【勇者シリーズ30周年】 |
勇者シリーズとは、90年代に放送されたサンライズ制作の、タイトルに「勇者」と付く一連のロボットアニメシリーズである。
概要
この勇者シリーズは元々、玩具スポンサーのタカラとサブスポンサーのカバヤ食品(食玩)、アニメ制作のサンライズと名古屋テレビ、広告代理店の東急エージェンシーという5社制作体制によって、1988年から1998年までの10年間の契約を基本路線として計画された土曜夕方5時半の放送枠として開始したもののひとつである。それ故に「鎧伝サムライトルーパー」「獣神ライガー」と2作品のアニメが制作された後、和製「トランスフォーマー」のアニメシリーズの休止と入れ替わる形で1990年にスタートしたのが第1作「勇者エクスカイザー」であった。
「トランスフォーマー」シリーズのコンセプトを受け継ぎ、発展させたロボットアニメシリーズである。スポンサーも同じタカラ(現タカラトミー)なので玩具の金型もかなり受け継いでいたりする。トランスフォーマーと同じく、ロボットが何らかの乗り物(トランスフォーマーにおけるビークルモード)に変形する。また、ロボット自身が意志を持っているためしゃべることが出来る。
また、味方側の主人公メカが更に合体して「グレート○○」や「ファイヤー○○」、「スーパー○○」などになるのが本作の特徴であり見せ場の一つであるが、これらのコンセプトは前年の「トランスフォーマーV」の"ブレインセット"ですでに現れており、総司令官スターセイバーをはじめ非常に多くの類似点が見られる。
「少年とロボットとの友情」を前面に押し出しているのも特徴。初期の作品である「勇者エクスカイザー」~「伝説の勇者ダ・ガーン」まではその傾向が強いが、4作目となる「勇者特急マイトガイン」から微妙にコンセプトに合わない作品も発表されている。
一応「トランスフォーマーV」でも南風ジャンといった子供のレギュラーや、EDのSD化などで既に少年を中心としたストーリーの傾向は見られていたが、本作では更に踏み込んだ「ロボットの都合ではなくあくまで地球人の主人公の視点で進むストーリー」である事が、過去の「トランスフォーマー」作品とは明確に異なる点であると言え、基本的に主人公の身の回りで起こる事に対してロボット達が肉付けしていくという物語の展開が主流である。その為、主人公の精神的な自立や成長という要素がロボットの活躍を食う勢いで描かれる作品も少なくない。これは後期の作品においても顕著である。
またシリーズ初期の作品の監督を務めた谷田部勝義によれば、勇者シリーズの狙いのひとつに「子供向けリアルロボット作品の復活」という目標があったとしている。当時1980年代末期近辺のロボットアニメは「魔神英雄伝ワタル」「魔動王グランゾート」等といったSD作品の人気作が多く、ロボット以外でも「新ビックリマン」「キャッ党忍伝てやんでい」等SDキャラが活躍する作品が多かった。こうした流れからトランスフォーマーをベースにしたリアルロボット志向の新シリーズが目指されたといい、このような狙いはSDガンダムの客層を吸い上げようとしたバンダイの「平成ガンダム」シリーズでも見られている。
シリーズは前述の通りメ~テレとタカラを中心とした10年計画の放映権の枠組みで行われたが、途中1994年からアニメ製作元のサンライズがライバルの玩具企業バンダイグループの傘下に入った事により一時シリーズの継続が危ぶまれたが、その後も制作体制を変えながら、10年契約の満了期となる1998年までは放送を継続することができた。しかしそれ以降はタカラがサンライズと組めなくなった為に、8作目の「勇者王ガオガイガー」でシリーズの幕を下ろした(9作目の「フォトグライザー」といった企画自体は用意されていたが実現はできなかった)。
この件でよく「シリーズが低迷したから終了した」などと言う輩がいるが、そのような風説は当時の憶測が広まってファンの間で誤解を呼んだものに過ぎず、後年発売された「超勇者伝承」等勇者シリーズの関連書籍での当時の関係者からのインタビュー記事では、そのような主張を覆す意見が度々出ており「勇者シリーズの玩具売り上げは全て黒字だった」とする意見さえある(但し「太陽の勇者ファイバード」以降の視聴率が年々少しづつ減少傾向にあったのは事実だったようである)。
