アクラフ・ハキミ 単語


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アクラフハキミ

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アクラフ・ハキミAchraf Hakimi Mouh, 1998年11月4日 - )とは、モロッコサッカー選手である。
フランス リーグ・アンパリ・サンジェルマン所属。サッカーモロッコ代表

ポジションはDF(右サイドバック)。利き足は右足。181cm73kg。

概要

スペインマドリード州ヘタフェ出身で両モロッコからの移民スピードダイナミズムに富んだ世界最高峰のサイドバック爆発的な攻撃力が持ち味。圧倒的なスピードでかけあがりゴールチャンスを演出し、そこからシュートを放ちゴールを狙うことや味方のゴールアシストすることもできる。サイドバックながらインナーラップからのシュートや利き足でない左足でのシュートを放つなどバリエーション豊富で攻撃にアクセントをつける近代的なサイドバックである。

2016年レアル・マドリードカスティージャでプレーを始め、2017年トップチームに昇格。その後、ボルシア・ドルトムントインテル・ミラノといった強クラブで評価を高め、2021年パリ・サンジェルマンに加入。2024-25シーズンにはクラブ初のUEFAチャンピオンズリーグ優勝を含めた三冠(トリブル)達成に大きく貢献している。

代表チームルーツであるモロッコ代表を選択。2016年17歳フル代表にデビュー。若くして代表の力に定着すると、2022 FIFAワールドカップではアフリカとして初めてワールドカップ準決勝に進出するという歴史を築いている。

経歴

生い立ち

1998年11月5日スペインマドリード州のヘタフェでモロッコ人の両の間に生まれる。父親は露商、母親は清掃員として計を支えていたが、家族生活経済的に困窮していた。両は貧しいながらもハキミとその兄弟のために尽力していた。

は初めは水泳などをやらせたかったようだが、少年時代のハキミが熱中したのはサッカーだった。幼い頃からサッカーに熱中し、近所の路上でボールを蹴り始めるようになっていた。2005年に地元のサッカークラブであるデポルティーボ・コロニアオフヘビに入団し、本格的にサッカーを歩み始める。そこでのプレーレアル・マドリードの関係者に伝わり、8歳だった2006年10月20日レアル・マドリードの下部組織に入団する。

レアル・マドリード

レアル・マドリードアカデミー入団後は数年間スキルを磨き、最初はウイングとしてプレーし、その後、現在ポジションである右サイドバックに転向。育成年代を順調に過ごし、ステップアップを重ねて2016年からレアル・マドリードカスティージャでプレー。当時、そのプレースタイルから「未来のカルバハル」と紹介されている。

2016年トップチームのプレシーズン遠征に招集され、インターナショナルチャンピオンズ・カップ 2016パリ・サンジェルマン戦の後半から途中出場、トップチームデビューを果たす。シーズン開幕後はカスティージャでのプレー戦場だったが、UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメントの予備メンバーに登録され、負傷者が続出した背景もあり、2017年1月のコパ・デル・レイ準々決勝のセルタ・デ・ビーゴ戦にも招集されている。セグンダB(3部)に所属するBチームでは28試合に出場し1得点記録

2017-18シーズンには、ダニーロの移籍に伴い、トップチームに昇格。序列としてはダニ・カルバハルナチョに次ぐ右サイドバックの3番手という位置づけだったが、カルバハルの離脱によって2017年10月1日ラ・リーガ第7節RCDエスパニョール戦にスタメンに抜され、公式デビューを飾る。12月19日の第15節セビージャFC戦でラ・リーガでの初ゴール記録。この頃は攻撃面においてを見るものを見せていた反面、守備面ではまだ線が細かったことやポジショニングのミスから厳しいと評価されていた。カルバハルの復帰後は出場機会が減ってしまうが、5月12日セルタ・デ・ビーゴ戦でゴールを決めている。

ドルトムント

2018年7月11日ドイツブンデスリーガボルシア・ドルトムントに2年間のレンタルで移籍することが決定。レアル・マドリードが右SBの控えを補強したことから経験を積むために武者修行に出されることになった。移籍初年度からスピードと正確なパスを武器に攻撃面で違いを作り出す。10月24日UEFAチャンピオンズリーググループステージ第3節アトレティコ・マドリード戦では驚異の1試合3アシスト記録。この頃は左右のサイドバックを兼任して起用されたが、左サイドバックで起用されても持ち味の攻撃力を発揮していた。前半戦をリーグ首位で折り返しドルトムントの躍進に貢献したが、後半戦は怪での離脱もあり、チームも失速したことで2位に終わる。

