コンバットミッションとは、Battlefront製作の戦術級陸戦ウォーゲームである。シアターオブウォーシリーズも製作が同じ。
2000年から「コンバットミッション」シリーズが発売され、現在でもシリーズを製作中。ターン制ストラテジーという有名なリアルタイムストラテジー(RTS)とは似ているようで異なる独特なゲームルールが特徴。いわば、アナログなウォーボードゲームをPCゲーム化した感じである。
概要
「コンバットミッション」では第二次世界大戦や現代戦における陸戦を描いておりタイトルにより異なっている。
ゲームタイトル
- コンバットミッション:西部戦線1944~1945 (Combat Mission:Beyond Overlord"CMBO")
- コンバットミッション:東部戦線・ベルリンへの道 (Combat Mission: Barbarossa to Berlin"CMBB" )
- コンバットミッション:アフリカ戦線・砂漠の狐 (Combat Mission: Afrika Korps"CMAK")
以上のタイトルは日本語マニュアル付き英語版でマイクロマウスから発売された。
このシリーズより以降の多くのタイトルは国内未発売で輸入版となる。またいくつかのタイトル等はBattlefrontウェブサイトで購入する必要がある。
その他、ゲームエンジンがアップデートされグラフィックなどがリアルになった他、RTSモードも実装され選択可能になった。
- Combat Mission: Shock Force"CMSF"
- Combat Mission: Afghanistan "CMA"
- Combat Mission: Battle for Normandy "CMBN"
- Combat Mission: Fortress Italy "CMFI"
- Combat Mission: Red Thunder "CMRT"
- Combat Mission: Black Sea "CMBS"
- Combat Mission: Final Blitzkrieg "CMFB"
他にも、中途でキャンセルされたゲームシリーズやスマートフォン向けアプリも存在している。
ルール
コンバットミッションでは実際の軍隊が遂行する作戦行動などをシミュレートしており、アクション性のあるRTSシステムは取り除かれているのが特徴。視界や操作方法などの概念はRTSと近いが以下、かなり異なっている点について記述する。
作戦フェイズと実行フェイズ
大きく分けて作戦フェイズと実行(行動)フェイズに分かれており、実行フェイズは1分間。それが終わると作戦フェイズに戻る。10ターンならば10分、60ターンならば1時間の戦闘を再現している。戦闘前には大抵、配置フェイズが存在するのでこの間にユニットの再配置などを行う。
プレイヤーは作戦フェイズ中にユニットに1分間の行動を予め命令しておき、ターンを終了する。実行フェイズではユニットたちはプレイヤーの命令通りに動く。ここで、従来のRTSと異なる点は何が起こっても実行フェイズ中にはユニットに命令を下すことが不可能であるという点である。
例えば戦車ユニットの前方に対戦車砲陣地が構えていても戦車部隊を即座に後退させたり、ショートカットキーを割り当てておいた砲兵部隊をすぐさま呼び出し砲撃したりは出来ない。その場合、戦車ユニットは危険を察知するか攻撃を受け、プレイヤーの命令の優先度が高くないことを確認してから再行動する。場合によっては恐慌状態に陥り滅茶苦茶な行動を取ってしまう。この間、もしも全滅してもプレイヤーは見守るだけである。このゲームでは生産の概念はなく、ゲームシナリオに設定されていない限り、増援もないので無くなったユニットはそのままである。
作戦フェイズでは少なくとも1分先を考えて慎重に命令を下さなければ勝利はおぼつかない。さらに攻撃側は慎重すぎると勝利を得るまでに全てのターンを使い果たしてしまうので、これまた難しい。
指揮ユニットと命令の遅延
作戦フェイズで下令した命令は大抵のRTSではすぐにユニットに伝えられ即行動をとるが、コンバットミッションではかなりややこしいことになる。ユニットには指揮系統が存在し、例えば小隊の場合は分隊長、小隊長ユニットが配置されている。分隊班は分隊長以上の隊長の指揮下に入っていなければ、命令の認識に遅延が発生する。指揮下に入っていない部隊は索敵能力や士気が低下し、戦闘能力も低迷してしまう。場合によっては数ターン、つまり数分間命令を確認出来ない場合もある。
戦車などの装甲部隊も同じで、小隊長車の指揮下に居なければ戦車小隊は命令の実行まで余計に時間要する。車両のタイプによっては無線機を搭載しているものもあり、その場合は指揮可能な範囲と伝達速度が高まる。乗員の死傷、例えば戦車長が砲撃や銃撃で負傷した場合は戦闘能力や指揮能力は大幅に下がってしまう。この辺りはリアル系戦車シムと同じ感じである。
