カルパナ(Kalpana)とは、2021年イギリス生まれイギリス調教の競走馬である。
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主な勝ち鞍は2024-25年の英チャンピオンズフィリーズ&メアズS(G1)、2024年のセプテンバーS(G3)。
父Study of Man、母Zero Gravity、母の父Dansiliという血統。
父はアイルランド生まれのディープインパクト産駒にして2018年のフランスダービー馬。欧州では異系の血統ながら少しずつ種牡馬としての評価を上げておりそれに大きく貢献している代表産駒が本馬である。
母Zero Gravityはデインヒル系のDansili産駒で現役時代はリステッドで1勝しているほか、全兄に2007年のパリ大賞典(仏G1)と2008年のフォワ賞(仏G2)を勝利したZambezi Sunがいる。他の近親にG1での活躍馬はいないが牝系では1-p:Hilarity系に属している。
生産・オーナーは歴代最強馬は誰かという時に頻繁に名前の挙がるFrankelやEnableを始めとした数々の名馬を世に出してきた世界的巨大馬産グループ:ジュドモントファーム(Juddmonte Farms Ltd)で、本馬は同グループの持つイギリスの牧場に生まれた。なお母、母父、母母、母母父も同牧場の生産馬である。これまでヨーロッパでのディープインパクト系の快進撃といえばライバルの王手馬産グループ:クールモアによるものがほとんどで、ジュドモントがディープインパクト系を所有するのは本馬が初めてとされている。
調教師はイギリスのアンドリュー・ボールディング(Andrew Balding)。主な管理馬はスプリント・マイル路線で活躍したAlcohol Free、2歳G1及び2000ギニーを制したKameko、Chaldeanなどがいる。
仕上がりが遅かったようで2歳時は強い調教ができずデビューは明け3歳となった。
1月19日に条件戦(英ウルヴァーハンプトン競馬場AW1m142y≒1740m)でデビュー。
ゆっくりとしたスタートから中団を追走、直線を向くところで外に出してスパートすると一旦は外にヨレたものの騎手の鞭に答えて修正して前の馬に馬体を併せゴール前に差し切ってデビュー勝ちを果たす。
3月7日に出走した2戦目の世代条件戦(英ニューカッスル競馬場AW1m5y≒1615m)ではInisherinに3馬身半差で敗れるが、勝ち馬は後にスプリントでG1を1勝G2を2勝するためマイルではスピード負けしてしまったと思われる。
続いて4月17日の世代ハンデ戦(英ニューマーケット競馬場芝1m2f≒2010m)に鞍上ライアン・ムーアで出走。最軽量ハンデから先行し追い出すとみるみる他馬を引き離し10馬身差の圧勝劇で中距離への適正を見せムーア騎手も成長次第で12fで勝負できるようになると語った。
5月5日に牝馬限定リステッド:英プリティポリーS(ニューマーケット競馬場芝1m2f≒2010m)でステークス競走初挑戦、鞍上はオイシン・マーフィー騎手に。圧勝した前走と同じコースということもあり断然の1人気に推される。道中は逃げたFriendly Soulを先団で追走しスパートから並びかけようとするも詰めきれず1馬身ほどの差で敗れる。
とはいえ3着以下は10馬身以上突き放しており勝ち馬は夏以後にグループ競走を3連勝してオペラ賞でG1馬になったため、またも相手が強かったという形の2着となった。
6月20日には牝馬限定G2リブルスデールS(英アスコット1m3f211y≒2406m)に距離延長しグループ競走に初挑戦。またも1人気で最内枠から出遅れ気味にスタートすると促されて一気に端に立つ場面もあったが外から他馬が主張し大逃げを打ったため隊列が決まる頃には先団の内に控えて追走。そのまま直線に向いて追い出そうとするが前も横も塞がった状態となって立ち遅れてしまい、ゴールまで残り少なくなって外に出したところから抜け出していた2頭を追うも時既に遅く1馬身ほど離された3着に敗れる。
なおここでも大逃げして4着だったYou Got To Meが次走のアイリッシュオークスを勝利している。
