ガンダムアストレイ(アストレイ)とは、『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』に登場するモビルスーツ群である。
当記事では正式なアストレイとその関連機も載せる(記事のある機体は太字で記述する)。
概要
戦乱の気運が高まる中、なお中立を貫くオーブ連合首長国が開発した自国防衛用モビルスーツ。
オーブ製MSの技術検証機はへリオポリスにおいて製作、データは随時オーブに送られ正式な量産機を開発した。へリオポリス内で作られた「プロトシリーズ」は連合のGAT-Xシリーズと共に5機分のパーツが完成を迎えたという。
開発担当者はモルゲンレーテ社のエリカ・シモンズ。
アストレイ開発には連合の技術も使用されており、オーブの軍事を全て受け持っていたサハク家は極秘裏に連合からの技術盗用を促した。
へリオポリスからデータをエリカの元へと送信しオーブ側でM1アストレイが作られた。開発は相互補完が行われていたため、フェイスやらアンテナやらの各部構造が連合機と似通ったものになったものと思われる。
しかしその中で一つだけ盗用に失敗した技術があった。「フェイズシフト装甲」である。
通電によりフェイズシフト化し、実体兵器をほぼ無効化するという装甲技術はブラックボックス化していたためこの時点でオーブに渡らず、当初の予定通り柔軟な発泡金属を採用し、人体に近い可動が可能になった。
機体名称
完成を迎えた機体には、機体の開発者として、サハク頭首からエリカに命名権が与えられた。
ふと彼女の頭を過った言葉である。世界と彼女自身の人生を振り返った言葉でもあり、そしてこれから先、アストレイというモビルスーツが辿る数奇な運命を表すのに最も相応しい言葉になる。
「ASTRAY(アストレイ)」すなわち王道ではない、”道を外れた者”と。
プロトアストレイ
ヘリオポリスで製造されたアストレイのこと。これらはプロトアストレイ、オリジナルアストレイと呼ばれ、制式採用機のスペック検証を目的として製造された試験機である。
扱うためのOSはナチュラル用に調整され、頭部はデュアルセンサーと大型ブレードセンサーを採用、フェイスはオーソドックスなガンダムタイプとなった。あくまで技術試験機のためか各部のフレームが剥き出し状態、つまり充分に装甲化されておらず、剥き出しのフレームが機体ごとに異なる色だったという。
この内1号機~3号機は先行してロールアウトしたが、ヘリオポリスの崩壊と共に異なる運命を辿る。
2号機、3号機はジャンク屋のロウ・ギュールがヘリオポリス跡に眠る『お宝』として発見し、プロトシリーズの破壊任務を帯びていた『サーペントテール』の叢雲劾と奪い合いになり、紆余曲折経てロウと劾二人が乗る事になる。
2号機は赤色のフレームを持つ事からロウは「レッドフレーム」と名付けた。同様に劾に譲渡した3号機については青いフレームから「ブルーフレーム」と呼んでおり、いつの間にかこの呼び方が定着していた。
1号機、金色のフレームを持つ事で後に「ゴールドフレーム」と呼ばれる事になる機体は、ロンド・ギナ・サハクの手によってヘリオポリス崩壊前から運び出されていたが、その際本来の「腕」を損失し、パーツはロウ・ギュールが回収してレッドフレームの修復に使用した。
ゴールドフレームの右腕は後に大破したブリッツガンダムの腕を移植している。
先行してロールアウトした3機に加えて、パーツの段階で行方不明になっていた2機が存在する。この2機は第1作目では登場せず、第5シリーズ「FRAME ASTRAYS」、第6シリーズ「VS ASTRAY」で公開された。
4号機「グリーンフレーム」はゲリラのトロヤ・ノワレに引き渡され密林での使用の際に塗装、5号機「ミラージュフレーム」はライブラリアンによって大幅な改造が施されている。
オーブ連合首長国
オーブのアストレイは制式採用機「M1アストレイ」である。
M1は自国防衛の理念のもとに開発された機体であり、先行して開発されたMBF-Pシリーズの開発データをフィードバックし、モルゲンレーテ製のエールストライカー型モジュールをマウントしている。
宇宙戦用の「M1Aアストレイ」も配備される予定であったがこちらはアメノミハシラ建造の白紙化に伴い、配備も中止となっている。だが実際にはサハク家によって水面下で配備が進められていた。
M1Aにはオーブに残っていたパーツが存在しており、パーツはオーブ脱出時にクサナギに積まれ、新たに組み立てられた。機体はクサナギのエースパイロットに与えられヤキンドゥーエを戦い抜く。『拳神』バリー・ホーの搭乗機として有名である。