砲兵は独特のルールで、重砲などはマップ上に存在せず弾着観測員が砲兵への指示を行う。練度や砲の種類に気候、士気などにより砲撃が実際に着弾するまでタイムラグが存在するが、数分から10分以上掛かる場合もある。弾着観測員も小隊長などの指揮ユニットの指揮下だと、砲兵への指示速度や砲撃精度が高まる。無線機持ちのユニットも存在しておりこちらは通常よりも高性能。
また弾着観測点というオブジェクトは砲兵の砲撃開始時間を早め、精度を高める事が可能だが、配置できる数が限られており配置フェイズでしか配置できない。なので、開戦後に好きなところに即座に砲撃といったことはこのゲームでは難しい。
ユニット全般は練度や士気で命令認識能力が変わるので、適当に命令していると少数精鋭部隊が命令に即応し、いきなり前進を開始し、多くの通常部隊と足並みが揃わなくなる。一団となって行軍させたい場合、プレイヤーが命令遂行まで待機するよう待機命令を与える必要がある。実行フェイズ中に進みすぎた部隊をプレイヤーが途中で後退させることは不可能。
視界と射線
リアル系RTSと同じくコンバットミッションでも視界と射線は存在する。丘越しに直射砲撃は出来ないし、濃霧だとユニットの索敵能力は大幅に下る。これに関してはコンバットミッションでも同じ。砂塵を確認してもそれが戦車部隊なのかトラックの一団なのかは分からない。これを利用して不要なトラックを陽動に用いることも可能。
音による索敵システムも存在し、歩兵を走り回らせていたらすぐに兆候を悟られる。車両の音で敵の脅威を推定可能だが、それがトラックか戦車かの判別には時間が掛かる。「見間違い」もシミュレートされており、しばしば有名な「Ⅳ号戦車とⅥ号戦車の判断ミス」も発生する。
ここでもプレイヤーが最も考えなければならないのは指揮可能範囲である。濃霧だと指揮範囲は制限され、雨天だと指揮ユニットの声が届かないといったシチュエーションもありうる。また分隊班と分隊長が建物で遮られることでも指揮能力が低下してしまう。
だったら常に指揮ユニットの指揮下に入るよう命令して動かせばいいじゃないかと思うかもしれないが、このゲームはターン制なので、そう簡単には行かない。1分先の分隊班の動きから場合によっては500人に登る大隊規模の部隊の動きを把握していかなければならない。
ところで、指揮範囲は各隊長から伸びるラインが表示され把握可能。ラインが変色している場合は指揮下に入っていない。彼我の射線も表示可能で、安全にユニットを導くことが出来る。もっとも1分間の行動フェイズの縛りがあるので、如何に相手に対し優勢を取れるよう予見して戦略を練り命令を下せるかで頭を悩ませることになる。
かなり難解とも取れるゲームルールだが、シナリオの一部はアメリカ軍などの実際の軍事教練プログラムを再現するほどのこだわり様なので『実際の軍隊がどういう行動を取るのか』といったことを追体験可能。
無名ユニットはほぼ存在しない
大抵のウォーゲームだと戦車や砲はかなり細かく登場し、非常にマイナーな兵器も登場する。ただ歩兵に関しては対戦車歩兵部隊やライフル部隊と言った感じで細かい設定が存在しないことがしばしばある。
コンバットミッションは製作スタッフの変態ぶりというか、こだわりが凄まじく全て史料から実在する歩兵部隊を調べあげている様で無名の歩兵部隊が存在しない。(流石に第○○小隊といったところまでは再現していないが、それでも結構な種類がある) おまけに、年、月ごとの時期と戦線でちゃんと実在していた歩兵部隊を整理しており、下手なミリタリー系雑誌よりも充実した内容となっている。
グラフィックなど
グラフィックは初期の3部作は2000年のものなので今からすると多少は見劣りする。しかしながら、戦車は無論、戦車駆逐車から偵察車、中口径砲までずらりと並んだ様は圧巻。陸戦シムとしてはこの上無い完成度なので、グラフィックを気にするよりも戦術を練る楽しさに明け暮れる方が多い。ミッションエディタも存在し、マップ作成から部隊編成まで自在に編集することが出来る。難易度の調整もCPUの強さではなく、自軍の練度の高さや量での調整となるので、難易度を下げても簡単に勝てるとは限らない。
砲弾と装甲の関係も陸戦ゲームの中でもしっかりと表現されており、一時期のソ連製戦車の粗悪な金属質を再現した装甲システムや武装ジープと戦車が不意の超接近戦に突入しジープの30口径機関銃弾がペリスコープを打ち破って乗員を殺傷する状況までシミュレートするなど、こだわり抜いた名作と言える。ただ、入手手段が少ないのと値段が高い、箱が異常にデカい、説明書が参考書並に分厚いなどゲーム内容以外も硬派なものとなっている。
ところで、ソ連軍はУраааа!!!と攻め入れられる人海戦術がコマンドとして実装済み。なお、太平洋戦線はゲーム化されていない。チハたん...
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マイナーゲーム故か全動画が40件程しかない。タグ検索をおすすめ
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関連項目
- 2
- 0pt