『火ノ丸相撲』とは、週刊少年ジャンプで2014年26号から連載されている相撲漫画である。
概要
相撲界の頂点“横綱”を目指さんとする少年、潮火ノ丸の熱き青春模様を描く川田の初連載作品。少年ジャンプNEXT!2013年SPRING号と本誌2013年39号のプロトタイプを経て、2014年26号より連載が開始された。話数カウントは「第○○番」。
歴代ジャンプ漫画の中でも異色の“相撲”を題材とした作品であるため、連載開始時は読者から驚きをもって迎えられると同時に、現代のジャンプで相撲漫画が人気を得られるのか怪訝に思う声も多かった。
しかし、古きジャンプの伝統である「友情・努力・勝利」を真っ向から描く王道的作風と、作者川田による白熱の相撲描写や熱く泥臭い人間ドラマは多くの読者から支持を得ることに成功。その人気は現実の角界にまで及び、2014年の大相撲九州場所では、ジャンプの創刊以来初めて大相撲へ懸賞が出されることになり、舞の海からも応援のメッセージをもらっている。また、BLEACHの作者である久保帯人からは太鼓判を押されており、「火ノ丸相撲が面白い理由?一番面白いからに決まってんだろ!」と当時まだBLEACHがジャンプ本誌で連載中だったにも関わらずそれを差し置いて本作を高く評価している。
だが、如何せん“相撲”は少年層に馴染みが薄い題材であるためか、コミックスの売上は他の連載作品と比べて低く、現在も本誌での掲載順は不安定であることが多いため、ファンはいつ打ち切りの憂き目に遭うか戦々恐々している。(本記事の関連動画でもその件に触れているので興味のある方は一度参照されたし。)
そして、現実の角界が洒落にならないレベルで度々不祥事を起こし、世間の相撲に対する印象を悪くしているのも非常に悩ましいところである。
そんな逆風を乗り越え2017年26号で連載3周年を突破し、40号にて第1部高校相撲編が終了。翌41号からは第2部大相撲編が連載開始。そして、2018年6号で待望のアニメ化決定が告知された。作中でも度々登場する言葉「三年先の稽古」が遂に実ったのである。
登場人物
声優は集英社ヴォイスコミックステーション版のもの。
大太刀高校
千葉県の県立高校。通称「ダチ高」。部活動が盛んであり、新入生入学後は校内に「部活勧誘ロード」が設けられ、部員の取り合いが行われるのが恒例。しかし、相撲部は廃れており火ノ丸が入学するまで部員は小関一人であり、相撲道場も不良の溜まり場と化していた。だが、火の丸の入学後は急成長を遂げ全国にまでその名が知られるようになる。
- 三ツ橋蛍
1年生。スポーツ経験がなくひ弱な体型で部活経験もフルートを演奏していたというガチガチの文科系であったが、同じくらい身長で、しかも自らよりも背が低い火ノ丸が千比路を倒すなどの活躍を見ていくうちに感化され入部した。
当初は火ノ丸以外の部員から相撲を続けることそれ自体を心配されていたが、稽古を続けていくうちに他の部員とも打ち解けていった。
火ノ丸に感化され、また火ノ丸だけではなくチヒロも評価しただけはあって、並のスポーツ部員とは比較にならない向上心と勝ちへの執念を持つ。しかしながら、裏を返せばそれしか武器がない。現在、必死に身体を鍛えている。
- 辻桐仁
1年生。小学生のころは火ノ丸と同じ相撲クラブに入っており、相撲の実力は火ノ丸も認めるほど。関東新人戦の終了後に入部し、自らがコーチする中学生にアドバイスすることで相撲部員を倒し、欠点を明らかにさせた。そしてその欠点を補うための個人別メニューを作成し、監督として就任した。その後火ノ丸にも欠点を見せるとして自らも土俵に立ち、火ノ丸を破った。肺の疾患があり、20秒程度までしか戦うことができず、また繰り返すたびにその時間が短くなるため、高校相撲をとることは困難である。
自ら相撲をとることは諦めたように見えたが、インターハイ準決勝で蛍が負傷したために決勝で選手として出場、そこで再び力士になるという夢を取り戻した。
小学生の頃のほんの一時期、「鬼切安綱」という名で千葉を騒がせたらしい。
- 掘千鶴子
一年生。ダチ高と火ノ丸のIH予選通過にいたく感銘を受けて、マネージャーとして相撲部に入部。祝勝会の様子やその他描写を見るかぎり、恐らく火ノ丸に惹かれたか?