レンタル2年となった2019-20シーズンは、チームが3バックを採用したこともあって右ウイングバック戦場とする。同年代の若いタレントチームメイトに多い環境で躍動し、前年よりもさらに進化した姿を披露。2019年10月2日CLグループステージ第2節スラビア・プラハ戦ではCLゴールを含む2ゴール記録11月5日CLグループステージ第4節ホームでのインテル戦では2点ビハンドの場面から後半にまたもや2ゴールを決める活躍ぶりで逆転勝利を演出。チーム2位でのグループステージ突破に貢献する。2020年2月ヘルタ・ベルリン戦では時速36.48キロ(22.67マイル)をマークし、ブンデスリーガの最速記録を立。5月31日ブンデスリーガ第29節SCパーダーボルン戦ではゴールを決めた後にユニフォームを脱ぎ、「ジョージ・フロイド正義を」というメッセージが書かれたシャツを披露。覚醒したこのシーズンでは公式戦9得点10アシストというSBとしては異例のスタッツ記録マドリー時代散々批判された守備面でも成長の跡が見られ、飛躍のシーズンとなった。

インテル

2020-21シーズンは保有先のレアル・マドリードに戻るかと見られていたが、2020年7月2日イタリアセリエAインテル・ミラノに5年契約全移籍する。移籍金はおよそ4000万ユーロと報じられている。2020年9月26日セリエA第2節フィオレンティーナ戦で新地でのデビューを果たす。続くベネヴェント戦でセリエAでの初ゴールを決める。11月3日にはCLグループステージ第3節で古巣であるレアル・マドリードと対戦することになるが、自らのミスによって失点を招いてチームも敗れるなど、苦い古巣凱旋となった。その後はWBの攻撃力を重視するアントニオ・コンテ監督の戦術にプレースタイルマッチし、加入1年にして圧巻のスピードセリエAを席巻。ドリブルでの持ち上がりとオフ・ザ・ボールでの走り込みの両方で破壊力を発揮し、インテルの右サイドに違いを作り出すようになる。最終的に公式戦45試合に出場し7ゴール11アシスト記録し、インテルの11年ぶりのスクデット獲得に貢献。シーズン終了後は、インテルの財政事情から去就問題が囁かれるようになる。

パリ・サンジェルマン

2021年7月6日フランスリーグ・アンパリ・サンジェルマン2026年6月までの5年契約で移籍することが発表される。移籍金は6000万ユーロとも7000万ユーロとも報じられている。加入直後に新型コロナウイルスへの感染が確認され、10日間の隔離を強いられたが、8月7日リーグ・アン開幕戦のトロワ戦に出場し、新地でのデビューを飾ると、チームシーズンゴールとなる移籍後初ゴールを決め、存在感を見せつける。10月24日第11節オリンピック・マルセイユとのル・クラスィクでは後半11分に一発退場となっている。チームの構成上、インテル時代よりも守備の負担が大きかったが、それでも攻撃面で存在を見せる。移籍1年で4ゴール6アシストという成績を残し、リーグ・アン優勝を果たす。

2022-23シーズンは、2022年8月6日リーグ・アン開幕戦クレルモン戦でチームの2点を決める。8月23日、第3節リール戦では1ゴール1アシストの活躍を見せ、7点を奪っての大勝に貢献する。移籍2年も右サイドバックの1番手として公式戦36試合に出場。2年連続でリーグ・アンタイトルを獲得する。

