「綾波が、守ります!」
綾波(あやなみ)とは、ブラウザゲーム「艦隊これくしょん~艦これ~」に登場する、大日本帝国海軍の特II型(綾波型)駆逐艦1番艦「綾波」をモデルにした艦娘である。
担当声優は東山奈央、キャラクターデザインはしばふ。図鑑番号はNo.017、改二はNo.195。
抜錨!史実です!
綾波に関しては、艦これでの扱いよりも、まず史実から語るべきであろう。彼女は艦これに登場する駆逐艦の中でも、阿修羅と呼ばれた「夕立」と並び、「鬼神」と称された帝国海軍屈指の武勲艦である。
綾波は昭和2年計画艦の1隻として、1928年1月20日、藤永田造船所で起工。1930年4月30日に竣工した。特型駆逐艦の11番艦であるが、艦橋構造物の大型化、缶室吸気口を海水の流入を防ぐためキセル型から椀型に変更(以降これが帝国海軍駆逐艦の基本になった)、仰角が75度に上がったB型砲塔の搭載といった改良を施されているため、「綾波」以降の10隻は「特Ⅱ型(綾波型)」と称され、綾波はその1番艦となる(ちなみに、竣工は妹の「敷波」の方が早い)。「磯波」「浦波」「敷波」と第十九駆逐隊を編成した。
第四艦隊事件の教訓を踏まえた重心低下の改装を受けたのち、太平洋戦争開戦後は第一艦隊第三水雷戦隊に所属。数々の海戦に参加し、1941年12月19日には「浦波」「夕霧」とともにオランダ海軍潜水艦O-20を撃沈するといった戦果を上げる。1942年からはインド洋での上陸作戦支援、ガダルカナル島への輸送任務などに従事した。
そして1942年11月14日、綾波は第三水雷戦隊の1隻として、第三次ソロモン海戦へと参加する。
ソロモン海の鬼神
1942年11月15日、第三次ソロモン海戦の第二夜戦において、「綾波」は軽巡「川内」・駆逐艦「敷波」「浦波」の計4隻による掃討隊を編成。背後に続く戦艦「霧島」・重巡「愛宕」「高雄」の砲撃隊、軽巡「長良」率いる直衛隊の前路警戒を担い、ガダルカナル島飛行場砲撃へと向かっていた。
サボ島近海に到達した掃討隊は、付近の哨戒にあたるべく、「川内」「綾波」はサボ島西側へ、「敷波」「浦波」はサボ島東側へ分かれて進むことになる。ところがここで、東に回った「浦波」が単縦陣で西へ向かう敵艦隊を発見。「川内」に報告し追尾を始める。「川内」は「浦波」「敷波」を援護するため東に回り、「綾波」は単独で西側を進むことになった。
このとき「浦波」が発見したのが、アメリカの新造戦艦「サウスダコタ」・戦艦「ワシントン」の戦艦2隻と、それを護衛する「ウォーク」「ベンハム」「プレストン」「グウイン」の駆逐艦4隻からなる主力艦隊であった。
追尾していた「浦波」「敷波」と、それに追いついた「川内」の3隻は米艦隊と戦闘を開始。このとき「川内」は全部隊に向けて「敵艦隊発見」の報を送っていたが、サボ島に電波が遮られたためか、その連絡は「綾波」には届かなかった。さらに「綾波」にとっては不運なことに、戦力差から戦況不利とみた「川内」らは一旦後退を選択。このため、何も知らないままサボ島西側を回り込んだ「綾波」は、状況を把握できないままに「川内」たちの追っていた米艦隊を発見。艦長は即座に戦闘開始を命令し、「綾波」は単艦で戦艦2・駆逐艦4の主力艦隊へ正面から突入する羽目になってしまう。
駆逐艦1隻で戦艦2隻と駆逐艦4隻を同時に相手にするという、無理ゲーもここに極まれりという状況に突っ込んでいくことになってしまった「綾波」。だが、彼女の無双伝説はここから始まる。
敵艦隊へ向けて加速した「綾波」は、米艦隊がその突撃に気付いて砲撃を開始した直後、距離5000まで近付いたところでまず先頭の「プレストン」へ向けて砲撃を開始。これが「プレストン」と「ウォーク」に命中、両艦に火災を発生させる。さらに「綾波」は集中砲火の中、煙突への被弾とガソリンタンクの爆発で魚雷の1番連管が使用不能になるも、残された魚雷を一斉発射。これが「ウォーク」と「ベンハム」に命中し、「ウォーク」を撃沈、「ベンハム」も航行不能となり落伍する(「ベンハム」はこのダメージにより翌日沈没した)。
獅子奮迅の戦いぶりを見せる「綾波」だったが、敵艦隊の集中砲火により次々と被弾、ついには航行不能となってしまう。この絶体絶命の状況に、しかし駆けつけたのは軽巡「長良」と駆逐艦「五月雨」「電」「白雪」「初雪」からなる直衛隊だった。直衛隊は炎上していた「プレストン」を撃沈、無傷で残っていた「グウイン」も中破させ艦隊から落伍させる。残る「サウスダコタ」と「ワシントン」へ向けて、轟沈寸前の「綾波」は最後の力を振り絞って砲撃を放ち、これが「サウスダコタ」の電源系を破損または副砲群を損傷させた。
