ガールズ×戦士シリーズ(あるいはガールズ×ヒロイン!シリーズ[1])は、テレビ東京系ほかにて放映されていた少女向け特撮ドラマ番組の総称である。
少女向け特撮作品としては美少女戦士セーラームーン実写版(東映、2003年)以来14年ぶりの大型作品である。
概要
OLMとタカラトミーの原案で、2017年4月より毎週日曜朝に放送された変身ヒロインドラマシリーズ。すべての作品で三池崇史が総監督を担当。
各作品にて戦士を演じるキャスト陣はダンスボーカルユニットとしてデビューし、番組のOP、ED曲を担当するため、EXILEが所属する芸能事務所LDHのバックアップのもとダンスや歌のトレーニングを受けている。したがって、俳優として養成された本職の子役は戦士に起用されていない。
なお放送上ガールズ×戦士シリーズの呼称が正式に用いられるようになったのは、3作品目に当たる「ひみつ×戦士 ファントミラージュ!」からである。
共通の設定、ストーリー
年齢設定、パートナー妖精の存在、物語の進展に伴う追加戦士の登場や新アイテムを駆使しての戦闘など、1990年代以降の戦闘魔法少女や戦闘少女アニメ作品の王道パターンを踏襲しつつテレビ朝日系ニチアサ作品のように毎年度キャスト、モチーフやテーマを一新して制作されている。いずれの作品でもピンクの戦士を主人公に位置づけ、妖精を介し変身能力を得て、仲間とともに敵組織の目論見を阻止する為に戦うというのが話の主軸。物語終盤では組織のボスと直接対決するのが定番となっている。
なお敵とは言うもののどこか憎めないコミカルで間抜けな人物ばかりで、ギャグシーンも多く盛り込まれている。そうした戦士たちを取り巻く人物、各話ごとに登場するゲストキャラクターを著名な俳優や個性派バイプレイヤー、タレント、芸人が務めるのも見どころの一つ。
戦闘にはシリーズを一貫してダンス要素が取り入れられ、変身、浄化技バンクでは長尺のダンス映像が挿入される。特に1作目の「アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!」の変身バンクは5人合わせて3分を超えていた(次作からは内容に応じ短く編集されるケースが多くなった)。
本邦初の本格ガールズ特撮
アニメではない特撮(実写)技法を用いた変身ヒロイン作品(特撮ヒロイン作品、のちに美少女戦士セーラームーンの成功を受けヒロインの複数設定化を試みたガールズ特撮)は東映が石ノ森章太郎、武内直子両氏の原作の元、過去にも多数制作してた。またかつて特撮ヒーロー「鎧甲勇士」制作の時、円谷プロダクションの制作指導、支援を受けていた中国の制作会社2社がシリーズ各2本を制作をしていた(巴啦啦小魔仙シリーズ(2008年)、舞法天女シリーズ(2016年))。
広告代理店は電通。偶然か前作の実写版セーラームーンと同じ。中部日本放送(CBC、名古屋)制作TBS系とテレビネットワークは違うもののもしかしたらセーラームーン当時の電通のノウハウも活かされているかもしれない。
当シリーズは子供を主役とし且つ4クール(=1年間)を基本として放送されるという、女児向け特撮(実写)作品としてはビジネス面でも本邦で初めて本格的なものとなった。
同じく日曜の朝に放送され、ターゲット層が重複しているプリキュアシリーズとは設定、戦略上の共通点も多く、玩具やアパレル等バンダイと東映アニメーションが得意とする商品展開の手法に実写作品という形でタカラトミーも本格参入することとなった。
この点については、プロジェクトマネージャーを務める(マジマジョ以降。ミラちゅーでは脚本協力として参加)小学館の佐々木礼子が、過去にプリキュアシリーズ[2]にてプロデューサーを担当した経験が活かされているものと思われる。
そして、子供たちにとってこの作品の最大の魅力は本物の戦士に会いに行くことができるという点である。本家本元の戦士が全国のショッピングモールやイベント会場へステージショーのためにやってきてくれるのだ。放送開始当初こそ集客が振るわないことも多かったが、じわじわと人気を集めるにつれ多くのファンが詰めかけるようになった。
ガールズ×戦士シリーズは2022年まで5年間にわたり放送され、連動するようにキャストの出演機会も多く設けられた。コンテンツ成長の要因としては、魔法少女系アニメの着ぐるみによるキャラクターショーや、アニメを元にした実写版作品とは違う本作品ならではのメディアミックスが可能な点が、魅力、新鮮さを生んでいることも少なからず影響したと考えられる。
新型コロナウイルスの影響と、その後…
劇場版も制作されるなど、新たな少女向けキャラクターコンテンツとしての足場を固めつつあったが、2020年に発生したコロナ禍の世情を鑑み、ファントミ終盤以降は密が不可避となってしまうイベントの開催は軒並み中止、白紙化。代替措置として有料オンラインライブに切り替える、Youtubeにてキャストによるコンテンツを配信するなどして露出機会を確保し続けたものの、集客や知名度向上の核となる触れ合いの場を失ってしまった。