2023-24シーズンも引き続き不動の右SBとして君臨。2023年9月3日リーグ・アン第4節オリンピック・リヨン戦でシーズンゴール記録9月19日CLグループステージ第1節では古巣のボルシア・ドルトムントと対戦し、後半に決定的な2点を決め、UEFA選出による週間ベストイレブンに選出される。9月24日リーグ・アン第6節オリンピック・マルセイユとのル・クラスィクでは公式戦2試合連続となる直接FKによるゴールを決めている。試合後、マルセイユに対して攻撃的なチャントをしたとして1試合の出場停止処分を下されている。リーグ・アンではターンオーバーで休むことも多かったが、4ゴール5アシスト記録ウスマン・デンベレとのコンビで右サイドを制圧し、優勝に貢献。一方、CLでは準決勝で古巣であるドルトムントに敗れることとなった。

2024-25シーズンリーグ・アン第2節モンペリエ戦で1ゴール1アシストMVP級の活躍を見せる。ルイス・エンリケ監督2年となったPSGは、選手全員ハードワークをおこなうチームへと様変わりしたことから以前のような守備の負担が減り、持ち前の攻撃力を如何なく発揮するようになる。得点力、対人力で覚ましい進化を遂げていき、その攻撃性の高さから「世界最高の右サイドバック」と評されるようになる。得点関与数も飛躍的に増えるようになり、前線タレントうPSGの中においても、ヌーノ・メンデスとのSBコンビチームの攻撃における重要なファクターとなっていた。2月23日リーグ・アン第23節リヨン戦ではPSG加入後初となる1試合2ゴール記録2月29日にはPSGとの契約2029年まで延長している。2025年5月7日CL準決勝2nd legホームアーセナル戦ではデンベレとのコンビPA内に侵入し、勝負を決定づけるゴールを決めている。5月24日クープ・ドゥ・フランス決勝のスタッド・ランス戦では前半終了間際にダメ押しとなる3点を決め、チーム内二冠に貢献。5月31日CL決勝インテル戦では、前半12分にデジレドゥエラストパスからゴールを決め、先制ゴールマーク。このとき古巣相手ということでゴールセレブレーション自粛している。この大舞台でも珠玉のパフォーマンスを見せ、PSGの悲願だったCL初制覇及びトレブル三冠)に大きく貢献。FIFAクラブワールドカップ2025では、準優勝に終わったものの猛暑アメリカの地で圧巻のパフォーマンスを披露。7試合で2ゴール2アシスト記録し、大会ベストイレブンにも選出されている。また、1シーズンあたりのDFの得点関与数の新記録立している。

モロッコ代表

生まれ育ったスペイン代表に入ることも可だったが、両祖国であるモロッコ代表を選択。2016年U-20代表、U-23代表としてプレーした後、同年10月17歳にしてフル代表に初選出。10月11日カナダとの試合モロッコ代表デビューを果たす。この頃はまだレアル・マドリードトップチームに昇格する前だったが、それでもフル代表に入れたのは期待の現れだった。2017年9月1日ホームでのマリ戦で代表初ゴールを決めている。

2018年6月ロシアで開催された2018本来とは違うポジションFIFAワールドカップメンバーに選出される。大会では3バックの右や左サイドバックで起用され、全3試合フル出場したが、チームは格上のスペイン引き分けるなど善戦しながら1分2敗でグループリーグ敗退に終わっている。

2022年1月カメルーンで開催されたアフリカネイションズカップ2021に出場。グループステージ第3節のガボン戦では試合終盤にFKからの直接ゴールを決め、引き分けに持ち込んでいる。さらにラウンド16のマラウィ戦でも2試合連続となるFKによる決勝ゴールを決め、モロッコベスト8進出に導く。この大会でも全試合フル出場したが、準々決勝でモハメド・サラーを擁するエジプトに敗れている。

2022年11月にはカタールで開催された2022 FIFAワールドカップに出場。大会では右SBとして起用され、グループステージ第2節ベルギー戦では1アシスト記録。第3節のカナダ戦ではMOMに選出されている。PSGで見せるような爆発的な攻撃力は抑え気味で、守備を重視したプレーモロッコの組織的な守備に貢献。ラウンド16のスペイン戦のPK戦では、パネンカによるキックで成功させ、強撃破を実現させる。準々決勝のポルトガル戦でも完封勝利に貢献し、アフリカ勢初となるワールドカップベスト4進出という歴史的快挙を成し遂げる。結局、全7試合フル出場しながら一度も警告を受けることなく大会を終える。

