エレン・イェーガーとは、諫山創の漫画「進撃の巨人」の(ヒロイン)主人公ラスボス主人公である。
概要
来歴
出身はウォール・マリア南端のシガンシナ区。医者である父グリシャ、専業主婦の母カルラ、そして数年前にさる事情から引き取られたミカサと一緒に暮らしている。
845年(作中独自の年号)に超大型巨人が出現し、シガンシナ区が壊滅するまでは、壁外の世界に憧れる好奇心旺盛な子供であった。しかし巨人に町を壊滅させられ、母・カルラが目の前で喰われた経験から、外の世界に憧れる気持ち以上に、巨人に強い憎悪を抱くようになる。
父親はウォール・マリア陥落後、行方不明になっており、エレンはそのことに関する記憶を失っている。無理に思い出そうとすると強い頭痛に襲われる。
その後2年間開拓地で勤めた後、志願して訓練兵団に入る。兵士としての能力は当初他と比べて平凡なものであったが、対人格闘成績に優れ同期ではミカサに次ぐ成績を残した。他分野では突出して優れているわけではなかったものの、人並み以上の努力と根性で訓練兵団104期を第5位の成績で卒業。士官する兵団を選択する権利を得て、調査兵団を希望する。
その理由は「とにかく巨人をぶっ殺したい」から。
人物像
人一倍強い勇気と目的意識を持つ。どんな困難や逆境においてもめげず、逆境に立ち向かう心の強さを持ち、同期のメンバーの多くに強い影響を与えた。通常、卒業成績上位10名は巨人との最前線から最も離れた安全な内地に行くために「憲兵団」を希望するものが多いが、彼の同期である104期には、例外的に上位者からの調査兵団希望者が多い。実際、上記の思惑で憲兵団に行く気満々のはずであったジャン、コニーの2名も(エレンの発破だけが発端ではないとはいえ)結果的に第一志望を曲げてまで調査兵団を志願するに至った。この事も、エレンの周囲への影響力の大きさを伺わせる。
しかし、その強すぎる意志力ゆえに、命知らずで無鉄砲な行動に走ることも多く、ジャンから「死に急ぎ野郎」と揶揄されることも。
直情的で過激な面が目立つが、現状を正しく把握し、問題から目をそらさない客観的で合理的な思考も併せ持つ。
その狂気染みた強靭な精神力・意志力は、作中で最強と称されるリヴァイ兵士長をして「本物の化け物」「どんなに力で押さえようとも、どんな檻に閉じ込めようとも、コイツの意識を服従させることは誰にもできない」と言わしめた。
色恋沙汰にはあまり耐性が無いというか、今はそれどころではないといった感覚の模様。そして若干KYで、女心や男心、男女間のジェラシーというものをほとんど理解していない。そのため、ジャンにミカサとの関係への嫉妬心により詰め寄られ胸倉をつかまれた時は、「服が破けちゃうだろうが!」と、「ツッコむところそこか?」と言いたくなる返答をしていた。
身長170cm、体重63kg。余談だが、ミカサは身長170cm、体重68kg。エレンがヒロインとネタにされる原因の一端である。
発言
数あるセリフの中から、エレンの主義主張人格長所短所が垣間見えるセリフを選んでおります。
- 「駆逐してやる・・・この世から・・・ 一匹・・・残らず!!」
- 「戦わなければ勝てない・・・」
- 「有害な獣を駆除した!! たまたま人と恰好が似ていただけだ!!」
- 「早く帰ろうぜ オレ達の家に」
- 「調査兵団に入って・・・ とにかく巨人をぶっ殺したいです」
- 「この・・・腰抜け共め・・・ いいから黙って 全部オレに投資しろ!!」
- 「服が破けちゃうだろうが!!」
- 「え?やだよ 足蹴られんの痛いし」
- 「やった!討伐数1!」
- 「このッ・・・裏切りもんがああああ」
- 「オレは頑張るしかねぇ 頑張ってお前らができるだけ苦しんで死ぬように努力するよ…」
- 「そんなもん 何度でも巻いてやる これからもずっと オレが何度でも」
巨人化能力の覚醒
訓練兵団を卒業したその日に超大型巨人が再び出現、トロスト区が襲撃される。これを仲間と共に迎撃するも、超大型巨人には逃げられ、その後の侵入してきた巨人の殲滅戦においても何もできないまま手足を噛み千切られた挙句、アルミンをかばって巨人に呑みこまれてしまう。が、巨人の胃袋の中で巨人への怒りを爆発させ、絶体絶命の窮地の中で巨人化の能力に目覚める。
