電脳冒険記ウェブダイバーとは、株式会社タカラ(現:タカラトミー)のプラグイットシリーズの一環として展開したロボット玩具の第一弾、およびそれに基くロボットアニメである。
概要
2001年4月6日~2002年3月29日放送、全52話。アニメーション制作はRADIX。
一部の描写(主に登場するロボット達)の描写にCGを用いたアニメや、TVと連動してゲームが遊べる玩具が話題となった。
ストーリー
-時は西暦2100年-
コンピュータ文化が栄え、「ワールドリンク」というコンピュータネットワークが世界中に展開する時代。その膨大な電脳世界の中の一角には、世界中の子供達が交流する仮想体験空間「マジカルゲート」が存在した。
しかし、そのマジカルゲートに謎の悪性コンピュータープログラム「デリトロス」が現れる。デリトロスはマジカルゲートの機能を侵蝕、ワールドリンクならびに人間世界をも消滅させるべく動き始める。
小学4年生の「結城ケント」は、マジカルゲートを守る防衛プログラム「ウェブナイト」の一員である「グラディオン」と出会い、弟であるカイトや自らの友達を救う為デリトロスと戦うことを決意するのであった。
主な登場人物
現実世界
- 結城ケント(CV:小林由美子)
- 本作の主人公。グラディオンのウェブダイバー(ウェブナイトとシンクロ出来る少年)となる。
剣道が得意技で、その実力は大人並とも言われている。加えて機械工作も得意。
ウェブナイトであるグラディオンと深い友情を築き、その関係が後に物語の大きな鍵となる。 - 有栖川アオイ(CV:菊池志穂)
- 本作のヒロイン。ケントの幼馴染で、優れたコンピューター操作技術を持つ。
[当初は彼女が最後の敵という案もあり、その名残が前期OPの1カットに残っている。] - ジャン・ジャック・ジャガール(CV:中井将貴)
- マジカルゲート内でケントと友人になったフランス人の少年。
首元の翻訳機を介してケント達と意思疎通をしている。
特技はフェンシング、また料理が得意。洗脳が解けたガリューンのウェブダイバーとなる。 - 浅羽ナオキ (cv:竹内順子)
- ケントの親友にしてライバル。
負けん気が強い熱血漢で、百番勝負と称しケントと張り合うことが多々。
粗暴な性格だが時に繊細な一面も見せる。 - 洗脳時のドラグオンのウェブダイバーとして、ケントと勝負に挑んだが、解放後に正義に戻ったドラグオンのウェブダイバーとなる。
- 倉知ショウ(CV:甲斐田ゆき)
- ケントのクラスメイトで、冷静な判断力と何でもこなす器用さの持ち主。ケント達からは厚い信頼を得ていた。
クールに見えて性格は温厚。ケントの弟「結城カイト」とも仲が良く、しばしば彼の支えとなる。 - 洗脳時はペガシオンのウェブダイバーだったが、解放後はダイタリオンのウェブダイバーとなる。
- 結城カイト(CV:高木礼子)
- ケントの弟、小学1年生。
デリトロスによってマジカルゲート内に閉じ込められるが、後にケントとグラディオンの活躍により現実世界へと帰還した。 - 37話からワイバリオンのウェブダイバーとなる。
- カロン(CV:甲斐田ゆき)
- ケントの父親である「結城タケト」が作ったミニコンピュータ。
マジカルゲートの管理プログラムがインストールされている。
語尾に「ピョコ」を付けて話すのが口癖。
ウェブナイト
- グラディオン(CV:杉田智和)
- マジカルゲートを護るウェブナイトのリーダー、騎士型マスターウェブナイトで機関車に変形することが可能。
勇敢で強い意志の持ち主で、正々堂々とした戦いを信条としている。
ケントと堅い友情で結ばれ、もう一人の主人公とも言える活躍をする。
[元々はクーリアという惑星に住む有翼人であり、宇宙最強と謳われた戦士であった。電脳世界での悪性プログラム・デリトロスとの戦いの際に相打ちとなって肉体を失い、データ体の状態で放浪した末に地球に流れ着く。そしてマジカルゲートの管理AI・エンジェと出会い、再び人々を守るためにウェブナイトとして生まれ変わった。] - ガリューン(CV:小西克幸)
- 龍戦士型マスターウェブナイトで龍頭付きの帆船に変形する事が可能。
自分以外の誰にも頼ろうとしない性格で、常に単独行動をとる。
ウェブダイバーはジャン・ジャック・ジャガール。 - ドラグオン(CV:川田紳司)
- ドラゴン型マスターウェブナイトで大型キャリアトレーラーに変形する事が可能。
忠義に熱く仲間への情に厚いが、それを表に出すことは無い。
ウェブダイバーは浅羽ナオキ。 - ダイタリオン(CV:飛田展男)
