クロスクリーガー(Cross Krieger)とは、2012年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牡馬。
2015年クラシック世代のダート代表……になるはずだった未完の大器。
主な勝ち鞍
2015年:兵庫チャンピオンシップ(JpnⅡ)、レパードステークス(GⅢ)
父アドマイヤオーラ、母ビッグクィーン、母父*ブライアンズタイムという血統。
父はブエナビスタの半兄で、2007年クラシック世代の牡馬で唯一ダイワスカーレットとウオッカの両方に勝った未完の大器。種牡馬としても産駒デビュー直後に夭折してしまったが、数少ない産駒からMCS南部杯連覇のアルクトスやダート短距離で活躍したノボバカラを出した。クロスクリーガーはノボバカラと同じく初年度産駒。
母は未勝利で中央から地方へ移籍して14戦1勝。半兄(父*サンデーサイレンス)に2005年の日経賞を勝ったユキノサンロイヤルがいる。クロスクリーガーは第2仔。
母父は説明不要だろう。
2012年4月11日、母と同じく新冠町の北星村田牧場で誕生。2013年の北海道オータムセール1歳にて205万円(税抜)で(株)VICTORYに売却されたのち、2014年の北海道トレーニングセールにてカナイシスタッドから出品され、庄野靖志調教師の目に留まり、840万円(税抜)で落札された。
登録上のオーナーは辻高史(本業は公認会計士)で、吉田勝利(岐阜の通信機器販売業者「アラビア産業」代表)との共同所有(トレーニングセールで落札したのは吉田氏)。辻オーナーにとっては初めての自分名義での所有馬であった。
馬名意味は「十字+戦士(独)」。辻オーナーによると「クロス」は「辻」からだそうで、以降も冠名というほど頻繁には使用していないが、クロスマジェスティなど「クロス」で始まる馬を何頭か所有している。
サマーウインドなどを手掛け、後にはスワーヴリチャードやニシケンモノノフなどで知られることになる栗東の庄野靖志厩舎に入厩。
2014年9月27日、岩田康誠を鞍上に阪神・ダート1800mの新馬戦でデビュー。内枠からインでスムーズに先行すると、直線で狭いところを抜け出してあっという間に後続を置き去りにし、2着に2.1秒差をつける大差圧勝デビューを飾る。以後、最後のレースまで岩田康誠が一貫して手綱を取ることになった。辻オーナーは所有馬初出走初勝利。父(辻佳男)も馬主をしていたが1勝もしたことがなかったそうで、親子で初めての口取り式だったそうな。
この圧勝で、全日本2歳優駿からUAEダービーを目指すプランもあったそうなのだが、「芝でもいけるのでは?」と京都・芝2000mの黄菊賞(500万下)に向かう。しかし2番人気に支持されたもののあえなく7頭立てのブービー6着。全日本2歳優駿にも賞金が足りず出られなくなってしまった。
仕方ないので新馬戦と同条件の樅の木賞(500万下)に向かうと、単勝1.7倍の支持に応え、今度は外枠から外を回して大外抜け出しで快勝。2勝目を挙げて2歳を終える。
明けて3歳初戦は府中のヒヤシンスステークス(OP)。断然人気のゴールデンバローズに次ぐ6.8倍の2番人気に支持され、内目の枠からインで先行し前はかわしきったが、その途中でゴールデンバローズの末脚にあっさりかわされて3馬身半以上の差をつけられ完敗の3着。
気を取り直して中山の伏竜ステークス(OP)へ。白毛馬ブチコの参戦でも話題となったここでは、ブチコを抑えて2.7倍の1番人気に支持されると、後にJBCレディスクラシックを連覇するホワイトフーガが逃げるのを2番手でぴったり追走。抜群の手応えで直線を向くとあっさり抜け出し、リアファルの猛追をクビ差凌いで、前月に急逝した父アドマイヤオーラに弔いの勝利を捧げた。なお、このとき後方からの追い込みでひっそりと5着にいたのが、後に大舞台で激突するノンコノユメである。
続いて兵庫チャンピオンシップ(JpnⅡ)で重賞初挑戦。1.6倍の断然人気に支持されたクロスクリーガーは、大外枠から好スタートを切ると初めての逃げの手を打つ。前走2着のリアファルがガッチリとマークしてきたが、余裕の手応えで徐々に突き放していき、4コーナーから追い出すと、もう後ろは全くついていけず差が広がるばかり。最後は流す余裕を見せながら終わってみればなんと9馬身差の圧勝。兵庫CSはコース適性で実力以上の圧勝が起きがちなレースではあるものの、レース史上最大着差での勝利となり、クロスクリーガーが世代ダートのトップを争う実力があることを示したことは間違いなかった。
というわけで迎えた大一番、ジャパンダートダービー(JpnⅠ)。前走の圧勝もあって、クロスクリーガーは1.6倍の断然人気に支持された。それに次ぐ2.8倍の2番人気だったのが、伏竜Sのあと青竜SとユニコーンSを連勝して乗りこんできた、ここまで7戦全て上がり最速という末脚自慢のノンコノユメである。
