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「負の性欲」は科学的に確かめられていません。科学的に認められているかのように議論を展開することはえせ科学に加担することになります。 |
負の性欲とは、他者に対して生理的嫌悪感を抱いたり、距離を置くといった形で現れる欲望の傾向のことを、性的魅力を感じる相手に対して抱く「性的欲望」(「正の性欲」)と対比して、性欲の「負の極」[1]と捉える概念。
ただし学術的に裏付けされた論文が出ているような理論ではなく、2019年頃からTwitterなど日本のインターネット上で広まった単語(ネットスラング)である。そのため、統一された定義は存在せず、人によって解釈が異なる言葉になっている。
代表的なネットスラングの内容については「「負の性欲」モデル」の項目、発端となったミソジニー(女性嫌悪)的な使用法や非科学性については「初出」「主張」の項目、本来の科学的な性欲や性行動についてはそれ以降の項目を参照。
性別に関係なく、相手を罵ったり誹謗中傷・挑発するような言動は、自らの発言の品位を汚すのみならず、議論が混乱に陥ってしまうため、厳に慎むべきである。
「負の性欲」モデルでは、「性的に結合したい」という欲望だけを性欲と捉えるだけでなく、「性的に結合したくない」という欲望も性欲と捉える。前者は「正の性欲」であり、後者は「負の性欲」であるとされる。性愛における求愛行動と拒絶行動は生殖戦略に動機付けられているという点でどちらも等しく性欲に根源があり、その意味は本質的に同一であるというモデルを構築している。
「負の性欲」モデルが依拠しているとされる生物学における性淘汰モデルのうち配偶者選択(後に詳述)においては、オスは自分の遺伝子を拡散することにインセンティブを持つ一方で、メスはより強い遺伝子を選別することにインセンティブを持つという動物行動学の通説がある。
この動物行動学の理論を「負の性欲」モデルに当てはめた場合、強い遺伝子の選別を遂行する力の大きさ、転じて相手に生理的嫌悪感を抱く力の大きさが負の性欲の大きさと正比例すると考えられるため、女性による弱い男性に対する生理的嫌悪感が負の性欲と関連付けられている。
逆に「男性による女性に対する負の性欲」も考えられる。男性が自分の子孫を残せそうであると判断しなかった場合、相手に生理的嫌悪感を抱くケースもある。
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/EnfanT_Teribble/status/1199923950995640320
この言葉の使用目的は、「ミサンドリストを非難するため」「『正の性欲』側の文化も尊重して欲しい」(下記にある「主張」の項目参照)とされている。
インターネット上での初出は2018年のリョーマ氏のブログ「女性専用化社会」の記事と思われる。その後、Twitter上では2019年3月末ごろのリョーマ氏のツイートを受け、負の性欲に関して言及するツイートが増加する(参考
/3月より前まで遡ると普通の性欲について述べるツイートや画像もあるので閲覧注意)。しかし、元になったツイートをしたリョーマ氏のアカウント(@ryouma_senyousoc)が凍結されてしまっているため、現在「負の性欲」の元ツイートを見ることはできない。
2019年7月にリョーマ氏が再びTwitter上で負の性欲を話題にすると4桁のリツイート・いいねを獲得し、同年11月にはこの言葉をめぐってTwitter上で議論が起こった。
「負の性欲」という言葉のうち、「負」の意味をめぐって「価値中立的な言葉」と解釈されるか、「ネガティブな言葉」と解釈されるかが異なる。
「負の性欲」モデル論でも性犯罪についてのような通常の性欲を元にした加害性は認めている(後述の「「負の性欲」モデル論者の主張」の項目)が、同時に「「負の性欲」もまた加害性がある」という主張がなされている。ただし拒絶反応のどこまでが加害的なのかという統一的説明はないので、性犯罪を告発すること機会自体を奪う可能性がある。
また「負の性欲」批判が、選ばない自由=消極的自由まで批判しているとすると、好き嫌いという感情自体への批判になるおそれがある。
「負の性欲」について言及しているブログでは、以下のような主張をしているものがある。