次走は7月19日のリステッド:グラスゴーS(ハミルトンパーク競馬場芝1m3f15y≒2227m)となり鞍上P.J.マクドナルドで出走、少頭数かつハンデも軽いため断然の1人気となる。スタートから全頭ほぼ一団で進む中の番手に着けると、直線でスパートして他馬を置き去りにし最後は流しながら4馬身半差で勝利。
リステッド快勝により欧州の牝馬戦線でも名前の挙がる存在になり始めており、陣営も欧州競馬を締めくくる英チャンピオンズデーを目指すことを決め少し休みを挟んで叩きとしてG3セプテンバーS(英ケンプトン競馬場AW1m3f219y≒2413m)に出走。相手関係も斤量も軽いため元返しレベルの1人気になる。レースではスタートから出して番手に着けるが中盤では中団になり、直線でスパートし始めると少し前を捉えるのに手こずるが追い比べから残り1fほどで一気に突き放しまたも4馬身以上の圧勝でグループ競走初勝利を飾った。
そして迎えた10月19日の英チャンピオンズフィリーズ&メアズS(英アスコット競馬場芝1m3f133y≒2334m[1])、マーフィー騎手は主戦騎乗優先のためオーナーの希望により鞍上にはウィリアム・ビュイック騎手を迎えて出走。今までよりハイレベルな相手の中にありながら3歳斤量ということもあって人気を集め、最終的には当日の馬場が悪化して道悪経験のなさが嫌われて割れはしたが4倍台の1人気に推される。
五分のスタートを切ると積極的に前に出て先団の外3列目を進み、最終コーナーで仕掛け始めると楽な手応えで進出していき追い出してスパートしてからは力強く抜け出して伸びきれない後続を置き去りにし2着に2馬身差を付けて快勝。不安視された道悪も問題なくこなし年明けにデビューしてから8戦目、欧州牝馬の大レースでG1ホースの仲間入りを果たした。
ビュイック騎手は「前に馬を置けない展開でも落ち着いて走り道悪も上手くこなしてくれた。これからもっと良くなっていくだろう。」、ボールディング師は「昨年のこの時期はまだ強い調教ができずセールに出す相談までしていた。これほど短期間に著しく成長した馬は見たことがない」とそれぞれ称賛した。
程なくして現役続行が決定。道悪のアスコットでの快勝を受けて翌年の凱旋門賞の1人気に挙げるブックメーカーもおり、同時に引退が決まったこの年の凱旋門賞馬である僚馬:Bluestockingからジュドモントの牝馬エースの座を引き継ぐこととなった。
4歳の始動戦は5月15日のG2ミドルトンSを予定していたが風邪で回避し5月25日のG1タタソールズゴールドカップ(愛カラ競馬場芝1m2f110y≒2112m)に出走。鞍上は久しぶりにマーフィー騎手が務めた。
前年の愛ダービー馬:Los Angeles、前年英チャンピオンS覇者:Anmaat、前年のこのレースの勝ち馬White Birchと牡馬の一流どころが揃う中で僅差の2人気となる。
最内枠からスタートして序盤は端を争うが主張したクールモア陣営のペースメーカーに譲って次第に中団の内に控えていく。直線では先行抜け出しを図るLos AngelesをAnmaatが外から差しにかかる内で馬群の中から進出を試み他馬と押し合いながら脚を伸ばしたが前2頭には1馬身ほど届かず3着に敗れる。
牡馬混合で相手も強く直線でスムーズ出せなかったことや初の国外遠征であったことなどから始動戦としてはまずまずと見られた。
2戦目は時計の早い馬場になったロイヤルアスコットを回避して6月28日のG1プリティポリーS(愛カラ競馬場芝1m2f≒2012m)へ、ここでは6月からジュドモントの欧州主戦騎手となったコリン・キーン騎手が騎乗。このレースは3歳と古馬の斤量差が12ポンド(約5.4kg)あり、本馬は前走オークス2着の3歳馬Whirlとの二強オッズで1倍台の1人気に推された。
スタートすると逃げたWhirlを外から見る位置で追走直線向いて仕掛けるといい手応えで並びかけたがそこから追い抜けず最後は1馬身ほど離されて2着となった。
続いて前年G1を制したのと同じコースであり夏の欧州を代表するレースG1キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(英アスコット芝1m3f211y≒2406m)に出走。キーン騎手が騎乗停止になっていたため鞍上はマーフィー騎手。5頭という少頭数ながらアスコット巧者で前走サンクルー大賞典を勝ったCalandaganやそれにコロネーションカップで勝ったJan Brueghelや欧米の12f路線を転戦しG1を7勝しているRebel's Romanceなど全頭が長距離に強いG1馬で本馬は連敗から人気を4番目まで落としていた。