2021年7月より放送されていたシリーズ5周年記念作品となるキラパワは、翌年4月より放送時間を15分に短縮し、後半枠にてLDHの強みであるダンスを全面に押し出した新番組「リズスタ -Top of Artists!-」と並行する形で放送。6月の第50話を以て最終回を迎え、5年3ヶ月に渡り放送されてきたシリーズの制作はここで途絶えることとなった[3](7月からはリズスタが30分枠に拡大)。
2022年12月25日、迎えたリズスタ最終回の放送後、公式Youtubeチャンネルにて「リズスタ&ガールズ戦士シリーズ6周年ありがとうムービー」が公開された。この動画では6作品を振り返るとともに、ファンへの感謝の言葉、そして「バトンタッチは、ありません。リズスタが正真正銘の、最終ランナーです。」というメッセージが綴られた。
アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!よりスタートし、装いを新たにしたリズスタを含むガールズ×戦士プロジェクト。その歴史は決して長いものではなかったが、既存の子供向け作品、特撮番組のトレンドに僅かながらでも新風を吹き込んだのは間違いないだろう。
作品一覧
タイトルは何れも「〇〇×戦士 ~~!」の形で統一されている。
- アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!(2017年)
- 魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!(2018年)
- ひみつ×戦士 ファントミラージュ!(2019年)
- ポリス×戦士 ラブパトリーナ!(2020年)
- ビッ友×戦士 キラメキパワーズ!(2021年)
Girls2
先述の通り、シリーズそれぞれの作品からダンスボーカルユニットがデビューしているが、それらの選抜メンバーにて構成されるガールズパフォーマンスグループ「Girls2」がファントミの放送を控えた2019年3月に結成された。以降、当シリーズのオープニングをすべて担当している。また、おはガールとしておはスタに出演した他、映画、アニメ等のタイアップ曲をリリースするなど幅広く活動中である。
名前 | 誕生日 | 作品内所属ユニット | 備考 |
小田柚葉 | 2004年11月7日 | miracle2 | |
隅谷百花 | 2004年11月20日 | magical2 | |
鶴屋美咲 | 2003年4月18日 | リーダー | |
小川桜花 | 2004年4月2日 | ||
増田來亜 | 2003年8月19日 | ||
菱田未渚美 | 2006年12月26日 | mirage2 | |
山口綺羅 | 2004年1月20日 | ||
原田都愛 | 2005年4月2日 | ||
石井蘭 | 2004年8月7日 | ファントミ追加戦士のため、2019年7月に遅れて加入。 2023年3月末で卒業後、視聴者投票型オーディション企画「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」に参加し最終得票数9位。2024年、選抜メンバー11人で結成されたME:Iとしてデビュー。 |
Lucky2
Girls2に続き、2021年6月に結成された第2世代グループ。lovely2の一部メンバーとキラパワ戦士[4]を合わせた計6人でスタート。作品の楽曲を担当した他、こちらも同じくおはガールとして半年間出演した。
翌年6月には、リズスタに出演する女子メンバー3人も追加加入。
名前 | 誕生日 | 作品内所属ユニット | 備考 |
山口莉愛 | 2008年11月22日 | lovely2 | |
杉浦優來 | 2007年1月5日 | リーダー | |
永山椿 | 2010年1月12日 | なし (ビッ友×戦士 キラメキパワーズ!に出演) |
|
深澤日彩 | 2006年11月11日 | ||
比嘉優和 | 2007年11月24日 | ||
佐藤栞奈 | 2007年9月22日 | ||
上村梨々香 | 2009年5月27日 | なし (リズスタ -Top of Artists!-に出演) |
2022年6月に遅れて加入。 |
森朱里 | 2008年4月17日 | ||
佐藤妃希 | 2009年1月25日 |
関連項目
- 特撮
- テレビ東京
- タカラトミー/OLM
- おはスタ
- ウルトラシリーズ(本シリーズと合わせてテレ東特撮2大コンテンツを展開)
- 特撮作品一覧
- プリティーシリーズ - タカラトミーの少女向けアーケードゲームおよびアニメ等メディアミックス作品。「プリティーリズム」、「プリパラ」、「キラッとプリ☆チャン」
脚注
- *当ページではテレビ東京公式サイトに倣い前者で統一。
- *ハートキャッチプリキュア!26話~ドキドキ!プリキュア41話まで。
- *ただし主要スタッフ、LDHからのキャスト起用等共通する部分が多く、コンテンツとしては同一シリーズとして扱われている。Youtubeの公式チャンネルも引き続き使用された。
- *作品内ユニットは結成されなかった。
- 1
- 0pt