- 巨神型マスターウェブナイトで大型飛行船に変形する事が可能。
時間を操る事ができるため、その巨体とは裏腹に、瞬間移動を利用した素早い攻撃が得意。
ウェブダイバーは倉知ショウ。 - なお、飛田氏は本作のナレーターも担当している。
- ワイバリオン(CV:小西克幸)
- ドラグオンサイトの飛竜型ウェブナイト。離着水式プロペラ飛行機に変形することが可能。
グラディオンはウェブダイバーを得ることで他ウェブナイトとの合体が可能になったが、ワイバリオンは最初から純粋にグラディオンとの合体を想定されている唯一のウェブナイトである。
ウェブダイバーは結城カイト。 - ジャガオン(CV:川島得愛)
- シャークオン(CV:吉野裕行)
- グリフィオン(CV:中村悠一)
- フェニクオン(CV:鈴村健一)
- ケルベリオン(CV:宮下道央)
- オルトリオン(CV:陶山章央)
- ゴレムオン(CV:宮下道央 / 陶山章央)
- ペガシオン(CV:鈴村健一)
- ライガオン(CV:中村悠一)
デリトロス
- デリトロス(CV:立木文彦)
- マジカルゲート内を汚染した本編の黒幕。巨大な目玉のような姿だが正体は不明。
[実は、グラディオンと同じく宇宙からやってきた、宇宙人作製のコンピュータープログラム。こっちくんな。] - リュウト(CV:吉野裕行)
- ケントとの戦闘データを元に、デリトロスに生み出された戦士。ダークグラディオンに乗って戦う。
[その正体はデリトロスの分身(つまりデリトロスそのもの)。] - ラーダ(CV:中村悠一)
- リュウトの従者。ケントの監視とかデリトロスモンスターの調整が仕事。
実態
CGによる描写やTVと連動した玩具が売りである本作品だが、それらの要素に対する評価は製作者側の期待に反してあまりにも残念なものだった。
当時からTVアニメ業界で注目されていたCG描写は、手書きアニメとの親和性が無く違和感バリバリな上に、棒立ちでロボット達がロクに動かないという有様で、CGの利点を生かしきれておらず、お世辞にも良いものとは言なかった。
このCG描写が導入されたのはスポンサー側のタカラの意向で、「電脳世界の雰囲気を出すため」「以前CGを導入したビーストウォーズが成功したため」といった理由で無理矢理導入したモノらしい。CG描写に関わったスタッフは“たったの3人”という噂も。
スタッフは当初手描きアニメーションでの製作を念頭に入れていた様だが…。
TVと連動して遊べるというギミックを持つ各種玩具「ウェブナイトシリーズ」も、そのギミックがアダとなり値段が高騰、対象となる子供たちには少々手を出しづらい玩具となってしまった。
特にシリーズのフラグシップである「DXグラディオン」は、TVゲームとしての機能を内蔵している為に定価7980円という高価な商品となり、子供たちや小売店を泣かせる結果となった。
(そもそもグラディオンを除く「ウェブナイトシリーズ」の連動ギミックは、グラディオンをTVに繋がないと機能しない)
結果、ウェブナイトシリーズの売り上げは伸び悩んだ。
作品の評価
かくして、駄目アニメと駄目オモチャのタイアップが問題視されたウェブダイバーであるが、個性的なキャラクターや独自の世界観で展開するストーリーは視聴者達に評価され、今でも懐かしアニメとして支持する声は多い。
また、CGを除いた手描き描写の完成度・毎回のキャラクター作画の安定性には定評がある。
特に最終回における、本来の姿を取り戻したグラディオンとデリトロスのバトルシーンは素晴らしく、今までの残念なイメージを払拭するような壮絶な戦いを見せてくれる。
(CG描写の不自由さにはスタッフ達も苛立ちが溜まっていたらしく、最終回においては「グラディオンを別の姿(人間体)に変身させるというアイディアで誤魔化すことで、CGを使わずに済んだ」とのこと)
不評であった「ウェブナイトシリーズ」も、ゲームとの連動機能を内蔵しているにも関わらず良好なプロポーション・デザイン・変形ギミックを維持しており、老舗玩具メーカーであるタカラの意地と技術を見せ付けた。
このウェブナイトシリーズで培われた技術は、後番組である「爆闘宣言ダイガンダー」や「トランスフォーマーマイクロン三部作(マイクロン伝説・スーパーリンク・ギャラクシーフォース)」を経て、後に世界的な好評を博した「トランスフォーマームービーシリーズ」のオートモーフィングギミックやメックアライブギミックに生かされる事となる。
(つい最近まで展開していた「トランスフォーマーアニメイテッド」においても同様)
ニコニコ動画におけるウェブダイバー