エレン巨人体のサイズは15m級。デザインは他の巨人とは少し異なり、シガンシナ区への壁を破った超大型巨人や鎧の巨人に似て、不気味に並んだ歯が露出する。エレン本人の格闘能力の高さも相まって、並みの巨人であれば拳の一撃で軽々と叩き潰す力を持つ。巨人体へと変身するには自傷行為が必要(これは本人の弁だが、最初に巨人化した状況を鑑みれば実際には皮膚を食い破って傷を作ることをがトリガーとなっていると思われる)だが、それには『戦う、ある人を守る、物を拾う』などという「巨人化することへの明確な目的を持つ」ことが条件であり、ただ漠然と身体を傷つけるだけでは変身できない。なお、巨人化しても他の巨人からはあくまで「人間」として理解されているらしく、巨人化しても人間同様に巨人に襲われる。
巨人として覚醒した後、エレンは人間サイズに戻ってからも巨人同様の人間離れした再生能力を得たままであり、ちぎれた手足はいつの間にか再生し、リヴァイに蹴られた時に抜け落ちた歯もすぐに生え変わった。
ちなみに、巨人化と言ってもエレン自身の体が大きくなるわけではなく、エレンの傷口から巨人の骨や筋肉組織が高熱の蒸気と共に噴き出すように現れ、巨人の身体を形成していく。巨人化した時の目的意識に応じて必要な部位しか形成されない。変身後、エレン本人の肉体は巨人の弱点であるうなじ部分に癒着している。
当初、エレンはこの能力を把握しきれておらず、2度目の変身では巨人体を制御できず、すぐ側にいたミカサを襲うこともあった。また巨人化の謎については父・グリシャと彼の生家の地下室に謎を解くヒントがあるとされ、調査兵団に入った後は、ウォール・マリアを取り戻し、「地下室の秘密」を明らかにするため力を注いでいる。
余談だが、他の特殊な巨人と違って通り名がないことと、通常種の巨人とは一線を隔した筋肉質でスマートなフォルム・大きく裂けた口といったビジュアルからか、読者からは「エレンゲリオン」という愛称(?)で呼ばれていた。エレンの巨人の名前が「進撃の巨人」であると読者が知るのは物語が折り返し地点を迎えたころである。
狙われるエレン
巨人化能力という稀有な力を手に入れてしまったがゆえに、エレンは各勢力から狙われる存在となってしまった。
- トロスト区ではエレンの正体が巨人と誤解した調査兵団に大砲を向けられた。この危機はアルミンの命をかけた説得とピクシス指令によるトロスト区奪還作戦の開始によって逃れている。
- トロスト区奪還後は裁判で扱いと所属が争われた。ここでは自ら「全部オレに投資しろ」と啖呵を切ることで調査兵団への入隊が許可されている。
- 調査兵団入団後は突如現れた知性持ちの女型の巨人に狙われ、調査兵団に大きな被害が出た。エレンを護衛していたリヴァイ班の精鋭4名も犠牲となった。
- ライナーとベルトルトが正体を明かした際には四肢を切断されたうえで、誘拐されてしまう。ライナーからは調査兵団が大きな被害を出しつつ奪還に成功した。
- 次には王政の中枢から狙われ、やはり誘拐されてしまう。
エレンの巨人の能力
硬質化能力
「鎧の巨人」や「女型の巨人」には、巨人の身体を硬化させる特殊能力があるが、エレンは当初その能力をもっていなかった。巨人化の練度不足が原因かとも思われたが、実際には硬質化能力は鍛錬で得られる能力ではなく、巨人ごとに与えられた能力であった。他の巨人の脊髄液を飲むことで能力を移し替えることもできるため、エレンも王族が保管していた巨人の脊髄液を口にしたことで硬質化能力を手に入れた。
エレンの硬質化能力は巨人化を解除してもその場に硬質化した巨人を残せるものであり、この能力を利用して敵を欺いたりも出来る。また、戦闘以外でも壁に取り付ける対巨人用のギロチントラップも作成している。このギロチンで地味ながら安全に壁外の巨人を駆除できるようになり、壁外の巨人を全滅させることに成功した。
マーレ編では硬質化能力を自在に操って武器や巨人をも貫通するほどの巨大な杭を生成可能な「戦鎚の巨人」を捕食する事でその力を継承し、自在に硬質化能力を操れるようになった。
座標=始祖の巨人の力
全ての巨人の始まりである始祖ユミルから1800年以上にわたってエルディア王家が代々継承してきた力。エレンの父親グリシャによって壁の王から奪われ、グリシャからエレンに継承された。
巨人を生み出したり操ったり、エルディア人の記憶や肉体を書き換えたりと、その力は非常に強力かつ、効果の及ぶ範囲は非常に広い。しかし、力の行使には巨人化した王族が必要であり、エレンがこの力を行使するには巨人化能力を持つ王族に触れていないといけないという制約がある。ライナーたちマーレの戦士たちの目的はこの力を壁の王から奪取する事であった。
