ウルトラマンとは、円谷プロのウルトラシリーズ第2作、また、それに登場する架空のヒーローである。
今作から続く一連の特撮ヒーロー作品シリーズについては「ウルトラシリーズ」を参照。
概要
TBS系列にて、1966年7月17日から1967年4月9日にかけて全39話が放映された。
シリーズ初のカラー作品でもある。
「特撮の神様」円谷英二が産んだ、地球を守るために怪獣に立ち向かう正義の巨人「ウルトラマン」の活躍を描いた特撮ヒーロー番組で、日本を代表するヒーローとして認知される、大人気作品である。
平均視聴率36.8%という怪物じみた視聴率をたたき出し、「『ウルトラマン』が放送される時間は、町の銭湯から子供どころか大人まで姿を消す」とまで言われた。
放送から半世紀以上を経てもなお、続編が盛んに作られるなど、その人気は衰えることなく、日本を代表するヒーローとして国民に認知されている。
放送開始日である7月10日は、「ウルトラマンの日」として日本記念日協会に認定された記念日となっている(ただし実際には、この日放送されたのは『ウルトラマン前夜祭』であり、本編は翌週の7月17日から放映開始。円谷英二が主演を務め、「公式が病気」を地で行く、はっちゃけた予告番組だった)。
背景
それまで、怪獣が出てくる映像作品は、映画館でしか見られなかった。
多額の制作費とスタッフ、長いスケジュールを必要とし、合成などのポスプロにも手間がかかるため、大きな予算を組める映画でしか展開できなかったのだ。
前作『ウルトラQ』は、そういった業界の常識を打ち破った贅沢なテレビ番組であった。銀幕のスターであった怪獣たちを毎週テレビに登場させ、画面狭しと暴れまわる姿を視聴者に提供し、見事に大ヒットした(もっとも、やはり予算的には非常に無理のある製作体制であり、向こう数十年に渡って続く、円谷プロの(経営組織としては)悪しき体質の走りであった、この無茶のツケはやがて、円谷プロの度重なる経営難として表出することになる)。
しかし、主人公たちが毎週怪獣や怪奇事件に遭遇するのは不自然でもあり、長期シリーズにするには脚本・設定に限界があった。
この矛盾を解消するために誕生したのが、巨大ヒーロー「ウルトラマン」であった。
怪獣を倒す銀色の巨人を主役にすることで、より子供達にもわかりやすい作劇が可能となり、また敵役となる怪獣にもさまざまな特徴を持たせられ、物語のマンネリ化を避けることができた。
実は製作の遅れにより、日本初のテレビ番組における巨大ヒーローの座は『マグマ大使』に譲っているのだが、『マグマ大使』が従来のテレビドラマと同様に4話(1ヶ月)で1つのストーリーとなっていたのに対し、『ウルトラマン』は1話完結方式であった。
このため、毎週異なる怪獣が登場したため、話をすぐ忘れるガキ飽きっぽい子供達には大好評であった。
円谷英二の作る世界観も人気の一因となり、概要で述べたとおりの大人気を博することとなった。
ウルトラマン
M78星雲光の国の宇宙警備隊に所属し、宇宙保安庁の長官を父に持つ20000歳のエリート隊員。
後にウルトラ兄弟の次男となる。
基本的なプロフィール | ||
---|---|---|
身長 | 40m | |
体重 | 35,000t | |
走行速度 | 時速450km | |
飛行速度 | マッハ5 | |
水中速度 | 200ノット | |
キック | 320文 |
今に至っても客演そのものが少なく、彼自身の性格もはっきりしていないため、実は未だに神秘性が強く残っている数少ないウルトラ戦士でもある。
帰ってきたウルトラマンの本名は後にウルトラマンジャックと判明したが、この初代ウルトラマンの本名はいまだ不明である。漫画などではマン、マン兄さんなどと呼ばれるが、映像ではそのように呼ばれたことはない。『ウルトラマンメビウス』では「ウルトラマン兄さん」や単に「兄さん」と呼ばれていた。
登場当初は今以上に神秘的な(不審とも言う)キャラクターであり、「ヘッヘッヘ シンパイスルコトハナイ」とハヤタに語りかけるシーンの不気味さなどは最早悪役のそれであった。その後はハヤタ隊員などの声で流暢に話すようになっているため、さすがにこの怪しい声はもう聞けなくなっているが。
『ウルトラマンティガ』では、初代ウルトラマンのモデルとなったウルトラマンが実在し、かつて龍ヶ森湖に怪獣ヤナカーギーを封印した際に円谷英二と邂逅したことになっている。
ティガの救援に現れヤナカーギーを倒した姿から、円谷と金城哲夫が着想を得て、『ウルトラマン』を製作した、というメタ的な解釈がなされている。
戦闘力
必殺技は、お馴染みのスペシウム光線。十字型に組んだ腕から、スペシウムを含む強力な光線を発射する。ウルトラマンを象徴する技で、日本中の子供たちがこのポーズを真似したと言っても過言ではないかもしれない。
他にも八つ裂き光輪(現在は「ウルトラスラッシュ」)、リバウンド光線、キャッチリングといった光線技を持ち、テレポートやバリアも操るなど、凝った設定ではないものの威力の高い技を使う。
後続の作品のウルトラヒーローは、何か得意技、得意分野がある事が多い(切断技のA、キック技のレオ、念力に優れるセブン等)が、初代ウルトラマンは、ある分野に特化せず、様々な技を持った万能選手とされることが多い。
もしくは、作中で多用した投げ技が、得意技として設定されることもある。
