ルシエルブルー(乗用馬) 単語

ルシエルブルー

6.5千文字の記事

ルシエルブルー(Le Ciel Bleu)とは、日本の元競走馬・現乗である。

競走名タマゴカケゴハン(Tamago Kake Gohan)。通常、元競走馬の記事は競走名で記事名が作成されるが、本は現オーナーの改名理由を尊重して、乗用名で記事を作り、「タマゴカケゴハン(競走馬)」はリダイレクトとする。

ネット上で珍名馬がもてはやされる中、その傾向に一石を投じた
カクヨムノンフィクションが掲載されている希有なでもある(関連リンク参照)。

概要

2006年4月7日生まれ。(引退後は騸馬)。

ビワシンセイキ・ホクトジョーオー(シンボリルドルフ)

言わずと知れた七冠船橋で4勝を挙げており、本が1番である。

2003年かきつばた記念とちぎマロニエカップダートグレード競走を2勝しているだが、後者は後に競馬場ごと止されている。日本でしばらく種牡馬をしたあと韓国輸出され、そちらでは韓国G1を輩出するなどそれなりの活躍を見せ、その地で2016年に亡くなった。

初代オーナー現在加藤テーブルを経営する加藤信之。今は「サン」を冠名較的まともな名前をつけているが、当初は「ハルワアケボノ」だの「ジョニーノデンゴン」だのと怪しげな名前をつけていた。

命名の理由は、「初代オーナー卵かけご飯専門店を始めようとしたから」との由だが、3代オーナーたなべコラムに又聞きとして書いてあることであり、偽のほどは定かではない。ただし事実として、その卵かけご飯屋は結局作られなかった。

競走馬時代

記録には残っていないが、デビュー戦は右前球節炎で出走取消となっている。

2009年、3歳新(中山ダート1800m)であらためてデビューしているが、16頭立て14着と大敗。続く3歳未勝利も同条件だったが、12頭立て11着とブービー

この2戦の結果、およびこのあと左前屈腱炎を発症したことで、登録抹消。以後は乗としてセカンドキャリアを歩むことになる。

2代目オーナー

としてタマゴカケゴハンを引き取ったこの2代目オーナーがどういう人物かは定かではなく、3代オーナーコラムから推測するしかない。

このオーナータマゴカケゴハンに乗としてかなり期待しており、そのため強く調教をかけ過ぎたのだという。故障が多くて競走馬引退したにもかかわらずこのようなことをされたため、1ヶもしないうちに足を怪してしまう。引き取り手を探していたところ、ちょうど自己所有馬を探していた3代オーナーに引き取られることになる。

なお、2代目オーナー時も名前は「タマゴカケゴハン」のままで、オーナーは彼の名前適当省略して呼んでいたらしい。

3代目オーナー

現在彼を所有する3代オーナーにして、彼を改名した本人。
カクヨムでのペンネーム「わたなべ りえ」YouTubeチャンネルソフト競馬馬主名義は「麻りん」。以降は「わたなべ りえ」に統一する。

彼女術経験者であるが、10年続けているのにあまりにも上達しないため…というよりあまりにも落が多いため嫌気が差し、乗を辞めていたことがある。なんせ、本のことを書いたコラムの序章が「馬なんかもういやだ!」exitである。

しかし、競走馬としても乗としても故障が多かったタマゴカケゴハンにとっては、あまり強い調教をかけられずにすむ、つまり言っては何だが「それほど上手ではない」乗り手にほどほどに乗られ、末永されることが彼の幸せにつながるかも知れない、という思いもあって購入したようである。

ただし、厳密には、しばらくの間名上のオーナーは所属していた乗クラブであり、預託料を払うことによって自として扱える、リース契約のような状態であったようだ。

飯じゃない青空だ!

ニコニコ大百科にある他の珍名馬の記事、特に掲示板を見ても分かるとおり、珍名馬は注を集めやすく、たとえ引退しても行方を心配したり、フォスターホース制度があるなら寄付金が集まりやすい傾向にある。わたなべインストクターも、注を集めやすいということで「そのままでいい」と言い、彼女もいい名前が思いつかずそのまま「たまご」などと呼んでいた。しかし、困ったことが起こった。

タマゴカケゴハン美しい栗毛を持つであり、初めて彼を見る人はそれを褒める。しかし、名前を聞くと笑われてしまうのである。は自分の名前が「マズイマズイウマイ」だろうと「ジーカップダイスキ」だろうと気にしないが、ある程度人間の感情を読むことはできると言われている。そのときのタマゴカケゴハンの表情を見たわたなべは改名を決意。

ルシエルブルー(Le Ciel Bleu/フランス語で『青空』の意)」と名付けた。
彼に出会った日の青空を忘れないように、という理由、そしてエディット・ピアフの賛歌』の歌い出しからの命名[1]だという。
コラムや動画では、略して「シェル」とも呼んでいる。

