のぞみとは、東海道・山陽新幹線で運行されている列車の愛称である。
概要
1992年3月14日に運行を開始した列車。名称は一般公募ではなく「スーパーひかり」の名称採用を回避する為に別愛称を用意したもので、「希望」の大和読みでもある。
(※「希望(以下、きぼうと表記)」自体はJR東海社内で最も人気のあった名称。命名委員の一人だった阿川佐和子が父・阿川弘之の「日本の列車名は全て大和言葉でつけられている」という話から「きぼうを大和言葉に言い換えるとのぞみとなる」と話したところ、「きぼう」の大和読みである「のぞみ」として採用された)
東京駅~新大阪駅を2時間30分で結ぶため、それまでの東海道新幹線の最高速度である220km/hから一気に50km/hも最高速度を引き上げた最高速度270km/hで運転を開始した。
因みに「のぞみ」の名前は戦前、朝鮮総督府鉄道・南満州鉄道において釜山~京城~新京間を結ぶ日朝満連絡急行列車の名前に登用されていたことがある。
奇しくも、同じ区間には昼夜逆のダイヤで「ひかり」という姉妹急行列車も設定されていた。
のぞみ301号 名古屋・京都通過
運行開始当初は下り列車に途中新横浜駅のみに停車し、名古屋駅・京都駅を通過する列車があった。
これは東京駅~新大阪駅の到達時間を考慮した上での対応だったが、これに反発した名古屋市の政財界・在名マスコミを中心に「名古屋飛ばし」と呼ばれ、中日新聞など在名マスコミを中心に批判的な報道が多数なされたが、騒動の主たるものであった「地元政財界とJR東海の対立」は1か月ほどで終息している(後に500系東京直通運転開始時に、早朝の保線作業の効率化による徐行運転の撤廃によって解消されている)。
なお、この時に名古屋とは異なり、京都で反発の声がほとんど上がらなかったのは「運転されるのが早朝の1本のみであり、(ビジネスマンへの影響があるとみられた名古屋とは異なり)観光需要に影響がないとみられた」事と「東海道新幹線ルート誘致で成果を挙げていた(本来、東海道新幹線名古屋 - 大阪間は大阪への最短ルートを優先させるために京都駅を経由せず、鈴鹿峠をトンネルで越えるという中央新幹線に近いルートなどが考えられていた。それに対して京都市民や政財界などが猛反発し、京都駅を全列車停車駅にすることを要求。結局国鉄側が全面的に折れた)」ためである。また両駅には通過列車用の設備がないため、通過の際には時速70km/hにまで減速していた。
現在の位置づけ
航空路線との競争に対抗するため、2003年のダイヤ改正以降は「ひかり」に代わって東海道・山陽新幹線の主軸列車となっている。なお航空に対抗する為や、「Wひかり」の代替という意味合いから、停車駅は品川駅開業後特に山陽新幹線で増えており、東京~博多間の最速は2015年3月まで長らく500系時代のものであった。
また東京~新大阪間の最速列車は2時間22分だが、早朝・夜間の一部列車以外は過密ダイヤのため2時間30~36分で走っている(2時間33~36分の列車は700系性能で運転。2時間30分運転の「のぞみ」は最高速度285km/h運転のためN700Aの限定運用)。N700系の増備に伴い、2012年3月17日からはダイヤの一部見直しが図られることにより、日中2時間33分以下の「のぞみ」が55%を占めている。
翌2013年3月からは山陽新幹線内においても臨時列車を除く全ての定期「のぞみ」がN700系専用ダイヤとなり、新大阪~博多間を原則2時間30分以下で走るようになった(従前の700系ダイヤでは2時間35分前後かかっていた)。航空機とは首都圏 - 福岡県間以外はほぼ互角の争い(名阪間は新幹線と近鉄特急のシェア比率が約3:1と新幹線が圧倒している)を行っている。
停車駅は東海道新幹線内では全列車共通。しかし、山陽新幹線内では列車によって停車駅が違うので注意が必要である。なお、三河安城駅(下り)・小田原駅(上り)通過時に定通案内・次駅停車予告アナウンスがある。
※ちなみに、2011年3月12日には九州新幹線下り一番列車を補完する為に「ひかりレールスター」用700系7000番台で時刻表にはない臨時「のぞみ」(「のぞみレールスター」と呼ばれる事もある)が運行された。また、東海道新幹線や九州新幹線の運行状況によっては臨時(特発)で山陽「のぞみ」(主に700系7000番台またはN700系7000番台を充当)が設定される事もある。新大阪 - 博多間の列車もあったが、現在は九州新幹線直通の「みずほ」に置き換えられている。