他者を尊重することは「負の性欲」理論を持ち出さずとも当然正当化できる。また「負の性欲も罰すべき」というのは、そもそも性欲が直接的原因となって罰せられる可能性があるのは、合意がない相手との性行為(強制性交等罪)といったものである。対して「負の性欲」が仮に存在するとして現在の法制度のもとで罰せられる可能性のある事例は、直接相手に悪口を言う侮辱罪などの場合である。「負の性欲」モデル論者は女性から男性への生理的嫌悪感を問題視しているが、「キモい」など生理的嫌悪感を持つことは、男性が男性に対して持つことや、男性が女性に対して持つことも当然あり得るので、男女一対の関係性だけでは必ずしも決まらない。セクシュアルハラスメントへの対応については日本の厚生労働省が、本人の性的指向や性自認は関係なく、例え同性同士であってもセクシャルハラスメントを受けることがあるので注意するようにとしている[5] 。
「生理的嫌悪感」を実体化させる具体的な人物が悪魔化されている前提での議論があるが(スラングとして「※ただしイケメンに限る」)、一部「負の性欲」モデル論者(例示の1番目)が問題にしている性犯罪というのは合意の有無によって判断され、特定の容姿や属性などによって罪状が変わるわけではない。実際のレイプは身内や知り合いなど顔見知りによる事例が多数報告されており、性犯罪の原因を特定の容姿や属性差別からくる「生理的嫌悪感」だけに集中させて議論することは、レイプの実態を見誤ってしまう可能性がある(いわゆる非モテ男性が自らに対する性に関するネガティブな言説を内面化し、「私がセックスが出来ないのは女性のせいである」として女性一般を加害者と見なすものとして「インセル」という概念がある)。動物行動学や進化心理学の研究では、動物の容姿だけに着目しているのでなく、「養育努力」といった行動面も含めた幅広い要因から、性愛を説明しようとしている(「性淘汰」の項目で詳述)。
「負の性欲」モデル論者は、異性愛だけで「生理的嫌悪感」を説明しようとするが、同性愛やトランス傾向、無性愛(アセクシュアル)といった非ストレートな人たちが抱く生理的嫌悪感に対する説明はしばしばなされない。
「負の性欲」モデルが奇妙であると考える人物が指摘する意見として、「暴力を振るう側は正の加害欲、振るわれる側は負の加害欲なのだろうか。被害者側にあるのは生存欲求なのではないか。(他に食欲、犯意の例など)」といったものがある。
あらゆる表象や言動を性欲に基づいているとする「性的一元論」の例としては、ジークムント・フロイトによる「夢診断」などがあるが、科学的実証性については確認されていない[6]。
「負の性欲」理論は弱者男性側から見て、自身が経験した特定の女性からの拒絶的反応の全てを性欲に回収する点が非科学的とされている。同様の批判は、精神分析学のうちフロイト派へ投げかけられる「性的一元論」批判がある[7]。
それに対しては、「レイプやハラスメント被害や社会のミソジニー的風潮が原因となっている」、「出会った状況などの文脈依存性」、「政治や思想など価値観の違い」、「何らかの嫌悪をもたらすような言動」といった個別具体的な原因分析をすべきという側面や、「性的嫌悪という(誤った)生物学的理由に還元してしまうことは、嫌悪を向けられた自身へのハラスメント自体を(誤った)生物学を元にして正当化してしまうおそれがある」「個別具体的だったハラスメントの原因が、不当に女性という属性一般に拡散してしまう」「弱者男性自らも男性という属性を特別視することは、豊かな人間関係に発展解消していく可能性を閉ざしてしまう」、「負の性欲といった誤った理論によらずともハラスメント被害には異議申し立てしていくべき」[8] といった、弱者男性論からの意見がある。
生物学では、繁殖行動を分析する際に「性淘汰(性選択)」という概念が使われている。これは自然環境に適応した種が生き残るという「自然淘汰」に対して、同一種内での雄雌一対同士がなぜ一見して生き残りに関係のない特徴を発達させているのかを説明する進化理論である。例としてクジャクのオスの尾が長い理由は、メスが健康そうなオスを選んだ結果、その傾向が子孫に受け継がれていくなど。但し、尾の長さは自然淘汰によって一定の長さを超えることはない。
ダーウィンが提唱した当時のイギリスではヴィクトリア朝的と呼ばれる保守的な価値観があったため、「女性の性欲」というのはそれ自体で退廃的と捉えられていたが、現在では精神分析や心理学など標準的科学では人間にも性別問わず性欲を持つということが確認されている[9] 。
