今川泰宏とは、ぶっ飛んだ演出でおなじみのアニメ監督である。大阪府出身。
中には度肝を抜かれたりドン引きする人もいるかもしれないが、それは今川だからしょうがない。
またの名を原作クラッシャー。
座右の銘は「Don't dream it! Be it!(夢を見ずに、夢になろう!)」
概要
主にロボットアニメで重宝される人だが、御大の出世作は、かの有名な『ミスター味っ子』である。
とはいえ、監督作品のほとんどはロボットアニメを占めているということに偽りはない。
なんだかんだ監督業をしていくうちに、とうとうガンダム・マジンガー・ゲッターといったスパロボ常連御三家全ての作品を制覇してしまった。
さらに巨大ロボットアニメの元祖、鉄人28号のリメイクまで担当しているのだから驚きである。
このおっさん、ただの珍妙奇天烈摩訶不思議なアニメクリエイターではない。実はすっごい偉大な方なのである。
今川監督のやりたい様にやらせると……
登場人物が男ばっかりになったり…
何故か料理漫画アニメで食材が踊りだしたり…
ロボが空気になりがちな超人アニメになったり…
やたらバッドエンドになったり…
制作費が足りなくなって製作期間が数年単位で延びまくったり…
制作費を使いすぎて降板させられたとか噂されたり…
何が何だかよくわからない状況になる。
演出に目を奪われがちだが、テーマは王道なものが多い。特に親子についてとか罪と罰というテーマが見られる。
あとやたらバッドエンドが大好きである。罪と罰というテーマにこだわるあまり、最後に主人公などが罰せられてしまうからなのであるが、そう見ると全盛期に作っていたGガンや味っ子は、異色中の異色であると言わざるを得ない。
1987年に料理対決アニメ『ミスター味っ子』で監督デビュー。
料理を食べた人があまりの美味さに、口から怪光線を出したり、入院患者がいきなり元気になったり、大阪城を破壊したり、「これは料理アニメなのか?」と思わせるぶっ飛び演出を乱発。意外にもこれが好評だった模様で当初半年の放送予定が延長を重ねて、2年間の長期シリーズとなった。ついでに賞までとった今川演出の金字塔である。
原作クラッシャーとしても有名であり、『ミスター味っ子』や『ジャイアントロボ』をアニメと同じテンションだと思って読んでもガッカリしてはいけない。
むしろ海の向こうの人達はジャイアントロボの実写版を見て内容が違いすぎたため、すごい激怒したとか。
近年は演出家ではなく、脚本家や漫画原作者としての活躍しており、むしろアニメ監督に収まることは稀。
脚本に回ると流石に今川色は薄めだが、何故かそういった作品で今川作品の常連声優が参加することが多い。
(家弓家正、麦人など)
女の子が活躍しなかったり、あんまりにも酷い最期を迎えることがあるが、断じて今川はゲイではない。
そこのスタッフ「だからあの作品か」とか言わない。
その辺の真相は今川が女の子書くのが苦手だかららしいが、そんな彼が七人のナナを原作・監督してしまったりする。
一見好き勝手やっているようにみえるが、クリエイターとしては非常に誠実な人である。
→LDにおけるGガンダムインタビュー
ちなみに今川先生は非実在青少年規制反対に漫画家が名前を連ねる中堂々と名をあげ、反対表明している。
今川監督が出来るまで
少年時代は月刊漫画ガロを好む、いささか渋い趣味を持つ子供だった。それにすらマンネリを感じてアニメ方面の趣味から離れていたが、やがて『ロッキー・ホラー・ショー』というホラーミュージカル映画と出会い、没入するようになる。
その映画には当時吹き替えはなく、英語ばっかりで何を言っているかわからなかったが、今川はそれに感動して涙し、「よし、俺もこんな作品を作って、誰かを泣かせてやるぜ!」と、クリエイターを目指すようになった、
この作品の一節に登場する「夢を見ずに、夢になろう!」は、記事冒頭でも記したように、今川泰宏の座右の銘となっている。
その後アニメーターを志して上京し、タツノコプロの研修生となるが、数奇な運命により隣に座っていた飯田史雄の絵を見るやいなや「俺、アニメーターに向いてねぇ!」と、即座に志を断念。
