美少女戦士
セーラームーン
とは、武内直子(夫は冨樫義博)原作の漫画。通称「セーラームーン」「セラムン」。
概要
『なかよし』1992年2月号~1997年11月号連載。「魔法少女+スーパー戦隊シリーズ」とも言える「戦闘美少女」というジャンルを確立させ、90年代のなかよしを支えた大黒柱的存在。国内外・年層を問わず知名度が非常に高く、現在でも多くのファンを獲得している。
元々は武内直子が1991年になかよしの姉妹誌『るんるん』で読み切り掲載した『コードネームはセーラーV』という作品が原型。セーラーVの連載が好評という事で発展拡大させたのが本作であり、後に連載版でセラムン原作に時系列が合流されている。
セーラーV掲載の翌年に東映アニメーションのスタッフとの共作による作品として、漫画連載と同時進行でにテレビアニメ化された、所謂クロスメディア作品でもある。原作、アニメ両方で瞬く間に幼女達と大きなお友達のハートをつかみ、1990年代前半に大ヒットし社会現象にまでなった作品である。
しかし、武内自身はこの作品の存在があまりにも大きすぎたのか、本作連載終了後はスランプに苦しみ、販売元の講談社と喧嘩までしてしまう(のち和解)。その後冨樫義博と結婚したが、エッセイなどを除いていまだに漫画家としての活動はほとんど休止状態である。
主人公を含むセーラー戦士は冥王星(当時)までの太陽系の惑星(後期にはさらに小惑星が加わる)、敵キャラはジェダイト(翡翠)など鉱物名から多く取られた(後期にはテルルなどの元素名も追加)。
アニメ以外にもミュージカル化('93~'05、'13~)、テレビドラマ化('03~'04)され、それぞれ人気を博した。
2015年2月17日に1990年代に発売された「美少女戦士セーラームーン」の音楽アルバムが、高音質なハイレゾ配信で登場。 ラインナップは、『美少女戦士セーラームーン 音楽集』『美少女戦士セーラームーンR 音楽集』『交響詩 美少女戦士セーラームーンR』『美少女戦士セーラームーンS 音楽集』の全4タイトルで配信開始された。
2017年6月14日にTVアニメ版のBlu-rayが発売された。後にセーラームーンシリーズ「Blu-ray COLLECTION」として2019年現在も次々と発売されている。
変身バンク担当について
セーラー戦士たちの変身バンクは、後継の作品に多大な影響を与えた。これについて、初代シリーズディレクターの佐藤順一が次の2点を証言している[1]。
- この変身バンクは、『超電磁ロボ コン・バトラーV』のロボットの合体シーンをベースにしたものである。
- バンクの長さは40秒以上にもなるが、これは、通常のテレビアニメのセルの枚数が1話あたり3000枚であるところ、予算が少なく、「1話内でのセル画の枚数は2,000枚以内」という厳しい条件での制作を強いられたため、必殺技シーンのバンクと合わせて尺の節約を図るためだった。
変身バンクの絵コンテは、有澤孝紀によるBGMの尺に合わせて切られた。セーラームーン(無印)とセーラーマーキュリーは佐藤順一、セーラージュピターは竹之内和久、セーラーヴィーナスとセーラームーン(R)は幾原邦彦、セーラーウラヌスとセーラーネプチューンは庵野秀明が担当している。[2]。
メディア展開
漫画版(1991年~1996年・講談社「なかよし」連載)
この作品の大ヒットによって小さなお友達や大きなお友達の読者がなかよしを購入し、一躍少女漫画誌売り上げトップとなった。
テレビアニメ版(全200話。1992年~1997年・テレビ朝日系列放映)
毎週土曜日夜19:00~19:30放送。東映動画(現:東映アニメーション)制作。
この番組の大ヒットにより、裏番組だった「まんが日本昔ばなし」(MBS製作・TBS系列)が全国ネットからローカルに降格する形で撤退した。
シリーズディレクター(監督)は佐藤順一(無印~R前半)>幾原邦彦(R後半~SS)>幾原邦彦・五十嵐卓哉(セーラースターズ)と変遷している。
なお、無印時代は視聴率は良かったが肝心のグッズが売れなかったため、半年で打ち切られそうになったことがある。しかし、年末にムーンスティックを発売したことでグッズの売り上げが伸びたため、打ち切りは回避されたというエピソードがある。
- 美少女戦士セーラームーン : 1話~46話
- 美少女戦士セーラームーンR : 47話~89話
- 美少女戦士セーラームーンS : 90話~127話
- 美少女戦士セーラームーンSuperS : 128話~166話