大雨で不良馬場となったレース本番。真ん中の5枠6番だったクロスクリーガーは好スタートから今回もスムーズにハナを切る。息を入れつつマイペースで逃げたクロスクリーガーは、抜群の手応えのまま直線へ。岩田騎手の追い出しに応え、ぴったりマークしてきた3番人気ライドオンウインドや東京ダービー馬ラッキープリンスをあっさりと突き放し独走態勢へ。
誰がどう見ても完全なクロスクリーガーの勝ちパターン。この不良馬場で後ろから届くはずがない。岩田騎手も、残り100mまで勝ちを確信していた。
だがそこに、なんかもうとんでもない脚でカッ飛んできた馬がいた。
その足音に気付いた瞬間、岩田騎手はこう思ったという――「ウソやろ」と。
そして次の瞬間、ノンコノユメの豪脚が、クロスクリーガーをあっさりと交わして突き抜けていった。
あとはもうクロスクリーガーと岩田騎手はノンコノユメを茫然と見送るばかりで2馬身半差の2着。逃げて上がり38秒7でまとめて、後ろから37秒3の脚を使われてはどうしようもない。岩田騎手も「あとひとハロンのところではしのぎ切ったと思ったんだけど、今日は勝った馬が強かったね」と勝者を讃えるしかなかった。
続いてクロスクリーガーは、夏も休まずレパードステークス(GⅢ)へと向かった。ヒヤシンスSでは完敗したゴールデンバローズと人気を分け合うこととなったが、あちらを抑えて2.5倍の1番人気に支持される。
レースは今回も好スタートを切って逃げるかと見えたが、他の馬が行くのを見て岩田騎手は抑えて前目のポジションへ。ゴールデンバローズが内から逃げる格好になり、5番手あたりに構えたクロスクリーガーは向こう正面で外に出すと早くも進出開始。4コーナーでゴールデンバローズを捕まえると直線であっさりと振り落とし、3番人気ダノンリバティの猛追も全く寄せ付けず完勝。
ノンコノユメ不在の、得意の1800mでは負けられぬとJRA重賞初制覇を飾り、改めて世代ダート代表を争う実力を示したクロスクリーガー。ここまで使い詰めだったので一息入れ、秋はみやこSから得意の1800mであるチャンピオンズカップを目標に、ノンコノユメにリベンジを誓った。
……はずだった。
北海道の吉澤ファームに放牧に出されたクロスクリーガーは、9月、栗東への帰厩に備えて滋賀県の吉澤ステーブルWESTへと移動した。
だが、9月20日の朝、彼は疝痛を発症。診断の結果はX大腸炎。アストンマーチャンなどの命を奪った原因不明の難病だった。
懸命の治療が為されたが、翌21日、容態が悪化。もはや手の施しようがなく、安楽死の処置がとられた。
同年のチャンピオンズカップはレース史上最高レベルのメンバーが揃う中、伏兵サンビスタが並み居る牡馬を蹴散らし牝馬として史上初のJRAダートGⅠ制覇。後方からの追い込みで2着に突っ込んだのがノンコノユメだった。もしそこにクロスクリーガーの姿があれば、果たしてどうなっていただろう。
まさにこれからというところで突然に去ってしまったところまで、父に似てしまった未完の大器クロスクリーガー。彼が繋ぐことのできなかった父アドマイヤオーラの血は、同期のノボバカラ、そして後輩のアルクトスが繋いでいる。
通算8戦5勝[5-1-1-1]。獲得賞金1億2412万5000円。
| アドマイヤオーラ 2004 鹿毛 |
アグネスタキオン 1998 栗毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
| Wishing Well | |||
| アグネスフローラ | *ロイヤルスキー | ||
| アグネスレディー | |||
| ビワハイジ 1993 青鹿毛 |
Caerleon | Nijinsky II | |
| Foreseer | |||
| *アグサン | Lord Gayle | ||
| Santa Luciana | |||
| ビッグクィーン 2004 鹿毛 FNo.22-b |
*ブライアンズタイム 1985 黒鹿毛 |
Roberto | Hail to Reason |
| Bramalea | |||
| Kelley's Day | Graustark | ||
| Golden Trail | |||
| *マイアミガルチ 1991 鹿毛 |
Gulch | Mr. Prospector | |
| Jameela | |||
| Raja's Delight | Raja Baba | ||
| Evening Dance |
クロス:Hail to Reason 5×4(9.38%)、Raja Baba 5×4(9.38%)
何故かvsノンコノユメのJDDの動画がないのでKEIBA.GO.JPで見てください
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最終更新:2025/12/05(金) 19:00
最終更新:2025/12/05(金) 19:00
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