またM1アストレイの次世代機として「ムラサメ」も開発されたが、アストレイに含んでいいかは謎。
ジャンク屋
上記のアストレイこそ正式なアストレイ系列の機体だが、オーブ崩壊後にアストレイと呼ばれる機体は増え、少々わけのわからない事になる。
この項目ではその発端となった「レイスタ」を解説する。この機体もアストレイファミリーの影響下にあるとはいえ、アストレイと呼んでいいかはわからない。
ジャンク屋のアストレイと言えばロウ・ギュールが乗るプロトアストレイ2号機「レッドフレーム」であろう。しかし、その開発者の一人たるモルゲンレーテ社のユン・セファンがオーブ戦後にジャンク屋に身を寄せ、大量に残されたM1アストレイのジャンクパーツからレイスタを設計した。
レイスタにはM1のパーツを流用しており、ジャンク屋が一般用にレンタル販売を行っている。その中には作業用・戦場ジャーナリスト用など購入後独自のカスタマイズを施す者も多数存在し、MS愛好家から重宝されているようだ。
簡易版アストレイとも呼べる多用途モビルスーツだが、自衛以外での戦闘は禁じられている。一方で戦闘にも簡単に転用できるため、その筋の者達からしてみれば安価なMSにしか思われていないのが現状。
後述のシビリアンアストレイ共々、ジャンク屋が販売する「改造キット」で簡単に改造が出来る。ロウの活躍を聞いたレッドフレームファンからはレプリカの販売を望まれ、商魂たくましいジャンク屋組合ではレイスタやシビリアンの改造を支援するキットの販売を始めた。
これが大ヒットし、今では作業現場に一機はレッドフレームもどきを見かけるようになったらしい。
キットの種類にブルーフレームセカンドL用やゴールドフレーム天ミナ用、グリーンフレーム塗装用などもある。
シビリアンアストレイ(ジャンク屋 / D.S.S.D)
ジャンク屋組合と外宇宙探査機構(D.S.S.D)との共同開発によって「シビリアンアストレイ」という新型の民生機も開発された。
シビリアンは軍事用MSと比較すると性能は劣るものの、DSSDが拾ったオーブ技術者達も設計に関わっているため、単なる流用品に留まらず、カスタム次第では軍事用に匹敵する力を発揮する。
ジャンク屋組合のJG仕様はオーソドックスなアストレイタイプ、DSSD仕様は電磁推進システムを採用しているのが特徴。独自に改造したターンデルタやバイオレンスガイストなども存在する。
アクタイオン・インダストリー
アクタイオンインダストリー社を軸に行われたエース用次世代カスタム機開発計画「アクタイオン・プロジェクト」で開発されたアストレイタイプ。
アクタイオンプロジェクトはヘリオポリスで開発された機体を再生産し、近代改修を施す計画である。プロトアストレイはヘリオポリスで開発された機体だが、再生産する予定はなかった。しかし、強化コーディネイターに関わっていたダンテ・ゴルディジャーニが叢雲劾との私闘ためにアストレイノワールというプロトアストレイの再生産機を開発させた。
また同時期、アクタイオン社の技術主任ダブルブイ(V・V)ことヴァレリオ・ヴァレリ氏がただの私欲のために「ガンダムアストレイ ターンレッド」と呼ばれる機体を生産したとの記録が残っている。
- ガンダムアストレイ ノワール
- ガンダムアストレイ ターンレッド
その他
上記以外にアストレイタイプではないアストレイが存在する。いずれもロウ・ギュールによる命名。
内1機はドレッドノートガンダムというザフト製のMSで初のNJC採用機。本来は人を殺すための道具である兵器をパイロットのプレア・レヴェリーはカナードを救うために使用すると言う。ロウは人を殺める兵器としての邪道ということで「道を外れた者(アストレイ)」と名付けた。
そして次がアストレイ アウトフレーム。アウトフレームは、連合に奪われた「テスタメントガンダム」の予備パーツをロウが作業用モビルスーツとして組みたてた機体である。装甲にはフェイズシフトではなくアストレイ標準の発泡金属装甲が使われており、道を外れたという意味でこれもアストレイと名付けられた。
次がデルタアストレイ。ロウ達が火星に発った際、火星では友好関係にあるDSSDやプラントの技術を使ったMSの開発にかかった。ロウが立ち寄った際にMS開発を手伝い、勝手に名付けていった機体である。
これらはアストレイとは全く関係のない、いわば例外である。よく分からない広がり方をしているアストレイシリーズの中でもさらに異端と言えるだろう。
関連項目
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