ゴールデンバローズ

ゴールデンバローズ(Golden Barows)とは、2012年2月14日生まれの日本の競走馬である。栗毛の牡馬。

概要

父Tapit(タピット)、母*マザーロシア、母父Mayakovsky(マヤコフスキー)という血統。

父Tapit(タピット)はアメリカの競走馬で、現役時代は病気もありG1を1勝するに留まったが、種牡馬としては北米リーディングサイアーに輝くなど大いに活躍した。代表産駒にFlightline(フライトライン)。

母*マザーロシアはアメリカの競走馬で、G3での2着などを含む18戦7勝。繁殖牝馬としては後に日本に輸入されている。

母父Mayakovsky(マヤコフスキー)はG1で2着となったこともあるアメリカのG3馬。種牡馬として目立った産駒は輩出しなかったようで、母父でも日本にいるのは2025年現在*マザーロシア産駒のみとなっている。

生産はアメリカのCrossed Sabres Farm。ファシグ・ティプトン社の2歳時のセールにおいてノーザンファームに45万ドルで落札され、ロジャーバローズなどのバローズ冠で知られる猪熊広次の所有となった。

戦績

2歳(2014年)

美浦の堀宣行厩舎に入厩し、11月に芝1600mの2歳新馬に出走。ライアン・ムーア鞍上で単勝3.7倍の2番人気に支持され、レースでは逃げたものの1番人気で後の重賞馬ダッシングブレイズに捉えられ、3馬身半差の2着。鞍上のムーア騎手はダートの方が良いかもしれないとコメントした。

同月にはダート1600mの2歳未勝利に出走。ここは単勝1.3倍の圧倒的1番人気に応え、逃げて上がり最速を出して2着コスモボアソルテに大差で勝利。

3歳(2015年)

3歳初戦は1月のダート1600mの3歳500万下。 石橋脩鞍上で単勝1.3倍の圧倒的1番人気に支持されると、ここも4番人気で後の重賞馬ノボバカラに3馬身半差付けて勝利。

続いて2月にヒヤシンスステークス(OP)へと出走すると、ここも戸崎圭太鞍上で単勝1.4倍の圧倒的1番人気に支持され、出負けしたようだが中団から上がり最速で突き抜けて5番人気イーデンホールに3馬身半差付けての3連勝。3着はクロスクリーガー、4着には全日本2歳優駿勝ち馬ディアドムスであった。

国内にこの時期出る競争がないということもあって、3月にはUAEダービー(G2)に遠征。ムーア鞍上で臨んだが鞍上曰く1900mは長かったとのことで、先行したもののMubtaahij (ムブタヒージ)が圧勝する中で3着。翌年に同父のラニが勝利したものの、UAEダービー3着は日本調教馬としては2006年のフラムドパシオン以来での記録であった。なお、他に遠征していた2頭の日本馬はタップザット5着、ディアドムス8着。

戸崎鞍上で6月のユニコーンステークス(GⅢ)に臨むと、ここも単勝1.5倍の圧倒的1番人気に支持されたが、口を割って掛かり気味で最後の反応も鈍く、ノンコノユメ、ノボバカラ、アルタイルに次ぐ4着に終わった。因みに5着は逃げた白毛馬ブチコ。

8月にはレパードステークス(GⅢ)に石橋鞍上で出走して2番人気に支持されたが、逃げたものの1番人気クロスクリーガーが勝利する中でここも4着。

11月の武蔵野ステークス(GⅢ)はムーア鞍上で3番人気となったものの、ペースが速く前に付けられなかったこともあり、砂を嫌がったりしてノンコノユメの11着に終わった。鞍上のムーア騎手曰く「馬が自信をなくしている感じ」とのことであった。

4歳(2016年)

休養明けのドゥラメンテの併せ馬に付き合ったりしつつ迎えた4歳初戦は2月の総武ステークス(OP)。戸崎鞍上で3番人気となったが、ここも8着。

4月のオアシスステークス(OP)では川田将雅鞍上で4番人気となり、最後方から上がり最速タイを出して3着とハナ差の4着。

降級して迎えた6月の1000万下の青梅特別は単勝1.5倍の圧倒的1番人気に支持された、上がり最速タイの末脚を見せたが、先行した3番人気で骨折明けのためダートに転向した芝重賞馬ミュゼスルタンに2馬身半差付けられて2着。余談だが、ミュゼスルタンはこの後再び骨折して引退、種牡馬入りとなった。

8月の1000万下の報知杯大雪ハンデキャップでは、ジョアン・モレイラ鞍上で単勝2.2倍の1番人気に支持されたが、鞍上曰くスタートは良かったもののその後に前が狭くなって負担になったとのことで6着に終わった。

5歳(2017年)

休養から復帰した5歳初戦は2月の4歳以上1000万下。ムーア鞍上で単勝6.1倍の2番人気に支持されると、上がり最速タイを出し、フィールザプリティに1馬身差半差以上付けて復活勝利。