2024年1月コートジボワールで開催されたアフリカネイションズカップ2024に出場。グループステージ第2戦のコンゴ民主主義共和戦で先制ゴールを決めている。ラウンド16の南アフリカ戦では試合中に得たPKのキッカーを務めるが、これを失敗。チームも0-2で敗れ、敗退となる。

2024年7月開催のパリオリンピックではオーバーエイとしてU-23代表の一員として出場し、チームキャプテンを務める。グループリーグ初戦では優勝補のアルゼンチン相手に勝利し、第3節イラク戦では1アシスト記録。準々決勝のアメリカ戦ではチームの3点を決め、4-1での勝利に貢献している。準決勝ではもう一つの祖国であるスペインに敗れたが、アフリカ勢同士の対戦となった3位決定戦のエジプト戦では、ダメ押しの6点を決めるなど、チームの大勝に貢献。全試合フル出場し、キャプテンとしてモロッコ銅メダル獲得に導く。

個人成績

シーズン クラブ リーグ 試合 得点
2016-17 レアル・マドリードB セグンダB 28 1
2017-18 レアル・マドリード ラ・リーガ 9 2
2018-19 ドルトムント ブンデスリーガ 21 2
2019-20 ドルトムント ブンデスリーガ 33 5
2020-21 インテル セリエA 37 7
2021-22 パリ・サンジェルマン リーグ・アン 32 4
2022-23 パリ・サンジェルマン リーグ・アン 28 5
2023-24 パリ・サンジェルマン リーグ・アン 25 4
2024-25 パリ・サンジェルマン リーグ・アン 25 4
2025-26 パリ・サンジェルマン リーグ・アン

個人タイトル

プレースタイル

メインポジションは右サイドバック、右ウイングバックだが、左サイドでもプレーすることができる。最高速度36kmともいわれる爆発的なスピード尽蔵なスタミナ、卓越したボールスキル力を兼ね備えた攻撃的なサイドバックであり、サイドバックとしては異例の得点関与数を記録している。また、ポジションにとらわれない自由な攻撃参加が可な選手であり、システム変更にも対応できる戦術的柔軟性を持つ。

サイドラインを縦に駆け上がる推進力は世界最高峰と称されることもあり、オーバーラップカウンターの場面ではその存在感が際立つ。相手深くまで切り込み、鋭いカットバックやグラウンダーのクロスゴール前に迫る形を得意パターンとしている。

縦のみならず、中への突破も持ち味としており、外と中を使い分けられることも大きな武器になっている。オフ・ザ・ボールでの動きが秀逸であり、味方の動きに合わせて適切なタイミングで背後へと抜け出すことができる。単なるスピード自慢のサイドバックではなく、戦術的知性も優れており、サイドチェンジのパスを受ける際は逆サイドスペースを維持し、それからフリーの状態でボールを受けて一気に前進する場面が多く見られる。さらには、相手守備の視界の外側、いわゆるブラインドサイドから飛び出してボールを受ける動きも得意とし、タイミングよくボックス内に侵入して得点に絡むプレーも可である。

相手の守備が整う前にボールをさばく判断や、プレッシャーを回避してスペースに展開する選択など、試合中の細かな局面で常に最適解を選ぶことができ、ゲームメイクにおいても貢献ができる。

キックの精度の高さも世界優秀のレベルでピンポイントで合わせるクロスのみならずプレスキックキッカーとしても一流であり、FKからの直接ゴールも期待ができる。その中でもロングパスの精度の高さは高く評価されており、逆サイドいたスペースへと展開する力は、相手の守備を一変させるほどの威力を持ち、速攻やカウンターの起点のみならず、相手のプレッシングを回避する際にも重要な要素となっている。

若手の頃は守備が課題とされ、散々批判されてきたが、インテル時代にアントニオ・コンテ監督導を受けたことで対人守備が大幅に改善され、守備意識が高まったとも言え、カバーリングも的確になっている。とはいえ、前方への積極的なポジショニングにより、自身の背後にスペースを与えやすい傾向があり、守備の際にポジショニングを誤り、エリア内での対応が遅れがちなのがウィークポイントになっている。相手に後れを取った場合でも、り強く追走して体を寄せ、ボールを奪取またはファウルで止めるプレーを選択できるようになるなど、改善の傾向も見られる。

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