エレンが最初に発動させたのはライナーとベルトルトに誘拐され、無数の巨人に取り囲まれたとき。エレンの母親のカルラを食べた巨人、通称カルライーターにエレンが触れると周囲の巨人はエレンの意志に従って皆調査兵団には目もくれずカルライーターに殺到し、その隙にエレンと調査兵団はライナーたちから逃れることに成功した。カルライーターに触れた時のみ力が発動できた理由は、エレンの父親グリシャ・イェーガーの過去エピソードで明らかになった。
王政編ではグリシャが5年前の壁破壊時に進撃の巨人となって当時の壁の王を打倒して捕食し、座標を奪っていたことが判明。その後、グリシャはエレンを巨人化させ、自らを喰わせることによってエレンに「進撃の巨人」と「始祖の巨人」をひそかに受け継がせていた。
マーレ編以降ではこの始祖の巨人の力を使ってパラディ島の壁の中に存在している超大型巨人を目覚めさせ、世界を踏みつぶす「地鳴らし」の危険性が具体的に語られており、その心配は現実のものとなってしまう。
記憶共有能力=進撃の巨人の真の能力
過去未来を問わず「進撃の巨人」の継承者の記憶に干渉する力であり、「進撃の巨人」が独自に持っている力。
過去の継承者の記憶に干渉して自らの意志を伝えることも出来るし、未来の継承者の記憶を覗き見る=未来の出来事を予見する事も出来る。エレンは進撃の巨人の継承者が代々の王に従わなかった理由を未来を見て王の行く末などを知っていたからと考察している。
エレンは父グリシャが王家から始祖の巨人を奪う際にこの能力を使って後押しし、王家の子供たちを虐殺させている。
マーレ編以降のエレン
単行本23巻から始まるマーレ編は、これまでエレンの敵として描かれてきたライナーたちがメインのストーリーとなっていた。
壁を壊し、エレンの母親が死ぬ原因となったライナーの過去や、次世代の戦士候補生たちを見守るライナーの現在、そして銃フェラでの自殺未遂というおいたわしい姿を見た読者からはこれまでのライナーの評価が反転するマーレ編だったが、エレンとライナーが再開したところから再びライナーに試練が訪れる。
シガンシナ区決戦から4年が経過して成長したエレンは、マーレに傷病兵の捕虜として潜入しており、ライナーたちマーレに住むエルディア人が居住するレベリオ区にて行われていたパラディ島への宣戦布告のセレモニーを襲撃。軍幹部を皆殺しにし、多数の民間人の死傷者もだし、迎撃に現れた戦鎚の巨人をも返り討ちにして捕食、その能力を奪うことにも成功する。目的を達成したエレンはパラディ島からの救助部隊に助けられ、パラディ島に帰還する。帰ってきたエレンはかつてのエレンとは違い、104期生の仲間にもミカサにも冷たく当たる。
エレンの決意と計画
シガンシナ区決戦の後、自らの中に始祖の巨人の力が眠っている事、それを扱うには巨人化した王族が必要な事、世界がパラディ島を敵視している事などを知ったエレンは全てを解決する手段として地鳴らしを行うことを決意。そのためにかつて調査兵団を壊滅寸前にまで追い込んだ仇敵で異母兄のジーク・イェーガーと彼の計画にのったふりをしてまで手を組んだ。
王族の血を引くジークと始祖の巨人の力を受け継ぐエレンが接触すれば、始祖の巨人の力を自由に行使できることが予想され、エレンはその力で地鳴らしを発動することを狙っていたのである。
エレンラスボス化
様々な妨害はあったものの、エレンとジークの接触は成功。ジークを土壇場で裏切り、エレンは始祖の巨人の力を解放し、己がものにする事に成功する。
エレンは超大型巨人よりも巨大な終尾の巨人[1]の姿となり、パラディ島の壁を構成していた無数の超大型巨人を解放。全世界を滅ぼす地ならしを発動する。
残された104期生たちやライナーは世界を滅ぼす存在と化したエレンを止めることはできるのだろうか。
関連動画
関連静画
関連項目
- 進撃の巨人
- ウルトラマン 作者である諌山創先生は、「ウルトラマンがMMA(総合格闘技)する話描きてぇな~」という妄想が最初の動機だと語っている。
- ミカサ・アッカーマン イェーガー家で引き取った家族。若干依存されているような関係。
- アルミン・アルレルト 幼馴染で親友。彼の頭脳をもっとも信頼している。
- ジャン・キルシュタイン 正反対の主義の持ち主であるため、訓練兵時代から諍いが絶えなかった。 自覚は無いが、恋愛においてもライバル視されている。
- リヴァイ兵士長 かねてより憧れであった「人類最強の兵士」。調査兵団では直属の上司に。
- エレンポイント
脚注
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