チンポ百合とは、「相互に主な関心を抱いている女性間のものであるが、その関係性において男性器の存在を必要とする」関係を呼称するために初版作成者が提示した名称である。
概要
概念の境界及び限界
原理
モンローと言う人が、「筒の中に炸薬を円錐形にへこませて詰め、そのくぼんだ部分の裏側から爆発させると、起爆した部分の延長線上に強い穿孔力(穴が開く)」(モンロー効果)ということを発見した。
それを知ったノイマンという人が、その炸薬の凹部分に沿った形で円錐形型の金属のフタ(ライナー)を重ねたのだ。
このフタがあるとどうなるかというと、「モンロー効果によって集中した衝撃波によって金属製のライナーが圧縮&加速され、さながら弾丸のよう射出される」ことが判明した(ノイマン効果)。
このモンロー/ノイマン効果によって加速されたライナー(メタルジェット)の速度は、軍用弾なら静止状態で起爆した場合でも、マッハ20を超える。
このような速度を持った質量が装甲に衝突すると、その圧力で装甲材料の金属が弾性を保てなくなり(ユゴニオ弾性限界)[1]、いわゆる「固体」としての性質を失って塑性流動をはじめ、ジェットに押しのけられて侵徹口から流れ出してしまう。これがHEATの侵徹原理である。
現代のHEAT弾頭では、炸薬につけるくぼみは頂点が40°~90°程度の円錐形、ライナーの材質としては銅が用いられることが多いが、用途に応じてほかの金属が用いられることもある。円錐を二重にしたり、釣り鐘型やラッパ型などにしてメタルジェットの生成を調節し、侵徹性能を高めたり空間装甲や爆発反応装甲に対応したりすることも試みられている。HEAT弾の侵徹性能は炸薬の直径に大きく影響される。現代のHEAT弾頭では、均質圧延装甲(一枚板の防弾鋼板)に換算して炸薬径の5~10倍程度の侵徹性能を持つとみられている。
また、メタルジェットの生成に利用される炸薬の爆発エネルギーは一部(大体20%ぐらい)であるため、残りを通常のりゅう弾同様に破片の生成にて利用する HEAT-MP(HEAT-Multi Purpose、多目的対戦車りゅう弾)が戦車砲弾などでは一般的である。(もちろん、本来の破片榴弾に比べれば破片の威力は低い。)
大まかな説明
公園の砂場でも海浜でもいいが、堅くつき固めた砂の壁を作ったと想像してみよう。水だけでこの壁に穴を開けようと考えたとき、ジョウロで水をかけたとしても、表面を少し削るだけで終わってしまう。しかしこの水を、先を細くしたホースから勢いよく噴出させたとしたらどうだろう。高圧の水によって液状化した砂は穴から流れ出し、やがて壁を貫通するはずだ。
この例えは厳密に言えばそのままHEAT弾の原理そのものではないが、爆発の熱で焼き切るのではなく「高速のメタルジェットにが衝突した高圧で固体の形を保てなくなった装甲が貫通される」という状態をイメージするには役立つだろう。
よくある誤解
HEATという略称や「化学エネルギー弾」という分類もあってか、しばしば「爆発によって生じた熱で装甲を焼き切る」兵器だと誤解されていることがあるが、すでに述べた通り、爆発のエネルギーによってメタルジェットを高速で打ち出し、装甲のユゴニオ弾性限界を超える高圧を生じさせることによって装甲を侵徹する兵器である。メタルジェット自体が高温である必要は実は存在しない。
そしてこの「高速で飛翔する侵徹体が装甲材のユゴニオ弾性限界を超えることで装甲を侵徹する」原理は、むしろ戦車砲から撃ちだすAPFSDS(翼安定装弾筒付き徹甲弾)などに近い。もっとも大きな違いはAPFSDSが装薬を使って砲身から撃ちだすときのエネルギーを使っているのに対し、HEAT弾は目標(装甲)付近で炸薬が爆発したときのエネルギーを利用している点である。
利用
砲弾、ミサイル、ロケット弾などの弾頭に多く用いられる。近年では対潜魚雷の弾頭にも使われる。コンクリートなど堅固な構造物に穴をあけるための工兵(爆破)機材としても使用される。
砲弾などの弾頭にHEATを用いることの最大のメリットは、「侵徹性能が砲弾自体の速度に依存しない」ことである。HEAT弾登場以前の対戦車兵器は運動エネルギーで装甲を貫徹する徹甲弾が主流であり、より強力な装甲を貫くにはより高初速で撃ちだす必要があり、結果的により大きな砲と複雑な駐退復座機構が必要となった。
