建物がしょぼいBEAとは、フランス航空事故調査局(Bureau d'Enquêtes et d'Analyses pour la Sécurité de l'Aviation Civile / BEA)の本部建物を見た人の大変失礼極まりないコメントである。略して建ショボなどとも呼ばれる。
概要
航空事故調査では、国内線も国際線も自国を発着する便数が多く、それに加えてボーイングやマクドネル・ダグラスの製造国ということから、アメリカの国家運輸安全委員会(National Transportation Safety Board / NTSB)がしばしば登場する。
しかし、エールフランスなどフランスの航空事故ではBEAの担当となるケースが多い。
そして高層構造のNTSB本部ビルや、英国交通事故調査局(Air Accidents Investigation Branch / AAIB)の低層ながら洒落ていて広大な本部建物に対し、BEAの本部建物は2・3階建てとまるで地方の役場か小学校の校舎を連想するような低層かつこじんまりとした建物であったため、このような辛辣なコメントがされるようになってしまった。
その玄関に掛かっている手書きの「BEA」の看板が建物と合わさり、「芸術の国」とされるフランスらしからぬ風情を醸し出していることも、辛辣な評価がされる一因と考えられる。
メーデー屈指の鬱回として評されるジャーマンウイングス9525便墜落事故の回(ルビッツの話と言えば伝わるだろう)では三度も建物が登場しており、その鬱っぷりに疲れた視聴者の心を癒してくれている。
しかし、当然ながら建物の大きさと実際の事故調査能力は一切関係なく、BEAは2000年のコンコルド墜落事故や2009年のエールフランス447便墜落事故などで素晴らしい調査能力を発揮している。
そんなBEAはル・ブルジェ空港の一角、航空宇宙博物館の向かいに存在し、二度にわたって用地が拡張されている。90年代と比べると用地面積は5倍になっている。
とはいえ、さすがにBEAの中の人も「うわっ…私達の建物、ショボすぎ…?」と思っていたからなのかもしれないが2017年11月~2018年3月にかけて本部建物の正面から見て右側に"hangar technique"(hangar=格納庫、technique=技術)という名称と思われる倉庫が建設された(参考)。倉庫の場所はかつて駐車スペースとして用いられていた模様(参考)。隣には倉庫一つ程度の空き地があるためさらなる拡張が可能と思われる。
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https://twitter.com/BEA_Aero/status/977533280424792064
工事期間中は上記ツイートのように、2018年1月9日に開設された公式twitterにて何度か嬉しそうに工事の進捗状況を報告していた。
「ドーム型倉庫」で検索すると同様のものが見つかり、農業用倉庫などに使用されていることが分かる。
2023年6月5日に公式Twitterにて、エンジン機器構造部門に建設される技術研究所の工事状況が報告された。この工事の一環として天窓が新設されたことが確認できる。
ダンボール模型、フランスへ
2019年4月に、ダンボール建築の人が上記の2018年新築格納庫を含めた建物全体を"1/150BEA(国際BEA原器基準)"で完全再現、完成したダンボール模型はニコニコ超会議2019で展示された。
ちなみに、新設格納庫部分はかつてBEAが事故調査を担当したエールフランス447便墜落事故(ボナン)の当該ブラックボックスと同じように、メーデー民大好き真水にしっかりと漬けられた後ダンボール表面を剥がされ、本家BEA格納庫の凹凸を見事に再現している。
そして同年6月にはyoutubeに投稿された制作過程の動画をどういう経緯かわからないが何故かBEAの中の人が発掘。その出来栄えに感動したBEAの中の人の要望もあり翌7月にダンボール模型は日本からフランスへと無事航空事故に合わず空輸され、なんと本家BEAで展示されることになった。決して、証拠品として押収されたわけではない。
いままでの航空事故調査実績だけではなく、今回の一件でも建物の出来と事故調査能力には何ら相関性がないことを日本のBEAファンに向けてまざまざと証明してみせた。
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https://twitter.com/BEA_Aero/status/1141279173182464002
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https://twitter.com/BEA_Aero/status/1152170438514098178
ちなみに、本家BEAの人から「どうしてBEAを作ったのですか?」という一歩答えを間違えれば国際問題に発展しかねない質問をされ、ダンボール建築の人は以下のように見事に回答している。(上記関連動画より引用)
フランスの皆様、初めまして。私はダンボールで建築模型を制作しているクリエイターです。なぜ日本人である私がフランスの政府機関であるBEAを制作したかといいますと、航空事故を調査するドキュメンタリー番組に興味を持ち、BEAの活躍を見たからです。
BEAの優秀さは日本の航空ファンの間でも評判で、日々航空事故を調査し、再発防止に努めるBEAの皆様にはとても感謝しています。世界の空を安心して飛べるのは、BEAのおかげです。本当にありがとうございます。
このダンボールBEAは、もともとは日本の航空ファンに見せるために制作したものです。制作過程を紹介する動画をyoutubeに投稿しましたが、BEAの公式twitterに紹介され、感謝と驚きでいっぱいです。BEAの調査力は、極東の島国日本にも及んでいます。もう少しこの作品を日本の航空ファンに見せびらかしたい気持ちもありましたが、自分の作品が遠い空を旅して、尊敬する本家BEAまで行くという体験はなかなか無いだろうと思い、僭越ながら贈呈させて頂きます。今後とも、世界の空を宜しくお願い致します。
フランス国家憲兵隊
BEAが事故調査をする時の相棒であり、事故調査にあっては右京さん(BEA)に対する亀山君のような立場にある。原語の正式名称はGendarmerie nationale française。陸海空軍と共にフランス四軍を構成し、また国家警察と並ぶフランスの二大警察機関の一つでもある。組織管理においては国防大臣の管轄下にあるが、平時の指揮監督は内務大臣や県知事から受ける。文民の国家警察が主要都市を管轄にしているのに対し、憲兵隊の管轄はそれ以外全部となっており、担当面積も担当分野も広い。
航空事故に対応するのは、国家憲兵隊の一部門である航空保安憲兵隊(GTA、Gendarmerie des transports aériens)。GTAは空港警備や航空テロ対策など航空安全の確保を任務としており、事故発生時の人命救助やBEAの補佐も主たる任務の一つである[1]。憲兵隊が登場すると「なぜ航空事故調査で憲兵隊が出てくるんだ?」という疑問の声も上がるが、上記のような理由があったわけだ。
ちなみに憲兵隊にはGendarmerie de l'airという部門もあるが、こちらは空軍で憲兵業務を行うものであり、GTAとは任務が異なる。
関連動画
関連項目
外部リンク
脚注
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