みずほとは、
である。当記事では1と2の両方について扱う。
概要
寝台特急みずほ
東京~九州間の寝台特急はあさかぜ博多行・さくら長崎行・はやぶさ西鹿児島行とあったが、当時の需要に追いつかない事から東京~熊本間に設定されたのが特急みずほである。一年で定期化されたが、当初は臨時列車として設定されていた為か廃止まで地味なブルートレインというイメージであった。
日豊本線初の寝台特急として大分編成を併設していた時期もあったが、東海道新幹線開業のダイヤ改正以降は東京駅と大分駅以南を結ぶ列車名は長い間富士として運行される事となる。そして東京~西鹿児島・長崎間を運行していたはやぶさとの運用変更で長崎編成を併設する事となるが、廃止まで東京~熊本・長崎間の運行区間は変化されなかった。
そして東京~九州間に運行されていた寝台特急あさかぜ・さくら・はやぶさ・みずほ・富士の中で一番最初に廃止された列車名となってしまった。ちなみに末期の寝台特急さくらは鳥栖駅まで東京~熊本間のはやぶさを併設していたが、これは末期のみずほの運行形態と同一である。
新幹線みずほ
九州新幹線博多開業と同時にさくらと共に山陽新幹線と九州新幹線を直通運転する列車名である。
さくらやのぞみと異なり停車駅は登場から姫路駅停車便が設定されるまでは完全固定となっており、鹿児島中央駅の所在地の鹿児島市と新山口駅所在地の山口市を除き政令指定都市もしくは中核市にしか停車しない最速達便として設定される(但し、山陽新幹線区間の所要時間は「のぞみ」が1分速い為最速ではない)。また、東海道・山陽新幹線ののぞみや東北新幹線で同時期に運行開始されるはやぶさと同じく、同区間を運行する他の新幹線に比べ数百円の上乗せ運賃が必要な列車名となっている。
600号~607号の4往復が設定され、それぞれ朝夕の2往復ずつが設定されている。2012年3月のダイヤ改正からは1往復増えて5往復体制となる他、2013年3月からは臨時列車も設定され、以後は定期便も含め増発している。
この増発にあわせて停車駅も増やされているが、山陽新幹線ではのぞみ停車駅(姫路駅・福山駅・新山口駅)のうち1駅程度が追加されている(停車駅は列車により異なる)。
尚、東海道・山陽新幹線のサービスであるエクスプレス予約は2012年7月21日より山陽新幹線区間に限り使用可能となっている(グリーンプログラムは使用不可)。
また、鉄道むすめの山陽新幹線パーサー「倉敷みずほ」の名前はこの列車から取られている(苗字はみずほが停車しない新倉敷駅から)。
非常時には本来停車しない駅が停車駅または終着駅となる事があり、九州新幹線大規模運行障害時には新大阪行きが新鳥栖行きに変更されている。また、九州新幹線で何かあった場合は山陽新幹線博多駅から特発が出る(なお、山陽新幹線完結の特発は「のぞみ」として運行される。これは九州新幹線に直通しない事と、運賃体系が「のぞみ・みずほ」では同一である事からであり、「さくら」が山陽新幹線特発で「ひかり」となるのと同じ理由である)。「みずほ」の補完の為に救済臨「のぞみレールスター」が出る事もある。
運行開始までの経緯
2011年3月12日の九州新幹線博多~新八代間の開業を控え、東京~新大阪~博多~鹿児島中央間が新幹線で一本のレールで繋がる事から山陽新幹線と九州新幹線で直通運転する事が2007年10月17日には決定されていた。ちなみに東海道新幹線との直通運転を行わないのは首都圏~福岡市間の利用客が既に航空機の5%程度しか無く利用者数を見込めない等の理由からである。
山陽新幹線で従来使われていたこだま・ひかり・のぞみの他に直通運転用に新名称を用意する事となり、九州新幹線新八代開業時のつばめのそれと同じく公募したところ168951通の応募のうち7927通で最多となったさくらとなった事が2009年2月26日にJR西日本・JR九州の両社から発表されていた。さくらの名称は2005年2月28日までは東京~長崎間を運行していた寝台特急列車の名称であり長崎本線かつ寝台特急の印象が強いことから批判意見もあったが、列車名の響きや日本人の桜好きから概ね好評で迎え入れられていた。しかし山陽新幹線と九州新幹線の直通列車名はさくらのみと思っていた2010年8月24日に、急にマスコミから「大阪~鹿児島間に新幹線みずほ3時間47分で運行」という記事が躍り出る事となる。
JRの発表の前にマスコミから「みずほ運行か」という情報が漏れた訳であるが、それについてJR西日本社長は肯定も否定もせず、JR九州社長は「まだ最終決定じゃないが最有力の列車名」と述べている。ちなみにスーパーさくらにしなかった理由は「列車名が長くなるのでコンピューターのシステム上難しい」との事であるが、ひかりとのぞみのそれと同じくさくらとみずほ(仮)では500円程料金差を設ける事が発表されている事から、その関係もあると思われる。
元々、JR西日本はさくらに対して新規需要の掘り起こしと航空機との競争の関係で停車駅を極力少なくしたスピード重視の列車を求めており山陽新幹線では停車駅の調整は出来たのだが、JR九州の沿線自治体からはさくら停車要望が多かったので協議は難航していた。一方で、所要時間が4時間を超えてしまうと航空機との競争は厳しい状況になってしまう可能性が高かった。その為、4時間を切り3時間47分で運行し停車駅を絞った新列車名としてみずほが選ばれた訳である。それによると新大阪駅と鹿児島中央駅の途中の停車駅は新神戸駅・岡山駅・広島駅・小倉駅・博多駅・熊本駅のみとなり、車両はさくらと共通のN700系7000番台(S編成・JR西日本博多総合車両所所属)・N700系8000番台(R編成・JR九州熊本総合車両所所属)。1時間に1往復設定されるさくらとは異なり、朝夕2往復ずつの計8本程度設定される予定との発表があった。
