七つの宝石
わずか七度の邂逅で
君は鮮烈な印象を
僕に残した。
そのひとつひとつが
大切な思い出だ。
ファビラスラフインとは、1993年生まれの日本の元競走馬である。秋華賞の記念すべき初代優勝馬で、後の「女帝」を打ち負かし、海外馬相手にも好勝負を演じた「天才少女」。
なお、口頭では「ファビュラスラフイン」とされることがある。これは英字スペルが「Fabulous la Fouine」(IPA:fˈæbjʊləs l' fwin)で、そのまま日本語に起こすと馬名の9文字制限に引っかかることから、省略してもあまり問題がない「ュ」を省略したため。なおイが捨て仮名(ィ)とされることもあるが、「ラフイン」のイは「oui」と同じ発音のため、こちらは捨て仮名としないほうが正しい。
主な勝ち鞍
1996年:秋華賞(GI)、ニュージーランドトロフィー4歳ステークス(GII)
※年齢表記は競走馬として活躍した時代に合わせ、旧年齢表記(数え年)とする。
父Fabulous Dancer 母Mercalle 母父Kaldoun
父はノーザンダンサー産駒、母父は80年代フランスで一世を風靡した種牡馬と、典型的なヨーロッパ血統の馬。というわけでもちろん本馬はフランス産のマル外である。当時のクラシックにはマル外は出られなかったため、この年から創設された4歳混合GIのNHKマイルカップを目指すこととなった。
デビューは遅れ4歳の2月終わり。鞍上には藤田伸二を迎えた。しかし、ここで先行して7馬身つけて勝ってしまうのである。次の500万下も2番手先行からの5馬身差勝利。満を持して初重賞のNZT4歳Sに向かうこととなる。
ここではすでに重賞を勝っているエイシンガイモン、スギノハヤカゼ、ゼネラリストを抑え堂々の1番人気。結果は他馬に影すら踏ませない逃げ切り勝ち。
ここまで3戦3勝。天才少女、無傷で初代王者か!と騒がれ、NHKマイルカップでは単勝2.3倍、当然1番人気。レースではいつも通りの2番手先行策。しかし超ハイペースに巻き込まれて消耗してしまう。直線で力尽き馬群に沈み、14着惨敗。天才少女は大舞台で「挫折」を味わうという結果で春を終える。
秋は鞍上に松永幹夫を迎え、マイルカップ同様この年創設の4歳牝馬三冠最終戦・秋華賞に向かうことに。
前年までのエリザベス女王杯から牝馬三冠の秋最後の一冠を引き継いだこの競走。桜花賞馬ファイトガリバーこそ故障で不在だったが、マイルカップで先着を許したものの小倉記念・ローズSと連勝でやってきていた同じマル外牝馬ヒシナタリー、そしてクラシック路線を進んだエアグルーヴやエリモシックといった内国産馬との激突が期待されていた。
既にエアグルーヴはこの世代の牝馬ナンバーワンとの呼び声高く大本命、対抗はトライアルのローズSを勝ったヒシナタリー…という訳でこのレース5番人気で迎えることとなったファビラスラフイン。
レースではシルクスプレンダーが逃げる展開の中、いつも通りの先行でレースを進める。他馬に目を向けると、エアグルーヴは中断から、そしてヒシナタリーはこれをマークするような形。しかし人気馬2頭そろって伸びてこない。エアグルーヴに至っては3角で既に鞭が入っている。これはおかしいぞ…?
