GUND-ARM(ガンド-アーム)とは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場する機動兵器のカテゴリ。作中では基本的に、略称のガンダムと呼ばれる。
→同作品に登場する同名の企業については、記事「GUND-ARM Inc.」を参照。
※パーメット、GUND、GUNDフォーマットの各記事も要参照※
GUND-ARMとは、GUNDフォーマットと呼ばれる基幹システムを搭載したモビルスーツである。「『機動戦士ガンダム 水星の魔女』及び外伝漫画『機動戦士ガンダム 水星の魔女 ヴァナディースハート』におけるガンダムの正式名称である。
GUND-ARMは、地球の兵器企業「オックス・アース・コーポレーション」によって生産された。オックス社はパーメット研究機関であった「ヴァナディース機関」を買収し、身体機能拡張技術であったGUNDを、MSの操縦手段へと軍事転用したのである。
GUND-ARMには、「シェルユニット」と呼ばれる制御端末が搭載されていて、主に機体の頭部・胸部上面に位置する。パイロットとGUND-ARM間での膨大な情報伝達と処理を可能にしたこの端末は、GUNDフォーマットの稼働レベルが一定の強さに達した際に赤く発光する。
GUNDフォーマットを使用することでGUND-ARMと搭乗者は文字通り「人機一体」となり、従来機と比べ飛躍的に運動性と操縦性が向上。また「ガンビット」と呼称される次世代群体遠隔操作兵器システムを用いた兵装の運用も可能となった。
だが、一方で致命的な問題もあった。平均的な人間のおよそ10倍の大きさである、18mのMSを非生物機構で無理矢理リンクさせて制御させることで、人体に強烈な負荷がかかることが判明したのである。
GUND-ARMは「パーメットスコア」と呼ばれるGUNDフォーマットのスコアを上昇させることで、より高度な機体機能が解放されるのだが、スコアの上昇に伴ってパイロットへのパーメット流入量も上昇し、それによって侵害的情報逆流「データストーム」が発生する。機体とやり取りしているデータが人体へ逆流して情報熱学的エントロピーを増大し、肉体と中枢神経系に著しい負荷がかかる。機体の機体制御を失い昏睡するならまだよい方で、『PROLOGUE』に登場した被験者達のように寝たきり状態になったり、最悪の場合はナディム・サマヤのように死に至る。
オックス・アース・コーポレーションはいくつかの試作GUND-ARMのコンペティションを経た後、「ガンダム・ルブリス」を生産する事を決定。ヴァナディース機関は宇宙での開発拠点であるフロント・フォールクヴァングにてルブリスの先行量産モデル(LF-01とLF-02)をロールアウトさせ、更なる試作機のLF-03を開発していた。
だが、データストーム汚染の犠牲者も増加していた。顔にパーメットの赤いあざが浮かび上がったまま、虚空を見つめ続ける廃人となるテストパイロット達。被験者遺族からは「ガンダムに子供の命を奪われた」と糾弾デモが始まる有様であったが、そのような状況下でも、フロント第三自治区がガンダムタイプ購入予算の決議案を可決する。
GUND-ARMが地球・宇宙間の軍拡競争を煽るのではないかと懸念される状況下で、モビルスーツ開発評議会は、オックス社に「GUNDフォーマット」の健全性を証明するよう命じる。GUND技術の第一人者であるカルド・ナボ博士率いるヴァナディース機関員と、オックス社から出向した社員達は、LF-03の完成によってそれに応えようと、日夜開発を行っていた。同機関の逸材であるエルノラ・サマヤ研究員は、ガンダム・ルブリスLF-03に搭乗し、パーメットリンク接続テストを繰り返すものの、レイヤー33のコールバックで躓いてしまい、焦りを募らせていた。
しかし、モビルスーツ開発評議会の上層部では、地球企業であるオックス社を(人種差別的な思惑から)排除しようとするスペーシアン企業の派閥が動き出していた。彼らに牛耳られた評議会は、期日前だというのに突如として会見を開き、オックス社に対して「GUND-ARMの開発凍結」と「企業行政法による強制執行」を宣言する。
だがその裏で、評議会上層部の思惑とは別に、グラスレー社CEO、サリウス・ゼネリ直属の部下、デリング・レンブランが暴走を始めた。過去のドローン戦争において「人間が意思を放棄し、決定権が機械に委ねられ、兵士はパーツとして使い捨てられる」悲惨な戦場を目の当たりにしていたデリングは、(現状では)「人を殺す機械」そのものであるGUND-ARMを強く危険視していたのである。