レースでは一段になって進む4番手の外を追走し直線に入ると楽な手応えで前3頭を交わしてスパートで置き去りにしたが、更に最後方から追い込んできたCalandaganとの叩き合いになり残り100m辺りで追い抜かれ1馬身差の2着で入線した。
望むよりは時計の出る馬場でハイレベルなメンバー相手の好走となったため敗れたながらも評価を回復した。
その後は全力を出すレースとなったキングジョージから休養を挟み大目標の凱旋門賞の叩きとして鞍上キーン騎手で前年勝利した9月25日G3セプテンバーS(英ケンプトン競馬場AW1m3f219y≒2413m)に出走。前年の圧勝ぶりから断然の1人気となるもののこの年は前年の香港ヴァーズを快勝したこの路線の強豪:Giavellottoが参戦していた。
レースでは僚馬がペースを作る中番手に着けたGiavellottoを外から見る4番手を追走。直線抜け出そうとするGiavellottoに外から並びかけて追い比べとなるが前で蛇行する前を中々抜けず最後は接触されて減速し1馬身半離されて敗れる。
あくまで叩き仕上げで不利もあったがこの敗戦で凱旋門賞オッズを大きく下げることとなった。
そして迎えた10月5日G1凱旋門賞(仏パリロンシャン競馬場芝2400m)。パリは例年通り不安定な天候で雨が降ったり止んだりを繰り返していたが前日にまとまった雨が降ったため馬場は重くなり、更にゲート入りが始まったまさにその時にも雨が振り始め本馬には望むところの馬場コンディションとなる。
レースは中程の10番ゲートから好スタートを切ると序盤は前目のポジションを争うところもあったが外から上がっていく馬が多く隊列が決まると本馬は中団やや後ろの外を追走。そのまま進んでいきフォルスストレートで進出を開始すると直線に向いて更に外からスパートをかけて伸びたが前目から先に抜け出して叩き合いをしていたMinnie HaukとDaryzは遠く、離された3位集団の中で7着に終わる。
これでも終始外外を回された中では唯一と言っていい程の上位入線であり、多くの年のように勝ち負けした馬が内側を先行して直線に向いてから仕掛けたことを考えてもベストには程遠いレース運びから力のあるところは見せたという内容であった。
陣営も前走の不完全燃焼感と今シーズンまだ勝利がないというところに思うところがあったようで、海を渡っての帰国輸送かつ中1週にはなるが前年強い形で制したG1英チャンピオンズフィリーズ&メアズS(英アスコット競馬場1m3f211y≒2406m)への出走を決めた。前年のパフォーマンスと牝馬戦線を渡ってきた馬たちの中に唯一一流牡馬とも渡り合ってきた本馬がいるということで中1週でも断然の1人気となる。
スタートから出していき逃げ馬を外から見る番手の位置につけて進み、直線楽な手応えで前をかわしスパートで鋭く加速してリードを作るとそのまま後続を寄せ付けず2馬身以上の圧勝で連覇を果たし、2つ目のG1タイトルと待望の今シーズン初勝利を手に入れた。例年通り渋った馬場だった前年とは打って変わって一歩ごとに砂が舞い上がるほどの乾いた馬場でのレースとなったが全く問題なく欧州トップクラスの馬であることを証明。
1946年創設のこのレースの連覇は1974-75年のShebeen以来ちょうど50年ぶり(2頭目)、2013年にG1に格上げされてからは初のことであり、シーズンを通していい走りをしながら勝ちに恵まれなかった鬱憤を晴らす快挙の達成となった。
| 日付 | コース | レース名 | 格付け | 距離 | 馬場 | 着順 | 騎手 | 斤量 |
| 2024/1/19 | ウルヴァーハンプトン | 条件戦 | 1m142y(AW) | Standard | 1/7 | H・ターナー | 116lb | |
| 3/7 | ニューカッスル | 条件戦 | 1m5y(AW) | Standard | 2/7 | H・ターナー | 133lb | |
| 4/17 | ニューマーケット ローリーマイル |
条件戦 | 1m2f | Good | 1/9 | R・ムーア | 123lb | |
| 5/5 | ニューマーケット ローリーマイル |
プリティポリーステークス | L | 1m2f | Good | 2/8 | O・マーフィー | 128lb |
