紺碧の艦隊とは、荒巻義雄原作による仮想戦記小説である。仮想戦記としては珍しくメディアミックスがなされている作品である。マンガやOVAも存在し、近年においてもソーシャルゲーム化がなされるなど、仮想戦記で最も成功した作品であるだろう。また、同時期の別の戦線(主に対独戦)を描いたシリーズに旭日の艦隊が存在している。
あらすじ
昭和18年4月18日にブーゲンヒル島上空で戦死した山本五十六は、日露戦争最中の後世日本に高野五十六として転生する。日米開戦を回避するために奮闘するが、時の流れは変えられず日米開戦は決定的となってしまう。高野と同じ志を持つ転生者の集団『紺碧会』は、陸軍の大高弥三郎が率いる転生者の集団『青風会』とともに"照和"16年12月1日にクーデター敢行、大高は首相に、高野は軍令部総長に就任した。大高と高野は「より良い負け」を目指して、日米戦を指導していくことになる。
概要
仮想戦記とは述べたが、超兵器が大量に投入されているために、SF仮想戦記と言った趣が強い(作者の荒巻氏が元々SF小説を中心に執筆している影響と思われる)。技術力においても前世の記憶を持っている軍人、技術者が日本には大量に存在するために、文字通りの「強くてニューゲーム」状態になっている。
伊600型潜水艦を中心とした高速潜水空母艦隊・「紺碧艦隊」を中心に、対米英戦争を行う。
その一方で、陸戦や空戦にもスポットが当てられていて、数多くの架空兵器が登場する。前世の記憶を持った日本人が多いため、連合軍の泣き所を次々に攻撃し、制圧・撃滅していくのが主な流れ。序盤こそオーバースペックの紺碧艦隊を中心とした日本軍が大暴れする展開だが、時代が下るにつれて日本以外の国にも技術革新が起きて、超兵器のバーゲンセールと化していく。物語終盤には伊600型も型落ちになってしまっている。また連合軍も史実と異なる動きをしてくるようになる。例を挙げるとドーリットル空襲を行う機体がB-29の後継機であるB-30(史実のB-50に相当)になり、また爆撃コースも史実とは反対となっている。ちなみに伊600型建造の予算と資材は大和型から流用されているため、紺碧の世界には存在しない(但し同作の後半および旭日の艦隊にて大和型の強化版といえる「日本武尊(やまとたける)」と信濃の強化版「建御雷(たけみかづち)」が登場する)。
原作小説版と漫画版(とOVA版)だと大筋では同様の展開だが、兵器の開発経緯が違ったり戦闘での被害状況が違ったり差異が見られる(少ない紙面で描写する漫画ゆえの改変である)なお続編である『新・紺碧の艦隊』『新・旭日の艦隊』では更に差異が進みタイトルだけ同じ別物と云える内容になっている。
基本的には超技術力を用いた日本無双だと思っておけば間違いない。前半は史実通り連合軍と戦い、講和が成立した後半は対独戦がメインとなる。
小話
紺碧の艦隊は仮想戦記ブームの火付け役と言われており、本作品の人気にあやかって後発の仮想戦記が雨後のタケノコのごとく現れた。OVA化やゲーム化が実現したのも、ブームの始祖的立場にあったのも大きいだろう。
関連作品
動画
静画
紺碧の艦隊2
紺碧の艦隊を基にしたPCゲームである。マップは地球全体であり、陸海空軍を持つ日米英独に陸空軍だけを持つソ連、その他の中国タイオーストラリアなどの国家との外交が可能である。ただし一部の国とは特定のイベントを通してしか同盟はできない。もちろん、米本土に上陸しワシントンを占領してアメリカを滅ぼし、そのまま欧州を席巻するという事も可能である。後発のアドバンスにおいてはドイツと同盟しているかによって、生産できる航空機が大きく異なってくる。ドイツと同盟していると烈風や彗星、流星や戦略爆撃機・富嶽のような史実の航空機が生産でき、ドイツとの同盟を切ると電征や蒼莱、超重飛行艇・富士のような紺碧の艦隊世界における兵器が生産できるようになる。同盟を破棄すると既存の航空機が生産できなくなる可能性があるので、タイミングには気を付けなければならない。
紺碧の艦隊2の大きな特徴として後に鋼鉄の咆哮シリーズでも採用されたHLG55システムを搭載していることがあげられる。これは艦型を選び、その上に機関や主砲、魚雷発射管などを載せていきオリジナルの艦船を制作することが出来るという画期的なものであった。技術力が上昇すると対艦対空攻撃に圧倒的な威力を見せ付ける噴進弾や怪力線照射装置といった謎兵器も搭載できるようになる。
関連項目
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