(アメリカ側の資料では「綾波」の砲撃は副砲群にダメージを与えただけで、電源系に関しては「サウスダコタ」が「綾波」を仕留めようとした際に、自身の砲撃の衝撃で電源系がダウンし、そこから復旧ミスに繋がって数分間電源が落ちたものとされている。どちらにせよ「綾波」が「サウスダコタ」の眼を奪ったのは確かであった。)
この後「サウスダコタ」と「ワシントン」は戦艦「霧島」との殴り合いに突入するが、詳細は彼女の記事を参照されたい。
かくして、敵駆逐艦2隻を撃沈・1隻を炎上、戦艦1隻を一時砲戦不能にするという異例の大戦果をあげた「綾波」は、喫水線下の損傷が無かったこともあり、戦闘後も炎上しながらも沈没せず、乗組員が全員退避し「浦波」に救助されるまで持ちこたえた。「浦波」が生存者を全て救助した直後、それを待っていたかのように「綾波」は魚雷が2度爆発し沈没していった。このため、「綾波」の乗務員は艦が撃沈されたにも関わらず、艦長を含め乗員の8割が生還するというこれまた異例の乗員生存率を誇った。この奮戦により、「綾波」は「黒豹」「鬼神」と讃えられた。
12月15日、除籍。最期まで乗組員を守り抜いた心優しきソロモン海の鬼神「綾波」は、同じ特型の1番艦「吹雪」「暁」ら多数の味方艦、そして多数の敵艦とともに、アイアンボトム・サウンドに今も眠っている。
概要にいたしましょうか?
というわけで、帝国海軍の艦船の中でも武闘派中の武闘派といえる綾波だが、艦これに登場する綾波は元ネタの武闘派イメージとは打って変わって、おっとりした癒やし系少女である。どうも「夕立」といい「神通」といい、艦これでは史実で大立ち回りを演じた艦はおとなしめの性格に設定される傾向があるようである。
外見は敷波と同じ濃いブラウン系のセーラー服に、おでことサイドテール、柔らかそうなほっぺたが特徴。史実を踏まえ、中破絵ではちゃんと煙突が損傷しているなどしばふ絵らしい芸の細かさが見られる。
・・・しかし、サービス開始段階では残念なことにこれといって代名詞的な台詞もなく、性格的にも外見的にもあまり目立つ要素がなく、屈指の武勲艦であるのにステータス的に優遇されているということもなく、どうにも地味な印象がつきまとう感は否めなかった。秘書クリック時の「そんなに話しかけられてしまうと、お仕事がちゃんと出来ないです・・・」や、装備変更・遠征選択時の「や~りました~!」などかわいい台詞もあるのだが・・・。妹の敷波と立ち絵のポーズがそっくりなため、史実をよく知らずに「エヴァの綾波と違って地味」とか「なんか敷波とコピペっぽい」とかいささか失礼な認識しかしていない提督も多かったようである。
そんなこともあり、駆逐艦の改二実装以降、綾波はその武勲から常に有力な改二候補として語られ続けていたものの、同じ第三次ソロモン海戦で大暴れした「夕立」や幸運艦の「時雨」に先を越され、なかなか改二が実装されないでいた。ようやく改二が実装されたのは、最初に改二が期待された2013年10月のアップデートから実に8ヶ月後のことであった。(後述)
(以下轟沈台詞関連のため反転)轟沈時の台詞では、「吹雪は無事かしら・・・そう、良かった・・・」と吹雪を気に掛けているが、前述の史実の通り、綾波と吹雪の間にはこれといった繋がりが無い。同じ特型の1番艦であることと、吹雪も綾波の一ヶ月ほど前に同じサボ島沖で沈んでいることぐらいだろうか。史実で同じ敵と交戦していた妹の「敷波」を気に掛けるならまだ解るのだが、特に他に言及する台詞も無い吹雪のことを心配している理由は不明である。誰か思い当たる人がいたら教えてください。
なお、『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイの「綾波」の元ネタは駆逐艦の綾波であるが、さすがにあざとすぎるためか、こちらの綾波の台詞にエヴァネタらしいものはない。なぜか「初風」にネタを取られた。艦これの大ヒットで、帝国海軍の艦船名の検索結果を艦これキャラが侵食するという現象が多数報告されているが、綾波は相手が強力すぎるため、検索結果で向こうに勝つのはなかなか難しそうである。……とか言ってたら某ヘソ出しのミミが可愛い方の綾波が侵食してきてますます混沌としたことに……。
初期からいる艦娘であるにもかかわらず、長らく限定グラももらえなかったが、2017年7月に初の限定グラ【浴衣mode】が実装された。浴衣姿に屋台の射的で使うであろうライフル、および射的で獲得したであろう黒猫(クロヒョウ?)の人形を持っている。中破姿では黒猫人形が怒ったような表情に変化する。
綾波、生まれ変わったみたい!