活躍も少なく地味な印象がぬぐえないが、相撲の勉強も欠かさず今まで部長や桐仁が行っていた事務方の処理を行う、縁の下の力持ち。偵察もアグレッシブにこなす。
- 師岡雄一郎
レスリング部監督。「YOU」などの特徴的な話し方をする。
千比呂に対して何もしてやれることがなかったことを悔いていたようで、インターハイ県予選には部員を連れて観戦に行った。
その後、レスリング部と兼任で相撲部の顧問となる。
- 西郷・舟木・橋
3年生。佑真の舎弟3人組。
佑真が相撲部に入った後も常に応援のために観戦しに来ており、佑真のことをかなり慕っているようである。
石神高校
千葉県の私立高校。通称「石高」。治安の悪さは県内トップクラスであるが、相撲部は猛者ぞろいであり関東大会2位にまで上り詰めた実績がある。かつては不良たちの問題行動により大会出場停止処分に追い込まれた時期もあったが、真田による「血煙の一夜」事件を機に不良たちが相撲部に手を出すことはほとんどなくなった。県大会ではダチ高の進撃を阻む最大の壁として立ちはだかる。
- 沙田美月
1年生。昨年度の中学横綱。国宝「三日月宗近」と称される。気さくでノリが軽いイケメン。基礎の稽古ぎらいでよく金森に叱られている。火ノ丸に敗れた後は稽古にも真面目に取り組むようになった。全国大会で天王寺になすすべもなく敗れたことでさらに奮い立ち、皆川部屋での稽古を開始、雰囲気も大きく変わった。
相手にそもそも廻しをとらせない相撲を得意とし、相手の突進力を利用した「出し投げ」や、差し手・張り手を封じる「おっつけ」と呼ばれる技術を得意としている。
川人高校
昨年千葉県2位の強豪校。実力はあり、最初の団体戦でも準優勝であったのだが、引き立て役に終わることも多い。
栄華大附属高校
関東1位の常連校。ダチ高などとは違い。埼玉県にある。
- 久世草介
1年生。元横綱・大和国の息子。小学4年生の時に対戦相手に怪我をさせてしまい、そのときに大和国から相撲の大会に出ることを禁止されていたが、記者たちからは国宝「草薙剣」として注目されていた。新人戦にも出場するつもりはなかったが、火ノ丸と刈谷の取り組みを見て決意。圧倒的実力で火ノ丸を破り優勝した。
相撲スタイルは奇しくも火ノ丸とほとんど同じで、真っ向勝負で相手を攻め落とす横綱相撲をとる。違いといえば小兵の火ノ丸が下手投げを武器にしているのに対し、草介はその恵まれた体格ゆえに上手投げを得意としている。曰く、「大きい火ノ丸」。
- 刈谷俊
1年生。小学4年生の時に久世によって怪我をさせられた当本人。しかし、本人はそのことを気にしておらず、むしろ久世に対し大会に出場するよう促していた。小柄な体格(とはいっても火ノ丸よりは10cm以上身長が高い)であるが、火ノ丸とは違いそれを受け入れ、小兵なりの取組をしている。曰く、「違う道を選んだ火ノ丸」。
- 兵藤真磋人
3年生。千比呂の実の兄(苗字が違うのは、両親が離婚して千比呂は母親に、真磋人は父親についていったため)。千比呂からは興味を持った分野を奪っていくと嫌われていたが、実際のところは逆で、最初は年齢の差で上回っているものの、才能で追い抜かれてしまうという理由から様々なスポーツに興味を移していた模様。
- 四方田尽
3年生。栄華大附属高校相撲部主将。個人戦で準決勝まで勝ち上がるほどの実力があるが、団体戦を優先させるために準決勝と3位決定戦では体力を温存させた。
鳥取白楼高校
鳥取県にある全国有数の強豪校であり、六年連続でインターハイ優勝を成し遂げている横綱高校。
現役力士最強の外国人横綱「刃皇」の出身校でもある。
- 首藤正臣
3年生。三ツ橋の奇策にかかって危うく負けそうになるも、何とか踏ん張って同体に持ち込む。
金沢北高校
石川県にある名門高校で、昨年はインターハイ三位という成績をおさめた。
- 相沢亮
3年生。金沢北高の相撲部の主将をつとめる。飄々とした計算高い態度を崩さず、自信満々に相手を挑発することも多々あるが、北高の部員曰くそれは本気であるゆえのこと。典馬とは別の方向で自信家のビッグマウス。
三ノ矢実業高校
- 野地数興
3年生。国宝「数珠丸恒次」の名で知られる。
柴木山部屋
日本一稽古が厳しいとして知られている相撲部屋。
- 柴木山明雄
元関脇・薫山。本名は佐山薫。ぶつかり稽古の仕切りを見て火ノ丸の実力を見抜いた。現役時代は小兵ながらも真っ向勝負で関脇まで上り詰めており、かつての大横綱・大和国から金星の勝利も得た。しかしながら、目指していた横綱にはなれなかった。
それゆえに、自身よりも小柄でありながら同じような取組で横綱を目指す火ノ丸のことを気に入る。
- 寺原拓哉
番付不明(おそらく序の口)。柴木山部屋では一番番付が下であり、3年前の関東新人大会で3位に入ったということから入門間もないものと思われる。一番下の力士ということで火ノ丸のことを世話しており、インターハイにも親方の付き添いで観戦に来ている。
- 冴ノ山紀洋
西前頭九枚目で部屋頭、つまり柴木山部屋の力士で一番番付が高い力士。礼儀正しく、稽古に来た際に一人一人挨拶をして回っていた。表情があまり変わらないが好奇心旺盛であるらしい。一度は対戦する価値もないと切り捨てた火ノ丸の底力を見て考えを改め、明日以降もまた部屋に来ることを勧めるなどした。親方が果たせなかった横綱になるという目的がある。親方が火ノ丸にみたものが「小さくても横綱になれる」という夢なら、冴ノ山に託したものは「自分の体格がもう少しあれば」という夢。
大和国部屋
- 大和号
久世に次いで期待されているという力士。天下三名槍の1人。
その他
- 駿海登喜雄
元横綱。大和国の記録よりは少ないとはいえ、幕内優勝11回以上を成し遂げた東横綱。
指導者としては横綱を二人も育て上げ、体格に恵まれなかった柴木山親方を関脇にまで育てた名指導者……と、言いたいところなのだが、指導法が時代遅れなため、離れていった力士も少なくない。ただ、決して頑迷な人物というわけではなく、時代遅れなことを自嘲している、昔気質の好々爺。
用語
- 天下三名槍
中卒で角界入りしたが、実は国宝に匹敵する逸材だった3名の力士に与えられた名。世代としては国宝と同じになる。
「三」と数字が入っているため、さすがに今後増えることはないと思われる。
ちなみに大和号は本来は日本号であるが、大和国部屋所属とするために名称を変更したと思われる。
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