「翔べ!必殺うらごろし」(とべ ひっさつうらごろし)とは、1978年から1979年にかけてテレビ朝日系列で放映された時代劇。朝日放送と松竹の共同制作。必殺シリーズ第14作目。(全23話)
概要
二つの眼(まなこ)を閉じてはならぬ。
この世の物とも思われぬ、この世の出来事見るがいい。
神の怒りか仏の慈悲か。 怨みが呼んだか摩訶不思議。
泣き顔見捨てておかりょうか。
一太刀浴びせて一供養。二太刀浴びせて二供養。
合点承知の必殺供養。(OPナレーション)
必殺シリーズの中でも、オカルトや超常現象をストーリーに取り入れているという、極めて特異な設定で知られている。
設定が余りにも特異的過ぎて視聴者に敬遠されてしまい、僅か23話で打ち切りという憂き目に遭っている。必殺シリーズを危うくシリーズ終了に追い込んだとも言われている。本作の反省点から製作された次回作が『必殺仕事人』である。
但し、ドラマの質は悪くなく、もっと評価されるべき、世に出るのが早すぎた作品との声が高い。
ニコニコ動画においては、市原悦子演じる「おばさん」のインパクトが強い殺しのシーンが有名。「まんが日本昔ばなし」や「家政婦は見た!」等での役柄を知っている視聴者が受けた衝撃は想像に難しくない。
ニコニコ動画内において、特撮ではなく、時代劇で『鬼畜ヒーローシリーズ』を冠した代表的な作品である。
また、若役の和田アキ子は第21、22話は未登場。おばさん役の市原悦子は第14、16話も未登場。
登場人物及びキャスト
本作の殺し屋は全員の本名、出身地が不明である。「先生」を中心に各地を放浪し、悪人によって殺された死者の恨みを晴らしていく。
舞台は先生にしか聞こえない死者の声と本人の気の向くまま、怪しげな気配を察知し江戸中心と付近の村を行ったり来たりしている(正十の発言により判明したが製作者側の事情である)。
- 先生 演:中村敦夫
- 不思議な力をもつ行者で、早朝に朝日を浴びながら座禅を組み、印を結ぶ事で犠牲者の最期の状況や死者の声を聞く事が出来る。この死者の魂を己の体に憑依させて超人的な力を発揮する事により殺しを行う。
その為、当作品の殺しは夜ではなく、主に早朝に行われる。
武器は黄門様の杖並みに丈夫である旗竿(ただし1~2回は真っ二つにされている)で悪人の急所を刺し貫く。旗竿だけではなく、匕首や竹藪の竹を武器にしていたこともあり、また、ジャイアントスイングといったプロレス技を披露したこともあった(しかも夜)。
修行中の身であり食事は常に薬草を汁に溶かしたのを飲み、おばさんからもさすがに嫌っていた。自然食しか食べない為酒が弱く、ちょっと飲んだだけで倒れてしまったこともあった。 - 若 演:和田アキ子
- 男勝り過ぎて女と見られなくなり、男として生きてきた大女。最初は強引に弟子になろうとしたが、おばさんに一喝された。その後、先生に女であることを見抜かれたことで先生に心酔し、行動を共にすることになった。
料理・裁縫が得意と見た目・性格とのギャップが激しい人でもある。
武器は己の肉体(素手)。力任せに相手を殴り殺す。その怪力は相手の悪人の首が折れて180度回転した程。
プロレス技(アルゼンチンバックブリーカー)を披露する事もあった。
殺し担当だけではなく、情報収集役も兼ねており、情報収集は正十と一緒に行うこともある。
終盤は中の人の理由でメンバーから外れたが最終回はわずかながらに登場した。
この時に先生たちと別れていたことは既に明言され、当初は毒草に痺れて倒れ、その後は体調不良で離れていた。 - おばさん 演:市原悦子
- 旅の傍ら生き別れた子供を捜しているが、記憶喪失であり、以前は殺し屋(名称不明)だったらしい。
武器は匕首。悪人に先回りして現れ、悪人の隙を突き、油断している所を刺す。然る後に印象的な捨て台詞を吐く。
この様々な台詞に視聴者は気を取られすぎだが、刺した後の血を拭き取る手ぬぐいがだんだんと赤く染まっていくのも印象的であり、最終回近くでは手ぬぐいは完全に真っ赤に染まっている。
先生と若がお金をほしがらず、正十は金にだらしないため、必然的に一行の財布係となってしまった。
普段ののんびりした姿と殺しの様子のギャップが激しすぎて今でも語り草となっている。 - 正十 演:火野正平
- インチキ香具師の片棒を担いでいたが、離脱し事件解決後、先生の旅に同行、若と一緒に情報収集を担当する。
かつては江戸で殺しの斡旋をしており、おばさんは正十のことを知っていたようだが、何故か正十はおばさんのことを知らなかった。『新必殺仕置人』や『江戸プロフェッショナル必殺商売人』に登場した正八と姿形が全く同じで名前も似ているため、正八と同一人物ではないかと一部ファンの間で言われているが、正八と違って正十は殺しを行ったことはないため、別人であろう。たぶん、うん・・・。 - おねむ 演:鮎川いづみ(現・鮎川いずみ)
- 先生らの旅に同行する熊野権現のお札を売り歩く巫女。常に眠そうに振る舞い正十から「おねむ」と呼ばれる
仕事人シリーズの何でも屋の加代とは別人だが、スペシャル番組『仕事人大集合』の序盤で、加代はおねむと同じ格好(ただし服はボロボロ)で熊野権現のお札を売り歩いていたことがあった(ファンサービスか?)。
主題歌
- 『愛して』
- 作詞・作曲:浜田省吾 編曲:井上鑑 歌:和田アキ子
浜田省吾のオリジナル曲『愛を眠らせて』の歌詞違いバージョン。必殺シリーズで最初にレギュラー出演者が歌った主題歌であり、これ以後、三田村邦彦・本田博太郎・西崎みどり・鮎川いずみ・中条きよし・中村雅俊・藤田まこと・The_SHIGOTONINがそれぞれの作品で主題歌を歌っている。
関連動画
※本編の丸上げ動画は「地獄へ行くのさぁ!!」(Byおばさん)
超自然現象。
それを証明する多くの伝承が古来より東西にわたって受け継がれている。
この一行はこれからもこのような未知の世界への旅を続けるであろう。
たとえ、あなたが信じようと信じまいと・・・・。(EDナレーション)
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