『はれときどきぶた』とは、矢玉四郎作の児童文学、及びそのテレビアニメ化作品である。通称、「はれぶた」。
概要
児童書版
主人公の畠山則安は、ママに日記を読まれてしまう。次に読まれたときに驚かしてやろうとウソの日記を書きはじめる。が、未来のことを書いたウソがなぜか本当になってしまう。これは日記を読んだママたちのお芝居なんだと考えた則安は、ママたちには絶対できないようなもっと非現実なウソの日記を書くが、どんなウソを書いても本当になってしまう。次第にウソはエスカレートしていって…。
矢玉四郎原作。初版は1980年刊行。
空とぶ金魚、えんぴつの天ぷら等など非常にシュールな描写、そしてそういった非日常へ誘われる則安の不安とパニックなど、おかしさとスリルが絶妙な作品である。
後にこの則安を主人公にした、いわゆる「はれぶたシリーズ」がこの「はれときどきぶた」を含め10巻刊行されている。最新刊は2013年刊行の「はれたまたまこぶた」。則安の想像が様々な要因で現実化してしまうストーリーはシリーズ全作品で共通している。
アニメ映画版
1988年3月公開。はれぶたシリーズ原作第1作目の「はれときどきぶた」と第2作目の「あしたぶたの日ぶたじかん」が映画化された。原作に準じた内容となっており、各40分程度。ちなみに主人公の同級生には、代々の鬼太郎声優が揃っている(野沢雅子・松岡洋子・高山みなみ)。
制作はOH!プロダクションと学習研究社(現・学研)。エモーション(現バンダイビジュアル)によってVHS化されていたが現在では入手困難となっている。
ニコニコ動画にもアップされているが、いつ削除されてもおかしくない。GyaO!にもあるので、そちらを確認した方が良いだろう。
テレビアニメ版
1997年7月から1998年9月までテレビ東京系列にて放映。
主人公の小学三年生、丸顔畠山則安(十円安)と、則安が書いた嘘の絵日記「はれときどきぶた」の通りに空から降ってきた子ブタの「はれぶた」と、ひとクセもふたクセもある個性的な周りの登場人物達が織り成すドタバタ劇、非日常系スラップスティックである。
書籍版による原作の話は、アニメ版にてほとんど使われておらず(第1話・第4話)、また内容が原作の児童文学的な側面を一切持たないギャグアニメであるために「原作レイプ」のように見えてしまうが、後述するように原作者許可の上である。また本来2クールで終了予定だったのだが、思わぬ人気によって61話まで続けられた。そのシリーズ構成はあの鬼才、浦沢義雄。61話全てが彼の脚本であり、純度100%の浦沢ワールドを堪能できる。
ワタナベシンイチ監督の手によるアニメ版は氏の持ち味をたっぷり活かした作品となっており、児童書が原作とは思えないほどのカオスっぷり。最近のアニメで時折見かけることのあるメタ要素のあるシチュエーションや発言も良く見かけられたりと、当時の夕方アニメとしてはかなり斜め上を行く作品であった。主人公の則安はその方向性からアニメが文部省に推薦されないことを嘆いていた。
ワタナベシンイチはその後、この手法を活かして「ぷにぷに☆ぽえみぃ」や「エクセルサーガ」を作り上げている。
よく原作レイプの代表格にあげられるテレビアニメ版だが、「思ったことが現実になってしまう」「しかもその内容はかなりシュールである」などは原作をほぼ踏襲しており、実は原作の意向にかなり忠実であるという見方も出来なくはない(さすがに原作にメタ要素は出てこないが)。なお、原作者の矢玉四郎はこのテレビアニメ版を非常に高く評価しているようで、はれぶたのようなドタバタ劇が日本で評価されていないことを残念だとも思っているようである。(参考リンク)
この作品の挿入歌であるかないみか(はれぶた役)の「吸うなんて…」などが、のちに電波ソングとして有名となった。ミサトさんの「絶叫マシーン」も……
時折劇中に挿入される挿入歌のMVやブーブーダンスは今で言う尺稼ぎと見られる。MVは同じものを使っているが、ブーブーダンスは場面により登場キャラやモーションが変わり描き直す必要があるので、決して手抜きではない。
増田俊朗が手掛けたBGMはよくテレビ番組のBGMに使用されており、「お天気お姉さん」や「ハイパー則安」、「X'masはめでてーな」などは使用率が高い。特に「X'masはめでてーな」は編集してジングルになっている方が知られている(おもしろ荘など)。同作曲者によるだぁ!だぁ!だぁ!のBGMも同様によく使われている。いずれもサントラCDの購入は困難になっているが、実はTSUTAYAのレンタルで扱っていたりする。
またビデオやDVDはすでに生産されておらず、手に入れるのが非常に困難となっている。DVD-BOXはプレミアムがつき新品で10万円を越えてしまった。そんなわけでアニプレックスさん、再販お願いします。
ってかぼのぼのもニコニコで公式配信されたんだからそろそろはれぶたもだな・・・
登場人物
・畠山 則安 (南央美)
丸顔が特徴の小学三年生。あだ名は十円安。周囲の異常に濃いキャラクターに比べれば妹思いな面があるなど比較的まともな方だが、メタ発言が多かったり、小学三年生とは思えない発言が飛び出したりと、まともかと言われれば疑問が残る。ママの教育方針に納得しておらず勉強熱心な面もある。