話をファビラスラフインに戻そう。彼女は4コーナーから抜け出す形で先頭に立つと、エリモシックやロゼカラーの末脚も振り切り、初代秋の女王の栄光に輝いた。有名な話だがエアグルーヴはパドックでファンからカメラのフラッシュを焚かれたことで集中力を欠いてしまった(結果としてこの一件以来、パドックを始めとした競馬場や牧場でのフラッシュ撮影の厳禁が注意喚起されるようになった)。さらには仕上げすぎたことで逆に調子を落とし、挙句レース中に骨折していたのであった(10着)。
そして、松永にとってはこの年の春、NZT4歳Sで負かした相手のゼネラリストの調教の際に負傷し、この秋に復帰したのだが、彼の復活を示すかのような勝利となり、インタビューでは男泣きを見せた。そして、彼が後にキョウエイマーチやヘヴンリーロマンスなど共に活躍する「牝馬の松永」と呼ばれていくことを象徴づけるような勝利となった。なお単勝5番人気の割に複勝は9番人気(690円)で、馬連は5番人気-3番人気決着ながら1万5500円ついた。前走からして逆噴射の懸念があり、軸にはなるが紐にはならないと見られたからだろうか。
そして天才少女が次に向かったのは古馬混合となり、ヒシアマゾン、ダンスパートナー、ホクトベガといった強力な先輩たちが待ち受けるエリザベス女王杯ではなく、牡馬どころか海外の強豪馬も押し寄せるジャパンカップ。この年の凱旋門賞馬エリシオ、この秋の北米GI(カナディアン国際S、BCターフ)で好走していたシングスピールと強力な海外馬が参戦、クラシック世代馬も彼女やヒシナタリーのほか、バブルガムフェローやタイキフォーチュン、さらには日本勢の古馬ではエリザベス女王杯から参戦したダンスパートナーなどと揃ったため7番人気で迎えた。
3番手先行でレースを進めたファビラスラフインは直線を迎えてもあのマイルカップのように沈むことなく、余力が残っていた。馬場の真ん中抜け出そうかというところ、やってきたのはシングスピール。200を切ってからは伸びがないヒシナタリーやバブルガムフェロー、そして猛追するエリシオやタイキフォーチュンを尻目にシングスピールとの叩き合いを演じ、なんとハナ差2着という好走。馬名ファビラスの邦訳通り「素晴らしい」走りを見せた。やはり天才少女は天才少女だったのである。
この後陣営は海外遠征を検討しながらも、その年の最終戦として挑んだ有馬記念は10着に終わり、さらに故障を発症して引退し、繁殖牝馬となった。なかなか重賞ウィナーを出せずにいたものの、2012年には9番仔のギュスターヴクライ(父ハーツクライ)が阪神大笑点 阪神大賞典でオルフェーヴル世紀の大暴走・失速からの猛追を振り切って勝ち、ようやく産駒から重賞馬を輩出した。これに安心したのか、その1年後の2013年5月11日に20歳で死亡した。
Fabulous Dancer 鹿毛 1974 |
Northern Dancer 鹿毛 1961 |
Nearctic | Nearco |
Lady Angela | |||
Natalma | Native Danver | ||
Almahmoud | |||
Last of the Line 青鹿毛 1967 |
The Axe | Mahmoud | |
Blackball | |||
Bryonia | Honeyway | ||
Belladonna | |||
Mercalle 芦毛 1981 FNo.3-e |
Kaldoun 芦毛 1975 |
Caro | *フォルティノ |
Chambord | |||
Katana | Le Haar | ||
Embellie | |||
Eole Des Mers 青鹿毛 1965 |
Carvin | *マリーノ | |
Coraline | |||
Deesse Des Mers | Neptune | ||
Brise de Mer | |||
競走馬の4代血統表 |
掲示板
5 ななしのよっしん
2022/02/07(月) 23:57:12 ID: XMI10uiETV
昔の馬かと思ったら突然ギュスターヴクライの名前出てきてびっくりした
6 ななしのよっしん
2022/03/01(火) 14:45:37 ID: fY7zmogj+Q
>>2
しかも2着とはいえ、全盛期ペリエの乗る凱旋門賞馬エリシオを抑えて、
同年エクリプス賞馬のシングルピールにハナ差2着だからな。
戦績も7戦4勝の内GⅠ1勝で十分凄いけど、このJC2着はホント目の眩む2着だと思う。
7 ななしのよっしん
2022/09/23(金) 20:12:21 ID: rfXnx2r8wb
あのJCはシングスピールにとっても転機だった気がするんだよな。
それまでも強豪ではあったけど、世界的に見て抜きんでた存在とまでは言えなかった。
ファビラスラフインとの死闘を経て、超一流の仲間入りをした感じがする。
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最終更新:2024/11/09(土) 08:00
最終更新:2024/11/09(土) 07:00
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