なんと研修1日目にして「やっぱ演出家になりたい!」と心機一転して、偶然出会った笹川ひろしにその旨を訴える。その直訴が通じて、今川は笹川の事務所へと入所することになった。こうした、まるでフィクションの物語のような連鎖によって、稀代の演出家が誕生することとなる。
その後、ヤットデタマンで演出補佐として研鑽を積み、翌年にはいきなりフリーとなる。そして今度は『戦闘メカ ザブングル』をはじめとして、サンライズのロボット作品の演出を多く手がけることとなる。
恐らくこの頃に、今川の運命に大きな混沌を放り込むこととなる巨匠、富野由悠季と出会ったと思われ、1980年代に作られた富野由悠季監督のロボット作品には、『機動戦士Ζガンダム』の途中まで今川が演出家としてよく投入されているのがわかる。
この間、聖戦士ダンバインにおいて今川が発案したオーラバトラーのハイパー化演出は、アニメファンにとって今でも語り草になっている。
サンライズや富野由悠季の元を離れてからは、『プロゴルファー猿』の演出を担当、そして、やはり奇抜という言葉だけでは驚嘆を表現出来ないくらいぶっ飛んだ才能を発揮。大きな反響を呼んだ。だけど今川ファンの間ではあまり語れられない……。
プロゴルファー猿が終わるとまたサンライズに戻って、今川泰宏という男の名前を世に広く知らしめることとなった快作、『ミスター味っ子』の監督に就任することとなった。
もちろんこれが監督デビューだった今川だが、アニメ制作の頭目となったことでますますその演出に歯止めが掛からなくなりが冴え渡り、演出家・今川泰宏の才能が爆発。その結果どうなったかは、アニメファンには言うまでもないだろう。
それ以降は監督業を中心としつつ、その独特過ぎる才能を我々に堪能させ続けている。
ただし近年はその監督業もあまり目立たないが、なぜか今川監督の専門外のような作品である放課後ていぼう日誌の各話脚本を務めている。
趣味・趣向
大阪出身であるため関西弁を好むそうだが、時を経ていくにつれ講演会などをはじめとして、公の場でコメントを残すことはどんどんなくなっている。そのため、今川泰宏の人柄を詳しく知る人は少ない。
公の場に姿を現すことが滅多に無いため、その風貌もあまり有名となっていない。数少ない写真を参考に言うならば、「メガネ」「熊髭」「つぶらな瞳」が特徴である。また、自分の素顔を晒すことこそあまりないものの、作中で今川を模したキャラや銅像などが出てくることは多い。
香港映画などにも広く精通しており、Gガンダムでは香港映画の空気と融合させたドラマCDまでもリリースしてしまっている。Gガンダムにおける名称や設定はこれをモチーフにしたものが多い。
一方でスタートレックのファン、すなわちトレッキーとしても有名で、かつては雑誌で連載コラムを持っていたほどの筋金入り。自作品の担当声優にスタートレックの吹き替え声優が多いのはそのためであると言われている。
横山光輝のファンでもあり、ジャイアントロボや鉄人28号の制作に関しては特に喜び勇んで取り組んでいたようである。特技として声帯模写があり、秋元羊介の声が真似られるくらいのスキルを持つという。
師弟関係
- 富野由悠季
今川の師とされる人。富野の指揮下で今川はダンバインにおけるハイパー化を考案した。Ζガンダムの途中で「ロボ以外もやりたい」と演出を降板したが、一説ではこの降板劇は師と方針のことで揉めたためだという噂もある。仮にそれが事実だとしても、そんな富野がガンダム制作に疲れ切ったあげく、次期ガンダムの総指揮者として指名したのはこの今川泰宏であり、(「今川を連れてこい」というまでが自分の仕事だったとしている)事実だけを見ればどんな経緯があれど、富野が彼の手腕を信用していることは事実だろう。 - 谷口悟朗、川瀬敏文、山口亮太、etc…
弟子筋にあたるクリエイター達。後進の指導というか、業界の未来に関しても結構熱心に考えており、大学の講義では最近のクリエイターの質の低下を嘆く場面もあったとか。
今川節
- 「そんな………いや、まさか………、そんなはずは………」
真相を知る人間だけが独りよがりに葛藤する。これによって視聴者は恐ろしく焦らされる。この焦らしが快感になる人は立派な今川ファンである。いや、しかし、そんなファンが本当に……だが、本当にそうだとすれば…! - 「そう!」
