NEXCO西日本(ネクスコにしにほん)は大阪府大阪市北区に本社を置く高速道路会社。日本道路公団の分割・民営化によって発足した企業である。正式名称は「西日本高速道路株式会社」。国土交通省の所管する特殊法人である。
概要
旧・日本道路公団が管轄していた高速道路(高速自動車国道及び自動車専用道路)の分割継承により発足した。
管轄エリアは関西地方・中国地方・四国地方・九州地方および沖縄地方である。本社は大阪府大阪市北区堂島(旧・日本道路公団関西支社)にある。ただし本社のある大阪市内の高速道路は殆どがNEXCO管轄外の都市高速の阪神高速道路である。
ブランドカラーは「ネクスコ・ブルー」と呼ばれる青色であり、路線に並行するJR西日本・JR四国とほぼ同一である(グラデーションで描かれているため、見方によってはJR西日本にJR四国の色を混ぜたような色彩のようにも見える)。なお同じく並行するJRグループのJR九州の赤色とは大きく異なる。
ちなみに道路以外では福岡市中央区天神にある福岡中央自動車駐車場も日本道路公団から継承し管轄している。
関西地方・瀬戸内海エリア・北部九州と言った地域では交通量が多く、近畿自動車道や西名阪自動車道、山陽自動車道、長崎自動車道など、頻繁に自動車が行きかう路線もNEXCO西日本の担当である。
一方その関西地方の中心で、本社所在地でもある大阪市内の高速道路は阪神高速道路株式会社(旧・阪神高速公団)の管轄である阪神高速が大部分を占めていることから、NEXCO西日本が管理する大阪市内の高速道路は少ない。また管轄エリア内に他社管轄の都市高速が多く、先述の阪神高速道路のほか、広島高速道路、北九州高速道路、福岡高速道路がNEXCO西日本の路線に接続している。
上記のような収益の大きい路線もある一方、中国自動車道(神戸~山口)や山陰自動車道(一部)、浜田自動車道などのように、交通量が極端に少ない過疎路線も抱える(NEXCO東日本と台所事情が共通している)。
なお、JB本四高速においては「債務が十分に減少し、安定した状態になり次第、NEXCO西日本と合併する」という旨の法律が記載されている。
並行するJRとの違い
- 北陸地方はJR西日本(上越~新潟はJR東日本)が運営するが、高速道路の場合はNEXCO中日本が担当している(民営化の際は単に地域単位で分割されたため)。
- 本州四国連絡道路はJB本四高速によって管理されており、NEXCO西日本としては分断されている。
- 大阪市内の多くの高速道路を阪神高速道路が占めており、JR西日本とは大きく事情が異なる。
- JRグループではJR西日本・JR四国・JR九州の3社に分けられる地域をNEXCOでは全域がNEXCO西日本によって管理されている。
支社
関西支社
概ね近畿地方(京阪神エリア)の高速道路と一般有料道路を管轄している。支社所在地は大阪府茨木市。
- 名神高速道路・新名神高速道路の滋賀県西部エリア(後述を参照)を担当している。
- 中国支社との境界線は中国自動車道では佐用IC、山陽自動車道では備前IC。
- 日本の大動脈を担う名神・新名神をはじめ、近畿道・阪和道・第二京阪なども担当しており、京阪神の交通に大いに寄与している。また、全体的に交通量が多い路線を数多く持つのも特徴。
- 交通量が激しいため、道路の劣化が他路線に比べて速く、一定の期間で短期的なリフレッシュ工事を行う。
- NEXCO西日本(および国家)が総力を挙げて取り組んでいる新名神高速道路の建設を担っている。
中国支社
主に中国地方(中国5県+兵庫県のごく一部)を担当している。支社所在地は広島県広島市安佐南区。
- 最も収益の大きい路線は何と言っても瀬戸内海沿いを通る山陽自動車道。特に広島市付近では繁忙期を中心に大渋滞が発生する。
- その一方でお世辞にも大きな収益を得ているとは言いがたい過疎路線も数多く持つ。偉大なるローカル線・中国自動車道はその代表的な一例である(山口市内では1日の平均交通量が2,000台前後と、山陽道本線で最も交通量の少ない山口JCT付近(約15,000台)よりも少ない)。
- 中国道の交通量の少なさに反比例して、繁忙期になると山陽道が渋滞する事を逆手にとって、中国道へ迂回するようにキャンペーンを行う事があるが、クセのある中国道の通行を嫌がるドライバーも多いため、あまり成果を挙げているとは言いがたい。
四国支社
主に四国4県の高速道路(本四道路を除く)を担当している。支社所在地は香川県高松市。
- 四国と本州の行き来に必要な本州四国連絡橋は前述の通りにJB本四高速が管理しているため、中国・関西支社管轄路線とは連続していない。
- 瀬戸内海沿いの高速道路(松山道・高松道)を利用するドライバーが比較的多く、特に明石海峡大橋の開通で四国⇔関西の交通に劇的な変化が発生した高松道の鳴門~高松は暫定2車線での供用が影響してか、渋滞が目立つようになった。
- 各県庁所在地までの相互利用には一定の交通量があるが、そこから遠ざかると途端に交通量ががた落ちしてしまう傾向にある。
- NEXCOの4支社の中で管轄する有料道路の営業距離が最も短い。
九州支社