R.A.M.(高取ヒデアキ)が熱唱するテーマソング「DIVER#2100」「SO DIVE!」は作品の世界観ともマッチしており、それに合わせたアニメーションもキャラクター・ロボット・アクションのバランスが取れており、ウェブダイバーを知らない人でも一見の価値がある。
何はともあれ、本編と違い手描きで描写されたウェブナイト達が最高に格好良い。
…OPで期待した手前、肝心の本編にガッカリした人も多いのではないだろうか?(【OP詐欺】の頁も参照)
ちなみに、先に挙げた「DIVER#2100」と「SO DIVE!」はオープニング差し替えMADで何気に多用されている。
また、OPアニメの話題性に隠れがちだがEDアニメもなかなかの見物。
その他
- 前期OPアニメは本放送版とDVD特典版によって一部のカットが異なっている(関連動画を参照)。
- 「涼宮ハルヒの憂鬱」のキョンや「銀魂」の坂田銀時で有名な杉田智和氏の出世作である。ウェブダイバーではグラディオンを演じ、優しくも勇ましい後の杉田氏からはイマイチ想像できないようなキャラクター性を発揮した。氏はグラディオンのキャラクターソングの作詞もしている。
- また、グリフィオンとライガオン役の中村悠一氏(「機動戦士ガンダム00」のグラハム・エーカー(ミスター・ブシドー)や「マクロスF」の早乙女アルト)のデビュー作でもある(グリフィオンとライガオンが敵に洗脳された時は、まさにグラハム(ブシドー))。この他にも、ガンダムシリーズやスーパーロボット大戦シリーズに出演している声優が多い(ガリューン及びワイバリオン役の小西克幸氏は「ガンダム00」と「マクロスF」に中村氏と共演している(ヨハン・トリニティとオズマ・リー))。
- かつては、googleで主役ロボットの「グラディオン」を検索すると、『もしかしてグラヴィオン?』と出てきた。(グラヴィオンとは、超重神グラヴィオンという別のロボットアニメの事) 今現在はgoogle先生も反省したのか改善されている。ウェブナイツがなんとかしてくれたのだろうか?
- グラディオンとグラヴィオンは、両者ともほぼ同時期に放送されていたアニメの主役ロボットであった為、その物凄く似た名前がしばしばネタにされている。ちなみに、グラディオンの名前の由来は古代ローマの剣闘士(グラディエーター)であり、グラヴィオンの名前の由来は重力子(グラヴィトン)である。
- つーかグラヴィオンだけじゃなくてグラディオンもスパロボに参戦させて下さい。
- シリーズ最後期に発売された「ダイタリオン」の玩具は、後番組である「ダイガンダー」の玩具と互換性があり、ダイタリオンの頭部となる「タイタン」の代わりにダイガンダーの頭部となる「リューグ」を合体させることが可能。面白いけど、なんかダークゴルドランみたいで嫌な感じである。
- 2015年10月現在は入手困難なDVDが非常に多く、最終巻はAmazonに在庫1点のみ、12巻に至っては在庫なしと実質入手不可能である。その他の巻も1万円越えしている巻がざらであるというから笑えない。
DVDBOX発売を望む君は、発売元の日本コロムビアか版権元のタカラトミー辺りに要望を送ってみよう。ファンの皆の声が集まれば、同じタカラトミー(こちらは旧トミーだが…)の玩具をモチーフにしたテレビアニメで、ファンの要望をもとにBDBOX化にこぎつけた「ゾイド -ZOIDS-」のようにDVDBOX化が叶うかもしれない。
関連動画
↑前期OPアニメの動画、削除されてしまったが左が本放送版で右がDVD特典版(ノンテロップ)。
0:55あたりのカットに差異が見られる。
ここで登場するシルエットはなんらかの伏線であると噂され、スタッフ・視聴者共に一時期話題となった。
↑こちらは後期OPアニメ。
OPアニメは前期・後期どちらも完成度が高いことが解るだろう。
大人の都合が無ければ本編も手描きアニメになる筈だったのだが…悔やんでも仕方が無い。
↑R.A.MによるOPテーマ。
「未来」「電脳」をイメージさせるクールかつ熱い旋律、そして作風とのシンクロっぷりには感服せざるを得ない。
↑こちらがEDテーマソング。
OPテーマの主題が「未来」と「電脳」ならば、EDテーマは「友情」「冒険」を主題としているようにも思える。
OPの影に隠れがちだが、こちらも名曲。
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関連項目
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