なお勇者シリーズの後番組には、タカラメ~テレ発のロボットアニメ「Bビーダマン爆外伝」が、マッドハウスの制作で放送を開始した(詳しくは後述)。しかし、テレビ朝日の番組改編に伴い番組開始早々に日曜朝7時に放送時間帯が変更になり、土曜夕方5時半のアニメ枠が早々に廃止された為、サンライズだけではなく局の都合も終了の原因なのではという見方もある。
また、前述の通りリアルロボットを志向した勇者シリーズからSD作品であるビーダマンに移行したことについては「ガオガイガー」の放送中に開始し「爆外伝」シリーズとも同時期であったタカラ発の「超生命体トランスフォーマービーストウォーズ」が大ヒットしたことも考慮すべきであろう。実際「ビーストウォーズ」の和製シリーズ2作(葦プロダクション制作)は、リアルロボットでありながらギャグを交えた作風であるなど、勇者シリーズと同じニーズに向けた作品であることが分かる。
更に「ビースト」シリーズの後番組「トランスフォーマーカーロボット」や、2000年代初頭の「電脳冒険記ウェブダイバー」「爆闘宣言ダイガンダー」など、タカラはその後もしばらく勇者シリーズのコンセプトを受け継いだ少年ロボットアニメを展開していた。なお、これらの作品における玩具販促の自動音声テレフォンサービスに使用された番号が、勇者シリーズ時代のテレフォンサービスで使われていた番号と同じだったことで驚いたという話もある。
当時から人気は高く、「グレート合体」や「勇者パース(サンライズパース)」などの言葉が生まれたほどだが、今なお根強い人気を誇り、近年になってDVD化されたり当時販売された玩具が復刻されたりしている。
現在はバンダイチャンネルでTVシリーズ8タイトル及びダグオンのOVAとガオガイガーFINALを全話視聴可能。全て月額1050円(税込み)の見放題プランにて配信されている。ただし「勇者王ガオガイガーFINAL -GRAND GLORIOUS GATHERING」のみ未配信。
ニコニコ動画では2019年10月よりdアニメストアにて配信開始した。
シリーズ作品
作品名 | 期間 | 備考・その他 | 第1話 (dアニメ) |
---|---|---|---|
勇者エクスカイザー | 1990年 - 1991年 | 総監督:谷田部勝義 (ダ・ガーンまで) |
|
太陽の勇者ファイバード | 1991年 - 1992年 | ||
伝説の勇者ダ・ガーン | 1992年 - 1993年 | ||
勇者特急マイトガイン | 1993年 - 1994年 | 総監督:高松信司 (ゴルドランまで) |
|
勇者警察ジェイデッカー | 1994年 - 1995年 | ||
黄金勇者ゴルドラン | 1995年 - 1996年 | ||
勇者指令ダグオン | 1996年 - 1997年 | 総監督:望月智充 | |
勇者王ガオガイガー | 1997年 - 1998年 | 総監督:米たにヨシトモ | |
勇者聖戦バーンガーン | 1998年 - 2001年 | ※ゲームでの登場のみ | ※なし |
「新世代ロボット戦記ブレイブサーガ」という勇者シリーズ(+α)のクロスオーバー作品に登場した「勇者聖戦バーンガーン」はサンライズ公認の最後の勇者となっている。OPアニメや合体アニメもあるが、TVアニメやOVAになっていないのが惜しい(玩具化は達成した)。
なお、勘違いされやすいが、「勇者ライディーン」はシリーズに含まれないので要注意。また、「ブレイブサーガ2」のヴァリオン、「新世紀勇者大戦」のレイゼルバーは厳密には「勇者」に含まれない。
ちなみに、「勇者王ガオガイガー」以降の後番組には、ロボットアニメ『Bビーダマン爆外伝』が放送された。前述の通りこちらの制作はマッドハウスだが、「ダグオン」のメカデザインを手掛けたやまだたかひろ等、勇者シリーズのスタッフも多く参加している(和製ビーストウォーズシリーズも同様)。ロボットが変形・合体するなど、勇者シリーズのコンセプトも少なからず商品展開に受け継がれている。
関連動画
関連静画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目 |
関連リンク
|
- 5
- 0pt