5月の1600万下の立夏ステークスはミルコ・デムーロ鞍上で単勝3.3倍の1番人気に支持されると、後方から上がり最速で突き抜けてシャドウチェイサーに3馬身差の勝利。

6月のアハルテケステークス(OP)では単勝2.3倍の1番人気に支持されたものの、手応えは良かったのに馬がレースを止めたとのことで7着に終わった。

11月の武蔵野ステークス(GⅢ)はムーア鞍上で5番人気となったものの、インカンテーションの11着。鞍上のムーア騎手曰く、今度はもっと距離があった方が良い馬になっていたとのこと。

6歳(2018年)

6歳初戦は1月の東海ステークス(GⅡ)。松山弘平鞍上で10番人気となり、押し上げていったがジリっぽくなったとのことで6着。

目標としていたマーチステークスは収得賞金不足で除外となったため、4月のオアシスステークス(OP)に出走。石橋鞍上で7番人気となったレースは後方からの末脚を見せたがルグランフリソンの5着。因みに4着のコパノチャーリーから9着エポックまでがすべてクビ差であった。2着には1番人気に支持されたサンライズノヴァ。

6月のアハルテケステークス(OP)では3番人気に支持されたもののサンライズノヴァの10着に終わった。

9月にはラジオ日本賞(OP)に出走し、後方からの競馬でヒラボクラターシュの5着。クビ差の6着にはアルタイルがいたほか、3着は逃げたヨシオ。

次走として武蔵野ステークスを検討していたが、そのまま11月にJRAの競走馬登録を抹消され、大井競馬場の藤田輝信厩舎に移籍した。

7歳(2019年)

移籍初戦となる7歳初戦は1月の大師オープン。吉原寛人鞍上で単勝2.6倍の2番人気に支持されると、逃げた1番人気ラブミークンを上がり最速で捉えて1馬身半差の勝利。

2月には報知グランプリカップ(SⅢ)に出走したが2番人気で4着。

3月の隅田川オープンは矢野貴之鞍上で単勝2.4倍の1番人気に支持されて先行したが、6番人気ハッピースプリントが復活する中で7着。

5月の川崎マイラーズ(SⅢ)は吉原鞍上で3番人気に支持されたが8着に終わった。

6月には森泰斗鞍上で京成盃グランドマイラーズ(SⅢ)に出走したが、8番人気9着。

門別競馬場の田中淳司厩舎に移籍し、8月に岩橋勇二鞍上でロードカナロア・プレミアムに出走。2番人気に支持され、オヤコダカにクビ差の2着。

このレースの後に骨折したらしく、引退となった。

種牡馬入り

良く言っても「未完の大器」という印象であるが、どうも生産者の若林順一氏が同馬に注目したらしく、(恐らく若林氏の所有の下で)優駿スタリオンステーションで種牡馬入りすることとなった。2020年は種付け料受胎条件30万円で18頭の牝馬を集めたが、受胎率が良くなかったのか、血統登録数は9頭に留まった。因みに若林氏の生産馬がそのうち4頭。

翌年からは供用種牡馬一覧や優駿スタリオンステーションのリストにも掲載されず、どこにいるのかも分からなくなっていた。

ところが2023年に初年度産駒がデビューすると、その僅か9頭、更に言えば出走頭数7頭という状況の中から、岩手競馬でデビューから8連勝したフジユージーン筆頭にJRAの2歳戦での勝ち馬2頭(タケノシンセイ、エフエイト)や地方重賞馬オオイチョウを輩出するなどCPI＝0.27とは思えない好調ぶり(2025年11月現在)。余談だがフジユージーンの生産者も若林氏の親戚だとか。

そういうわけで2024年から白馬牧場に移動し、種付け料受胎条件50万円で種牡馬として復帰。すると、2024年は84頭、2025年も54頭の牝馬を集めることになった。やはり受胎率は微妙寄りなのか種付け数84頭に対して生産頭数が47頭に留まってはいるが。

2027年以降にデビューする産駒にも期待したい。

血統表

Tapit 2001芦毛	Pulpit 1994 鹿毛	A.P. Indy	Seattle Slew
			Weekend Surprise
		Preach	Mr. Prospector
			Narrate
	Tap Your Heels 1996芦毛	Unbridled	Fappiano
			Gana Facil
		Ruby Slippers	Nijinsky
			Moon Glitter
*マザーロシア 2006 青毛 FNo.8-f	Mayakovsky 1999 青毛	Matty G	Capote
			Star Gem
		Joy to Raise	Raise a Man
			Joy to Tell
	Still Secret 1998 栗毛	*ヘネシー	Storm Cat
			Island Kitty
		Runaway Spy	Mt. Livermore
			Pretty Driver

クロス：Seattle Slew 4×5(9.38%)、Mr. Prospector 4×5(9.38%)、Raise a Native 5×5(6.25%)

関連項目

• 競馬
• 競走馬の一覧
• 2015年クラシック世代