の追加と声優の演技も相まって腹筋崩壊する視聴者が後を絶たなかったらしい。
登場人物
男(CV:牛山茂)
少し有森と似ている、縁なしの眼鏡とスーツに身を包んだ男。本名は不明。身長は182cmの剣持と同じくらい。喫煙者であり殺人を犯した直後に堂々と一服している。超一流の大学で教授候補のエリートであり、即座に死体を隠す等そこそこ起点は利くのだが、この歳になってフォークとナイフの置き方やコーヒーの淹れ方すら碌に知らないなど無知な一面も。相手にも非があるとはいえ突発的に殺人を犯し隠滅まで計画するなどれっきとした悪人なのだが、乱降下する悪運に振り回される心情が事細かく描写されるのとギャグ調な展開もあって応援したくなる。
金田一一(CV:松野太紀)
お馴染みの高校生探偵主人公。IQ180を誇る天才で、今回は偶然の行動や思い付きの発言(と思わせた計画的な言動)で犯人を心理的に追いつめてゆく。「そういやぁ何だっけ?海外のミステリーで冷凍肉を凶器にして人殺しをするってのがあったなあ?オッサン!」
剣持勇(CV:小杉十郎太)
一を連れて来店した警視庁捜査一課の警部。男が適当に入れた濃すぎるコーヒーを絶賛したり、殺人に使用したリブロースのソテーを平らげたりと死んだ舌と鉄の胃袋の持ち主。男から一との少年援助交際を疑われるなどある意味一番の被害者だが最後は美味しいところを持っていく。
女店主(CV:勝生真沙子)
「軽食&喫茶 大草原の小さな家」の女性店主。金田一曰く身長は155cmくらい。男には45kgと言っていたがどう考えても50kgは超えているらしい。仕込み中、学長の娘との縁談を進めるため、それまで付き合っていた自分との別れ話を持ちかけた男に対し、自身の借金返済のため法外な手切れ金(アニメでは5000万円となっている。とても教授候補が払える額ではない。)を要求し強請っていたところ、背後から頭部を冷凍肉で殴打された。男から「年増」と言われていることから30代以上だと推測される。歳相応に少しくたびれているが結構美人。花柄やテディベアを愛好するなど少女趣味であり、店名にしているように「大草原の小さな家」が大好きで、古いフォークギターやレコードで店内をアメリカンカントリー調に飾っている。カレンダーを敷き紙にしてクッキーの型抜きをするなど飲食店を経営する身とは思えないほどだらしがなく、大事なはずの店にはネズミが住み着いている。
クリーニング石原(CV:シャルル)
中盤に女店主がクリーニングに出していた女性用のユニフォームを持ってきたクリーニング屋。
宅配便の店員(CV:ボブ桜上水)
後半で店に宅急便を持ってきて、自身が明けたドアから男が逃走しようとしたところ、剣持が男に一本背負いを決めるという捕物を目撃することとなる宅配便店員。
七瀬美雪(CV:中川亜紀子)
ヒロイン。今回は登場しないがアニメでは少しだけ出番がある。
ストーリー
ある日の小さなレストラン内。
別れ話を切り出したところ、女店主から法外な手切れ金を要求されたことにキレた男は突発的に店にあった冷凍肉で彼女を殴り殺してしまう。
死体を隠し、深夜になってから車で運び、借金のための夜逃げに見せかけようと画策。
死体を冷蔵庫に入れ、冷蔵庫内の野菜やフルーツなどをすぐさま客席の下の物入れに隠すなど隠蔽を施していたところ、間が悪いことに金田一と剣持の二人が来店。仕方なく店のマスターになり切ることに。
思いのほか長居する客に、ランチとして超濃ゆいコーヒーとレトルトカレー、適当に切ってそこらへんにあるスパイスを全部振りかけた牛肉ソテーを提供し、途中届いたピンクのフリフリエプロンを着こなし、食後にはクッキーとスイカも出すなど、しどろもどろながらその場をしのいでいた男だったが、ようやく二人が帰るという段階になって、金田一が携帯も財布も警察手帳も持った剣持に、捜査一課刑事としての仕事を忘れていると指摘。
金田一は店に入った瞬間から違和感に気付き、店内と男の様々な言動を観察するうちに男が本来の店主を殺し、その場しのぎで店主を成りすましている「部外者」であるということを見抜いていたのだ。
物入れから出したはずのスイカがちゃんと冷えていたことから死体の隠し場所まで当てられた男は、もう弁解はできないと逃走を始めるが、剣持が背負い投げでそれを阻止。
金田一が指摘した男と店の違和感
- トイレットペーパーの置き場所を知らない。
- パンを焼いていたことを知らない。
- ナイフとフォークの置き方が逆。
- 不要な踏み台がある。
- 当然常温のはずの椅子の下の物入れからスイカを出しそれでいてスイカが冷えていた。
- カレンダーの祝日でない日に女店主の頭から流れ出た血によって赤い花びらマークがついていた。
- 女物の靴をちりとりで回収。
- どう考えても似合わないピンクのフリフリエプロン。
アニメとの主な相違点
- この回を予告する次回予告では金田一が古畑任三郎のマネをしている。
- アニメでは女店主はまだ息があり生き延びている。このためにタイトルの「殺人」が「殺意」に変更されたと見られる。
- 女店主を殴打した直後に男がネズミに驚くシーンが追加。
- スポットライトで照らされる演出や店内の血生臭さを指摘されたシーンの顔などギャグ描写が追加。
- 男が踏み台に躓いて転ぶシーンが追加。
- 金田一が「‥‥‥‥なるほどねー」と言うシーンがカット。
- コーヒーの粉を入れたヤカンの中身を映すシーンが追加。
- 剣持が食へのこだわりを見せるシーンがいくつか追加。
- 金田一がコーヒーに入れるミルクが二個から六個になり、ミルクの容器も金属製になっている。
- 男が金田一と剣持の関係性を疑うシーンの「少年エンコー」という単語がカット。
- 剣持が「容疑者が逃走した!!」と叫ぶシーンがカット。
- 男が心の中で「もー人殺しなんてしませんからどーか許して〜!!」と嘆くシーンがカット。
- 男の「みのもんたも言ってます!!」というセリフが「テレビでやってましたよお?」に変更。
- アラームが鳴りオーブンで焼いていたパンに気付くシーンがカット。
- 金田一が思いっきりネズミを踏んでいる。
- カレンダーの月が7月から9月に変更。それにより花びらマークが付いた日付とセリフも変わっている。
- 届いた絵の中の家の屋根の色が赤であり、少し丸みを帯びたフォルムになっている。
- リブロースを凶器として使用したことを剣持が知るタイミングが男を逮捕した後となっている。
- 最後の方で美雪が少しだけ登場し、二人を「コーヒーが美味しいお店」に誘う。
関連動画
関連リンク
関連項目
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