モビルスーツ開発の監査組織「カテドラル」の統括代表へと就任したデリングは極秘裏にモビルスーツ開発評議会の特殊部隊・ドミニコス隊を動かし、会見と同時にヴァナディース機関とオックス社を襲撃させた。
ドミニコス隊は偽装輸送船ベガベントで特殊部隊を送り込み、戦艦ユリシーズと艦載MSで宙域を封鎖。フォールクヴァング駐在員の物理的な排除を始めた。ヴァナディース機関側もルブリスLF-01とLF-02で抵抗を試みるも、GUNDフォーマットリンクを妨害する装置「アンチドート」を搭載したMS・ベギルベウにより完封される。最終的に脱出できたのは、かろうじて起動に成功したルブリスLF-03と、夫ナディムを失ったエルノラ、その娘エリクトのみであった。
デリングは、数多の戦場を経験して得た自分の結論を交えながら、ヴァナディース機関とオックス社のGUND-ARM(ガンダム)を「相手の命だけでなく乗り手の命すら奪う、道具ですらない、もはや呪い」の存在であると徹底的に糾弾。GUND-ARMは「呪いのモビルスーツ」としてその存在を否定され、歴史の表舞台から抹消されることになる。
A.S.101に勃発したヴァナディース事変以後、カテドラルとドミニコス隊の制裁を生き残った者はごく僅かであった。その中には、「魔女」と迫害されながらも、それぞれの形でGUNDフォーマットの理想を追うヴァナディース機関の研究者達がいた。
「データストームに耐性のある人工中枢神経を使用した拡張神経理論」を提唱したベルメリア・ウィンストンは、ペイル・テクノロジーズ社に囲い込まれ、新たなGUND-ARMの建造に携わりながら、データストーム耐性のある人工神経を移植された人間「強化人士(きょうかじんし)」の製造も行った。強化人士は常人よりも高いパーメットスコアを持続して使用することは出来るようになったものの、データストーム汚染を完全に克服することはできず、その過程で何人もの非検体が使い潰された。
上記の理論について、ヴァナディース機関で同僚だったプロスペラ・マーキュリーは「カルド博士は決して認めることはなかった」と言う程に非人道的技術ではあるが、ペイル社に生殺与奪を握られたベルメリアには、他に選択肢はなかった。
サマヤ母子はガンダム・ルブリスLF-03と共に消息を絶った。しかしそれから十年余後、辺境の「水星」軌道基地において、ルブリスLF-03と酷似したガンダム・エアリアルがロールアウトする。
ガンダム・エアリアルを駆るのは、エリクト・サマヤと瓜二つの少女、スレッタ・マーキュリー。エアリアルとスレッタは、スレッタの母であり、エルノラ・サマヤの面影を持つプロスペラ・マーキュリーによって、アスティカシア高等専門学園へ送り出される。
そして、かつてGUND-ARMを否定したデリング・レンブランもまた、ある1人の魔女と繋がっていた。
ヴァナディース事変と並行して、地球のオックス・アース・コーポレーション本社もドミニコス隊に襲撃され、壊滅した。『機動戦士ガンダム 水星の魔女 ヴァナディースハート』第1話ではその様子が描写され、アニメ『PROLOGUE』にも登場したヤマオカを始めとする社員達が犠牲となっている。
その後、オックス・アースは宇宙議会連合の理事会によって、工作組織として再編された。オックス・アースは地球においてガンダム・ルブリス量産試作モデルの維持管理を続けていた他、それを基に開発した新型のGUND-ARMであるガンダム・ルブリス・ウル / ソーンの2機を製造。本編ではその搭乗者と共に反スペーシアンテロ組織「フォルドの夜明け」へ派遣している。
※各機の作中での活躍は当該項目を参照のこと※
GUND-ARM名 | 製造元 | 解説 |
---|---|---|
ガンダム・キャリバーン | オックス・アース・コーポレーション | 最初期のGUND-ARM。パイロットの安全性をあえて無視し、パフォーマンスを追求した機体であるため、データストームのフィードバックを軽減するフィルターが搭載されていない。ルブリスとのコンペティションに敗北後、存在を抹消される。 |
ガンダム・ルブリス量産試作モデル (ルブリスLF-01 / LF-02) |
