ジョーズとは
- "Jaws"=「顎」。"Jaw"では、歯の並んだ顎一つを指す言葉であり、上顎と下顎が組み合わさったものは"Jaws"と呼ぶ。
- 上記単語をタイトルとした、ピーター・ベンチリーの小説。1916年にニュージャージー州で発生、4名の犠牲者を出した「ニュージャージーサメ襲撃事件」が元ネタとされている。
- 2.を原作とした、スティーブン・スピルバーグによる映画作品。
- 3.からはじまる一連の映画シリーズ。
- 『007』シリーズに2度登場、その他ゲームにも登場した殺し屋(演:リチャード・キール)。名の由来は何でも食いちぎる金属製の義歯。当初はジェームズ・ボンドの命を狙う悪役だったが、後に一人の少女と恋に落ち、改心してボンドを助けるなど、憎めない役どころと強烈なビジュアルで人気となった。
本項では、3.と4.について述べる。
概要
平和な海水浴場に現れた巨大なホオジロザメの恐怖と、それに立ち向かう人々の姿を描いた、海洋冒険、アクション、あるいはホラー映画。ホオジロザメ、ひいてはサメ全体のイメージを「恐怖」の象徴として定着させてしまった作品と言ってよい。
作品序盤はビーチの客が一人また一人と殺されていくホラー作品として、中盤以降は巨大人食いザメに立ち向かう3人の男の冒険作品として展開する。
海中から獲物を見つめるサメの視点、背びれだけが海上を進んでくる描写、そして無慈悲かつ豪快に食い殺される被害者達の様子と、サメの恐怖を煽りまくる演出が詰め込まれている。ジョン・ウィリアムズによる人食いザメのテーマも、海中から忍び寄るサメの恐怖を表現した処刑用BGMとして有名。海を楽しく泳ぐ女性を下から巨大なサメが狙っている、というストレートなポスターも怖い。また、スピルバーグ作品としては珍しく、子供が無残に殺される描写がある。
監督を務めたスピルバーグは当時弱冠28歳であったが、『激突!』に続き、彼の優れた演出力が遺憾なく発揮されており、現在も彼の代表作として知られる。しかし、サメの模型が見るも無残な出来であったり、若輩者のスピルバーグの言うことを出演陣が聞いてくれなかったり(スピルバーグと同年代のドレイファスだけは聞いてくれたらしい)、悲惨な制作状況の中で何とか完成した、難産な作品であったこともよく知られる。とは言え模型が使えなかったせいでサメを背びれのみで表現した事でかえって恐怖感が増すなど、ラッキーな出来事もあった。
ちなみに、映画作品の方がベンチリーの原作よりも圧倒的に知名度が高い。ベンチリーの小説にはあまり派手な展開がなく、彼の書いた原作と脚本案の筋書きをスピルバーグが気に入らずに撤回したことで、両者の仲は大変なことになったと言われている。しかし、ベンチリーは作中にTVレポート役でカメオ出演している。
劇中では1945年に伊58潜の雷撃で撃沈された重巡洋艦インディアナポリスの元乗組員サムが登場、サメの襲撃で死の恐怖を味わった事からサメを憎悪している。このエピソードを知った少年が自由研究でインディアナポリスの件を調べた結果、「適切な回避運動を怠った」と非難されていたマクベイ艦長の名誉回復に繋がったという。撃沈した伊58潜の橋本元艦長の弁護も要因の一つである。
あらすじ
美しい海水浴場と観光業で生計を立てている東海岸の田舎町・アミティで、サメによる被害が続出する。
町の警察署で署長を務めるマーティン・ブロディ(ロイ・シャイダー)は、海開きを中止すべきだと市長に進言するが、夏のビーチ観光の収入を失うわけにいかない市長はこれを却下した。
若い海洋学者のマット・フーパー(リチャード・ドレイファス)と独自に調査を進めるうち、ブロディは、アミティに現れたサメが大きなホオジロザメであることに気付き、より不安を強くする。
そして海開きを行った日、とうとうビーチで子供と青年が犠牲になる。
市長の頼みを受けたブロディは、フーパーと、凄腕のサメ漁師サム・クイント(ロバート・ショウ)と共に海へ乗り出した。
