2014年の皐月賞馬。馬名はスペイン語で「美しい島」を意味する。
主な勝ち鞍
2013年:東京スポーツ杯2歳ステークス(GIII)
2014年:皐月賞(GI)、セントライト記念(GII)、共同通信杯(GIII)
2017年:マイラーズカップ(GII)、阪神カップ(GII)
概要
父フジキセキ、母*イスラコジーン、母父Cozzene。父はサンデーサイレンス初年度産駒の「幻の三冠馬」。2010年を最後に種付けを停止、そのまま種牡馬を引退したためイスラボニータの世代がラストクロップである。母はアメリカで2勝のほか、GIIで2着1回3着1回。シーザリオが圧勝したアメリカンオークスにも出走していたので、名前を聞いたことがある人もいるかもしれない。母父は96年の米リーディングサイアー。芝戦線を中心に多くの活躍馬を出した。
デビュー前の調教で抜群の動きを見せたことから一部でマイラーとして期待されていたイスラボニータ。デビュー戦はやや出遅れながら差し切り勝ち。一休みして挑んだGIII新潟2歳Sでは出遅れるわ引っ掛かるわの散々なレースながら、世代トップの注目を集めた牝馬ハープスターの2着に突っ込む。ハープスターには3馬身突き放されたけど。
もう一休みして東京に戻り、OPいちょうSに出走。今度は五分のゲートから好位まで持ち出すと、直線は楽に抜け出し快勝。さらにGIII東スポ杯2歳Sでは最内3番手からそのまま内を抜け、最後はホッカイドウ競馬所属の素質馬プレイアンドリアルとの一騎打ちを制し、2歳コースレコードで重賞初制覇を飾る。
陣営はダービーを見据えて距離短縮を避け、GI朝日杯FSではなくGIII共同通信杯を選択。初めて1番人気を背負うと、抜群のスタートから好位を占め、直線は外に持ち出して前を捉え楽勝。出遅れと掛かり癖がひどかったデビュー時のイスラボニータはどこへやら、すっかり優等生な競馬ができるようになっていた。
その後、トライアルは使わず皐月賞へ直行。良血トゥザワールドに次ぐ2番人気に支持される。力ではトップクラスの評価だったが、間隔をとったローテと初の右回り、それもトリッキーな中山という点が若干懸念材料になっている感じだった。
・・・ローテに関しては前々年に白いあいつが問題なくクリアしているし、中山といえば父フジキセキが圧倒的な強さを見せたコースなんだけどなぁ・・・。
内枠から好発進を見せたイスラボニータ。中団のインに下げるが、向正面で早くも外に持ち出す。3,4角の中間で仕掛け、コーナー出口で早々に先行集団に取り付くと、直線でも脚は衰えず、積極策のトゥザワールドを1馬身余り突き放して優勝。4連勝でGI初制覇を果たし、父フジキセキに初の牡馬クラシックタイトルを届けた。
陣営はほぼ迷うことなくダービー出走を発表。血統的に距離不安は拭えなかったものの、その力と府中適性が信頼され、一番人気に推される。
本番、ゲートは五分に出たが、今度は外枠だったためか久々に掛かり癖がぶり返し、スタートから2角くらいまで行きたがる素振りを見せる。向正面でどうにか折り合いをつけ、やや外目の3,4番手につけると、直線で手応えよく先行集団に追いつき、一瞬は先頭に立つほどの勢いを見せる。しかしここでイスラボニータを徹底マークしていたワンアンドオンリーが仕掛け、外から一気にイスラボニータを捉える。イスラも必死に食い下がるが、残り50m余りで力を使い果たしたか最後は半馬身離され2着敗戦。鞍上の蛯名正義をはじめ陣営の悲願だったダービー制覇はまたも夢と消えた。
夏の休養から明け、セントライト記念で復帰。2200mだったが、ここは力の違いで圧勝。菊花賞と天皇賞(秋)の両にらみで調整を進めたが、距離適性を鑑みて天皇賞(秋)に舵を切った。なおこのレースのみ、蛯名にフェノーメノの先約があったためクリストフ・ルメールが騎乗している。
さて天皇賞(秋)本番、高い府中適性や実力が評価され、ジェンティルドンナやフェノーメノらを差し置いて1番人気に支持される。レースもややスローの中3番手から進出する完璧な競馬を見せた。しかし、残り100mでスピルバーグの強襲を受け、さらにジェンティルドンナにも内からねじ伏せられ僅差3着。直線で1頭になったらフワつく癖が出てしまったらしい。ジャパンカップは蛯名の手に戻り、皐月賞のように中団から押し上げる競馬を見せるが直線で全く伸びず9着。初めて掲示板を外す結果になった。なお、この年の最優秀3歳牡馬を受賞している。まあクラシックで1着2着、天皇賞で3着だし当然といえば当然。
明けて4歳、中山記念から始動。1番人気に推されるが、直前からの雨で緩んだ馬場が響いたか5着。その後は球節の不安で大阪杯、安田記念を回避。結局春は全休となった。