オックス・アース・コーポレーション | 最初期のGUND-ARM。フォールクヴァングで2機が配備されていた他、地球にて販売予定だったものと思われる機体が20機ほど生産されていた。 |
ガンダム・ルブリスLF-03 | オックス・アース・コーポレーション | 最初期のGUND-ARMで『PROLOGUE』の主役機。エルノラ・サマヤがテストパイロットを務める、GUNDフォーマットの技術試験機。エリクト・サマヤと同調して起動した後、母娘を載せたまま消息を絶つ。 |
ガンダム・ルブリス・ジウ | オックス・アース・コーポレーション | 『ヴァナディースハート』の主役機。ヴァナディース事変を逃れ、A.S.106に操縦者のキユウ・ラボットと共に地球を放浪している。 |
ガンダム・ルブリス・ウル | オックス・アース | ルブリスのGUNDフォーマットをベースに新造された機体。パイロットのソフィ・プロネと共に「フォルドの夜明け」に派遣されている。 |
ガンダム・ルブリス・ソーン | オックス・アース | ウルと同じ経緯で生み出された兄弟機。パイロットのノレア・デュノクと共に「フォルドの夜明け」に派遣されている。 |
ガンダム・エアリアル | シン・セー開発公社 | 『本編』の主役機。プロスペラ・マーキュリーが水星で開発した機体。パイロットは彼女の娘・スレッタ。 GUNDフォーマット特有のデータストーム問題が発生しないことから、表向きには「ガンダムではない」と公表されている。 |
ガンダム・ファラクト | ペイル・テクノロジーズ | ペイル社がカテドラルの規定を無視し、極秘裏に開発した機体。同社が擁立したパイロット科生でペイル寮筆頭のエラン・ケレスが専任パイロットを務める。 |
ガンダム・シュバルゼッテ | ジェターク・ヘビー・マシーナリー | ジェターク社が開発を凍結していた次世代コンセプトモデル機に、シン・セー社から極秘に技術提供を受けたGUNDフォーマットを搭載させて、ガンダムへと生まれ変わらせた機体。 |
掲示板
84 ななしのよっしん
2023/08/09(水) 20:07:54 ID: BJY+9y04Uc
黒歴史の記事で書こうか∀の記事で書こうか、ネットミームの方も書かれてあり
混同しそうで迷ったけど、こちらで書こうと思う。(作品記事がプレ垢指定受けてるので)
あくまで個人的考察と作者に対しての質問をしないと成り立たないと言う事は予め置いておきつつ。
水星の魔女って、もしかしてガンダム作品で言う黒歴史には入らないんじゃないかな?と思った。
理由は複数 「会社名及び略称としてガンダムの名は使われているが、正式名はガンドアームで有りガンダムが名称の技術では無く、用途も医療目的と宇宙開発適応」「パーメット粒子に依り最終的にガンド技術を持つMSも分解された」
「総裁であるミオリネに依る軍事企業解体」「決闘やアスティカシアの機体登録名にはガンダムの名は入らず、終始エアリアル、ファラクト、ルブリスと言った固有名が使われる」「そしてタイトルの言葉遊び、作品名は機動戦士ガンダム
/水星の魔女だけど、今までのタイトルの様にガンダム◎◎ ○○ガンダムの様なガンダムの名を繋げず水星の魔女だけでも作品名が成立する。」 考察だけど
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
85 ななしのよっしん
2023/09/09(土) 08:02:39 ID: bUD0wijo3e
バンダイ「アナザーは全て黒歴史に内包される」
富野「いや、GレコはターンAの後。私がそう判断した」
バンダイ「えっ…?」
24年前の設定だしなぁ
しかし思えば水星の魔女て御大の好きそうな要素もよくまとまってるわな
まぁ過去の発言の真意がそのままの意味であればだけど
86 ななしのよっしん
2023/09/09(土) 12:05:46 ID: Lsra/vtIUK
そう考えるとアド・ステラ世界のGAデータって存在するんだろうか?
人間の意識をデータ空間で活動させるとかその意識データを元にして別の存在を作るとかなんかそれっぽい要素はあるんだが
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最終更新:2024/03/19(火) 15:00
最終更新:2024/03/19(火) 15:00
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