また動物行動学や進化心理学による説明では、ヒトは他の哺乳類と比べて同性間の競争が少ない(動物全体から見ると例外)とされている。つまり哺乳類一般では、雌が養育努力をする一方、9割以上の哺乳類の雄は子の養育を担わず、一夫多妻社会を作る(雄は配偶努力、雌は養育努力と性的役割分業化が著しい)中で、人間は哺乳類の中では残り5%に入る一夫一妻社会を作る。
一夫一妻社会では、相対的に男性間競争が穏やかであり、男性同士が協力する。ここでは配偶努力と養育努力がトレードオフ関係となっており、雄の配偶努力が少なくなるが、その代わり雄の養育努力が大きくなる。ヒトは新生児が無力な状態で産まれるためこういった傾向になるとされている。ただ祖母と父親でどちらが養育貢献度が高いかは研究者でも意見が分かれているが、代表的理論において女性が男性との絆を維持するのは、多くの男性からのハラスメントにさらされる保護者として特定の男性と共に暮らす利益があると説明される。
また生物的にも乱婚傾向にあるチンパンジーの精巣と比べてヒトの精巣は小さいことから一夫一妻社会が裏付けられている。但し、動物行動学における性選択説通り、男性はより多くの相手との配偶機会を求める短期的配偶戦略傾向にあり、女性はより少ない相手との長期的配偶関係傾向にあることも分かっている。この他に男性は肉体関係について、女性は恋愛感情についてより強い嫉妬を抱くことや、ドメスティックバイオレンスやストーカー行為は男性から女性に対して向けられることが圧倒的に多いことがあるということから、雄による雌への配偶者ガード行動に通じるものとされている[10] 。
基本的に性欲は男女別なく存在するが、性欲が増減する要因として心理的要因(抑うつ、不安、人間関係)、薬、性ホルモン(テストステロン、エストロゲン)などや、年齢によって徐々に減少する傾向があることが確認されている[11]。また女性の場合は出産後の最初の数週間に起こる場合がある性ホルモンの突然の減少、両側卵巣摘出、エストロゲン濃度の低下によるり萎縮性腟炎となった結果、性交に不快感や痛みを伴ったり、性交への関心が薄れる場合などがある[12]。
男女で性行動に関しての違いが存在するかどうかについては、以下のような調査研究結果がある[13] [14] 。
これらのことからは、
などが言える。
また「非性的なビデオにおいては性的興味を抱く対象に男女差はないが、性的ビデオにおいては、男性は女性の顔や体に対して、女性は男性と女性の体に加えて背景等性的対象以外を見る傾向にある。女性は男性向けビデオに対しては関心がないか羞恥心を持つ」[15] という研究がある。
「負の性欲」モデルが採用している拒絶反応については「生理的嫌悪感」という概念と重複する部分があることが、モデル論者自身から言及されている[16]。「生理的嫌悪感」とは、ある行為や対象が道徳的非難に値することを指して使われる概念である。これについて道徳哲学的には主に3つの立場からの説明がある[17]。
掲示板
853ななしのよっしん
2023/02/09(木) 21:28:59 ID: 1k/yeU892W
遺伝子的に無理ってことやろ
この男の子供産みたくないなあってこと
別に悪いことじゃないよ
スポーツ馬鹿と頭いい運動オンチがカップルになったとしてバカな運動オンチが生まれる可能性もあるってこと
854ななしのよっしん
2023/02/22(水) 18:29:36 ID: 1kFXaN+kuk
ゆーて女性による加害を心理的に解剖する上で、面白い切り口ではあるわな。
悪い意味でフロイト的ではあるからそう万能なものじゃないけど、論理的でない精神の動きを説明する際に本能は大事な要素になってくる。
学術的に考えると疑問点の多いワードだが、平気な顔で非学術的なジャーゴンを使って来る「口喧嘩」の場面じゃだいぶ強いワードだ。
855ななしのよっしん
2023/02/26(日) 14:07:17 ID: 2UhfRJoVgL
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最終更新:2023/03/29(水) 09:00
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