そして、2010年10月20日にJR西日本のプレスリリースにてみずほで決定と発表され、それによると新大阪~熊本間最速2時間59分・新大阪~鹿児島中央間最速3時間45分が公表された以外はおおよそ報道通りの内容であった。
結果論で言うと、所要時間の面でJR側が譲歩し、地元自治体の停車要望をできるだけ取り入れた4時間10分運転のさくらを基本とする代わりに、航空機との競争が激しい時間帯における数往復だけはJR側の要望である4時間未満の運転を実現するため、地元の要望を排除した最速達列車のみずほを運転することで折り合いをつけた、その結果誕生した列車であると言うことが出来る。
新幹線「みずほ」データ
- 運用線区:山陽新幹線・九州新幹線
- 運用区間:新大阪駅~博多駅~熊本駅・鹿児島中央駅
- 会社:JR西日本・JR九州
- 運用車両:N700系7000番台(S編成・JR西日本博多総合車両所所属)
N700系8000番台(R編成・JR九州熊本総合車両所所属) - 最高速度:300km/h(山陽新幹線)・260km/h(九州新幹線)
- 所要時間:3時間42分(最速)
- 編成図(鹿児島中央⇔新大阪)
1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 自由席 自由席 自由席 指定席 指定席 指│グ 指定席 指定席
停車駅
さくら・のぞみより停車駅が少ない事を示す為に参考としてさくら・のぞみの停車駅も記載。●は全列車が停車、○は半数以上が停車、▲は半数以下の一部が停車。
路線名 | 山陽新幹線(JR西日本) | 九州新幹線(JR九州) | ||||||||||||||||||||||
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駅名 | 新 大 阪 駅 |
新 神 戸 駅 |
西 明 石 駅 |
姫 路 駅 |
岡 山 駅 |
福 山 駅 |
広 島 駅 |
徳 山 駅 |
新 山 口 駅 |
新 下 関 駅 |
小 倉 駅 |
博 多 駅 |
新 鳥 栖 駅 |
久 留 米 駅 |
筑 後 船 小 屋 駅 |
新 大 牟 田 駅 |
新 玉 名 駅 |
熊 本 駅 |
新 八 代 駅 |
新 水 俣 駅 |
出 水 駅 |
川 内 駅 |
鹿 児 島 中 央 駅 |
|
みずほ | ● | ● | ▲ | ● | ▲ | ● | ▲ | ● | ● | ▲ | ● | ▲ | ● | |||||||||||
さくら500号台 | ● | ● | ▲ | ○ | ● | ○ | ● | ▲ | ○ | ▲ | ● | ● | ● | ● | ▲ | ▲ | ▲ | ● | ▲ | ▲ | ▲ | ● | ● | |
さくら400号台 | ▲ | ▲ | ▲ | ▲ | ▲ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||
のぞみ | ● | ● | ▲ | ▲ | ● | ▲ | ● | ▲ | ▲ | ● | ● |
尚、日中ののぞみは広島駅発着の1往復を含めた毎時3本中、姫路駅・福山駅・新山口駅の内1駅以上に停車する事が多い。
列車名の由来
年表
寝台特急みずほ
- 1961年10月 東京~熊本間に臨時寝台特急みずほが設定される。
- 1962年10月 臨時特急みずほ定期化される。
- 1963年6月 運行区間が東京~熊本・大分間になる。
- 1964年10月 東京~大分間は新設された特急富士に分離した事から特急みずほの運行区間は再び東京~熊本間となる。尚、前日までの大分編成は博多駅で増解結していた。
- 1968年10月 全編成の運行区間が東京~熊本間となる。
- 1975年3月 東京~西鹿児島・長崎間の特急はやぶさの長崎編成分離でみずほの運行区間は東京~熊本・長崎間となる。
- 1994年12月 長崎駅発着のさくらに吸収される形で廃止。
新幹線みずほ
- 2011年3月 九州新幹線博多開業のダイヤ改正で新大阪~鹿児島中央間に新幹線みずほが4往復設定される。
停車駅は新大阪 - 新神戸 - 岡山 - 広島 - 小倉 - 博多 - 熊本 - 鹿児島中央 - 2012年3月 新幹線みずほ5往復に増発。
- 2014年3月 一部新幹線さくら運用を新幹線みずほ運用に変更し、6往復に増発。うち姫路駅停車を2往復に増発。停車駅は新大阪 - 新神戸 -[姫路]- 岡山 - 広島 - 小倉 - 博多 - 熊本 - 鹿児島中央
- 2017年3月 ほぼ毎日運転する臨時列車を2往復設定。事実上8往復での運行となる。
- 2018年3月 久留米駅、または川内駅のいずれかに停車する臨時列車2往復を設定。
- 2019年3月 久留米駅・川内駅が定期列車の停車駅に昇格。
- 2020年3月 福山駅・新山口駅のいずれかに停車する定期列車を設定。
関連動画
寝台特急みずほ
新幹線みずほ
関連リンク
- JR西日本:プレスリリース一覧 > 山陽・九州新幹線直通列車「みずほ」について
- JR西日本:プレスリリース一覧 > 10月定例社長会見
- JR九州:平成23年春ダイヤ改正
- JR九州:平成25年春ダイヤ改正
関連項目
東海道新幹線・山陽新幹線・九州新幹線の使用車両 |
0系 - 100系 - 300系 - 500系(WIN350) - 700系 - 800系 - N700系 - N700S - ドクターイエロー |
東海道新幹線・山陽新幹線・九州新幹線の列車名 |
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