声を演じる南央美による挿入歌「デュッデュワ~丸頭」がある。
・はれぶた (かないみか)
則安の日記に書いた、明日の天気は「はれときどきぶた」という内容により発生してしまったぶたの一匹。則安が日記を消した時に1匹だけ消し忘れてしまったために現実世界に残り、則安の家で暮らすことになる。則安の学校にもついていき、クラスの一員として認知されている。謎のパワーで人の考えていることを吸い、現実化させることができる。
基本的に鳴き声でしか喋らないが、稀に喋っている(ように聞こえる)。
声を演じるかないみかによる挿入歌「吸うなんて…」が後に電波ソングとして有名になる。
・玉ちゃん (間宮くるみ)
則安の妹。本名は畠山 玉江。
兄に対するツッコミはとても厳しく、時々容赦のない言葉をぶつける。
極度の電話嫌いで、電話の子機を破壊しようとしたことがある。
・パパ (梁田清之)
本名は畠山 玉則。眼鏡を外した顔はテレビでは見せられないほど恐ろしいらしい。
一流大学を出て一流企業に就職したが、バブル崩壊で会社をリストラされ、ママの実家の印刷工場の部長(名ばかり)を務めている。本人はこのことを非常に気にしているため、下手に話題に出してしまうと眼鏡を外してしまう。
・ママ (松井菜桜子)
本名は畠山 安江。
パパのようになってほしくないという理由から「手に職、足にも職、勉強すると頭が悪くなる」という謎の持論で則安に勉強をさせない。
・矢玉アナ (渡辺美佐)
テレビ局BOO-TVのアナウンサー。放送当初は「お天気お姉さん」として登場していたが、20話にて矢玉アナという名前であることが判明した。
主に解説者的立ち回りで、フレーム内外からどこにでも出没する。ぶた語を適切に通訳することができるため、一部の回では専ら通訳に徹していることもある。物語後半にはライバルキャラとして黒矢玉も登場(声優は同じ渡辺美佐)。言動こそ毒のある発言が多いが結局矢玉アナ同様の役回りが多くなった。
テレビ東京アナウンサーの矢玉みゆきがモデルで、本人が出演する案もあったという。
・町屋のおばさん(渡辺美佐)
畠山家の親戚。ことあるごとに入院をしては電話をかけて来たり、パパママがお見舞いに行ったりしている。パパママ不在の分かりやすい理由付けとして存在するキャラで、一貫して声しか登場しない。
・ワタナベシンイチ(結城比呂(現:優希比呂))
則安のクラスメイトで通称ナベシン。家は焼き肉屋でもじゃもじゃ頭が特徴。監督がモデル。
・おにぎり山(水田わさび)
則安のクラスメイトであだ名の通りおにぎり型の大きな体が特徴。家は個人経営の病院で両親のことをダディ、マミィと呼んでいる。
・武蔵小金井くん(塩屋翼)
則安のクラスメイトで自他ともに認める変人。
「歴史に残る偉人は幼少期変人だった」ことからまず変人になることを志す。荒唐無稽な言動を繰り返し、変人だと指摘されることに快感を覚えてしまうほどの変人になってしまった。あまりの自由ぶりにクラスの面々も呆れ果て、アニメが進むほどにスルーされる傾向が強くなるがめげずに変な言動を続けている。唯一矢玉アナだけは突っ込み続けてくれるため彼女を慕っている。ある意味テレビアニメ版を象徴するキャラクター。
・和子先生(三石琴乃)
則安のクラスの先生。若くて美人でナイスバディだが、ことあるごとに「ああ、美しいのね私…」と言って勝手にナルシストモードに突入する。声を演じる三石琴乃による挿入歌「絶叫マシーン」は歌詞もMVもぶっ飛んでいる。
また終盤の58話にゲストとして当時放送開始から1年ほど経過したおはスタから山寺宏一とレイモンドも出演している。放送当時はれぶた役のかないみかと山寺宏一は夫婦だったため、それを踏まえたネタも使われた(後に離婚)。
OP
- 第1期(第1話~第17話)
「強気なふたり」 作詞 サエキけんぞう / 作曲・編曲 桜井鉄太郎 / 歌 吉村由美(PUFFY) - 第2期(第18話~第36話)
「カレって時々ブタ」 作詞 TSUNAMI / 作曲・編曲 パッパラー河合 / 歌 TSUNAMI - 第3期(第37話~第61話)
「BOO~おなかが空くほど笑ってみたい~」 作詞 阿久悠 / 作曲 筒美京平 / 編曲 BANANA ICE / 歌 ゴスペラーズ
ED
- 第1期(第1話~第17話)
「ただいま」 作詞 阿部義晴 / 作曲 Paul Bevoir / 歌 大貫亜美(PUFFY) - 第2期(第18話~第36話)
「ヒコーキ雲」 作詞 鈴木けいすけ / 作曲 竹安堅一・鈴木けいすけ / 編曲・歌 フラワーカンパニーズ - 第3期(第37話~第60話)
「あッ豚だ!~一日ゆかいにいきるうた~」 作詞 阿久悠 / 作曲・編曲 増田俊郎 / 歌 デリシャス・ピッグ(CHAKA) - 最終話
「ただいま」 作詞 阿部義晴 / 作曲 Paul Bevoir / 歌 大貫亜美(PUFFY)
関連動画
関連項目
- ニコニコ大百科:児童書一覧
- アニメ作品一覧
- 1997年のアニメ作品一覧
- ワタナベシンイチ
- 浦沢義雄(全話執筆)
- 練馬大根ブラザーズ(ワタナベシンイチと浦沢義雄の二人の組み合わせによる、もう一つの作品)
- PUFFY
- ゴスペラーズ
- フラワーカンパニーズ
- 15
- 0pt