とはいえ、競走名「タマゴカケゴハン」も適宜使い分けており、カクヨムコラム・YouTube動画ソフト競馬では「タマゴカケゴハン」の名をどこかに使っている。コラムから推測するに、彼の行方を心配しているファンへの配慮も含まれると思われる。

ただし、コラムの中に、とある障害術競技で「あれ、タマゴカケゴハンだ!!!」と観客席からがした途端障害の手前でピタッと止まり落失権という記述があり、ルシエルブルー自身が、競走馬2代目オーナー時代の思い出がある「タマゴカケゴハン」の名を許しているかどうかは定かではない[2]。ただし、わたなべ本人も記述しているようにこれはわたなべシェルの言動を見て感じたことでありであり(そして自分も落しているということを考えれば)、バイアスが入っている可性は否定できず、本当のところはいてみなければ分からない。

馬術競技馬として

コラムを見る限り、馬場術、たまに障害術をやっているようである(しかし、障害怖いから避けているとも書かれている)。

成績については詳しい記述がないので割愛。少なくとも2018年4月2日時点でブルーリボン(優勝につけられるリボン)を2つ持っているとのこと。

ソフト競馬

ソフト競馬

どんな(など)でも、(怪しないなら)騎手の技術すら問わず参戦できる「競馬ごっこ」、ソフト競馬にも何度か参戦している。

なお、出走の際は柱が制作される(寄付金代わりに購入することも出来る)。
このとき、本物の柱と同じくん中に大きく名を書くのだが、ソフト競馬ではそこに乗用名を書くか競走名を書くかを選択できる。選択しなかった方は、小さく(競・◯◯)もしくは(現・◯◯)と書かれる。

タマゴカケゴハンは、現在のところ毎回競走名をん中に表記している。理由は不明だが、本競技が引退馬支援を大きな的にしていることを考えれば、「引退馬タマゴカケゴハン」を探している人のために競走名を優先するのは理にかなっていると言えるかもしれない。

ソフト競馬成績

2021.08.14 第1回ケーキ屋記念 4着
2021.10.27 第2回軟専門賞 6着・ソフトターンドアウト賞
2021.12.29 第5回記念 5着 ファン投票17位 SPP上位10頭

ライバル(?)たち

サンツェッペリン

タマゴカケゴハンの初代オーナー加藤テーブルネットラジオを持っているのだが、彼の初出走の際、元所有馬の彼がソフト競馬に出走する旨がリスナーのお便りで読まれた。その縁か、同ステーブルエース・2年先輩のサンツェッペリン(な勝ち:2007年京成杯)も第2回スマイルチャンピオンシップに出走することになった。

そのため、タイミングが合えば元同オーナー同士の対決があり得る。

なお、タマゴカケゴハン自身は、わたなべの所有となった後で競走馬時代のオーナー(すなわち加藤信之)に偶然遭遇し、横っ飛びして怖がるというエピソードがある[3]が心配であるが、本競技は「走っている様子をビデオで撮して、催者が合成タイム計測をする」という形式のレースなので、タマゴカケゴハン加藤テーブルに行ったり、そこの関係者と顔を合わせる心配はほぼない。

ローレルアウェイク

通称「あーこ」。キングヘイロー冠名で分かるとおり元ローレルレーシング所有である。

ホーストラストから移動し、わたなべ友人との共同所有となった乗
彼もルシエルブルーと同じ牧場に預託されている。

ソフト競馬に出走しており、第1回ケーキ屋記念で対戦した(ローレルウェイク1着、タマゴカケゴハン4着)。

ルシエルブルーと共同でYouTubeチャンネルを開設。収益は彼らの預託料の一部となっている。

2022年3月30日より、カクヨム彼をテーマとした連載exitが開始された。

珍名の是非

ニコニコ大百科に「珍名馬」の記事が盛したり、テレビ新聞で盛り上がるなど、2020年代珍名馬ブームである。タマゴカケゴハンは、そういったものがブームになる前の珍名馬であった(名が名物になる馬主は何人かいたが)。

命名権はオーナーにあり、ジャパン・スタッド・ブックが認めさえすればどんな名前をつけようが自由である。変な名前をつければそれだけで注を浴びる。「スモモモモモモモモ」のように、ほとんど名前だけで11戦0勝のぬいぐるみが作られるほど人気になった例もある。

しかし、名前を呼ばれるのはであり、笑われるのもである。それでが嫌な気持ちになったならば、それは動物虐待と変わらない。

このことを、3代オーナーのわたなべは、人間のいわゆる「キラキラネーム」を引き合いに出してか、こう記している。

皆、この名前を忘れないだろう、覚えてくれるに違いない。
……が。

タマゴカケゴハンは、房の中で、を丸くして、その反応を見ていた。
その表情は、どこか不安げにも見えた。

どうしてこの人たち、ボクちんを見て笑うんだろう?