- 美少女戦士セーラームーン セーラースターズ : 167話~200話
ミュージカル(1993年~2005年、2013年~)
元々はテレビアニメとの連動企画としてスタートしたが、アニメ終了後も長きに渡って新春・春休み・夏休みの年3回公演が続いた。神戸みゆきなど、数多くの少女子役の登竜門としての役割も果たした。
20周年記念プロジェクトの1つとして、ミュージカルセーラームーン復活が決定し、2013年9月に『美少女戦士セーラームーン -La Reconquista-』として公演された。2014年8月には続編『美少女戦士セーラームーン-Petite Étrangère-』が公演予定。
テレビドラマ(2003年~2004年・CBC製作・TBS系列放映)
毎週土曜日朝7:30~8:00放送。東映制作。関東など一部地域で先行して行われていたアニメ版の再放送の影響で再び玩具が売れ始めており、そのことがきっかけで製作にGoサインが出た。
アニメ版とは異なり、コミック第一部の設定を元に作ったオリジナルストーリーが展開。白倉伸一郎がプロデュースし、小林靖子が全話の脚本を担当したことからもわかるように、製作スタッフの多くが平成仮面ライダーを手がけている。色とりどりのカツラをつけた変身後の姿からどうしても色物コスプレドラマとして見られがちだが、平成ライダーのスタッフが手掛けたこともあり、ストーリーはやや重めで、リアルな中学生女子らしいドロドロした感情も描かれている。
メインキャストには当時モデルとして既に女の子に人気を集めていた美少女を集め、その一人だった北川景子はこの作品をきっかけにトップ女優までのし上がった。北川はセーラー戦士だったことを今でも全然隠しておらず、演技を学んだ原点としてしばしば触れている。北川以外の4人も、一人も消えることなく女優・モデルとして現在も現役バリバリで活躍しており、レベルの高いキャストを集めていたことが伺える。
東映・バンダイで競合新作だった「明日のナージャ」よりは玩具が売れていたのだが、重い展開に加えリアルな中学生模様や私服の描写に力を入れた結果、玩具を買ってくれる未就学女児層より上の女子小学生層に受けてしまい、徐々に売り上げが伸び悩む。さらに翌年2月から始まった『ふたりはプリキュア』に完全に女児玩具の主役を奪われてしまい、一年で放送は終了。奇しくも、『戦闘美少女』というジャンルの世代交代を象徴する結果となった。
ゲームソフト
新作アニメ(2014年、2017年・Webアニメ(テレビアニメ)/2021年、2023年・劇場アニメ)
2014年7月5日より、ニコニコ動画など各動画配信サイトで配信されている新作アニメ。
テレビアニメ版(旧アニメとする)よりも原作寄りにしたWebアニメであり、後にテレビアニメとしても放送されている。詳細は「美少女戦士セーラームーンCrystal」を参照。
後の2021年には「美少女戦士セーラームーン Etarnal」、2023年には「美少女戦士セーラームーン Cosmos」がそれぞれ製作、劇場版アニメとして前後編に分けて公開された。
主なキャラクター
太陽系セーラー戦士
- 月野うさぎ(セーラームーン)
- 水野亜美(セーラーマーキュリー)
- 火野レイ(セーラーマーズ)
- 木野まこと(セーラージュピター)
- 愛野美奈子(セーラーヴィーナス)
- ちびうさ / スモールレディ(セーラーちびムーン)
- 天王はるか(セーラーウラヌス)
- 海王みちる(セーラーネプチューン)
- 冥王せつな(セーラープルート)
- 土萠ほたる(セーラーサターン)
セーラー戦士の関連キャラクター
その他のセーラー戦士
TVアニメ版主題歌
旧スタッフ
- プロデューサー - 東伊里弥→有迫俊彦、太田賢司、矢田晃一
- 原作 - 武内直子(講談社『なかよし』連載)
- 製作担当 - 樋口宗久→堀川和政→松坂一光
- 製作担当補佐 - 本間修→松坂一光
- 宣伝 - 三輪祐見子
- 音楽 - 有澤孝紀
- 作画チーフ(キャラクターデザインなど) - 只野和子(無印〜R)→伊藤郁子(SSまで)→爲我井克美
- 美術チーフ(美術デザインなど) - 椋尾篁→窪田忠雄→田尻健一
- シリーズ構成 - 富田祐弘→榎戸洋司→山口亮太
- シリーズディレクター - 佐藤順一→幾原邦彦→五十嵐卓哉
- 音響効果 - 今野康之、赤平直樹、鶴田こずえ
- 制作 - テレビ朝日、東映エージエンシー、東映動画
新アニメ版スタッフ