一方で、HEAT弾は目標に命中してから炸薬が爆発し、そのエネルギーで装甲を侵徹するため、弾頭自体が高速である必要がない。そのため、より小型で軽量な無反動砲やロケット発射器、バネによる投射器や吸着爆雷でさえも十分な対戦車戦闘能力を持つことが可能となり、各種の対戦車兵器の発展を促した。HEAT弾を用いた初期の兵器、例えば著名な「バズーカ」や「パンツァーファウスト」は無誘導のロケットや無反動砲で精度・射程ともに心もとないものがあったが、第二次大戦後には誘導能力を持った対戦車ミサイルが普及し、対戦車砲を(ほとんど)過去のものにしてしまった。
また、「HEAT弾」の説明からはやや外れるが、軍事分野に限らない用途として、モンロー/ノイマン効果を利用した火工品(Vコード、V型成型爆破線などと呼ばれる)は爆破解体作業などにおいて構造物を切断するために広く用いられている。
対策
HEAT弾の普及は一時期戦車の設計思想にさえも影響を与えた[2]が、その原理上、様々な限界を抱えており、装甲車両の側も様々な対策を講じている。
例えばファインセラミックスやガラスなどの材料は鋼鉄に比べてユゴニオ弾性限界が高く、HEATのメタルジェットに侵徹されにくい。これらの材料を鋼鉄などと重ねた積層装甲(複合装甲)は戦後第三世代MBTの標準装備となった。
また、HEAT弾のメタルジェットは、炸薬から近すぎても遠すぎても最大の侵徹性能を発揮しない。そのため、主装甲の外側に増加装甲をとりつけたり、装甲を二重にしたりすること(空間装甲)が行われている。第二次世界大戦時にドイツ戦車に装備された「シュルツェン」はもともと対戦車ライフル対策の装備であったが、のちに連合軍がバズーカなどを使用し始めるとHEAT弾対策としても効果を発揮した。装甲兵員輸送車などによく見られるかご型の装甲(スラット装甲)もこの種の増加装甲の一種である。
増加装甲にはほかにも、装甲自体に爆薬を封入し、HEATが命中すると起爆してメタルジェットの進路をそらす爆発反応装甲(ERA)なども存在する。こちらはAPFSDSなどにも一定の効果を持つため、戦車に装備されることがある。
より抜本的な対策としては、HEAT弾が命中する前に探知し迎撃するアクティブ防護システムなども存在する。
一方で、HEAT弾の側も上述したように円錐を二重にしたり、ライナー形状を改良したりして装甲の進歩に対応を試みており、盾と矛の終わらぬいたちごっこは今も続いている。特に冷戦終結後の世界では、東西陣営の正規軍同士の衝突の可能性がほぼ消失したかわりに地域紛争や対テロ戦争の機会が増大し、特に都市部での近接戦闘において対戦車兵器がますます脅威となっていることもあって、HEAT弾対策が各国の軍隊にとって重要な課題となっている。その意味でも、HEAT弾は戦場の様相を変えた兵器であるといえよう。
関連動画
↓モンロー/ノイマン効果を利用した成形炸薬のデモンストレーション。
↓「トリビアの泉」より。 貫通しているのは中央部分だけという点に注目。
↓シリア紛争における対戦車戦闘の実際を解説した動画。途中でHEAT弾の基本原理についての図解が加えられているが、一部実際の戦場における身体損壊などグロ映像を含むので注意。
関連項目
脚注
- *「弾性」とは、力をかけた時に金属が変形するが、離すと元に戻る性質。バネをイメージすると分かりやすい。「塑性」は粘土をこねた時のように、変形したものが力をかけなくなっても元に戻らない状態。通常でも鉄などの金属材料は強い応力をかけていくと塑性変形を起こして元に戻らなくなってしまう(降伏)が、ギガパスカル単位の強い圧力が加わると塑性流動をはじめ、流体としてふるまい始める。この時の塑性流動を始める圧力が「ユゴニオ弾性限界」である。
- *74式、M60パットン、レオパルト1などいわゆる戦後第2世代MBTはHEAT弾に対する防御を十分に確保できないため、機動力や地形を利用して「そもそも当たらない」ことを主眼として設計されている。当たらなければどうということはない!
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