しかし相手のサメは、クイントでさえ経験したことのない巨大な怪物であることが明らかになり、3人は次第に追い詰められていく。
シリーズ・類似品
- 『ジョーズ2』(1978年)
再びアミティに現れた人食いサメに、今度はブロディ署長が単身立ち向かう。 - 『ジョーズ3』(1983年)
ブロディの息子マイケルが主人公。水族館に侵入した巨大サメとの戦い。旧式の3Dシステムを利用した、「飛び出す映画」だった。 - 『ジョーズ'87 復讐編』(1987年)
ブロディの妻エレンが主人公。バハマでサメと対決する。『2』『3』とサメの恐怖をかいくぐってきた、マイケルの弟ショーンが冒頭であっけなく殺される。
あまりの人気ぶりにシリーズ化され、全3作の続編が作られた。
『2』はスピルバーグが降板したものの、ロイ・シャイダーが引き続き出演、ジョン・ウィリアムスも楽曲を提供。何より出来が地味に良かったため、人気作品の続編としては異例の、当時でも衝撃的な大ヒットを記録した。
しかし『3』以降の評価と出来はまさに散々。また1作目があまりにも偉大すぎたため、ヒットした『2』もそこまで知名度は高くない。ただし『2』の展開は、ユニバーサル・スタジオのアトラクションに一部流用されていたりする。
またスピルバーグが製作総指揮を務めた映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』では、2015年の世界で『ジョーズ19』が作られている。なお監督は息子のマックス・スピルバーグ(実在人物)となっている。
その後2015年にユニバーサル・ピクチャーが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』30周年を記念してニセ予告編を制作・公開。架空の5以降は割とやりたい放題な内容となっており、ジョーズがメカになったり家族が出来たり宇宙に行ったりニューヨークに行ったり、だいぶあれこれしていたようである。
本作以降、サメの恐怖を描いたパニックB級映画が世界中でどんどん作られた。
サメが川にやってきたり、湖にやってきたりといったシチュエーションのほか、古代の巨大サメ・メガロドンが復活するといったものまでそのバリエーションは多種多様だったが、『ジョーズ』に並び立てる作品は一つもなかったといってよい。唯一、レニー・ハーリンの『ディープ・ブルー』は、斬新な設定もあって世界でヒットを飛ばし、日本においても知名度が高い。
しかし粗製乱造が続く中、『シャークネード』など一周回ってカルト的な人気を博した作品もある。詳細はサメ映画を参照。
ユニバーサル・スタジオのアトラクション
USJをはじめとしたユニバーサル・スタジオには『ジョーズ』をモチーフにしたアトラクションがある。
アミティの海を回るクルーズに参加するという設定で、客はやけにノリのいいガイドと共にアミティの海(※どうみても川)へ乗り出すが、なんと人食いザメの襲撃を受ける。客とガイドを乗せたボートはガスタンクのそばや船の収容所などを逃げ惑うが、サメは容赦なくボートを襲いまくる……という内容。
クルーズの結末には『ジョーズ2』の展開が流用されている。
関連動画
関連商品
上記の商品はDVDだが、これではなく、同じ「コレクターズ・エディション」のBD版こそが、この作品を楽しむうえではベストなソフトである(ニコニコ市場に登録なし)。
「コレクターズ・エディション」のBD版は、画質が良いことに加えて、オリジナルのモノラル音声も収録されている。DVD版などに収録された音声は新録版で、特にクライマックスの船のきしむ音や、ブロディのキメ台詞「Smile you son of a bitch!」の“bitch!”が消えていたりするため、オリジナル音声の方がより楽しめる。
また、吹替音声も収録されている。
ほかに廉価版や通常版などが多数リリースされているが、吹替が入っていなかったりするので注意。
関連項目
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