| 6/20 | アスコット | リブルスデールステークス | G2 | 1m3f211y | Good to Firm | 3/12 | O・マーフィー | 128lb |
| 7/19 | ハミルトンパーク | グラスゴーステークス | L | 1m3f15y | Good | 1/5 | PJ・マクドナルド | 128lb |
| 9/7 | ケンプトン | セプテンバーステークス | G3 | 1m3f219y(AW) | Standard to Slow | 1/7 | PJ・マクドナルド | 122lb |
| 10/19 | アスコット | ブリティッシュチャンピオンズ フィリーズ&メアズステークス |
G1 | 1m3f133y | Soft | 1/14 | W・ビュイック | 127lb |
| 2025/5/25 | カラ | タタソールズゴールドカップ | G1 | 1m2f110y | Good | 3/9 | O・マーフィー | 128lb |
| 6/28 | カラ | プリティポリーステークス | G1 | 1m2f | Good | 2/7 | C・キーン | 138lb |
| 7/26 | アスコット | キングジョージⅥ世& クイーンエリザベスステークス |
G1 | 1m3f211y | Good | 2/5 | O・マーフィー | 132lb |
| 9/25 | ケンプトン | セプテンバーステークス | G3 | 1m3f219y(AW) | Standard to Slow | 2/6 | C・キーン | 130lb |
| 10/5 | パリロンシャン | 凱旋門賞 | G1 | 2400m | Tres Souple | 7/17 | C・キーン | 58kg |
| 10/18 | アスコット | ブリティッシュチャンピオンズ フィリーズ&メアズステークス |
G1 | 1m3f211y | Good | 1/10 | C・キーン | 133lb |
※1mile=8furlongs、1furlong=220yards、1yard≒0.9144m、1lb≒0.4536kg
脚質としては中団より前目に着け早めに抜け出して突き放す戦法が勝ちパターンで、差しに回るといい脚は使うが先頭まで届かないことが多い。
馬場適性は乾いた早い馬場でもハイレベルに勝負できる脚があるが、ストライドが短めなので時計のかかる馬場では更に強さを発揮する。
距離適性は10~12fの中距離で12fが主戦場。特にアスコット競馬場12fコースに強くここでは一流の牡馬にも引けを取らないパフォーマンスを見せる。
| Study of Man 2015 鹿毛 |
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
| Wishing Well | |||
| *ウインドインハーヘア | Alzao | ||
| Burghclere | |||
| *セカンドハピネス Second Happiness 2002 鹿毛 |
Storm Cat | Storm Bird | |
| Terlingua | |||
| Miesque | Nureyev | ||
| Pasadoble | |||
| Zero Gravity 2009 鹿毛 FNo.1-p |
Dansili 1996 黒鹿毛 |
*デインヒル | Danzig |
| Razyana | |||
| Hasili | Kahyasi | ||
| Kerali | |||
| Imbabala 1995 栗毛 |
Zafonic | Gone West | |
| Zaizafon | |||
| Interval | Habitat | ||
| Intermission |
クロス:Northern Dancer 5×5×5(9.38%)
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最終更新:2025/12/28(日) 05:00
最終更新:2025/12/28(日) 05:00
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