後文を強調するためによく使用される台詞。主に博士キャラや参謀キャラに見られる。敷島、呉先生、アンタらだよ。 - 「罪と罰」
『犯した罪は何らかの形で償われなければならない』という今川作品の多くに通ずるテーマ。 - 「親父の遺したツケを息子が払わされる」
親父自身は、純粋に世界全体の事を考えての行動だったりするから、よけいに性質(たち)が悪い。
今川「すべての親子に捧ぐ…」 - 視聴者「これがロボットアニメだ……と………?」
生身の人間がロボットを翻弄する、殴る、あげくの果てにぶっ壊す、なロボット涙目アクションが多く盛り込まれる。
その分ロボットは(特に味方)切り札的な扱いをされやすく、インパクトが強い。
ただし鉄人では予算の少なさから「こんな枚数じゃアクション立たねーよ(’A‘)」と鉄人の活躍を投げてしまった。
その分劇場版の鉄人はTV版では想像もつかないバトルを見せている。予算さえあれば驚異的なアクションが見られるということであろう。 - 「敵と味方が大逆転、大混戦」
ジャイアントロボが良い例である。
といった構成になっている。ただしヨミは劇中に登場しない。
その他、闇の土鬼の主人公が敵である血風連を従えているなど、もはや敵味方お構いなしである。 - 「発想の源が狂ってる」
ゲッターG、ブラックオックス、ロケットパンチ大量生産。
ヒゲを蓄えたオッサンが凧で空をとぶ。
指パッチンで真っ二つ。
マンモスもカニもガンダム。
ヒント・今川だからしょうがない
主なアニメ監督作品
- ミスター味っ子(テレビアニメ、1987年から1989年) - 監督デビュー作にして出世作。
- 機動武闘伝Gガンダム(テレビアニメ、1994年) - ガンダムの歴史を変えた異色作。
- ジャイアントロボ THE ANIMATION~地球が静止する日~(OVA、1992年〜1998年) - 全部発売されて一安心。
- 七人のナナ(テレビアニメ、2002年) - 今川曰く「あれは評判悪かった(笑)」
- 鉄人28号(第4作)(テレビアニメ、2004年) - 暗い、泥臭い、懐かしい、そんな動かないロボットアニメ。
- 鉄人28号 白昼の残月(劇場映画版アニメ、2007年) - 映画監督デビュー作。タガが外れたぶっ飛び鉄人。
- 真マジンガー 衝撃! Z編(テレビアニメ、2009年) - 変な奴しかいないアニメ。続編はいつですか?
- わしも-wasimo-(テレビ短編アニメ、2014年) - 原作クドカン、NHK放送による今川無双。
漫画脚本も手がけており、代表的なものに『ジャイアントロボ ~地球の燃え尽きる日~』、『七人のナナ』などがあげられる。アニメ脚本では『蒼天の拳』、『バーテンダー』、『義風堂々!!兼続と慶次』などを手がけている。というか最近はアニメ、漫画の原作や脚本がメインになっている気がするが気のせいだと信じたい。
真(チェンジ)今川監督ゲッター
OVA「真ゲッターロボ 世界最後の日」の監督を務めることが一時的にアナウンスされていた。
アニメ雑誌などでもこのことは大きく取り上げられており、今川ゲッターへの期待が高まっていた機運もあった。
が、発売されたソフトに今川の名前はクレジットされておらず、雑誌でも降板とアナウンスされた。
ファンの間では「金を使いすぎたせいで3話でクビになったんだろう」「作風が合わなくて降ろされたんだ」などと好き勝手噂されている。
結局これに今川が結局関わったのかは不明だが、後に野中剛が今川がこの作品に関わっていたことを示唆するような発言をうっかりしてしまったことで、参加自体はしていたという噂の信ぴょう性が高まっている。
ちなみに予算使いすぎ説を裏付ける内容として、 ゲッターの細かすぎるナノマシン式変形シーンがあげられる。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
- 秋元羊介
- 横山光輝
- 富野由悠季
- トレッキー
- 今川だからしょうがない
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