キトゥンズジョイ(Kitten's Joy)は、2001年生まれのアメリカの競走馬・種牡馬。
現役時代は芝でGIを2勝し、種牡馬としては欧米を股にかけて芝の活躍馬を送り出したトップサイアーの一頭。
父El Prado、母Kitten's First、母父Lear Fanという血統。
父エルプラドはSadler's Wells産駒で競走馬としては1991年ナショナルSを勝つなど9戦4勝、種牡馬としては北米に輸出されて活躍した。
一方、母のキトゥンズファーストは競走馬としては早期に故障して全く実績を残せず、牝系を見ても名馬Spectacular Bidが遠縁にいる(キトゥンズジョイの曾祖母とSpectacular Bidの祖母が姉妹同士)くらいであった。
母父リアファンは2000ギニー3着、ジャック・ル・マロワ賞優勝など欧州マイル路線で活躍したアメリカ産馬で、引退後はアメリカで種牡馬入りしていた。
2歳時にトレーニングセールに出品されたが、提示額が僅かに最低落札価格を下回ったために、結局オーナーブリーダーのラムジー夫妻の生産所有馬としてデイル・ローマンズ厩舎に預けられた。馬名の「Kitten」とはラムジー夫妻の妻サラの愛称で、日本でいうところの「冠名」のようなものである。
2歳夏にデビューしてからの2戦はダートで5着・2着と連敗したが、芝に矛先を変えるといきなり4馬身半差で完勝して初勝利。続く一般競走も勝利してシーズンを終えた。
3歳になり、初戦のトロピカルパークダービー(GIII・芝9ハロン)を4馬身半差で勝つと、ラムジー夫妻はケンタッキーダービー出走を希望したものの、騎乗していたジェリー・ベイリー騎手の助言によって取り止めとなり、以降は芝路線を進むことになった。
以降、パームビーチS・アメリカンターフS・バージニアダービー(いずれもGIII)を勝ち、ジェファーソンカップS(GIII)で2着とほぼ無傷で実績を積み重ねたキトゥンズジョイは、8月のセクレタリアトS(GI・芝10ハロン)に挑戦。ここを2着に3馬身1/4差をつけ、同日同コースの古馬GIであるアーリントンミリオンを0.4秒上回る好時計で駆け抜けGI初制覇を飾ると、初の古馬対戦・初の12ハロン戦となったターフクラシック招待S(GI)も2馬身半差で勝利し連勝。1番人気でブリーダーズカップ・ターフに挑戦したが、4角で他馬をごぼう抜きにして先頭に立った最低人気のBetter Talk Nowを捉えきれずに2着に惜敗した。
その後、骨片除去手術を経て4歳7月に復帰したが、復帰戦のファイアークラッカーブリーダーズカップH(GII)を勝って挑んだアーリントンミリオンで2着となった後に球節の故障が判明し引退。通算成績は14戦9勝2着4回(うちGI2勝)で、デビュー戦を除けば一度も連対を外さなかった。
ラムジー夫妻の牧場で種牡馬入りしたキトゥンズジョイは、BCジュヴェナイルフィリーズターフを勝ち6歳時にBCフィリー&メアターフを勝つなど息の長い活躍を見せた*ステファニーズキトゥンやGI4勝のBig Blue Kittenなど、芝路線で活躍する大物を多数送り出した。活躍馬の大半はラムジー夫妻の生産所有馬という異色の環境にありながら、2013年にはリーディングサイアーを獲得するなど、大物をどんどん出していった。
その勢いはアメリカを飛び出し、2010年代後半からはSadler's Wells系の総本山とも言うべきヨーロッパでも*ホークビル(エクリプスS、ドバイシーマクラシック)やRoaring Lion(GI4勝、2018年カルティエ賞年度代表馬)を出すなど活躍。日本でも外国産馬として出走した*ダッシングブレイズ(エプソムカップ)と*ジャンダルム(スプリンターズS)が重賞を勝っている。
2018年には、ケンタッキー州のヒルンデイルファームに所有権の一部が譲渡されて繋養地を移し、その年にもリーディングサイアーを獲得。2020年代に入ってもいきなり2000ギニー馬Kamekoを出し、衰えない勢いを見せていたが、2022年7月15日に心臓発作と見られる症状により死亡した。21歳没。
余談だが、キトゥンズジョイには同時期にラムジー夫妻の所有していた*ロージズインメイと共に日本に輸入される可能性があった。ただしさすがに2頭とも輸出させることは駄目だったか1頭だけ売却することになり、その中でも妻の愛称をつけていたキトゥンズジョイを残すことを選択したという経緯である。また、この時のロージズインメイの売却金は、ラムジー夫妻がキトゥンズジョイにつける繁殖牝馬の購入資金となり、キトゥンズジョイの種牡馬成功の原動力のひとつになったそうだ。
| El Prado 1989 芦毛 |
Sadler's Wells 1981 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
| Natalma | |||
| Fairy Bridge | Bold Reason | ||
| Special | |||
| Lady Capulet 1974 芦毛 |
Sir Ivor | Sir Gaylord | |
| Attica | |||
| Cap and Bells | Tom Fool | ||
| Ghazni | |||
| Kitten's First 1991 鹿毛 FNo.2-d |
Lear Fan 1981 鹿毛 |
Roberto | Hail to Reason |
| Bramalea | |||
| Wac | Lt. Stevens | ||
| Belthazar | |||
| That's My Hon 1983 栗毛 |
L'Enjoleur | Buckpasser | |
| Fanfreluche | |||
| One Lane | Prince John | ||
| Danger Ahead |
クロス:Northern Dancer 3×5(15.63%)、Thong=Lt. Stevens 5×4(9.38%)、Tom Fool 4×5(9.38%)、Hail to Reason 5×4(9.38%)、Turn-to 5×5(6.25%)
産駒たちの活躍。
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最終更新:2025/12/27(土) 06:00
最終更新:2025/12/27(土) 06:00
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