Crystalのスタッフのみ掲載。総入れ替えスタッフであり、参加メンバーの多くがプリキュアシリーズに関わっている。Etarnal、Cosmosに関してはWikipediaを参照。
- 原作 - 武内直子
- エグゼクティブプロデューサー - 松下卓也・梅澤淳稔
- チーフプロデューサー- 松下卓也
- プロデューサー - 土屋潤一郎・神木優(第1話 - 第26話)→田中瑠佳(第14話 - 第39話)
- シリーズ構成 - 小林雄次
- 音楽 - 高梨康治
- 製作担当 - 小林克規(第1話 - 第3話)→岡田将介(第4話 - 第26話)→太田有紀(第27話 - )
- 美術デザイン - 倉橋隆、保坂有美(第1期・第2期)
- 美術設定 - 佐南友里・青柳ゆづか(第1話 - 第14話)→谷内優穂(第15話 - 第26話)→伊井蔵(第3期)
- 色彩設計 - 辻田邦夫(第1期・第2期)・小日置知子
- 撮影監督 - 荻原猛夫(第1期・第2期)→村上展之(第3期)
- キャラクターデザイン - 佐光幸恵(第1期・第2期)→高橋晃(第3期)
- シリーズディレクター - 境宗久(第1期・第2期)→今千秋(第3期)
- CGプロデューサー - 氷見武士(第1期・第2期)・横尾裕次
- CGディレクター - 加藤康弘(第1期・第2期)→千葉高雪(第3期)
- 編集 - 牧信公
- 録音 - 阿部智佳子
- 音響効果 - 倉橋静男、緒方康恭(第1期・第2期)→今野康之(第3期)
- 音楽プロデューサー - 宮本純乃介、平野宗一郎(第3期)
- 音楽制作協力 - キングレコード・東映アニメーション音楽出版
- 録音スタジオ - 東映デジタルセンター(第1話、第27話 - 第39話)・タバック(第1話 - 第26話)
- 音響制作 - タバック(第27話 - 第39話)
- オンライン編集 - 東映デジタルラボ
- アニメーション制作 - 東映アニメーション
- 制作 - 講談社・東映アニメーション
関連動画
関連生放送
美少女戦士セーラームーンCrystalの放送開始に前後して無印の一挙放送が行われた。
また同じく美少女戦士セーラームーンCrystalに関連する形で行われた、6月30日誕生日にちなんだ「月野うさぎ&ちびうさバースデー記念WEEK」の企画の一環としてセーラームーンRの60話以降(具体的にはちびうさ登場以降)の一挙放送が行われた。
関連チャンネル
関連コミュニティ
外部リンク
Blu-ray特集サイト(東映ビデオ株式会社)
- 美少女戦士セーラームーン Blu‐ray COLLECTION
- 美少女戦士セーラームーンR Blu-ray COLLECTION
- 美少女戦士セーラームーンS Blu-ray COLLECTION
- 美少女戦士セーラームーンSuperS Blu-ray COLLECTION
- 美少女戦士セーラームーン THE MOVIE Blu-ray 1993-1995
関連項目
- 漫画作品一覧
- アニメ作品一覧
- 美少女戦士セーラームーンCrystal
- 佐藤順一(カレイドスター、ARIA、あまんちゅ!などで担当。)
- 只野和子(セーラームーンのキャラ基本設計の人。Rで降板した。)
- 伊藤郁子(只野氏の絵柄を引き継ぎづつ、無印〜SSまで担当。)
- 爲我井克美(無印〜スターズまで担当。現在はプリキュアシリーズで担当している。)
- 三石琴乃(アニメ版の月野うさぎ・セーラームーン役。この作品をきっかけにスターダムにのし上がる)
- 久川綾(アニメ版の水野亜美・セーラーマーキュリー役。同じくこの作品をきっかけにスターダムにのし上がる)
- ゲンジ通信あげだま(ヒロインの中の人が三石氏。同キャラの変身&名乗りシーンで本作をパロった)
- 少女革命ウテナ(中~後期監督の幾原邦彦が監督。初期稿段階ではセラムンを意識した美少女戦隊モノであった)
- プリキュアシリーズ(同じ東映アニメーション制作で、セーラームーンシリーズの発展型といえる存在。)
- 大きいお友達(このアニメのファンの一部の困った行動に対し、久川綾が皮肉ったのが語源)
- 庵野秀明(かつてセラムンの大ファンだった。綾波レイの「レイ」も火野レイが由来。 葛城ミサトの髪型も前髪の形は月野うさぎがモチーフであり、後にキャストが同じ三石琴乃となって苦笑したとの話もある)
- 百合界のカリスマ(天王はるか&海王みちるコンビの俗称)
脚注
親記事
子記事
兄弟記事
- なし
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- 0pt