1992年の設定当初より、「のぞみ」には「ひかり」「こだま」より高い特急料金が設定されていた。また当初は全車指定席であった。2003年10月1日品川駅開業時に料金が改定され、同時に自由席が設定された。但し65歳以上の人対象の「ジパング倶楽部」や外国人向けの「JAPAN RAIL PASS」、それに「フルムーン夫婦グリーンパス」などでは依然として利用が出来ない。運行目的が東京・大阪間ビジネス利用の航空機対抗の為、急ぐ必然性のない観光系フリーパスの乗客で満席になり利用できないといった事態を防ぐ為である(実際に、「ひかり」以下の種別では観光シーズンは座席が埋まりやすい)。
なお、「エクスプレス予約」を用いる場合は指定席料金が「こだま」「ひかり」と同額になる(IC早特など例外はあり)。
「のぞみ」データ(2015年3月14日時点)
- 車両:N700系(N700Aを含む)・N700S
- 会社:JR東海・JR西日本
- 運用線区:東海道・山陽新幹線
- 運転区間:東京~名古屋~新大阪~広島~博多
- 最高速度:300km/h(山陽)・285km/h(東海道)
※一部の列車では新幹線最速の330km/h運転を京都~米原間で実施する予定です。 - 所要時間:4時間53分(東京~博多下り・最速)、4時間47分(博多~東京上り・最速)
※東京~博多間の最速は500系が樹立した4時間49分。総合的な車両能力から言えばN700系のほうが上ではあるが、航空機に対抗すべく停車駅を当時より3~4駅増やしている他、山陽新幹線でゆとりダイヤを取り入れているため、この記録は破られていなかった。しかしながら、2015年3月14日のダイヤ改正で東海道新幹線の最高速度が向上する為4時間47分が最速となり記録を更新した。 - 停車駅(○:停車、△:一部停車)
駅
名東
京品
川新
横
浜名
古
屋京
都新
大
阪新
神
戸西
明
石姫
路岡
山福
山広
島徳
山新
山
口小
倉博
多○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ ○ △ ○ △ △ ○ ○
編成図(博多・広島・岡山・姫路・西明石・新大阪⇔名古屋・品川・東京)
1号車 | 2号車 | 3号車 | 4号車 | 5号車 | 6号車 | 7号車 | 8号車 | 9号車 | 10号車 | 11号車 | 12号車 | 13号車 | 14号車 | 15号車 | 16号車 |
自由席 | 自由席 | 自由席 | 指定席 | 指定席 | 指定席 | 指定席 | グリーン | グリーン | グリーン | 指定席 | 指定席 | 指定席 | 指定席 | 指定席 | 指定席 |
- N700系・N700A・N700Sは全席禁煙です。
喫煙ルームは普通車は3号車博多寄り・7号車東京寄り・15号車博多寄り、グリーン車は10号車東京寄りにあります。 - 700系「のぞみ」が都合によりN700系・N700Aでの運転になった場合、喫煙席は設定されません。喫煙ルームを利用して下さい。また、N700系・N700A「のぞみ」が都合により700系での運転となった場合は車内に喫煙スペースはありません。
- なお、2011年3月12日より3号車は禁煙となっている。
今後の動向
300系に関しては、700系の増備により2001年以降は定期列車の運用から外されており、臨時列車として走ることがあるのみとなっていた。N700系登場により廃車が進められ、2012年3月16日のさよなら運転(J57・F7)を最後に300系は引退した。
500系に関しては、2010年2月28日(W1)をもって東海道区間から撤退し、16両のW編成から8両のV編成への短縮が行われ、山陽新幹線内の「こだま」として運行されている。
700系に関しては、2010年3月13日のダイヤ改正から東海道・山陽新幹線を直通する「のぞみ」は原則として全てN700系で運転されることになったため定期列車としては新大阪発着の一部にのみ充当されていたが、2012年3月17日からは臨時のみとなる。
ちなみに、JR東海代表取締役会長の葛西敬之は「リニア開業後にのぞみを廃止して元のひかり・こだま体制に戻す」と内外情勢調査会の講演で発表(東京都、2009年8月5日)したが、名古屋以西(特に山陽新幹線)の速達列車の体制がどうなるかは現時点では不明である(但し、現時点では横浜や京都・神戸エリアの利用者に不都合が生じる為リニア開業による「のぞみ」廃止の予定はない模様)。
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関連項目
東海道新幹線・山陽新幹線・九州新幹線の使用車両 |
0系 - 100系 - 300系 - 500系(WIN350) - 700系 - 800系 - N700系 - N700S - ドクターイエロー |
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