大怪獣ガメラとは、1965年11月27日に公開されたガメラスクリーンデビュー作である。モノクロワイド78分。
概要
監督は後の昭和ガメラシリーズをほぼ全て担当することになる湯浅憲明。脚本は以後昭和ガメラ全作を担当する高橋二三。湯浅にとっては2作品目の監督作で、怪獣映画はもちろん初めての経験だった。
ポスターは新幹線0系電車を掴み上げる有名な構図が使われているが、実は劇中でこのカットは存在しない。
公開の2年前には『大群獣ネズラ』という巨大ねずみを主体としたモンスターパニック映画が企画されたものの、衛生問題の発生などから撮影は中断され、撮影に使われたネズミは本編以上の迫力を以てして供養されるなどしてしまい、大映から独自の特撮怪獣映画はまだ誕生していなかった。
そこで、東宝のゴジラシリーズに対抗しうる大映オリジナルの怪獣映画を作ろう、ということで企画が開始されたのがこのガメラだった。
ガメラのキャラクターの特徴的な部分である「回転飛行」や「火炎噴射による攻撃」という案は飛行機に乗っていた当時の大映社長が思いついたとも言われているが、脚本家の高橋によるアイデアの部分も大きいと言う。なお、ガメラの火炎放射には本物の火を使っており、ガソリンを使って炎を噴き出すというかなり危険な撮影だったという。
また、本来東宝サイドである円谷組のスタッフも本作について湯浅監督へ助言するなどしていたが、いわば自社技術の流出ともいえるこれについて円谷英二特技監督は完全に黙認していたらしい。(実際、次回作でもウルトラシリーズに関わった人材がバルゴンを作るなどしており、水面下での関係は良好だったとみえる)
このほか、当時の大映撮影所には特撮で使えるようなセットや設備がなかったため、電力不足を補うために他所の撮影を止めてブレーカーを落としてもらうなどのご配慮をいただいたが、新人監督の湯浅にはかなり風当たりがきつかったという。また、機材不足を理由にこの作品は映画がほぼカラー化されてきていた中でモノクロフィルムで撮影され、怪獣映画としては最末期のモノクロ作品となっている(ガメラシリーズでモノクロなのはこの映画だけ)。
また、ガメラの回転ジェットもこの作品に限っては技術不足で最初の飛び上がるシーンだけは実写で表現されるが、飛び去るシーンはアニメーションによって表現されている。
本格的に実写でくるくると回りながら飛行するガメラが見られるのは次回作の対バルゴンからである。
なお、この映画のラストではゴジラ第一作が最終的にオキシジェン・デストロイヤーで完全に消滅させられたのに対し、ガメラは宇宙への地球外追放という形で『生存』して終了する。次回作を見越して、ということではなく、主役を殺したくない、というスタッフの愛情からだった。
ちなみに、ガメラが都市破壊を行っている中でとある建物の屋根をはずしたときにポンポンを頭に付けた女性が逃げ惑うシーンがあるが、これは「出歯亀」に引っ掛けたシャレらしい。また、本編未使用のカットがいくつか存在しているらしく、ガメラが女性を手に掴みこちらをにらみつけているという迫力ある写真なども残っている。
このほか、ゴジラに先駆けて東京タワーを破壊するシーンがこの映画には存在している(なお、ゴジラが東京タワーを破壊するのはミレニアムシリーズに入ってからとかなり遅い)。
こうして何とか完成にこぎつけることができた初の大映特撮映画だったが、ラッシュ時は監督含めみな恐怖に慄いていたという。当時の大映社長永田ラッパこと永田雅一はかなりのワンマン経営者として知られ、周りはコネ採用のイエスマンばかり、というような会社だったので、その感想で酷評されることを極端に恐れていたという。
が、永田の反応は「おもろいやないか!」という絶賛で、それに取り巻きも「はい、面白いです」と続けていたという。
結果、映画は大ヒットし、翌年にはきっちり続編『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』が制作されるに至り、その後7作品もの続編を連ねるドル箱シリーズへと成長。経営末期だった大映の貴重な稼ぎ頭となった。(結局シリーズは大映倒産によって好評のまま打ち切りになってしまう)
ゴジラ以外で怪獣映画のシリーズ化に成功したのは、2015年現在においてもこのガメラシリーズただ一つだけである。この後、大映は大魔神シリーズの成功もあり、大映特撮は東宝特撮に肩を並べる不動の地位を築き上げる。
この映画が公開された当時、ゴジラシリーズやウルトラシリーズの成功に伴って日本では空前の『怪獣ブーム』が巻き起こっており、この作品の成功を受けて2年後には松竹、日活が相次いで怪獣映画に参入している(が、どちらもシリーズ化には失敗して1作で終わった)。
ストーリー
北極で原爆を積んだ国籍不明機が撃墜され、その核爆発の影響で8000年前に氷の下に閉じ込められていた怪獣ガメラが目覚めてしまう。
その後、ガメラは日本へ襲来。
エネルギーを求めるガメラは各地を破壊して回るが、崩れかかる建物から少年を救い出す優しさを持っているという知られざる一面も持っていた。
ガメラの弱点は強烈な寒気であるが、日本の自衛隊では到底太刀打ちできず、そのまま亀の弱点である「自力で起き上がることができない」ということを利用して裏返しにしてしまう。
あとは餓死を待つだけなどと呑気なことを言っていられたのも数分のうちだけで、手足を引っ込めるとその甲羅の穴からジェット噴射を行い、どこかに飛び去ってしまう。ガメラには飛行能力があったのだ。
「亀が空を飛ぶとは・・・」と人々を驚かせるガメラは、暫く姿を消した後、東京に現れる。
その甚大な被害を前に人類はついに最後の手段『Zプラン』の使用を決意するが・・・
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関連リンク
関連項目
- 映画の一覧
- ガメラ
- 大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス (次々作)
- ゴジラ
- 1
- 0pt
- ページ番号: 5372364
- リビジョン番号: 2801782
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