秋は毎日王冠から復帰。休み明けでメンバーも揃ったため7番人気まで評価を落とすが、先団から外目を突いて一時は逃げたエイシンヒカリに迫る勢い。最後に勢いを失ったが3着を死守しGI馬の意地を示した。次走は前年敗れた天皇賞(秋)。外枠だったこともあってか、ここも6番人気と支持は戻らなかったが、久々に後方に控えると上がり2位タイの末脚で3着まで押し上げ復活をアピール。マイルCSでは1番人気に返り咲くが、この期に及んでゲート難が再発し痛恨の出遅れ。直線はインから上がり最速の末脚で迫ったがモーリスに完敗の3着。秋は3戦すべて3着と悔しいシーズンになった。ナイスネイチャ先輩なに笑ってんすか。イスラはGI馬です。あなたとは違うんです。
2016年も現役を続行し、初戦の中山記念では二冠馬ドゥラメンテと対決するが添え物にもならず9着。7番人気に転落した大阪杯は5着。安田記念では積極策が実らず、復活する先輩皐月賞馬ロゴタイプの前に5着と悔しさしか残らない結果になってしまう。秋は本格的にクリストフ・ルメールに乗り替わり、富士Sでは前残りのペースにも乗って2着。マイルCSは外目から抜群の手応えで突っ込むが逃げたミッキーアイルをアタマ差捕まえられず2着。初の7ハロン戦となった阪神カップは2番手から一時は大きなリードをとるが外目を突っ込んだ3歳馬シュウジにアタマ差差し切られ2着。前年の秋に続いて、今度はシルバーコレクターになってしまった。
6歳となった2017年も現役を続行。安田記念を春の目標と定め、GIIマイラーズCに初出走。大外枠から好スタートを切ったが一度下げ、インコースの中団からの競馬を選択する。終始すんごい手応えで、3,4角で徐々に前に取り付く。直線では一度最内に入り突破を試みるが、敵わないと見るや外に振って先行馬の間の僅かなスペースを突き一気の豪脚を披露。最後はエアスピネルを振り切り、セントライト記念以来実に2年7か月ぶりの勝利を挙げた。しかし1番人気に推された安田記念では直線で進路を失い8着と惨敗。
秋は富士Sで始動し、超不良馬場に耐えて2着。マイルCSは再び1番人気に推されるが、今度は直線で他馬に接触する不利を受けて5着と敗れてしまう。ついてない。
陣営から引退が発表され、ラストランとなった阪神カップ。次々と古馬重賞を勝った3歳世代の素質馬モズアスコットが出走したため、イスラボニータは2番人気にとどまる。レースでは2枠を活かし、インコースの中団で溜める競馬。前はアポロノシンザンが半マイル44秒8というハイペースで飛ばす。直線で一瞬進路を失ったが、馬群の僅かな合間をすり抜けるように末脚を繰り出し、抜けていたダンスディレクターと並んで入線。ハナ差だけ前に出ていたイスラボニータが勝利し、見事に引退レースを飾った。なお、勝ち時計はコースレコードの1分19秒5。94年にあのサクラバクシンオーが日本史上初めて1分20秒の壁を破った1分19秒9というタイムを23年ぶりに塗り替えて見せた。
2018年から種牡馬入りし、初年度産駒のプルパレイが2022年ファルコンSを勝って重賞初勝利を記録している。
血統表
フジキセキ 1992 青鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ミルレーサー 1983 鹿毛 |
Le Fabuleux | Wild Risk | |
Anguar | |||
Marston's Mill | In Reality | ||
Millicent | |||
*イスラコジーン 2002 鹿毛 FNo.4-n |
Cozzene 1980 芦毛 |
Caro | *フォルティノ |
Chamboad | |||
Ride the Trails | Prince John | ||
Wildwook | |||
Isla Mujeres 1995 鹿毛 |
Crafty Prospector | Mr. Prospector | |
Real Crafty Lady | |||
Lido Isle | Far North | ||
She Is Gorgeous | |||
競走馬の4代血統表 |
主な産駒
- コスタボニータ (2019年産 牝 母 *レディイン 母父 Kendor)
- トゥードジボン (2019年産 牡 母 *コッパ 母父 Yesbyjimminy)
- プルパレイ (2019年産 牡 母 *マイジェン 母父 Fusaichi Pegasus)
- ヤマニンサルバム (2019年産 牡 母 ヤマニンエマイユ 母父 *ホワイトマズル)
関連動画
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関連コミュニティ
関連項目
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