『ウルトラマン』製作当時は、特撮ヒーロー作品製作のノウハウが殆ど蓄積されておらず何もかも手探りだったため、後のシリーズ作品と比べると、初代ウルトラマンは戦い方が非常にラフである。
これは、他のウルトラ戦士と比べて重心を低く保った、いわゆる猫背になっているその構えにも現れている。
現在のウルトラヒーローは、正義の味方として見栄えする演出法が確立されており、派手な演出とヒーロー性を重視して立ったままで戦うのが基本である。どちらかが倒れてもまた立ち上がってから戦闘を再開することが多い。
これに対して『ウルトラマン』の殺陣は、柔道のような実在の武道と、当時絶大な人気を誇っていたプロレスを参考にして作られたため、これらをあわせたような試合展開となっている。
チョップなどで牽制→ネックハンギングで弱らせる→派手な投げ技→スペシウム光線でとどめ、といったように、戦いの運びは、プロレスよろしく組み立てられている。
蹴り技1つをとっても、膝や背筋を伸ばした、いわゆる空手的な綺麗な形の蹴りは殆ど見せたことがなく、膝が曲がったままのケンカキック、ヤクザキックが殆どである。これが最も露骨なのは、ダダの顔面に蹴りを入れたときである。基本的に初代ウルトラマンの打撃は本当に痛そうなものばかりである。
また、(シリーズ初期は特に)粘っこいプロレス技での攻めが多く、ダダに首四の字を仕掛けたり、ジャミラにネックハンギングを見舞ったりしている。
こういった描写の結果として、猫背での構えと投げ技の多用は、後の作品に客演した際にも受け継がれている。
本編での活躍
宇宙怪獣ベムラーを、地球の近くにあるウルトラゾーンの怪獣墓場へ護送中に取り逃がしてしまい、これを追って地球を訪れる。
龍ヶ森湖上空でベムラーを追跡していたが、たまたま小型ビートルでパトロールしていた科学特捜隊のエリート隊員ハヤタ・シン(早田進)と衝突し、死なせてしまう(完全なウルトラ業務上過失致死だが、自分のミスで取り逃がしたチンピラを慌てて追い掛けていたら生身で航空機に轢かれた上に航空機のパイロットの方が死ぬとは思っていなかったはずなので大目に見てやって頂きたい)。
マン
「申し訳ないことをした、ハヤタ隊員。その代わり、私の命を君にあげよう」ハヤタ
「君の命を? 君はどうなる?」
責任を感じたウルトラマンは、自らの命をハヤタに与えて一体化するというかなり強引な方法で対処。
ハヤタ
「これは何だ」マン
「困ったときにこれを使うのだ。そうすると……」ハヤタ
「そうするとどうなる?」
ハヤタ=ウルトラマンは、普段は人間として生活し、科学特捜隊の隊員として活動しているが、怪獣が現れた際には、ベーターカプセルを使用してウルトラマン本来の姿へと戻る。
地球においてその姿を維持できるのは非常にわずかな時間のみであり、後の作品で「3分間」と設定されている。
タイムリミットが近づくと、胸のカラータイマーが点滅しだす。こうなると早めにケリをつけなくてはならない。
ハヤタとは一心同体、と言うより完全にウルトラマンが乗り移っているような状態であるが、ハヤタとしての知識や記憶も問題なく使用できる。この為、敵宇宙人と接触する場合などは、ハヤタ=ウルトラマンとして相手方からも扱われる。
ことの元凶であったベムラーを仕留めた後も、地球の平和を脅かす様々な怪獣・宇宙人が現れ、そのたびにウルトラマンは立ち向かい撃退した。地球での生活を相当エンジョイしたようで、肌が綺麗になってやや筋肉質になっていった。
しかし最終話で、宇宙恐竜ゼットンと対決した際にはとうとう力及ばず敗北。命を失い倒れこむ姿は、視聴者の子供達に強い衝撃(というかほぼトラウマ)を与えた。
その後、今更救援に来たM78星雲の戦士ゾフィーから新しい命を与えられ生還。2つ貰った命のうち1つをハヤタに与え、彼から分離して光の国に帰還した(この時ハヤタはウルトラマンと一心同体だった頃の記憶を抹消されている)。
ちなみにゼットンは科学特捜隊の新兵器によって見事撃退されており、「地球はウルトラマンではなく人類の手で守っていかなくてはならない」と人々が決意するシーンで、『ウルトラマン』は完結している。
その後
M78星雲へ無事に帰還した後は、ゾフィーやウルトラセブンなどとウルトラ兄弟としての契りを交わし、宇宙の平和を守る戦士として日々戦い続けている。
地球にも何度か再訪しており、主にウルトラマンタロウやウルトラマンメビウスなど後輩の指導に当たっている。
このときにはまたハヤタの姿になっているが、「地球での名はハヤタだ」としか語っておらず、再び合体したのかセブンのように姿を変えているだけなのかは不明。
最近は八つ裂き光輪のバリエーション開発にハマっているようで、『ウルトラマンメビウス』で客演した際にはUキラーザウルスの触手を切り落としたり、メフィラス星人相手に追尾式の二連八つ裂き光輪を放ったり、大怪獣バトルでは手刀に纏わせてキングジョーの腕を破壊したりしている(メビウスの客演では他にも、以前は同じ光線技で相殺していたメフィラス星人の光線を大胸筋で防いでそのまま振り払うと言った貫禄の雄姿を見せている)。
初代『ウルトラマン』からは、時系列を別にするいくつかの作品が生まれており、ゼットンに敗れた後も一命をとりとめリベンジを果たしていたり、40年以上経ってハヤタの元にまた現れていたりする。
関連動画
関連静画
関連チャンネル
関連項目
- 33
- 0pt