主に九州地方・沖縄地方に、山口県の一部を加えた高速道路を管轄している。支社所在地は福岡県福岡市博多区。
- メインとなる高速道路は九州自動車道。特に太宰府(福岡)~久留米にかけては1日あたりの交通量が10万台を超える箇所もあるなど、九州の経済を支える重要路線である。
- いわゆる「ジャンクションファン」の間では有名な「鳥栖ジャンクション」、NEXCO西日本管内で最も標高の高い地点を通る大分自動車道、6kmを超える長距離トンネル「肥後トンネル」「加久藤トンネル」といった、高速道路ファンならではの萌えポイントが数多く点在している。他にも、長崎道の大村湾沿いや大分道の別府湾沿いなど、景観を押さえた穴場スポットも割と多くあるのも特徴である。
- 東九州自動車道では無料区間も多いため、NEXCO西日本の管轄区間が途切れる場所もある。
- 沖縄自動車道から別れる那覇空港自動車道も管轄していたが、無料化された。
管理路線
高速自動車国道
- 名神高速道路(八日市IC以西)
- 新名神高速道路(甲賀土山IC以西)
- 近畿自動車道
- 西名阪自動車道
- 阪和自動車道(南紀田辺IC以北)
- 関西空港自動車道
- 舞鶴若狭自動車道(小浜IC以西)
- 中国自動車道
- 山陽自動車道
- 播磨自動車道
- 岡山自動車道
- 米子自動車道
- 広島自動車道
- 浜田自動車道
- 松江自動車道(三刀屋木次IC以北)
- 山陰自動車道(一部)
- 徳島自動車道
- 高松自動車道
- 松山自動車道(西予宇和IC以南は無料)
- 高知自動車道(須崎東IC以西は無料)
- 関門橋(関門自動車道)
- 九州自動車道
- 宮崎自動車道
- 長崎自動車道
- 大分自動車道
- 東九州自動車道
- 沖縄自動車道
これとは別に鳥取自動車道・尾道自動車道・山陰自動車道(長門~美祢)・九州横断自動車道延岡線もNEXCO西日本の管轄内にあるものの、いずれも全路線が新直轄方式に指定されており、NEXCOと高速道路機構との協定外とされているため、NEXCOは技術支援のみを行い、後は原則ノータッチとなる。
一般有料道路
- 京滋バイパス
- 第二京阪道路
- 京都縦貫自動車道(京都第二外環状道路)
- 南阪奈道路
- 第二神明道路
- 京奈和自動車道(京奈道路)
- 湯浅御坊道路(阪和道の一部)
- 関西国際空港連絡橋(関空道の一部)
- 安来道路(山陰道の一部)
- 江津道路(山陰道の一部)
- 広島呉道路
- 広島岩国道路(山陽道の一部)
- 今治小松自動車道
- 高松東道路(高松道の一部)
- 関門国道トンネル
- 八木山バイパス
- 椎田道路(東九州道の一部)
- 西九州自動車道(武雄~佐世保中央)
- 長崎バイパス
- 宇佐別府道路(東九州道の一部)
- 日出バイパス
- 南九州西回り自動車道(一部のみ)
- 延岡南道路(東九州道の一部)
- 隼人道路(東九州道の一部)
- 那覇空港自動車道(無料化によりJCT以外は管轄離脱)
その他
サービスエリア・パーキングエリア
NEXCO西日本管内のSAPAに関しては子会社の「西日本高速道路サービス・ホールディングス」によって運営されている(但し、一部は第3セクター運営など、例外も少なからずある)。
NEXCO西日本管内で貰える「高速道路ガイドマップ」は、かつて「J-Sapa」・「Hallo Square」(財団法人)時代に配布されていた道路地図とほぼ同じ見開き型である。裏面のサービスエリア・パーキングエリア情報は前2者の時と大きく異なるが、地図に関してはある程度見やすく改良されている。
また、独自のサービスで「ウェルカムゲート」が作られた。これは元々SAPAで働く職員の人たちが駐車していたスペースを活用して一般道からでも入場できるようにしたものである。但し、駐車マスは非常に限られているため、時間帯によってはすぐに満車になってしまうので注意。この手法は後にNEXCO中日本・NEXCO東日本エリアでも採用された。
道路交通情報に関しては「アイ・ハイウェイ」と呼ばれるサービスがある。これには兄弟版として名前が同じ「アイ・ハイウェイ中日本」(NEXCO中日本管内に最適化されたもの)というものもある。
スタンプに関しては民営化当初、全部撤去されてしまう事態が生じていたが、後に「NEXCO西日本グループ」と書かれた新型スタンプにリニューアルされている(財団法人の時とデザインが同一のものもあれば、異なるものもある)。
大きくリニューアルしたサービスエリア・パーキングエリアも数多くあるが、もとから交通量が極度に少ない中国道や閑散路線では手を加えられずに昔の施設がほぼそのまま残されていたりと差がある。
エコエリア
大分自動車道 山田サービスエリア(下り線)のサービスエリアにて以下の実験的試みをおこなっている。
太陽光発電
管内に太陽光発電を設置し発電を行っている。
2013年度末時点で56カ所、発電量は毎時244.7万キロワット
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
外部リンク
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