その顔を見て、私は名前を改めることにした。
このは、人の都合でおかしな名前をつけられて、常に人間に笑われて過ごしてきた。
名をつけられて、恥ずかしい思いをしているのは、人間だけじゃないんだ、と思った。

――タマゴカケゴハンexit

もちろん、名そのものが悪いわけではない。前述の「スモモモモモモモモ」はその名前だけで世界アイドルホースとなり、1勝しただけで大喜びされ、今も大井ダートを走り続けている[4]

珍名馬の筆頭格・小田切有一氏は、「競馬場に出たらファン、だからファンに喜んでもらえる名前にする」としている。

息子の、これまた珍名馬として有名な小田切氏も、インタビューでこう答えている。

「その名前によってかを傷つけたりせず、ファンはもちろん、実況アナウンサー記者なども巻き込んで、みんなで楽しく盛り上がること」

(中略)

競馬というとどうしてもギャンブルというイメージがつきもの。でもそのなかには、年間デビューする7000頭以上の1頭1頭に、生産者から厩務員、調教師等多くの人が関わり、いろいろなドラマがあって、それを掘り下げていくと実に面白いんです。そういうところにも注して、応援してもらえたらと思います。すごい血統のを持っているわけではないので、強いファンを獲得するのではなく、名前も含めて、人間味のあるドラマを見せることで、ファン層を広げていけたらと思っています」

――「オレハマッテルゼ」「オマワリサン」、親子二代にわたる“珍名”競走馬への飽くなき情熱「実況アナ泣かせの珍名も…」exit

大事なのは、ファンが笑うことによっても喜べること人間に嘲笑されるのとはわけが違う。

たなべも、他の珍名馬珍名馬を直接批判する文章は書いていない。「タマゴカケゴハン」を改名した理由も、「名前が変だから」は直接的な理由ではなく(そこでは最後まで迷っていた)、人間に嘲笑されたから」変更したのである。

最初は「変な名前がいるぞ!」と面がっている人間たちも、レースを見ていく内にその結果に一喜一憂し、そのドラマ感動する。Potooooooooのの大種牡馬としての実績、得意技は逃げ切り勝ちの「オマワリサン」、る「モチ」、エガオヲミセテの非業の死へ、同じ厩舎に預けられたゲンキヲダシテとオレハマッテルゼげた高松宮記念ピカピカ(競走馬)西田一郎との雷特別制覇、アサマノイタズラの差し切り、アカイトリノムスメ飛翔アカイイトの逆襲、そしてオレデイイノカに始まりオヌシナニモノで終わった2021年11月7日珍名馬祭り珍名馬マニアは、名前を面がるだけでなく、もう二度と見られない名とのマリアージュが見たいのである。

タマゴカケゴハン」と名付けた初代オーナーは、彼にどんなドラマを託してその名前をつけたのか。3代オーナーが名付けた「出会った頃の」に負けないぐらい、卵かけご飯への想いがあったことを願う。

タマゴカケゴハンの命を救ったかも知れない馬

実は、タマゴカケゴハンはとある名に命を救われていたかも知れない。

そのの名は、ディープインパクト
下の三冠馬が、競走馬としては2戦0勝で終わったの命を救ったって何だ?と思うかも知れないが、3代オーナー・わたなべが乗を再開するきっかけとなったのが、ディープの菊花賞だったのだ。

それがなぜか…はコラムを読んでいただくとしてexit

いずれにせよ、そのタイミングでわたなべは乗を再開し、乗クラブを借りるよりも所有した方が安上がりと言うことで[5]、ちょうどそのタイミングで手放された本を選んだ。人間に笑われたあの名前も変えてもらえた。

競走馬として2戦で故障し、乗として1年未満で故障した。引き取り手がつくかどうかは絶望的であり、つかない場合の末路は、にかかわる者ならでも知っている。

10年も「初心者」を続け、故障させるような強い調教をかけられずに済む乗り手がオーナーとしてたまたま現れたことによって、タマゴカケゴハン改めルシエルブルー今日まで生きながらえることが出来た…と考えると、人間だけでなくも万事塞翁がといえよう。

ディープインパクトはそんなことを知るよしもないが、彼も既に「青空」の上に行ってしまった。たまには「青空」の名に改名した、自分が命を救ったかもしれないもそこから見守ってあげて欲しい。それは彼の隠れた「八冠」なのかもしれないのだから。

関連リンク

関連項目

脚注

  1. *原文はフランス語だが、「青空が落ちてこようが、大地が崩れようが、方が私を愛してくれるならどうだっていい」という歌い出しである。
  2. *例えば、動物を叱るときに「ダメ!」「バツ!」ではなく「こら◯◯!」と名前で呼んでしまうと、自分の名前怖いものだと思ってしまうことがある。これはのしつけ本などにも書いてある。
  3. *競走馬として他べて特にひどいに遭った根拠にはならない。アスリートとしてきつい訓練を課されたが短期で辞めてしまった人がコーチと偶然遭遇しても同じことになるだろう。
  4. *2022年3月時点で16戦1勝
  5. *騎乗回数が非常に多かったので、で言えばレンタカーを毎週借りるより中古1台買った方が安上がりという状態だったようである
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