「綾波、こう見えて狙った敵は逃しません!出撃を意見具申致します!」
というわけで、長らく改二候補の座に留まり続けてきた綾波だったが、2014年6月20日のアップデートで三水戦の旗艦・川内とともに改二が実装された。改造レベルは70。改装設計図は不要。
ステータス的には、火力70、雷装87と、夕立改二には一歩及ばないものの、それに匹敵するだけの攻撃力を持った、鬼神の異名に相応しい武闘派ステータスとなった。さらにその後、火力74(駆逐艦トップ)、雷装88に上方修正され、夜戦火力162は改二艦の増えた現在も夕立改二に次いで全駆逐艦中2位を誇る。
また史実において(主に前述の第三次ソロモン海戦)雪風、長門などの幸運艦に並ぶ豪運を発揮したエピソードから、戦没艦ながら運が40(改修上限84)とかなり高めに設定されており、カットイン装備にすれば怖ろしい破壊力を発揮する。実際夜戦では無傷の戦艦棲姫をワンパンで沈めることもある。もちろん連撃装備でも優秀。
高火力ゆえ砲撃戦からの活躍が見込め、また支援艦隊要員としても非常に有能。対空だけは控えめなもののシステム的に大きな弱点とは言えないため、特にカットインでボスの高装甲を撃ち抜くことが求められるイベント最深部などでは、まるゆ不足の艦隊でも非常に頼れる存在である。
綾波自体の入手の容易さ、設計図不要、運改修の手間の少なさから、初心者提督にとってはバリバリの即戦力となり、その後も各種の場面で活躍してくれるはず。主力駆逐艦として育てておいて損はない。
また初期装備としてそれまで夕立改二のみの装備だった12.7cm連装砲B型改二(その後、B型改二は改の段階でも持ってきてくれるようになった)と、イラストでも足につけている探照灯、そして新装備の照明弾を持ってきてくれる。ただし、史実の綾波の大立ち回りでは探照灯も照明弾も使用していない。全て目視での大暴れである。
イラストは少し大人びて全体的に凛々しくなり、また改までは胸元の辺りまでだったサイドテールが非常に長くなり、足元にかかる辺りまでに伸びる。ゴンさん化? 艤装には探照灯が追加された他、連装砲を1基増やし、2丁拳銃のように使うスタイルに変わる。改まで一部の提督が虜になっていたほっぺのぷにぷに感は減ってしまった為にそのことを残念がる向きもある。
また放置ボイス、補給ボイス、ケッコンカッコカリ後の母港ボイス、そして改二にのみ時報が追加されている。
追加ボイスは午前3時の時報を筆頭に非常にかわいいものが多く、かなりの幼妻っぷりを発揮しているので、是非聴いていただきたい。
2015年の菱餅イベント報酬として実装された熟練見張員の妖精さんが綾波(と鳥海)に似ている。前述の通り、夜戦において目視のみで大暴れした史実によるものだろう。
新しい関連動画が来てくれたみたい!
左舷、関連静画、用意!
改二の静画ですね。分かりました。お任せください。
この関連商品は譲れません!
綾波が一番だなんて・・・嬉しいです、関連コミュニティのおかげですね
司令官、関連項目が来ています
綾波型姉妹 / 吹雪型駆逐艦 (特II型:11~20番艦) |
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1.綾波 - 2.敷波 - 3.朝霧 - 4.夕霧 - 5.天霧 - 6.狭霧 - 7.朧 - 8.曙 - 9.漣 - 10.潮 特I型: 吹雪型姉妹 - 特III型:暁型姉妹(第六駆逐隊) |
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